Minth Group Limited [敏実集団有限公司] 2021年12月期の動向

業績

(単位:百万元) 
2021年12月期 2020年12月期 増減率 (%)
売上高 13,919.27 12,466.86 11.65
売上総利益 4,083.77 3,858.84 5.83
税引前利益 1,845.81 1,679.58 9.90
純利益 1,579.45 1,462.99 7.96

要因
-自動車市場が新型コロナウイルス感染拡大の影響から徐々に回復基調となったため、同社は中国国内外で売上増となった。車体部品事業の売上高は125.7億元となり前年比で9.66%増加。全体のうち車体部品事業は9割を占めた。

-製品開発に注力し、新エネルギー車メーカーからの受注も多数獲得した。
 

子会社売却

-同社の完全子会社である敏実投資有限公司は、2021年3月に湖州敏馳汽車有限公司(湖州敏馳)の全株式および湖州敏馳が保有する湖州恩馳汽車有限公司の全株式を湖州市環橋建設開発有限公司へ譲渡した。(2021年アニュアルレポートより)
 

合併会社

-2022年4月6日、傘下の敏実汽車技術研発有限公司(Minth Automotive Technology Research & Development Co., Ltd.)と、浙江三花智能控制股份有限公司(Zhejiang Sanhua Intelligent Controls Co., Ltd.)は戦略的提携を締結。合弁企業浙江三花敏実汽車零部件有限公司(Zhejiang Minth Sanhua Auto Parts Co., Ltd.)を設立することで合意した。欧州における水冷パネル (新エネルギー車向けのバッテリー冷却用パネルで、バッテリーケースと一体化したもの) の開発、生産および販売を行う。資本金は1億元で、出資比率は三花智控が51%、敏実汽車技研が49%となる。(複数メディア報道に基づく)

 

受注

OEM 受注
GM 可変スポイラー
蔚来 (NIO) 樹脂製テールゲート
Stellantis 電動車プラットフォーム「EMP2」用バッテリーケース、ドアシル補強板
Renault-Nissan、XPeng Motors、EVE Energy バッテリーケース
BMW、Mercedes-Benz、VW、Li-Auto ドアシル補強板、クラッシュビームなどのアルミ構造製品
Daimler MMAプラットフォームアルミトリム
VW、Skoda ステンレス製トリム

研究開発活動

  • バッテリーケース:CTC電池ケースソリューション、交換式用バッテリーケースソリューション、固体電池技術バッテリーケースソリューション、熱可塑性複合材料バッテリーケーストップリッドなど多様な製品の開発、フロント・リアコリジョンモジュール、サブフレーム、ダイカスト構造部品など周辺製品への展開。今後バッテリーケース・シャーシ一体型構造部品などを提供予定。
  • インテリジェント外装トリム分野:インテリジェントフロント・リアフェイスシステム、インテリジェントドアシステムの開発に注力。ミリ波レドーム、イルミネーショングリルなどの製品をベースに、レーザーレドーム、ヒートミリ波レドームなどの製品を展開。 レベル4以上の自動運転において適用可能な発光、加熱、波長透過、自動洗浄機能を統合したインテリジェントフロントフェイスソリューションの開発を行っている。
  • インテリジェントドア分野:インテリジェントエントランスや自動開閉などの応用分野において、顔認証インテリジェントピラーパネル、電動開閉駆動機構、超軽量ドアなどのソリューションを提供。
      

受賞

-インテリジェント発光グリルでGMの2021 Overdrive - Accelerating Innovation Awardを受賞した。(2022年4月2日付プレスリリースより)

-嘉興敏実機械有限公司はJaguar Land Roverによる「JRLQ品質賞」と「NIO品質優秀パートーナ賞」を受賞した。(2021年12月23日付プレスリリースより)

-敏実汽車技術研発有限公司の「マルチマテリアルハイブリッド軽量パワーバッテリーシステム一体型ケース」が、2021年の第6回中国自動車部品年度貢献賞である鈴軒賞の生産・シャシー部門で優秀賞を受賞。(複数のメディアより)

特許

-2021年12月期、628件特許を出願し、うち海外関連特許7件、取得済み特許は488件

研究開発費用

 (単位:百万元)
2021年12月期 2020年12月期 2019年12月期
研究開発費用 940.70 764.19 655.53
売上高に占める割合(%) 6.80 6.10 5.00

-売上高に対する研究開発費の比率は、バッテリーケース、 アルミ製シャシー構造部品、インテリジェント外装部品などの研究開発を推進し、研究開発能力増強のための投資を増加させたことで、前年より0.7%増となった。
 

研究開発施設

社名 内容 所在地
寧波敏実汽車零部件技術研発有限公司
(Ningbo Minth Automotive Parts Research & Development Co., Ltd.)
金型製造及び金属製品の開発 浙江省
寧波市
敏実汽車技術研発有限公司
(Minth Automotive Technology Research & Development Co., Ltd.)
自動車部品関連機器、自動車用金型、治具、自動車用プレス部品などの研究開発、生産 浙江省
寧波市
敏向科技(上海)有限公司
(Minxiang Technology (Shanghai) Co., Ltd.)
ボディ部品の開発及び設計 上海市

 

設備投資

-HELLAと敏実グループの合弁会社であるHELLA MINTH Jiaxing Automotive Parts Co. Ltd.は、浙江省嘉興市に第2生産工場を開設した。新工場の敷地面積は約20,000平方メートルで、当初の生産能力は年間約300万個。その後の拡張フェーズでは、生産能力を最大500万個まで倍増させる予定。新工場には、総投資額約数百万ユーロの研究開発センターも併設する。新会社は2021年1月に設立、主にレドーム、電飾看板、LIDARカバーの生産を行う。(2022年4月28日付プレスリリースより)
  
-敏実グループの新規事業部門にあたる浙江励敏铝業有限公司が、浙江省安吉市で操業を開始した。同社は主に自動車用のグリーンハイエンドアルミニウムを製造する。グリーンハイエンドアルミニウムの生産に必要なエネルギーは、一次アルミニウムの生産に必要なエネルギー消費の5%のため、二酸化炭素と硫化物の排出を90%以上削減することが可能だという。(2022年4月19日付プレスリリースより)

-セルビアのロズニツァにて工場の開所式を行った。280,000平方メートルの工場は、アルミニウム合金製のバッテリーケース及び付属部品を主に生産し、ルノー、VW、BMW、メルセデス・ベンツなどに供給する。3億ユーロを投資し、2025年までに1,000名以上の雇用を創出する予定。敏実グループは、2018年よりセルビアで工場をスタートし、現在5つの工場を保有しており、セルビアのLoznica市に2つ、Servišabac市に3つ保有している。工場がすべて稼働すると、3,000名近い雇用が創出されるという。(2022年3月13日付プレスリリースより)