Lear Corporation 2019年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
  2019年
12月期
2018年
12月期
増減率
(%)
要因
売上高 19,810.3 21,148.5 (6.3) 1)
純利益 830.7 1,246.7 (33.4) -
部門別売上高
シート 15,097.2 16,021.9 (5.8)
Eシステム 4,713.1 5,126.6 (8.1)


要因
1) 売上高
-2019年12月期の売上高は、前年比6.3%減の19,810.3百万ドル。ストライキ及び為替の影響によりほぼすべての地域で生産量が低下した。ストライキでは約1,700百万ドル、為替では700百万ドルの影響を受けた。一方各地域での新規事業立ち上げにより売上高は1,100百万ドル押し上げられた。

 

事業動向

Xevo Inc.
-2019年4月、同社はコネクテッドカーにおけるソフトウェアサプライヤーのXevo Inc.を322百万ドルで買収した。シアトルに本拠を置くXevoは、クラウド、自動車、およびモバイル機器向けのソリューションを開発するサプライヤー。Xevoの技術は北米、アジア、欧州など世界各国で合計2,500万台の車両に搭載されている。

ーXevoは2019年9月、現代自動車と米国・欧州向け車両に「Xevo Market」を提供する契約を締結したと発表した。「Xevo Market」は、ドライバーと事業者の相互作用を生み出すプラットフォームであり、自動車とモバイルコマース用の新メディアチャネルである。このプラットフォームにより、互換性のある現代車を持つ顧客は、車載タッチスクリーンと現代のモバイルアプリを通して、好みのブランド商品やサービスにアクセスできる。(2019年9月5日付プレスリリースより)

Plug and Play
ーPlug and Playとモビリティー革新を目的とした戦略的パートナーシップを結んだと発表した。この提携は、シリコンバレーのLear Innovation Ventures (LIV) が調整し、Plug and Playのエコシステムを媒体に、スタートアップとの協業やモビリティーテクノロジー分野でのLearのプレゼンスを高める。(2019年6月13日付プレスリリースより)

CARMERA
ー自動運転用高精度マッププロバイダーのCARMERAと、EXO Technology Partnership Programのパートナーとして契約したと発表した。Learの高精度ポジショニング技術EXOは、困難な天候や都市環境においても正確な位置情報を提供する独自のグローバルナビゲーション衛星システム(GNSS)ソリューションで、クラウドコンピューティングとソフトウェアベースの技術により、高度な自動運転ソリューションを展開する。(2019年5月29日付プレスリリースより)

現代自動車
-現代自動車の米国現地法人Hyundai-Kia America Technical Center, Inc. (HATCI)との間で「EXO Technology Partnership Program」の初の開発パートナー契約を締結したと発表した。LearのEXO高精度車両ポジショニング技術は、標準の自動車用グローバルナビゲーション衛星システム(GNSS)受信機と連携して世界中のどこにでも高速でセンチメートルレベルの精度の情報を提供することにより、高度な自動運転ソリューションの安全な展開を可能にするという。(2019年1月9日付プレスリリースより)

Gentherm
-LearとGenthermは、乗員用熱管理シートソリューション推進のための戦略的共同開発パートナーシップを発表した。両社はLearの「Intu」シートシステムに統合するモジュール式の冷暖房ソリューションの開発に取り組むという。Genthermは米国ミシガン州に本拠を置く熱管理ソリューションメーカーで、従業員数は13,000名超、世界13カ国で事業を展開している。(2019年1月8日付プレスリリースより)

 

Lear Innovation Ventures (LIV) Possibilities

ー2019年1月、同社はLear Innovation Ventures (LIV) Possibilitiesの設立を発表した。Learはベンチャーキャピタル、アクセラレーター、インキュベーターと協力して、新興企業や社内のイノベーションイニシアチブなどに直接資金提供を行う計画。(2019年1月8日付プレスリリースより)

Maniv Mobility
ー同社は、LIVを通してイスラエルのManiv Mobilityが運営するベンチャーキャピタルファンドへの出資を発表した。モビリティ技術エコシステムへの注力を図るという。Maniv Mobilityのポートフォリオと投資活動は、主にコネクテッド、自動運転、ライドシェア、モビリティ分野のイスラエルの新興企業ならびに米国などの市場に重点を置いている。(2019年3月11日付プレスリリースより)

Autotech Ventures
ーLear Innovation Ventures (LIV)を通じて米国シリコンバレーに本拠を置くベンチャーキャピタル企業Autotech Venturesに出資し、革新的なモビリティテクノロジーの展開を支援すると発表した。Autotech Venturesのポートフォリオと投資活動は、主にソフトウェア、サービス、エレクトロニクスのスタートアップ企業に焦点を当てており、コネクテッドカー、自動運転車、高エネルギー効率車向けのサービスの実現に取り組んでいる。(2020年1月7日付プレスリリースより)

 

受注

-同社の「Intu」シートシステムがRinspeedの自動運転コンセプトカー「microSNAP」に採用されたと発表した。E-Systemsとの共同開発による「Intu」シートシステムは、乗員の快適性、健康、エンターテインメントおよび安全性を向上する一連のインテリジェントテクノロジーで構成されている。Learの「BioBridge」は、心拍数と呼吸数を介してストレスや眠気を検知し、それに対応する温熱療法やマッサージ療法を実行するために無線周波数(RF)センシングを使用するバイオセンシング技術。また、「ProActive Comfort」インテリジェントシート調整技術は、スポーツ、快適性、健康などのプリセットモードで好みの変化に合わせてカスタマイズが可能。(2019年1月7日付プレスリリースより)

 

研究開発動向

シート部門
-2019年12月期のSeatingにおける研究開発活動は主に以下の製品・技術において行われている。

-ProActive Seating
TheraMetric分析プロセスを搭載した独自のMySeat by Learテクノロジーを使用

-Lear Crafted Comfort Connect 及び Advanced Comfort Systems
正しい姿勢をサポートし、快適さと外観を向上させるクッション、シートバック、サイドボルスター。

-Guilford TeXstyle fabrics
車両のエクスペリエンスと耐久性を向上させるカスタマイズ可能なファブリック。

-TeXstyle Enhance

-Ansolé
防汚革仕上げ技術

-ヘッドレスト

-ミニリクライニング及びマイクロアジャストトラック
正確な動きで内部の梱包スペースの柔軟性を促進するシートメカニズム

-高速スマートフォールドテクノロジー
高速折りたたみ調整メカニズムにより、優れた利便性を提供しながら、安全性と快適性を維持

-Dynamic Environmental Comfort Systems及びComforTune technologies
現在のフォームシートデザインと比較して、重量を30〜40%削減

-SoyFoam
二酸化炭素排出量を年間614,000ポンド削減

Eシステム部門

-2016年に自動車ニュースPACE賞を受賞したソリッドステートスマートジャンクションボックスの生産を開始

-最大100個のLEDを個別に調光およびオン/オフできるマトリックスLED制御システムなどを開発。コントロール可能な光及びその他の高度な照明機能によって、ドライバー支援システムセンサーと組み合わせることで、自動ハイビーム管理や障害物強調表示などの機能を実現

-イーサネットオーディオブリッジングアンプを開発し、デジタルデータの高速処理を低コストで実現

-同部門は18か国にわたり2,300名の研究開発人員を擁する。ベルギー、中国、ドイツ、スペイン及び米国(サウスフィ―ルド・シアトル)に6カ所のテクノロジーセンターを保有。

 

特許

-2019年12月末現在、出願中を含めた特許数は約2,300件。

 

設備投資額

(単位:百万ドル)
2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
シート部門 370.4 459.8 398.3
Eシステム部門 213.9 208.4 176.3
その他 19.6 8.8 19.9
合計 603.9 677.0 594.5

設備投資動向

2019年2月 従業員削減 GMの北米5工場の操業休止後、デトロイト工場で175名の解雇
2019年2月 ストライキ発生 オンタリオ州Whitbyのシート工場のストライキ
2019年3月 工場新設 メキシコのチワワ州に3番目の生産工場を開設
2019年6月 工場拡張 米国インディアナ州Hammondに240,000平方フィートのシート組立工場を建設し、フォードへの製品供給を継続する決定を下した
2019年6月 工場停止、集約 ミシガン州Taylorにある電子システム工場の稼働を停止、同州内に拡張されたTraverse Cityの工場に集約