Gestamp Automocion S.A. 2019年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)

2019年12月期 2018年12月期 増減率 (%)
売上高 9,065.1 8,547.6 6.1
EBITDA 1,071.7 960.5 11.6
事業部別売上
BIW及びシャシー 7,449.8 6,841.8 8.9
機構部品 1,019.8 1,016.6 0.3

 

要因
売上高

-2019年12月期の売上高は前年比6.1%増の9,065.1百万ユーロ。地域別の売上高要因は以下の通り。

  • 西欧: マーケットの影響による下半期の減少で西欧の売上高は前年比4.6%減となった。
  • 東欧: 同地域の売上高は前年比16.2%増。トルコ、チェコ、スロバキアでの新規プロジェクト立ち上げに加えて、ブルガリアでのバッテリーケースに関する合弁事業が寄与した。
  • 北米: 北米での売上高は19.1%増加した。新規製品立ち上げが予想より緩やかであったものの、新規プロジェクトによって売上増となった。
  • 南米: 南米の売上高は12.0%増となった。2019年下半期において収益性を改善したことによる。 
  • アジア: 2019年12月期においては12.5%増加となった。BHAPとの合弁事業が寄与した。

  

合弁会社

ー同社は、北京海納川汽車部件 (BHAP)との間で電気自動車 (EV)などの分野での協力強化を目的として、覚書 (MoU)を締結したと発表した。今回の合意により、Gestampは中国におけるプレゼンス強化を図る。またGestampは、柳州五菱汽車工業 (WLAI)MoUを締結したことも併せて発表、この提携で両社は広西自治区内で車体構造備品、シャシーおよび新製品の開発に向けそれぞれの長所とリソースを活用するという。(2019416日付プレスリリースより)

ー同社とBHAPは2018年1月に車両軽量化に関して合弁事業の合意を行っている。

 

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
全体 529.5 445.5 361.2

 

研究開発体制

-13カ所の研究開発拠点を保有。約1,600名が研究開発に従事。

 

研究開発活動

2019年研究開発活動は以下の通り。

ーEV車両向けプログラムと共に、安全性を向上しながら、重量低減やCO2排出減に貢献する内燃機関モデルにも適用できる研究開発も実施。各セグメント(ホワイトボディ及びシャシー部門、機構部品)の顧客と285を超える共同開発プログラムを実施している。

 

ホットスタンプ技術「multistep」

-2018年、同社はMultistepというホットスタンプの新技術の開発を開始した。同技術によって転写加工時に従来と異なる化学組成を持つマルテンサイト材料の使用が可能になる。Multistepにより、従来では成形できなかった材料の成形が可能になり、新領域の物理特性を活用可能になる。さらに、スタンピング後の加工が不要になる。今回の技術では亜鉛を使用した製品の製造も可能になり、製品の耐食性を向上させることもできる。同技術を使用した製品の量産開始は2019年。 

加工法「BKT (Bending Kinematic Treatment)」

-2018年中において同社はBKTという新規加工法の開発を開始した。今回の加工法によって、硬度の異なる部分を持つ部品の製造が可能になる。また、それらの硬度の異なる部分はより小さく、正確に成形できる。BKTはレーザー熱処理を利用して加工を行い、その加工によって衝突性能を改善・破損の防止・組立の改善・部品における溶接強度不良および接合部分の削減を実現する。同加工法は現在の1,500MPa材料のみならず、1,900および2,000MPaの材料にも使用可能。2019年、同社は同技術を日本企業に向けて使用した。

1ピースドアリング

-2019年、同社は8社のOEMとそれぞれの1ピースドアリングの開発に関して協業を行った。

1ピース フロア

-同社は現在1ピースフロアについて開発を行っている。このコンセプトは従来製品と比較して省スペースかつ軽量で衝突時の衝撃吸収を行うことができる。同製品は、他製品との組み合わせも可能。

車両電動化向け新製品

-同社は、ETEMとの合弁事業によって、アルミ製品の領域を拡大した。優れた衝突性能を持つアルミ合金の開発によって、アルミのみを使用したバッテリーボックスの開発が可能になった。すでに2020年及び2021年に量産される電気自動車のプラットフォームにおいて複数のプロジェクトを完了させており、2019年には電気自動車向けアルミシャシーの量産を欧州で開始した。また、中国でもアルミシャシーの受注を獲得している。

  

設備投資

(単位:百万ユーロ)
2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
合計 822.5 920.2 796.0

*IFRS16の適用による影響を受けている。

-設備投資費は、主に新工場の建設、設備の拡大、新製品および新技術にかかる費用、既存プログラム入れ替え費用、生産設備の維持費および研究開発費の資産化に使用された。

 

投資活動

スロバキアNitraのアルミニウム部品工場が開設したと発表した。130百万ユーロを投じた新工場は、最近スロバキアで操業を開始したJaguar Land Roverに製品を供給する。従業員数は約200名で、主にアルミニウムを素材とするパネルや構造部品を生産する予定。同工場は製品の70%をアルミニウムで生産する2本のタンデムラインなどを備え、車両の軽量化、安全性向上の実現を目指すという。Nitra工場は、スロバキアでは子会社EdschaVelky Meder 工場に続くGestampグループ2番目の拠点となる。(2019627日付プレスリリースより)

ーメキシコのサンルイスポトシ(San Luis Potosi)2番目の工場を開設したと発表した。メキシコ国内では7番目の拠点となる。86百万ドル(95億円)を投じて新設された約300,000平方フィートの新工場では、ホットスタンピングとハイドロフォーミング技術を採用し、シャシー部品を製造する。新工場は子会社であるEdschaの施設と隣接しており、ボディインホワイト、シャシーおよび機構部品の提供が可能だという。2001年の操業以来、メキシコ市場はGestampにとって6番目に大きな市場であり、2018年の売上高は682百万ドルに達している。(2019年3月19日付プレスリリースおよび2019年3月20日付 Mexico-Nowより)