Garrett Motion Inc. (旧 Honeywell International Inc.) 2019年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
  2019年12月期 2018年12月期 増減率 (%) 要因
売上高 3,248 3,375 (3.8) 1)
純利益 313 1,206 (74.0) 2)


要因
1)全社売上高
-2019年12月期の全社売上高は、前年比3.8%減の3,248百万ドル。売上減は全部門に渡り、ライトビークル向け製品の減収が57百万ドル、商用車向け製品の減収が39百万ドル、アフターマーケット向け製品の減収が20百万ドル、その他製品の減収が10百万ドル。なお、ライトビークル向け製品の売上減は、ガソリンエンジン向けのターボチャージャーの売上増で一部相殺されるも、アジアおよび欧州でのディーゼルの低迷が要因となった。商用車向け製品の売上減は、欧州および北米での販売不振が要因。アフターマーケット向け製品の売上減は、欧州での販売減が要因。


2)全社純利益
-2019年12月期、純利益は昨年度の1,206百万ドルから74.0%減となる313百万ドルとなった。2018年度の純利益には、未分配課税所得にかかる源泉徴収税の減少による一時的な879百万ドルの税制上の優遇措置が含まれていたことや、会社のスピンオフ時の債務に関連する支払利息が無かったことが、2019年度の減益要因。


受注

-同社の技術は、2019年のジュネーブモーターショーで発表されたカーオブザイヤー2019にノミネートされた7モデルの内、5モデルに採用されていた。5モデルと採用されていた同社技術は以下の通り。

  • Citroen C5 Aircross: 1.2L ガソリンエンジン ターボチャージャー、 1.5L ディーゼルエンジン VNT (可変ノズル) ターボチャージャー
  • Peugeot 508: 1.2L ガソリンエンジン ターボチャージャー、 1.5Lディーゼルエンジン VNTターボチャージャー
  • Ford Focus: 1.5L ディーゼルエンジン VNTターボチャージャー
  • Kia Ceed: 1.0L ガソリンエンジン ウェイストゲートターボチャージャー、 1.6L ディーゼルエンジン VNTターボチャージャー
  • Mercedes-Benz A-Class: 1.3L ガソリンエンジン ウェイストゲート ターボチャージャー、 2.0L ディーゼルエンジン VNTターボチャージャー

(2019年3月1日付プレスリリースより)

受賞

-同社は、9.8Lの大型トラックに採用されている第3世代GT35Vターボチャージャーについて、いすゞより原価改善優良賞を受賞したと発表した。このターボチャージャーは異なるエンジンサイズにも適用可能でコスト削減に貢献した。また、重量低減やサイズ縮小も同時に達成しているという。(2019年7月15日付プレスリリースより)

動向

-2020年12月期の売上高は、実質ベースで1%から4%減少する見込み。

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
全社 129 128 119



研究開発体制

-2019年12月31日現在、約1,200名のエンジニアが従事している。

研究開発拠点

-2019年12月31日現在、北米に2カ所、欧州/中東/アフリカに1カ所、南アジア/アジア太平洋に2カ所の合計5カ所の研究センターを持つ。

製品開発

電動ターボチャージャー
-同社は、2021年発売を見込む世界初となる量産乗用車向けの「E-Turbo」を開発すると発表した。この「E-Turbo」は両タービンを繋ぐタービンシャフト上に小型モーターを搭載する。このモーターにより、アイドル状態から即座にブーストを立ち上げることが可能になり、効率的にターボラグをなくすことができる。またターボチャージャーを電動化することにより、低回転でのタービン効率を優先させて過給する設計上の制約も解消させる。「E-Turbo」は小型モーターで電気を作り出し、ハイブリッドバッテリーに充電することで、使用済排気ガスのエネルギーを電気的に回収することができる。新しいソフトウェアがブースト制御アルゴリズムを既存のエンジンコントロールモジュール (ECM) に統合することにより、「E-Turbo」システムの機能をサポートする。OEM各社がさらに厳格になる環境基準を満たすためにパワートレイン設計の全ての観点に注目していることから、車両の空気の流れの状態をモニタリングする予知・スマート診断機能も採用している。(2019年10月17日付プレスリリースより)


IAA 2019での技術展示

-同社はIAAフランクフルト・モーターショー2019において、電動ターボチャージャー「E-Turbo」を公開すると発表した。「E-Turbo」は、ガソリンまたはディーゼルと合わせたハイブリッドパワートレインのパフォーマンスと燃費を改善するために設計され、タービンシャフト上に小型モーターを搭載する。同展示会で展示された技術は以下の通り。

  • ガソリンエンジン用可変ノズルタービン ターボチャージャー
  • 水素燃料電池用2ステージ電動コンプレッサー
  • 第3世代ツインスクロールターボ
  • シートメタルタービンハウジング ターボチャージャー
  • ディーゼルエンジン用 ボールベアリング可変ノズルタービン ターボチャージャー
  • 統合車両診断用コネクテッド車両ソフトウェア

(2019年9月9日付プレスリリースより)


ウィーン・モーターシンポジウム2019での技術展示
-同社はウィーン・モーターシンポジウム2019において、2.0Lのガソリンエンジンと合わせた開発中の電動ターボチャージャーの試運転などを通じて様々な技術を披露した。同展示会で披露した技術は以下の通り。

  • ガソリンエンジン用可変ノズルタービン (VNT) ターボチャージャー
  • ディーゼルエンジン用GTD22 VNT ターボチャージャー (ボールベアリング技術採用)
  • シートメタルタービンハウジング 2ステージシリアル ターボチャージャー
  • ダブルアクスルVNTターボチャージャー
  • 燃料電池用2ステージ電動コンプレッサー

(2019年5月16日付プレスリリースより)



ターボチャージャー ブースト制御ソフトウェア
-同社はパフォーマンスとシステムの状態を向上させながら、ハイブリッド車 (HV) のエネルギー管理も最適化する新しいターボチャージャーブースト制御ソフトウェアを開発した。このシステムは、ブーストシステム用のモジュラーソフトウェアを組み込み、また既存のECUに簡単に統合可能となる。(2019年9月9日付プレスリリースより)

特許

-2019年12月末時点、特許および特許申請数は約1,400件。

設備投資

(単位:百万ドル)
  2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
全社 102 95 103

-同社の設備投資は、生産効率性維持、需要に応えるための生産能力拡大、製品や製造プロセスの再設計を目的として行われる。同社は今後必要に応じて、既存拠点の拡張と更新や、生産能力増強を継続的に行う見込み。