Fuyao Glass Industry Group Co., Ltd.[福耀玻璃工業集団股份有限公司] 2020年12月期の動向

業績

(百万元)
  2021年12月期 2020年12月期 増減率 (%) 要因
売上高 23,603.06 19,906.59 18.57 -輸送費増の影響を受けたが、自動車市場の回復や同社による販促施策強化を背景に増収増益。
営業利益 3,762.03 3,266.63 15.17
経常利益 3,818.84 3,109.60 22.81
純利益 3,142.98 2,598.45 20.96

 

ロシアにおける動向

-中国の複数メディア報道によると、福耀玻璃は、同社ロシア工場で生産しているロシア国外向けの製品について、顧客の要求に基づいて同社中国工場で代替生産を行うという。ロシア工場で生産される製品のうち、約40%はロシア国外向け。今回の代替生産措置に伴う国外向け製品への影響はないという。また、約60%を占めるロシア国内向けはOEM向けとアフターマーケット向けARG (Automotive Replacement Glass) で構成されているが、OEMからの受注はロシアの厳しい情勢を受け減少している一方、ARGは同市場で輸入が阻害されているため受注が増えている状況。なお、同社ロシア工場の2020年の売上高は連結売上高の約2.34%を占め、2021年1月から9月までの売上高では約2.37%を占めた。(2022年3月3日付複数メディア報道より)

 

受注

-BYDの四輪駆動高性能フラッグシップモデル「漢EV」のサプライヤーに選定され、専用ガラスソリューションを提供した。「漢」が搭載するLow-Eフロントガラスは紫外線99%以上、赤外線85%以上をカットし、総太陽エネルギーカット率 (TSER) は50%以上。一般的なフロントガラスと比べその効果は倍以上だという。エアコンシステムにおける電力消費量の低減を通じて、航続距離延長に貢献するという。また、福耀集団は「漢」にフロントドア用遮音遮熱紫外線カット2層ガラス、リアドア用黒色プライバシーガラスも提供する。(2020年9月20日付けリリースより)
 

買収

-国汽(北京)智能網聯汽車研究院公司(China Intelligent and Connected Vehicles (Beijing) Research Institute Co., Ltd.)(以下、国汽智聯)と2020年12月7日、株主権譲渡契約に調印。当社は58百万元で国汽智聯の株式4.55%を取得する。国汽智聯の主要業務はエンジニアリングと技術研究、テスト、技術開発、ソフトウェア開発など。(2020年アニュアルレポートより)
 

戦略的提携

-京東方科技集団股份有限公司[BOE Technology Group Co., Ltd.]と戦略提携合意書に調印した。両社はそれぞれの強みである自動車用調光ガラスとウィンドウディスプレイなどの領域で協業、タッチ式インテリジェント調光ウィンドウ製品を導入する予定。また、両社はHMIの開発でも協力する。(2020年6月1日付プレスリリースより)

-北斗星通智聯科技有限責任公司[BDStar Intelligent & Connected Vehicle Technology Co., Ltd.](北斗智聯)と深圳で戦略提携契約を締結。両社はGNSS高精度測位とマルチモードスマートアンテナ、自動車ガラスを融合したソリューションの開発と製品化で提携し、車載ネットワーク関連技術の商業化を推し進める。北斗智聯は親会社北斗星通傘下の華信天線、佳利電子、和芯星通と共にこの提携に参画する。福耀玻璃と北斗智聯はアンテナ、高精度衛星測位などの先端技術を活用、エレクトロニクスと自動車用ガラスを融合した知能化製品の開発と事業化を目指す。(2020年7月1日付けリリースより)
 

新製品

-モジュール型とFPC型のETC車載ユニット (OBUモジュール+ガラスアンテナ) が1月8日に中国汽車技術研究中心公司の認証(GB/T38444)を取得した。なお、このETCソリューションは量産段階に入っているという。また、アンテナ故障防止技術を採用し、ETCセンサーモジュールをガラス内部に埋め込んでいるのが特徴。(2021年1月11日付プレスリリースより)

-10月12日から14日まで福建省福州で開催されている第3回デジタルチャイナサミット (数字中国建設峰会) に参加すると発表した。同社は、自動車用フロントガラスに取り付ける「新車搭載用RFID (Radio Frequency Identification) チップソリューション」と「新車搭載用ETCソリューション」を出展する。また、展示会場ではヘッドアップディスプレイ (HUD) 、インテリジェント調光ガラス、透明ディスプレイウィンドウ、ライティングシステム付サンルーフ、スマートピラーのほか、カスタマイズ製造技術の応用事例も紹介する。(2020年10月12日付けリリースより)
 

国内投資

-子会社福耀集団長春有限公司は、ハイエンドモデル向けアルミ合金トリム生産工場の建設許可を取得した。この工場の総投資額は約3.5億元。用地総面積及び延べ床面積はともに24,000平方メートル。現有の工場建屋を利用し、陽極酸化、パンチプレス、機械加工などの設備を導入する。完成後の年産能力はハイエンド自動車用アルミ合金トリム1,300万個。内訳はアルミ合金トリム1,050万個、アルミ合金荷物ラック250万個。(2021年1月22日付け吉林省発展改革委員会のリリースより)

-ドイツFYSAMでの自動車トリム生産とマネジメントの強化、およびモジュール製品・サービス提供の品質向上を目的に、福耀(香港)有限公司 (福耀香港) に対し65百万ユーロの増資を行い、FYSAMの流動資金に充てる。増資完了後は福耀香港の議決権を100%保有する。現時点で福耀香港に対する追加出資金額は累計1.9億ユーロ(SAMの資産買収に充てた5,880万ユーロを含む)。(2020年6月6日付けプレスリリースより)

-自動車メーカーへの高品質なモジュール製品の供給、製品付加価値の向上、およびトリム製品生産規模の拡大を目的に、同社は福耀集団長春有限公司への増資を行い、その資本金を3億元から6億元に増額した。(2020年アニュアルレポートより)
 

海外投资

-2020年1月、米国子会社Fuyao Glass Americaは、46百万ドルを投じてオハイオ州Dayton工場の設備を更新すると発表した。この設備投資により同州で新たに100名の雇用が創出されるとしている。福耀集団は2014年にDayton市Moraine地区の元GM組立工場を買収し面積18万平方メートルに達するガラス製品の設計・製造拠点に改築した。工場は2015年に運営を開始、現在は2,300名超の雇用を創出している。(2020年1月8日付けリリースより)

 

研究開発

-福耀玻璃は清華大学と共同で、製造業のデジタル化水準向上を目的とするR&Dセンターを設立したと発表した。同センターでは、バーチャル技術を用いることで実際の生産に先立って試験・検証を行い、ビッグデータやスマートモデル、処理能力を活用して生産プロセス計画やスケジューリングの構築を実施する。また、同時にシミュレーションや生産最適化、システムアップデートも行う。製造業が「デジタル先行」の段階に入ることにより、設計/生産効率の向上、不具合の低減、企業のスマート生産品質の向上を実現するとしている。(2022年3月24日付プレスリリースより)

-通信・エレクトロニクス企業数社と共同で、「ビルトインETCソリューション」や「ビルトインRFIDソリューション」などの新世代スマートガラスをリリースした。フルバンドマルチモードHiddenスマートガラスアンテナと5Gガラスアンテナなどの技術研究を展開し、車両が高速移動時でも安定して高品質の通信インタラクションを行えるようスマート交通インフラに技術提供を行う。「ビルトインRFIDソリューション」を使用すれば将来フロントガラスが「コネクテッドカーのデジタルナンバープレートID」となり得る。「ビルトインETCソリューション」はアンテナ解体防止技術を採用し、ETCセンサーをガラス内部に埋め込むことで、ガラスアンテナの役割を発揮する。また、ハイエンドガラスの金属膜が起こすシグナルブロックを解決することができ、信号の安定性を保つ。その機能は停車、給油などのモビリティサービスにも拡張可能で、ETC応用の新しい方向を示している。(2020年11月26日付けリリースより)
 

研究開発費

(単位:百万元)
2021年12月末時点 2020年12月末時点 2019年12月末時点
研究開発費用 997.20 815.58 813.13
売上高に占める割合(%) 4.22 4.10 3.85

-2021年現在、研究開発要員は3,847名、全体従業員の14.50%を占める。
 

研究開発拠点

名称 業容
福耀研究開発中心
[Fuyao Technical Center]
-自動車ガラス研究所、建築ガラス研究所、フロートガラス研究所、先端技術研究所、CAE/CAM応用開発部、技術情報と特許部、検査・試験センター、計画・プロジェクト管理部、設備技術研究所、金型工具研究開発センターなど10の部門で構成。
-2006年9月に国家クラスの企業テクニカルセンターとして認定された。
福耀科技发展(苏州)有限公司
[Fuyao Technology Development (Suzhou) Co., Ltd.]
-2019年8月15日設立。知能化製造・産業用ロボットシステム、アンテナ、薄膜、センサー、シミュレーション技術、オプトエレクトロニクス技術の開発。
国汽(北京)智能網聯汽車研究院有限公司
[China Intelligent and Connected Vehicles (Beijing) Research Institute Co.,Ltd.]

-2018年3月19日設立。完成車、部品、ITなどの領域の企業、科学研究機構23社から成る。コネクテッドカー領域の関連政策、産業、市場及び製品技術の研究を手掛ける。
-2020年12月、福耀玻璃がその株主権4.55%を買収。