Federal-Mogul Holdings LLC 2018年12月期の動向

財務概要
-2017年12月期および2018年12月期同社売上高は、それぞれ7,879百万ドル、7,982百万ドル。

 

事業再編

Tennecoによる同社買収過程
-Tennecoは、Federal-MogulIcahn Enterprisesから54億ドルで買収すると発表した。買収資金は、現金やTennecoの株式などで賄うという。買収後、統合事業を分割し、アフターマーケット&ライドパフォーマンスとパワートレイン技術に特化した2つの上場会社を設立する予定。買収は2018年後半に完了し、新会社設立は2019年後半になる見通し。(2018410日付プレスリリースより)

-Tennecoは、2018912日に開かれた臨時株主総会で、Federal-Mogul買収案が承認されたと発表した。規制当局の買収承認も得たという。この日の総会では、Federal Mogul買収に伴う新株発行など、会社提案の3議案すべてが賛成率90%以上で承認された。Federal-Mogulの買収は、2018101日に完了する見通し。(2018912日付プレスリリースより)

-Tennecoは、Federal-Mogulの買収が完了したと発表した。これを受け、計画通りに統合事業を分割し、アフターマーケット&ライドパフォーマンスとパワートレイン技術に特化した2つの上場会社を設立する。分社化完了は2019年末になる見通し。(2018年10月1日付 プレスリリースより)

 

合弁事業

-同社は韓国世宗市のYura Tech Co., Ltd.とスパークプラグの合弁会社を設立し、韓国大手OEMにイグニッション製品を供給すると発表した。同社は合弁会社に51%出資する。(2018年9月14日付プレスリリースより)

-東風汽車零部件(集団)有限公司[Dongfeng Motor Parts And Components Group Co., Ltd.]と米Federal-Mogul Holdings LLCは2018年3月26日、合弁会社設立の契約書に調印した。合弁会社の投資額は4億元で、十堰市張湾区の東風零部件集団工業パーク内に工場が建設される。内燃機関ピストンの設計、製造、販売を行う計画。2022年に売上高を3.8億元とし、一部の製品を北米に輸出するのが目標としている。合弁会社は主に中国と東風傘下のエンジン向けに高性能ピストンを設計・生産し、従来型燃料エンジンの熱効率の向上、炭素排出量の低減に貢献し、各種環境保護法規に適合させるとしている。(2018年3月27日付けプレスリリースより)

 

最近の動向

-同社は独ハノーバーでの2018IAA商用車ショーにて、中大型車両向けの電動化技術戦略を発表した。戦略では、省コスト、スケーラビリティ、モジュラーアプローチを特徴とし、様々なセグメントおよび顧客要望に対応できるとしている。同社では、旧来のガソリン車を電動化する技術やモータージェネレーター等に関する技術を強調した。(2018年9月14日付プレスリリースより)

 

受注

-同社のエンジン技術は「2018 International Engine of the Year」の受賞13件全てに採用された。同社は、ピストンやピストンリング、シリンダーライナー、バルブシート、バルブガイド、バルブトレイン、エンジンベアリング、シール、ガスケット、システム保護部品等のエンジン部品を供給。(2018年6月13日付プレスリリースより)

-同社は新製品群Controlled Power Technologiesで初めて商用車OEMから受注を獲得した。受注額は約100百万ドル。この長期契約では、顧客に対するスタータージェネレーターシステムの開発および生産を含む。(2018年3月28日付プレスリリースより)

-同社は2018年度Ward's 10 Best Enginesに同社製品が採用されたと発表した。採用部品はピストン、ピストンリング、シリンダーライナー、バルブシート・ガイド、エンジンバルブ、エンジンベアリング、スパークプラグ、シール、ガスケット、ヒートシールド、システム保護部品。受賞エンジンは下記。

  • BMW「M240i」:150kW電動ドライブシステム
  • Chrysler「Pacifica Hybrid」:3.6リットルV型6気筒ガソリン「ペンタスター」
  • Ford「F-150」:2.7リットルツインターボV型6気筒ガソリン
  • Ford「Mustang GT」:5.0リットルツインターボV型8気筒ガソリン
  • ホンダ「Clarity」:130kW燃料電池/電動ドライブシステム
  • ホンダ「Civic Type R」:2.0L VTECターボ直列4気筒ガソリン
  • Infiniti「Q50」:3.0リットルターボV型6気筒ガソリン
  • Jaguar「XF」:2.0リットルターボ直列4気筒ガソリン
  • 現代起亜「Stinger」:3.3リットルターボV型6気筒ガソリン
  • トヨタ「Camry Hybrid」:2.5リットルアトキンソンサイクル直列4気筒ガソリン

(2018年1月17日付プレスリリースより) 

 

受賞

-同社は第20回年次Ford World Excellence Awardで「Smart Brand Pillar Award」を受賞した(2018年5月23日付プレスリリースより)

 

研究開発拠点

-同社の研究開発センターは、パワートレイン部門で12ヵ所、モーターパーツ部門で13ヵ所。

 

製品開発

大型商用車用IROX 2 ポリメリックコーティング
-独ハノーバーでの2018年IAA商用車ショーで、同社は大型商用車用IROX 2高性能ポリメリックコーティングを発表。IROX 2コーティングは特にクランクシャフトでの使用が想定され、耐焼き付き性や耐摩耗性に優れる。(2018年9月6日付プレスリリースより)

CrushShield 2448 textile sleeving
-同社は衝突時保護材「CrushShield 2448」の開発に着手した。この保護材には熱で収縮するデザインが採用されており、エアコンやフューエルライン、ホースや高圧ケーブルなどの部品から乗員を保護する機能があり、耐摩耗性にも優れる。(2018年7月12日付プレスリリースより)

商用車ディーゼルエンジン用ピストンリング
-同社のパワートレイン部門は、商用車用ディーゼルエンジン向け新型ピストンリング「eLine」を開発したと発表した。「eLine」はリングの動作を安定させ、オイル膜を均質化することによってガス密閉能力を高める。シリンダー内の周りにオイルをより均等に分配し、気体圧力を低減するように設計されており、エンジンの効率化、耐久性の向上、排ガス量の削減を実現した。別のディーゼルエンジンを使用したベンチテストでは、平均有効圧力が増加して燃料消費量が減少し、ブローバイガスが最高で20%減少したという。(2018年5月29日付プレスリリースより)