Cummins, Inc. 2019年12月期の動向

業績

 (単位:百万ドル)
2019年12月期 2018年12月期 増減率 (%) 要因
全社売上高 23,571 23,771 (0.8) 1)
営業利益 2,700 2,786 (3.2) 2)
部門別売上高
エンジン 10,056 10,566 (4.8) 3)
コンポーネント 6,914 7,166 (3.5) 4)


要因
1) 売上高
-同社の2019年12月期売上高は0.8%減の23,571百万ドル。エンジン部門、コンポーネント部門及びパワーシステム部門の減少が主な要因となった。さらに、為替の影響により1%減少。これらの減少はディストリビューションセグメントの売上増により一部相殺された。

2) 営業利益
-2019年12月期の同社営業利益は前年比3.2%減の2,700百万ドル。粗利益率が前年比4%上昇したものの、販売、一般、管理等の費用や研究開発費が増加したことが減少要因となった。株式、特許使用料および受取利息が減少したことと同時に、リストラ費用が第4四半期119百万ドル計上された。 

3) エンジン部門売上高
-同部門の売上高は、前年比4.8%減の10,056百万ドル。すべてのセグメントで売り上げが減少した。オフハイウェイでは建設市場の需要減により250百万ドルの減少、中型トラック・バスではブラジル市場の軟化により148百万ドルの減少、大型トラックのエンジン売上高は北米の需要減により97百万ドルの減少となった。小型自動車の売上減少と為替の悪影響がさらに同セグメントの減少要因となった。

4) コンポーネント部門売上高
-2019年12月期の同部門売上高は、前年比3.5%減の6,914百万ドル。西欧と北米での需要が減少したことにより、ターボチャージャー事業の売上高は125百万ドル減少となった。エレクトロニクス及びフューエルシステム事業では、北米とインドの需要減の影響を受け、79百万ドル減少した。エミッションソリューションでは、アジア・欧州の需要軟化により55百万ドル減少となった。また、為替の悪影響も減少要因となった。 

  

買収

-2019年9月、燃料電池および水素製造技術プロバイダーのHydrogenics Corporationの買収が完了したと発表した。取引額は約290百万ドルで、CumminsHydrogenicsの株式約81%を保有し、残り約19%をAir Liquideが保有することとなる。Hydrogenicsは、Cumminsの電動化事業セグメント傘下に属し、引き続きカナダMississaugaに本社を置いて操業する予定。燃料電池事業と電気分解機能からの水素生成事業の取得により、Cumminsは完全な水素ソリューションの提供が可能となる。なおCumminsは配当と株式買い戻しの形で2019年に営業キャッシュフローの75%を株主に還元できると見込んでいる。(201999日付プレスリリースより)
 

事業提携

-現代自動車とCumminsは9月27日、水素燃料電池技術での提携を発表した。 両社は現代の水素燃料電池システムにCumminsの電動パワートレイン、バッテリーおよび制御技術を組み合わせた水素燃料電池システムベースのパワートレインを共同開発し、北米地域において商用車メーカー向けに販売する計画。両社は今後、燃料電池発電機の開発も評価するため、提携は商用車市場を超えて拡大する可能性があるという。(現代自動車のリリースより)

-同社といすゞ自動車は、パワートレイン事業に関する包括的なパートナーシップを構築することに合意し、Isuzu Cummins Powertrain Partnership契約を締結したと発表した。両社はディーゼルエンジンが今後も有用なパワートレインであるという認識の下、20189月に次世代パワートレイン事業に関する提携を模索するための覚書を締結し、協議を進めていた。今回の提携で、両社は技術的な強みを活用して、市場をリードする次世代パワートレインのコモンアーキテクチャを目指すという。今後は、パワートレイン事業に関する開発、調達、生産等の両社のエキスパートで構成される専任組織、および両社の役員で構成されるアライアンスボードを設置する予定。(2019531日付プレスリリースより)
 

最近の動向

-同社は、ピックアップトラック搭載エンジンに関する排ガス適合認証と認定手続きを正式に見直していると発表した。同社はピックアップトラックの2019年型「Ram 2500」と「Ram 3500」に搭載するエンジンに関する米環境規制庁(EPA)およびカリフォルニア大気資源委員会(CARB)との協議を受け、排出ガス基準に関する認証プロセスと遵守を再検証することを決定した。検証は外部の専門家が行い、Cumminsのピックアップトラック用エンジンに関する認証手続きが、内規、技術標準、関連法に則していることを確認する。 (2019429日付プレスリリースより)

-Mexico-Nowは、同社が、ブラジル・インド・中国のサプライヤーに対して、USMCA(アメリカ・メキシコ・カナダ協定)の関税基準を満たすため、メキシコでの生産を打診したと報じている。Cumminsは地元メディアに対し、同社は北アメリカ域外であるそれら3カ国からの部品輸入が大部分を占めていると明らかにした。また、カナダとアメリカが新規投資を誘致しても、メキシコは依然として最適な選択肢であるとも付け加えた。特に機械加工された鋳造部品、クランクシャフト、キャスティング、シリンダーなどはブラジルからメキシコに輸入している一方で、ステアリングカバーやピストンリングなどの購入部品は中国とインドより輸入してきたとのこと。(201941日付 Mexico-Nowより)
 

受注

-2019年8月、米国のスクールバスメーカーBlue Birdの電気バスに供給した電動ドライブトレインが100基を達成したと発表した。Blue Birdの電気バスは現在カリフォルニア州、ノースダコタ州、ワシントン州で運行しており、2019年後半から2020年にかけてコロラド州、ニュージャージー州、ニューヨーク州およびカナダのケベック州でも運行を開始する予定。Blue Bird1994年から電気スクールバスを導入しており、最近Cumminsと提携した。Cumminsは今後3年間で電動化技術に500百万ドルを投じ、信頼性が高く高品質な電気自動車(EV)およびハイブリッド車(HV)向けソリューションを市場投入する計画。Blue Birdの電気バスは標準のSAE J1772レベル2充電器を使用して8時間で充電でき、最大120マイルの走行が可能。Blue Birdはジョージア州フォートバレー(Fort Valley)2工場でスクールバスを製造している。また、合弁会社のMicro Birdはカナダ・ケベック州のドラモンドビル(Drummondville)で工場を運営している。(2019830日付プレスリリースより)

-20192月、Kalmarの欧州市場向けの電気ターミナルトラクター向けに電動化ソリューションを提供すると発表した。DC急速充電が可能な107 kWhのリチウムイオン電池を搭載したKalmarの「T2 Terminal Tractor」は2020年に市場投入予定で、Cumminsドライブラインソリューションはターミナルトラクターのトランスミッションを不要にしてシステム全体を簡素化し、メンテナンスの必要性を減らすという。(2019214日付プレスリリースより)

見通し 

-同社は2020年12月期の売上高を、8~12%の減少と予想している。

 

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
全社 1,001 902 754
-エンジン事業 337 311 280
-コンポーネント事業 300 272 241

 

研究開発体制

-世界に20カ所以上の技術センターを保有。

-米国インディアナ州経済開発公社(IEDC : Indiana Economic Development Corporation)は、CumminsColumbus 拠点の拡張に33百万ドルを投資すると発表した。投資の大部分はコーポレートハブ兼新事業の電動化パワー(Electrified Power)部門の北米主要製造拠点である160万平方フィートのエンジン工場の刷新と設備導入に向けられる。同エンジン工場の刷新は2018年に開始し、従業員もすでに配置されており、2021年までに最大75名の追加雇用を見込んでいる。2018年に新設された電動化パワー事業は、世界4カ国8カ所に拠点を持ち、完全電動およびハイブリッドパワートレインシステム、サブシステム、部品の設計、製造を行っている。また同社は、Columbus 拠点の拡張に加えて35百万ドルを投じてインディアナ州Greenwoodにデジタル・情報技術関連のオフィスビルを新設し、500名を雇用する計画も発表した。(2019516日付インディアナ州経済開発公社リリースより)

-同社は、研究開発人員としておよそ7,700名を擁する。
 

研究開発動向

-インド自動車調査協会(ARAI)は、Cumminsのインド現地法人Cummins Indiaに「B6.7B6AD01」および「B5.6B6Ad01」エンジンにBS-VI証明書を授与したと発表した。Cummins Indiaは、燃料システム、空気処理、ろ過、排出ソリューション、発電システムなどエンジンおよび関連技術を設計、製造、流通する補完的な事業ユニットグループ。(20191015日付プレスリリースより)

 

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
全社 700 709 506
-エンジン事業 240 254 188
-コンポーネント事業 191 182 127

-同社は2020年12月期の設備投資額として、675百万ドルから700百万ドルの範囲を投じると予想している。うち半額が米国国外に投じられる予定。

 

米国国内投資

-米国インディアナ州経済開発公社(IEDC : Indiana Economic Development Corporation)は、CumminsColumbus 拠点の拡張に33百万ドルを投資すると発表した。投資の大部分はコーポレートハブ兼新事業の電動化パワー(Electrified Power)部門の北米主要製造拠点である160万平方フィートのエンジン工場の刷新と設備導入に向けられる。同エンジン工場の刷新は2018年に開始し、従業員もすでに配置されており、2021年までに最大75名の追加雇用を見込んでいる。2018年に新設された電動化パワー事業は、世界4カ国8カ所に拠点を持ち、完全電動およびハイブリッドパワートレインシステム、サブシステム、部品の設計、製造を行っている。また同社は、Columbus 拠点の拡張に加えて35百万ドルを投じてインディアナ州Greenwoodにデジタル・情報技術関連のオフィスビルを新設し、500名を雇用する計画も発表した。(2019516日付インディアナ州経済開発公社リリースより)
 

米国国外投資

<メキシコ>
-Mexico-Nowは、Cummins700万ドルを投じてSan Luis Potosiの生産開発施設のインフラ改善を実施したと報じた。今回の投資は生産能力の拡張ではなく、San Luis Potosi工場の4,000名の従業員のコンディション改善に焦点を当てているという。同社は420人収容の食堂、それぞれ45人の収容人数を持つ7つの部屋を備えたトレーニングセンター、8つのワークステーション、会議室、フォーカスルーム、および医療サービスを備えた共同エリアなどの改善を行った。同拠点はモーター、発電機、電動化事業部門向けのオフィス、研究開発センター、および物流センターなどを備える。2018年末、同社は新たな生産ラインを開発するための設備改善の取り組みを発表した。(2019年1月16日付 Mexico-Nowより)