Pickup (Ram)

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2024年03月15日(金)

※英GlobalData社 (旧LMC)のアナリストによるショートレポート (3月8日付) をマークラインズが翻訳したものです。

・北米の2023年のライトビークル(乗用車+ライトトラック)生産台数は前年比9.5%増で、2022年の年間生産台数を140万台近く上回った。前年比の伸びは、半導体の供給不足が大幅に改善され、全般的に部品供給問題が解消したことと、実売価格・金利・経済動向の不確実性などによる逆風にもかかわらず、北米地域の需要環境が予想を上回ったことで達成された。

・2023年は、GM (前年比1.4%減)とステランティス(同1.9%減)を除くほとんどの大手自動車メーカーが好調であった。ステランティスが減少した背景には複数の要因が存在し、特に全米自動車労組(UAW)のストライキ、ジープ「チェロキー(Cherokee)」の生産終了(後継車はまだディーラーに届いていない)、ジープブランドの高級車への移行決定による需要への影響などが挙げられる。

・ステランティスの生産台数減の影響もあり、トヨタはリーマン・ショック及びクライスラーの経営破綻以来初めて北米生産でステランティスを上回った。2023年に前年からの伸び率が最も高かったメーカーは、マツダ(前年比47.5%増)、ルノー・日産・三菱(同32.0%増)、ホンダ(同30.1%増)で、いずれも前年に比べ部品供給が安定し、需要の回復につながったとみられる。

・GlobalDataは、2024年の北米生産台数は1,600万台に達すると予測する。部品関連の供給不足をはじめとする生産面の混乱が改善し、実売価格の高騰や金利という逆風はあるものの、引き続きプラス成長が見込まれる。

・米国での生産は大幅な増加が予想され、GlobalDataとしては、この大部分がテスラ「モデルY」の旺盛な需要の継続、待望の「サイバートラック(Cybertruck)」の生産増強分によるとみている。フォードは今年、人気の高い「ブロンコ(Bronco)」と新型「レンジャー(Ranger)」を増産するため、ミシガン(Michigan)工場を従来の2シフト体制から3シフト体制に移行させ、米国での生産の伸びをさらに高める計画だ。

・しかし、カナダについては今年、フォードがオンタリオ州オークビル(Oakville)工場で、ステランティスが同州ブランプトン(Brampton)工場での電気自動車(EV)生産に備えるために、これら工場の稼働を一時休止することから、カナダ全体の生産量に影響が出ると想定される。これに伴い、2023年12月にブランプトン工場でのクライスラー「300」、ダッジ「チャレンジャー(Challenger)」、「チャージャー(Charger)」の生産が終了し、オークビル工場でのフォード「エッジ(Edge)」の生産も今後数カ月以内に終了する予定である。

・GlobalDataはまた、2024年のメキシコ生産もやや減少するとみている。その要因としては主に、2023年にマーケットシェアの24%を占めた現行乗用車の需要が減少すること、日産「キックス(Kicks)」のフルモデルチェンジが2024年半ばに行われることで、同モデルの今年の生産台数にマイナス影響が出る(2025年の生産ではプラス影響)ことが大きいと想定している。また、VW「ティグアン(Tiguan)」のフルモデルチェンジが12月に予定されており、プエブラ(Puebla)工場での生産も若干減少する見込みである。2024年のカナダ及びメキシコ生産は減少するものの、2025年には回復するとみている。

・北米全体の2024年のEV生産は、既存EVメーカー及び新興EVメーカーがともにラインアップを拡大することで、大幅な増加が期待される。ホンダは1月、同社が北米で初めて販売するEVとなる新型「プロローグ(Prologue)」の生産を開始した。同モデルは、メキシコにあるGMのラモス・アリスペ(Ramos Arizpe)工場でGMとの提携により生産され、GMのアルティウム(Ultium)バッテリーを搭載するBEV3アルティウムプラットフォームを採用している。これに続いてアキュラの新型「ZDX」が導入される。同モデルはGMのテネシー州スプリングヒル(Spring Hill)工場で生産され、同じくGMのBEV3プラットフォームをベースとする。ステランティスの2024年以降の次世代車は、より複数のパワートレイン(ICE、HV、EV)に対応可能で柔軟な新型STLAプラットフォームがベースとなる予定だ。新型ダッジ「チャージャー」のEVセダン、EVクーペ「チャージャー デイトナ(Charger Daytona)」(「チャレンジャー」のICE車の後継)はカナダ・オンタリオ州ウィンザー(Windsor)工場で生産され、新型電気SUVのジープ「ワゴニア(Wagoneer) S」と「リーコン(Recon)」がメキシコ・トルーカ(Toluca)工場で生産開始される。これら4モデル全てが新型STLA Largeプラットフォームをベースとする。同社はまた、最量販車である「ラム (Ram) 1500」のEV及びPHVのレンジエクステンダーバージョンにも新型STLA Frameプラットフォームを採用し、ミシガン州スターリングハイツ(Sterling Heights)工場での生産を計画している。

・2024年には、北米で約60種類のEVモデルがラインアップされ、EVの年間生産台数は約170万台となり、北米の総生産台数の10%超を占めると予測する。しかし、EV需要が軟化すれば、発売の遅れやEV生産台数の減少という下振れリスクもある。

原文はこちら

2024年03月06日(水)

・ステランティスは3月5日、傘下のラムが、フルサービスの顧客対応と付加価値の高いソリューションを提供する新組織の商用車部門ラム・プロフェッショナル(Ram Professional)を発足し、インディアナポリスにおいて3月5-8日の日程で開催されている2024 National Truck and Equipment (NTEA) Work Truck Weekのイベントで披露した。

・ラム・プロフェッショナルは、グローバルで商用車事業を戦略的に展開するステランティスPro Oneの主要ブランドとして、同社のDare Forward 2030グローバル計画の目標達成に向け、北米で重要な役割を果たすことが期待されている。

・ラム・プロフェッショナルは、新たな独立した事業部門として、クラス最高の商用車ラインナップを揃え、電動化やコネクテッド・サービスへの後付けニーズなどにも応えるとしている。

・ラム・プロフェッショナルのラインナップには、新型フルサイズ電気バン「プロマスター(ProMaster) EV」、フルサイズ電気ピックアップトラック「1500 REV」、プラグイン充電も可能な車載ガソリン発電機搭載のフルサイズピックアップトラック「1500 Ramcharger(ラムチャージャー)」、「ヘビーデューティ(Heavy Duty)」、「シャシーキャブ(Chassis Cab)」が含まれる。

・さらに、ラム・プロフェッショナルは、フリート顧客を対象にした融資やサービス・サポートも提供するという。

ステランティスのリリースをみる

2024年02月27日(火)

・2月23日付の複数の米国メディアの報道によると、ジープの新CEOであるAntonio Filsosa氏は、ジープが北米で初の電気自動車(EV)を発売するにあたり、戦略の一環としてラインナップの価格を引き下げたことを明らかにした。

・新型ミッドサイズSUVのジープ「ワゴニア(Wagoneer) S」は、ジープの北米初のEVとして第2四半期に生産を開始し、第3四半期に発売される。同モデルの生産工場はまだ発表されていない。混乱を防ぐために、ジープは高級モデルに使われていたワゴニアのサブブランド名を第2四半期に廃止する。

・2025年に向けて、ジープは完全な新型車を含む新モデル 5車種を発表し、各モデルに電動化バージョンを選択できるようにするとしている。

・Filsosa氏はまた、ジープは2024年後半に発売される新型フルサイズ電気ピックアップトラックのラム「1500 ラムチャージャー(Ramcharger)」に搭載されるような、EVレンジエクステンダー・エンジンジェネレーターの応用があるかどうかも検討していると述べた。もしあるとすれば、同ブランドがそれを搭載した製品を導入するには、少なくとも18カ月は必要になるという。

(Detroit News article on February 23, 2024) (Detroit Free Press article on February 23, 2024)