曙ブレーキ工業 (株) 2011年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2011年
3月期
2010年
3月期
増減率
(%)
要因
売上高 216,574 130,604 65.8 1)
営業利益 11,392 4,663 144.3 -
経常利益 9,783 2,670 266.4 -
当期純利益 5,265 2,061 155.5 -

要因
1)
<日本>
-エコカー補助金打ち切りによる国内販売台数減少及び3月11日の東日本大震災後の大幅受注落ち込みの影響があったが、輸出車向け受注が堅調に推移した。大震災による災害損失として、特別損失に12.5億円を計上した。

<北米>
-従来からの生産拠点の受注が前期比で増加。さらに2010年にロバートボッシュL.L.C.から北米事業を譲受けたことにより、売上高は1,070.3億円と前期比 712.4億円(前期比199.0%増)の大幅な増収となった。

<欧州>
-売上高は44.4億円と前期比2.1億円(5.0%増)の増収となったが、原材料価格上昇等により営業損失は0.3億円(前年同期は営業利益0.4億円)。

<中国>
-日系自動車メーカーからの受注が好調に推移。売上高は51.1億円と前期比15.3億円(42.7%増)の増収、営業利益は8.3億円と前期比2.7億円(+48.8%)の増益となった。

<タイ>
-ディスクブレーキに加え、ブレーキパッドの生産が軌道に乗り受注が順調に推移。売上高は32.7億円と前期比9.5億円(41.0%増)の増収。営業利益は4.2億円と前期比3.3億円(374.6%増)の増益となった。

<インドネシア>
-日系の二輪車及び四輪車メーカーからの受注が好調に推移し、売上高は142.0億円と前期比34.5億円(32.1%増)の増収、営業利益は25.0億円と前期比9.2億円(58.5%増)の増益となった。

受賞

-Fordはキーサプライヤー13社を新たに選定したと発表。今回認定されたのは曙ブレーキ、Automotive Lighting、Benteler、Brembo、Federal Mogul、Gentex、GKN、Hayes Lemmerz、Key Safety Systems、Michelin、Ronal、Samvardhana Motherson Reflectec、タカタ。Fordは主要サプライヤーとの協力体制強化のため、2005年に「アラインド・ビジネス・フレームワーク(ABF)」を設 立。ABF認定サプライヤーは今回発表された13社を含め90社となった。(2010年4月23日付プレスリリースより)

2012年3月期の見通し

(単位:億円)
  2012年3月期 2011年3月期 増減
売上高 2,080
2,166 (86)
営業利益 70
114 (44)
経常利益 55
97 (42)
当期純利益 20 53 (33)
設備投資額 150 51 99

地域別売上高

(単位:億円)
  2012年3月期 2011年3月期 増減
日本 935 931 4
北米 980 1,070 (90)
欧州
50 44
6
タイ 31 33 (2)
中国 48 51 (3)
インドネシア 140 142 (2)
アジア内消去 (11) (12) 1
アジア 208 214 (6)
連結消去 (93) (94) 1
全社
2,080 2,166
(86)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2011年3月期 2010年3月期 2009年3月期
全社 1,256
1,129 2,638

研究開発活動

<日本>
-乗用車用高性能パッドと低コストパッドを中心に、高性能で音・振動特性に優れ、且つ最近着目されてきているホイールダストについても低減させるとともに、環境に配慮した安全な摩擦材原材料を使用した高品質な製品の開発に取組んでいる。

-ディスクブレーキ・ドラムブレーキの開発では、高性能化と低コスト化の二極化に対応した活動に注力。高性能車対応のアルミ合金を使用した対向型ブレーキが高い評価を得ているという。

-曙ブレーキ中央技術研究所では、
1) 将来摩擦材の開発(小型、軽量化、高性能化)
2) 素材開発(危機管理、低環境負荷、シーズ)
3) 評価、解析技術(摩擦挙動、振動伝達)
4) プロセス開発(生産性、低環境負荷)
を中心として研究開発に取り組んでいる。

<北米>
-2009年末よりロバートボッシュL.L.C.からの一部譲受に伴い、ホイールエンド製品(ディスクロータ、コーナーモジュール等)についても研究開発を始めた。特に、NVH性能向上を基軸に、高性能、高品質の製品開発としてディスクロータを含め、ファウンデーションブレーキ、パッドと共にブレーキ根幹部品におけるトータルバランスに注力し開発を進めている。

<欧州>
-欧州においては、摩擦材開発に特化している。同材料開発では、要求性能が特有で、かつREACH(Registration,Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals:化学物質の登録、評価、認可および制限に関する規則)の導入等、環境規制の厳しい欧州市場に適合する摩擦材から日米市場向け輸出欧州車に適合する摩擦材まで幅広いニーズに対応できる開発をおこなっている。

<中国>
-新興国向け車両に対応したブレーキ製品の開発を中国の現地法人主導で展開する。中国の生産拠点内に開発センターを年内に設置し、市場調査から材料、生産技 術開発にいたるまでの機能を持たせる。中国で具体的なスペックを詰め、インドや東南アジアを始めとした新興国に展開する。低コスト化など新興国市場で求め られる専用品を投入していくことで競争力を高める。ブレーキパッドの製造を手がける中国・蘇州(江蘇省)の拠点内に開発機能を設ける。日本から開発スタッフを送りこみ、詳細なスペックを詰めていく。新興国向けに対応した機能により、日系メーカーや地場の完成車メーカーに売り込んでいく。(2011年1月6 日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2011年3月期 2010年3月期 2009年3月期
全社 5,100
5,400 17,800

-設備投資は、総額で51億円。その内訳は、日本18億円、北米19億円、欧州1億円、中国2億円、インドネシア11億円であり、その主なものは、日本では情報機器(システム)、北米及び欧州では生産・開発設備、中国及びインドネシアでは増産対応への投資となっている。

設備の新設計画

会社/事業所
(所在地)
設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手 完了
本社他
(東京都中央区他)
鋳物製造設備、新工法設備、情報機器他 4,400 2011年4月 2012年3月
開発部門
(埼玉県羽生市)
試験・研究開発用設備、高性能ブレーキ開発設備 1,000 2011年4月 2012年3月
曙ブレーキ岩槻製造(株)
(埼玉県さいたま市岩槻区)
ディスクブレーキ・ドラムブレーキの製造設備 1,800 2011年4月 2012年3月
曙ブレーキ福島製造(株)
(福島県桑折町)
ブレーキライニング、産業機械・鉄道製品の製造設備 400 2011年4月 2012年3月
曙ブレーキ山形製造(株)
(山形県寒河江市)
ディスクブレーキパッドの製造設備 1,800 2011年4月 2012年3月
曙ブレーキ山陽製造(株)
(岡山県総社市)
ディスクブレーキ・ドラムブレーキの製造設備 400 2011年4月 2012年3月
(株)曙ブレーキ中央技術研究所他
(埼玉県羽生市)
試験・研究開発用設備他 200 2011年4月 2012年3月
Akebono Corporation (North America)
(米国ケンタッキー州他)
研究開発用設備 400 2011年1月 2011年12月
Ambrake Corporation
(米国ケンタッキー州)
ディスクブレーキ・ドラムブレーキ・ディスクブレーキパッドの製造設備 1,300 2011年1月 2011年12月
Amak Brake L.L.C.
(米国ケンタッキー州)
ディスクブレーキの製造設備 2,500 2011年1月 2011年12月
ABMA, L.L.C.
(米国ケンタッキー州他)
ディスクブレーキ・ドラムブレーキ他の製造設備 1,300 2011年1月 2011年12月
Akebono Europe S.A.S.
(フランス ゴネス市)
研究開発設備、ディスクブレーキパッドの製造設備 250
2011年4月 2012年3月
曙光制動器(蘇州)有限公司
(中国蘇州市)
ディスクブレーキパッドの製造設備 300 2011年1月 2011年12月
広州曙光制動器有限公司
(中国広州市)
ディスクブレーキ・ドラムブレーキの製造設備 800 2011年1月 2011年12月
PT. Akebono Brake Astra Indonesia (インドネシア ジャカルタ市) ディスクブレーキ・ブレーキ用部品の製造設備 1,300 2011年1月 2011年12月
Akebono Brake Thailand Co., Ltd.
(タイ チョンブリ県)
ディスクブレーキの製造設備 850
2011年1月 2011年12月