(株) ニフコ 2012年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2012年
3月期
2011年
3月期
増減率
(%)
備考
全社
売上高 122,880 120,574 1.9 -
営業利益 10,240 13,106 (21.9) -
経常利益 10,059 12,541 (19.8) -
当期純利益 6,853 7,531 (9.0) -
合成樹脂成形品
売上高 105,407 104,274 1.1 1)
営業利益 12,953 15,484 (16.3)

1)  合成樹脂成形品
<国内自動車業界向け>
-東日本大震災直後では、国内生産台数は前年の半減となったが、復旧が進み上半期では前年の8割に達し、顧客の販売台数に連動して同社の業績も回復した。下半期は各社大幅な増産に転じ、前年を大きく上回る生産台数となり、同社の販売も好転した。一方、タイの洪水や欧州の経済情勢により、部品輸出は減少したが、影響は僅かだった。

<海外自動車業界向け>
-同社海外連結子会社の業績は、為替の円高により邦貨換算上、北米では減収となったが、韓国をはじめとするアジアや欧州で伸び、全体でも前期比で増収となった。利益面では、北米拠点拡大に向け初期立ち上げ費用もあり、減益となった。

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
全社 1,629 1,665 1,360
合成樹脂成形品 1,621 1,654 1,344

研究開発体制

-世界の各拠点での部材の現地調達促進を目的に、神奈川県内に「グローバル研究所」(仮称)を2013年初頭にも開設する。世界の各生産拠点で入手できる素材の品質やコストの評価、プラスチック材で新たな機能を持つ製品開発を行う。素材研究はこれまで各拠点の技術センターで行っていたが、世界展開が急激に拡大していることから、研究開発部門を集約しグローバルでの有利な素材調達や、自動車分野でのプラスチック材の用途拡大につなげる考えだ。(2012年1月6日付日刊自動車新聞より)

研究開発活動

自動車分野
-省エネ環境技術について、CO2排出低減のため、HEV・EVを含む自動車の軽量化・効率化に寄与するプラスチック要素部品の開発に取り組んだ。
-エンジン冷却配管部品、オイル搭載量の少量化に寄与するミッション部品、エンジンコンピューターを固定するファスナーおよびブラケット等、従来は金属であった部品の樹脂化に成功した。
-アシストグリップに使用するバレルダンパーが、トルクの安定性・低温特性の優位性により韓国の自動車メーカーに初めて採用された。
-燃料タンク部品においても、開放特性を改善したバルブを開発し、マレーシアの自動車メーカーに採用された。

技術提携契約

(2012年3月31日現在)
契約締結先
(所在地)
契約内容 契約期間
Illinois Tool Works Inc.
(米国)
プラスチックバックル 2023年08月27日まで

技術供与契約

(2012年3月31日現在)
契約締結先
(所在地)
契約内容 契約期間
台湾扣具工業股份有限公司
[Nifco Taiwan Corporation]
(台湾)
プラスチック製バックルおよび工業用ファスナーの製造技術 2015年12月31日まで
Nifco Korea Inc.
(韓国)
プラスチック製バックルおよび工業用ファスナーの製造技術 2014年12月31日まで
Union Nifco Co, Ltd.
(タイ)
プラスチック製バックルおよびプラスチックと金属からなるファスナーASSYの製造技術 2012年12月31日まで
Nifco Manufacturing (Malaysia) Sdn. Bhd
(マレーシア)
プラスチック製バックルおよび工業用ファスナーの製造技術 2012年12月31日まで
Nifco (Hong Kong) Ltd.
(香港)
プラスチック製バックルおよびプラスチックと金属からなるファスナーASSYの製造技術 2015年12月31日まで
Nifco U.K. Ltd.
(英国)
工業用プラスチック製部品およびプラスチック以外の部品・材料を含む組立品の製造技術 2014年12月31日まで
Nifco America Corporation
(米国)
工業用プラスチック製部品およびプラスチック以外の部品・材料を含む組立品の製造技術 2014年12月31日まで
Nifco Products Espana S.L.U.
(スペイン)
バックル・工業用プラスチック製部品およびプラスチック以外の部品・材料を含む組立品、並びにこれらの部品および完成品等の金型等の製造技術 2012年12月31日まで
上海利富高塗料制品有限公司
[Shanghai Nifco Plastic Manufacturer Co., Ltd.]
(中国)
固着機能等を有する樹脂製および金属製の部品・完成品、樹脂製部品と金属製部品との複合品、バックル並びにこれらの部品および完成品等の金型等の製造技術 2012年12月31日まで
(株)釜成工業
(韓国)
バックル・工業用プラスチック製部品およびプラスチック以外の部品・材料を含む組立品、並びにこれらの部品および完成品等の金型等の製造技術 2012年12月31日まで
東莞利富高塑料制品有限公司
[Dongguan Nifco Co., Ltd.]
(中国)
固着機能等を有する樹脂製および金属製の部品・完成品、樹脂製部品と金属製部品との複合品、バックル並びにこれらの部品および完成品等の金型等の製造技術 2012年12月31日まで
Nifco Thailand Co., Ltd.
(タイ)
バックル・工業用プラスチック製部品およびプラスチック以外の部品・材料を含む組立品、並びにこれらの部品および完成品等の金型等の製造技術 2013年12月31日まで
台扣利富高塑份制品(東莞)有限公司
[Tifco (Dongguan) Co., Ltd.]
(中国)
固着機能等を有する樹脂製および金属製の部品・完成品、樹脂製部品と金属製部品との複合品、バックル並びにこれらの部品および完成品等の金型等の製造技術 2016年12月31日まで
北京利富高塑料制品有限公司
[Beijing Nifco Co., Ltd.]
(中国)
固着機能等を有する樹脂製および金属製の部品・完成品、樹脂製部品と金属製部品との複合品、バックル並びにこれらの部品および完成品等の金型等の製造技術 2015年12月31日まで
Nifco Poland Sp.zo.o.
(ポーランド)
工業用プラスチック製部品およびプラスチック以外の部品・材料を含む組立品、並びにこれらの部品および完成品等の金型等の製造技術 2016年12月31日まで
Nifco Vietnam., Ltd.
(ベトナム)
工業用プラスチック製部品およびプラスチック以外の部品・材料を含む組立品、並びにこれらの部品および完成品等の金型等の製造技術 2013年12月31日まで
利富高(天津)精密樹脂制品有限公司
[Nifco (Tianjin) Co. Ltd.]
(中国)
固着機能等を有する樹脂製および金属製の部品・完成品、樹脂製部品と金属製部品との複合品、バックル並びにこれらの部品および完成品等の金型等の製造技術 2015年12月31日まで
Nifco India Private Ltd.
(インド)
工業用プラスチック製部品およびプラスチック以外の部品・材料を含む組立品、並びにこれらの部品および完成品等の金型等の製造技術 2015年12月31日まで
利富高(湖北)精密樹脂制品有限公司
[Nifco (Hubei) Co., Ltd.]
(中国)
固着機能等を有する樹脂製および金属製の部品・完成品、樹脂製部品と金属製部品との複合品、バックル並びにこれらの部品および完成品等の金型等の製造技術 2016年12月31日まで
Nifco Korea USA Inc.
(USA)
バックル・工業用プラスチック製部品およびプラスチック以外の部品・材料を含む組立品、並びにこれらの部品および完成品等の金型等の製造技術 2015年12月31日まで
利富高(江蘇)精密樹脂制品有限公司
[Nifco (Jiangsu) Co., Ltd.]
(中国)
固着機能等を有する樹脂製および金属製の部品・完成品、樹脂製部品と金属製部品との複合品、バックル並びにこれらの部品および完成品等の金型等の製造技術 2015年12月31日まで

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
全社 17,056 9,661 5,574

合成樹脂成形品
<日本>
-国内自動車メーカーからの新規受注品に対応した金型設備、燃料系製品設備等、ならびに新技術センター用地の取得に5,025百万円を投資。

<米国>
-Nifco America Corporationが、燃料系設備および成形機を中心に1,240百万円の投資を実施。

<韓国>
-Nifco Korea Inc.が新工場の建設を中心に2,577百万円の設備投資を実施。

<中国>
-Nifco (Hong Kong) Ltd.、上海利富高塑料制品有限公司、東莞利富高塑料制品有限公司、利富高(天津)精密樹脂制品有限公司、利富高(湖北)精密樹脂制品有限公司、利富高(江蘇)精密樹脂制品有限公司が合計で1,458百万円の設備投資を実施。

海外投資

<メキシコ>
-メキシコに新工場を開設するとともに、インドや中国の子会社に増資すると発表した。新工場は「ニフコ・デ・メキシコ」が、メキシコ中部のグアナファト州シラオ市内に建設する。一方、事業拡大や財務基盤強化を目的にインド子会社と、中国の子会社4社に追加投資する。10年6月に設立した「ニフコ・インディア・プライベート」では、1億5千万ルピー(約2億3700万円)を6月までに追加増資、資本金を4億ルピー(約6億3200万円)とする。また、ニフコホンコンの中国完全子会社「利富高(天津)精密樹脂制品有限公司」など4社では追加設備投資を目的に順次増資することを決定した。(2012年2月3日付日刊自動車新聞より)

<インド>
-インドのプラスチック機能部品の販売などを手がける子会社で、工場建設を目的とした増資を行うと発表した。増資額は7億3800万ルピー(約11億円)で、新株を発行しニフコとその完全子会社であるニフココリアが引き受ける。これにより、同社グループのインドの生産拠点は、ハリアナ州のニフコインディアに続き二カ所となる。増資するのは2010年7月にタミル・ナードゥ州に設立した「ニフコ・サウスインディア・マニファクチャリング」で、ニフココリアが株式の75%を、ニフコが25%を保有しているが、増資後も保有構成比は維持する。設立からこれまでは、現代グループへの営業活動や市場調査を行っていたが、今後のインド南部での受注にめどがついたため、新たな工場建設に乗り出す。建物の竣工は今年秋で、来年にも操業を開始する予定。(2012年1月12日付日刊自動車新聞より)

<インドネシア>
-インドネシアのカラワン県の新生産拠点で起工式をこのほど実施した。新拠点は、今年5月に設立した販売子会社を増資、新たに生産能力を持つ拠点として拡張する。カラワン市郊外の高速道路沿いのワン工業団地内に2万2千平方メートルの敷地面積に6,700平方メートルの工場を建設、来年夏に建物を完成させ年内の稼働を目指す。2輪車を含む現地の日系自動車メーカー向けにファスナーなどプラスチック製品を供給する。総投資額は1千万米ドル(約7億6千万円)。(2011年10月25日付日刊自動車新聞より)

<英国>
-英国での生産体制を拡充する。欧州でのメーン工場となる現工場の老朽化が進むため、より広大な敷地を持つ用地を確保、新工場を建設することで増産に向けた体制を整備する。新工場の建屋は年内にも完成し、来春をめどに生産を開始する予定。生産能力の拡大に伴い、既納先を含めて欧州の自動車メーカーなどからプラスチックファスナーを始めとした受注獲得も積極化する。新工場は現工場から数キロメートル離れ、敷地面積は5万6千平方メートル、延べ床面積も1.6倍となる1万2千平方メートルを確保した。総投資額は780万ポンド(約9億7500万円)。(2011年10月24日付日刊自動車新聞より)

<中国>
-需要が拡大する中国で、プラスチックファスナーなど自動車用合成樹脂成形品の生産拠点を拡大、順次供給を開始する。7月に天津市の拠点が出荷を開始したのに続き、今月下旬にも湖北省の新拠点が供給をスタート、現地日系メーカーへの対応を強化する。また、来年早期には欧米系メーカー向けを生産する新拠点を江蘇省で稼働させる予定で、既存拠点を含め中国での供給体制整備を急ぐ。7月に供給を開始したのは利富高(天津)精密樹脂制品で、現地のトヨタ自動車の製造拠点向けを中心に出荷する。また、昨年12月に湖北省に設立した利富高(湖北)精密樹脂制品では、現地の日産自動車やホンダ向けに今月下旬にも供給を開始する。両拠点ともニフコの香港子会社であるニフコ・ホンコン・リミテッドが全額出資、出荷開始後も順次生産規模を拡大していく計画。また、年明けには上海から約100キロメートルに位置する江蘇省張家港市の新生産拠点が、現地の欧米系メーカー向け供給を開始する予定で、需要地近隣での生産体制が整うことになる。(2011年9月2日付日刊自動車新聞より)

設備の新設計画 (合成樹脂成形品事業)

(2012年3月31日現在)
会社名
事業所名
(所在地)
設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手 完了
予定
ニフコ新技術センター (仮称)
(神奈川県 横須賀市)
土地 1,220 2011年
12月
2013年
2月
建物および構築物 4,087
機械装置および測定器 369
Nifco South India manufacturing Pvt. Ltd.
(インド タミルナードゥ州)
建物および構築物 970 2012年
1月
2012年
10月