ユニプレス (株) 2016年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2016年
3月期
2015年
3月期
増減率
(%)
要因
売上高 325,423 308,739 5.4 -北米における増産影響
-円安に伴う為替影響
営業利益 22,033 17,796 23.8 -UPS (ユニプレス生産システム) 活動を柱とした合理化効果
-北米における増産対応費用の削減等
経常利益 18,186 18,363 (1.0) -為替差損等
親会社株主に帰属する当期純利益 9,750 7,207 35.3 -



受注

-ルノー・日産コモンモジュールファミリーC/Dセグメント (日産 「X-Trail」 「Qashqai」 「Rogue」、Renault 「Kadjar」) 向け部品を、日本、中国、米国、英国で生産。北米向け 「Rogue」 の部品を九州で生産開始。

-日産 「KIX」 (世界80カ国以上で投入予定) の部品をメキシコ・ブラジルで受注。

-ホンダへのグローバル拡販状況: 日本およびインドネシアの売上拡大により、2017年3月期は200億円超を計画 (2016年3月期実績は180.3億円)。

-いすゞのインド新工場 (Sri City) で生産するLCV向け部品を受注。Unipres Indiaがハイテン部品であるシルインナー部品を受注。2018年初頭より納入開始予定。

-中国トランスミッション部品事業: ユニプレス精密広州 [Unipres Precision Guangzhou Corporation] で、既存取引先のジヤトコに加え、アイシンAWからの受注が拡大。主な納入部品は、オイルパンやリテーニングプレート。2017年3月期には売上高100億円超を計画。

ホンダ向けCVT部品 (メキシコ)
-ホンダからトランスミッション用の部品を初受注した。メキシコ生産車向けの無段変速機 (CVT) 部品で、2015年夏から生産を開始している。受注規模は年間数億円程度だが、2018年度までにトランスミッション関連部品の受注を同20億円以上に増やし、成長段階にあるホンダ向けの事業を加速する。CVT用のプーリー部品を受注し、現地工場での生産を始めた。現時点で15~18年度に供給が決まって いるのは2製品だが、プーリー以外にもリテーニングプレートやハウジング、クラッチドラムなどの精密トランスミッション部品を製造できることから、今後も 新たな部品での受注を目指す。(2015年11月25日付日刊自動車新聞より)

ジヤトコ製CVT向けトルクコンバーター (中国)
-2015年10月、クラス世界一の軽量・小型・低燃費を実現したトルクコンバーターを開発したと発表した。小型FF車向けのジヤトコ製CVT (無段変速機) 「ジヤトコ CVT7 W/R」 に採用が決まり、中国での供給を始めた。新開発の 「ユニプレス超扁平型トルクコンバータ」 は、流体部分の超扁平化やダンパー部の薄型化によって部品本体を小型・軽量化した。発進スリップ制御に対応した摩擦材の採用や低剛性設計ダンパーの開発によって、クラストップレベルのロックアップ性能を実現した。(2015年10月28日付日刊自動車新聞より)

-トルクコンバーター (トルコン) 事業のグローバル売上高を現在の年130億円から18年度に170億円以上に引き上げる。新たに中国で量産を開始した自社開発トルコンなどを主な伸びしろと位置づけ、同国で数十億円規模の新規売り上げを確保する。CVT車の一層の低燃費化を図れる高機能製品として、日産自動車向けなどでの採用拡大を目指していく。中国では、子会社のユニプレス精密広州がジヤトコの 「ジヤトコ CVT7 W/R」 向けに超扁平型トルコンの供給を始めており、日産自動車の新型車 「LANNIA」 に搭載されている。クラス世界一となる軽量・小型の設計や低燃費性能を特長とする一方、発進時のダイレクト感を高めたことで、今後はスポーツ志向などのニーズを含めた幅広い車種での採用が期待される。年間40万台の生産能力を有した同国の新設ラインを活用し、16年度以降の新規受注に対応していく。(2015年11月30日付日刊自動車新聞より)

研究開発活動

新日鐵住金と超ハイテン材成形技術の開発強化
-2015年5月、新日鐵住金との資本業務提携を発表。これにより、新日鐵住金はユニプレスが保有する自己株式5.57% (265万株) を第三者割当により2015年5月29日付で取得する。取得額は約65.6億円。新日鐵住金の出資比率は10.89%から16.46%となる。両社はこれまで、自動車の車体骨格部品への超ハイテン材の適用に関する技術開発などで提携を行ってきたが、さらに取り組みを強化していく意向。(2015年5月14日付プレスリリースより)

-同社は1.2ギガパスカル級の超高張力鋼板 (超ハイテン材) を活用したフロントピラーの開発に成功した。衝突時などの安全性を高める高強度部品として、主要顧客の日産自動車や国内外の自動車メーカーに提案して、受注獲得を目指す。フロントピラーの超ハイテン化は、新日鉄住金と共同開発した。1ギガパスカルを超える高強度のハイテン材は深絞りなどの複雑成形の際、プレスによって必要箇所以外の部材が延びて 「しわ」 が出ることが課題だった。今回、特殊なパッドで部材を抑えながら成形することで、しわの発生を抑制できる加工技術を開発した。従来、センターピラーやルーフパネルなどの一定の成形条件に限られていた1.2ギガパスカル級の超ハイテン材を、難加工部品のフロントピラーにも適応することが可能になった。 (2016年6月7日付日刊自動車新聞より)

金型製作のリードタイム短縮
-2016年度にも、超高張力鋼板 (超ハイテン材) を用いた部品の金型製作に伴うリードタイムを3カ月間短縮する。ソフトウエアなどの成形解析シミュレーション技術を駆使し、金型の精度を初期段階から完成品に近いところまで引き上げる。1.2ギガパスカル級などの超ハイテン部品の開発期間の短縮につなげ、高強度部材の採用範囲の拡大を目指す。(2015年12月11日付日刊自動車新聞より)

主な研究開発分野
<製品開発>
-製品の強度・剛性の最適化
-製品の小型・軽量化
-プレス技術を応用した製品の設計
-開発期間の短縮化

<材料開発>
-高強度鋼板
-高剛性樹脂材料
-軽量化樹脂材料

<工法開発>
-高強度鋼板プレス加工法
-ホットプレス工法
-金属精密塑性加工法
-軽合金材料のプレス工法
-軽合金材料の溶接工法
-高強度パイプ加工法
-高強度樹脂プレス加工法
-樹脂複合成形加工法

研究開発体制

-2016年3月31日現在、研究開発に携わる人数は326名。
-2016年3月31日現在、産業財産権を90件保有。

研究開発費

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
全社 3,600 3,400 3,200



海外投資

-同社は中国とメキシコの工場でプレス部品の生産能力を大幅に増強する。(2016年6月3日付日刊自動車新聞より)

<中国>
-ユニプレス鄭州 (河南省) では、既存のプレス工場に隣接する組立工場の建屋を7,200平方メートルから1万3,700平方メートルに拡張して、プレス部品の製造設備を導入する。2016年11月末に工事が完了する予定で、年間の生産能力を22万台から41万台にほぼ倍増する。4,400万元 (約7億4千万円) を投じて、日産の中国合弁会社の東風日産からの新規受注や既受注車種の生産拡大に対応する。

<メキシコ>
-ユニプレスメキシコ (アグアスカリエンテス州) でも日産からの受注増加を見込んで工場を拡張、生産能力を増強する。既存工場の横に1万6,800平方メートルの建屋を新設し、組立エリア全体を5万4,500平方メートルに広げる。投資額は2,400万ドル (約26億7千万円) で、生産能力を年間82万台から135万台に増やす。増強分は、世界80カ国以上で日産が市場投入する予定の新型車 「KIX」 向けのプレス部品などを生産する。

設備投資額

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
全社 18,400 27,300 29,900


-2016年3月期の得意先のモデルチェンジに対応するための自動車用部品の生産用設備の更新を主な目的として支出。地域別投資額は以下のとおり。

  • 日本 7,100百万円
  • 北米 5,500百万円
  • 欧州 2,600百万円
  • アジア 3,000百万円

-2017年3月期の設備投資計画は20,000百万円。生産基盤強化を中心に1,600百万円増加。

設備の新設計画

(2016年3月31日現在)
会社名・事業所名
(所在地)
設備内容 投資予定金額
(百万円)
着手 完了予定
同社 本社および事業所
(神奈川県横浜市、静岡県富士市、神奈川県大和市)
職場環境整備および危機管理強化他 2,300 2016年
4月
2017年
3月
同社 栃木工場
(栃木県真岡市・小山市、神奈川県横須賀市)
生産体制強化およびモデルチェンジによる生産設備更新他 1,500 2016年
4月
2017年
3月
同社 富士工場
(静岡県富士市・富士宮市)
生産体制強化およびモデルチェンジによる生産設備更新 2,800 2016年
4月
2017年
3月
ユニプレス九州 (株)
(福岡県京都郡)
生産体制強化およびモデルチェンジによる生産設備更新 2,400 2016年
4月
2017年
3月
Unipres U.S.A., Inc.
(米国)
生産体制強化およびモデルチェンジによる生産設備更新 900 2016年
4月
2017年
3月
Unipres Southeast U.S.A., Inc.
(米国)
生産体制強化およびモデルチェンジによる生産設備更新 900 2016年
4月
2017年
3月
Unpres Alabama, Inc.
(米国)
生産体制強化およびモデルチェンジによる生産設備更新 500 2015年
4月
2016年
4月
Unipres Mexicana, S.A. de C.V.
(メキシコ)
トランスミッション部品事業を含む生産体制強化およびモデルチェンジによる生産設備更新 3,500 2016年
1月
2016年
12月
Unipres (UK) Limited(英国) 生産体制強化およびモデルチェンジによる生産設備更新 1,700 2016年
1月
2016年
12月
ユニプレス広州
[Unipres Guangzhou Corporation]
(中国)
生産体制強化およびモデルチェンジによる生産設備更新 1,300 2016年
1月
2016年
12月
ユニプレス鄭州
[Unipres Zhengzhou Corporation]
(中国)
生産体制強化およびモデルチェンジによる生産設備更新 1,800 2016年
1月
2016年
12月
ユニプレス精密広州
[Unipres Precision Guangzhou Corporation]
(中国)
生産体制強化およびモデルチェンジによる生産設備更新 1,100 2016年
1月
2016年
12月



2017年3月期の見通し

(単位:百万円)
2017年3月期
(予想)
2016年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 310,000 325,423 (4.7)
営業利益 20,000 22,033 (9.2)
経常利益 18,500 18,186 1.7
親会社株主に帰属する当期純利益 10,000 9,750 2.6

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

中期経営計画

-2016年6月、2018年度に売上高3,300億円、営業利益250億円を目標とする3カ年の中期経営計画を発表した。15年度の実績比では売上高が1.4%増、営業利益が13.6%増となる。16年度は主要顧客の日産が米州などでの車両生産を増やす見通しだが、15年度よりも為替水準が円高傾向に進んでいることや、同社が受注しているモデルの生産が減る見通しなため、前年同期比4.7%の減収、同9.1%の営業減益を見込む。ただ、17年度以降、メキシコやインドでプレス部品の受注増加を見込むほか、中国でアイシン・エィ・ダブリュやジヤトコ向けの受注増を予想する。国内でも、日産が2016年4月、九州工場で生産を開始した北米向け 「Rogue」 の部品が収益増に貢献する。15年度に初めて自社開発したトルクコンバーター事業も強化する。現在、ジヤトコを通じて日産の中国向け 「Lannia」 の無段変速機 (CVT) 用に超扁平型トルコンを供給しているが、性能面での競争力を高めることで採用車種の拡大を目指す。既に騒音・振動性能や燃費などを評価する試験設備の増強を進めており、軽自動車から大型車までの幅広い車種向けに新しいトルコンを開発していく。(2016年6月15日付日刊自動車新聞より)

2016年3月期
(実績)
2017年3月期
(予想)
2019年3月期
(計画)
売上高 325,423 310,000 330,000
営業利益 22,033 20,000 25,000