横浜ゴム(株) 2011年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2011年 3月期 |
2010年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 519,742 | 466,358 | 11.4 |
- |
営業利益 | 29,490 | 21,454 | 37.5 |
- |
経常利益 | 23,356 | 18,744 | 24.6 |
- |
当期純利益 | 13,923 | 11,486 | 21.2 |
- |
タイヤ事業 | ||||
売上高 | 413,372 | 369,210 | 12.0 |
国内新車用タイヤの販売は、販売量・売上高とも前期を上回った。期前半においては、エコカー補助金終了に対する新車の駆け込み需要があり、期後半においては新規装着の増加を図るなど、エコカー補助金終了後の需要低迷を見越した対策を講じたことが功を奏した。 |
営業利益 | 24,952 | 20,646 |
20.9 |
- |
受注
トヨタ2011年2月、トヨタ自動車の新型車2車種に新車装着用(OE)タイヤを納入したと発表。「ヴィッツ」と「レクサスCT200h」の2車種に採用された。ヴィッツ向 けには同社が市販用タイヤで展開する低燃費タイヤ「ブルーアース」のコンセプトを採り入れた「S73BluEarth(ブルーアース)」を納入。サイズは 165/70R14。同ブランドで展開する基盤設計や材料技術を投入し、低燃費性能に加えて安全性能と快適性能をバランスした。CT200h向けには 「db(デシベル)E70」を納入した。タイヤサイズは205/55R16と215/45R17の2種類。同製品は高い静粛性を重点において開発したもの。今回はレクサスCT200h向けに専用開発し、高い走行安定性と乗り心地、さらにハイブリッド車にふさわしい低燃費性能を実現した。(2011年2月22日付日刊自動車新聞より)
Audi
2011年1月、独アウディが欧州で発売した新型車「A7スポーツバック」の新車装着用タイヤに採用されたと発表した。横浜ゴムの高級車向けタイヤ「ADVAN Sport(アドバンスポーツ)」をベースにアウディと共同開発したタイヤが採用された。超高速域での走行安定性に加え、優れたドライ・ウェット性能や環 境性能が評価された。横浜ゴムのタイヤがアウディの新車装着用として採用されたのは4車種目。A7スポーツバックに採用されたのは、フロント、リアともに 265/35R20サイズの製品。時速300キロメートルを超える超高速域での走行安定性に加え、ドライ・ウェット性能と快適性や静粛性を高いレベルで両 立させた。さらに摩耗性能の向上や転がり抵抗の低減など環境性能にも配慮した。(2011年1月11日付日刊自動車新聞より)
Porsche
2010年8月、同社「ADVAN Sport」タイヤがPorsche「Cayenne」の新型モデルに新車装着されたと発表。「ADVAN Sport」をベースにPorscheと共同開発した製品で、サイズは275/45R20 110Y XLと295/35R21 107Y XL。同車への装着は初代モデルに続き2代連続。なお、新型「Cayenne」は2010年から全世界で販売されている。(2010年8月3日付プレスリ リースより)
事業計画
同社の南雲忠信社長は、2012年以降にブラジルなど新興国の複数地域におけるタイヤ工場の新規進出や、中国で新たな生産拠点を建設することで検討を進めることを明らかにした。新興国でのおう盛な需要を背景に現状の生産ネットワークでは中期的に供給不足となるため設備投資を積極化する。現在11年度を最終年度とする中期経営計画「グランドデザイン(GD)100フェーズII」を展開中。12年度からは新中計である「GD100フェーズIII」を展開する。新計画を策定する上で「フェーズIIIの最終年度となる14年度の需要を考えると現状の生産体制では年間1千万本の供給不足となる」ことから、さらなる生産ネットワークの増強が必要であると判断した。 (2010年12月17日付日刊自動車新聞より)
2011年度の見通し |
(単位:億円) |
2011年度 (4-12月) |
2010年度 (4-3月) |
|
売上高 | 4,710 | 5,197 |
営業利益 | 210 | 295 |
経常利益 | 190 | 234 |
当期純利益 | 110 | 139 |
*2011年度から決算期を1-12月に変更。
タイヤ生産能力(本数) |
(単位:万本) |
2010年 | 2011年 | 2012年 | |
国内 | |||
三重(トラック・バス、小型トラック) | 590 | 590 | 590 |
三島(乗用車) | 1,390 | 1,390 | 1,390 |
新城(乗用車) | 1,410 | 1,410 | 1,410 |
新城南(乗用車) | 240 | 280 | 280 |
国内 計 | 3,630 | 3,670 | 3,670 |
海外 | |||
米国(乗用車) | 560 | 620 | 620 |
米国(トラック・バス) | 50 | 50 | 58 |
フィリピン(乗用車) | 700 | 700 | 700 |
中国(乗用車) | 310 | 510 | 510 |
中国(トラック・バス) | 34 | 34 | 34 |
タイ(乗用車、小型トラック) | 240 | 320 | 400 |
タイ(トラック・バス) | 35 | 35 | 35 |
ロシア | - | 70 | 100 |
海外 計 | 1,929 | 2,339 | 2,457 |
合計 | 5,559 | 6,009 | 6,127 |
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2011年3月期 | 2010年3月期 | 2009年3月期 | |
全社 | 12,747 | 13,280 | 15,277 |
研究開発本部 | 1,316 | 1,517 | 1,829 |
タイヤ事業 | 7,946 | 7,944 | 9,098 |
研究開発体制
拠点名 | 所在地 |
RADIC研究開発センター |
神奈川県平塚市 |
D-PARC 総合タイヤテストコース |
茨城県久慈郡 |
T*MARY 冬季タイヤテストコース |
北海道上川郡 |
Tire Test Center of Asia 総合タイヤテストコース |
タイ ラヨーン県 |
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2011年3月期 | 2010年3月期 | 2009年3月期 | |
全社 | 24,900 | 17,500 | 43,300 |
タイヤ事業 | 22,200 |
14,800 | 38,400 |
-新商品生産および高性能化等に対応するため、製造設備増強、生産性向上、品質向上等で66億円。
-Yokohama R.P.Z. L.L.C(ロシア)において、乗用車・ライトトラック用タイヤ製造設備の増設に65億円。
海外投資
フィリピン2011年2月、フィリピンのタイヤ生産能力を増強すると発表した。約500億円を投資して2017年をめどに年間生産能力を現状(700万本)から1千万本分増強(年間 1700万本)する。グローバルでのタイヤ需要が堅調な動きを見せていることから供給体制を一段と強化することにした。現地法人のヨコハマタイヤ・フィリ ピン(YTPI)の生産能力を拡大する。現有タイヤ工場の隣接地約30万平方メートルを借用して、工場建屋を建設する。設備増強は2期に分けて行う。第1期は今月から建設工事を開始し、13年に300万本分増産する。第2期は14年から着手し、17年に700万本分増産する。(2011年2月2日付日刊自動車新聞より)
米国
2010年11月、米国の乗用車用タイヤの生産能力を増強すると発表。現地子会社のヨコハマタイヤコーポレーション(YTC)のセーラム工場(バージニア州)で年産60万本増産する。これにより生産能力を現状の560万本から620万本に引き上げる。米国を含めた北米でのタイヤ販売が好調に推移しており、供給が追いつかないことから増産に踏み切ることにした。(2010年11月4日付日刊自動車新聞より)
タイ
2010年6月、タイの乗用車・ライトトラック用タイヤ工場の第3次拡張を行うと発表した。グローバルでタイヤ需要が高まっている状況に対応する。約97億円を投資し、年間生産能力を140万本増強、400万本まで引き上げる。同社は、現在2次拡張工事を進行中。これとあわせて 3次拡張に着手する。第3次拡張分の生産は来年4月から開始する予定。今回増産工事を行うのは、同社のタイ法人であるヨコハマ・タイヤ・マニュファクチャリング・タイのタイ・ラヨーン県にある工場。現在の敷地面積は、42万平方メートルで、同社最大のタイヤ生産拠点。(2010年6月30日付日刊自動車新聞より)
ロシア
2010年4月、ロシア・リペツク州で新タイヤ工場の起工式を開催した。同社は、48億ルーブル(約148億円)を投じて乗用車用タイヤの製造拠点を建設。2011年中の操業開始を予定している。08年12月に同社と伊藤忠商事が出資してタイヤ生産販売会社「ヨコハマRPZ」を設立。モスクワ近郊のリペツク州の特別経済区にタイヤ工場を新設することにした。ロシ アの新タイヤ工場は、環境や省エネルギーに配慮した最新鋭の設備を有した生産拠点とする計画。11年の完成時には年間140万本の生産を行えるようにする予定。(2010年4月6日付日刊自動車新聞より)
設備の新設計画(タイヤ事業)
(2011年3月31日現在)
事業所 (所在地) |
設備内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
着手 | 完了 予定 |
完成後の 増加能力 |
横浜ゴム(株) | |||||
平塚製造所 (神奈川県平塚市) |
生産設備 | 2,155 |
2010年 4月 |
2011年 12月 |
- |
三重工場 (三重県伊勢市) |
生産設備 | 2,091 |
2010年 4月 |
2011年 12月 |
- |
三島工場 (静岡県三島市) |
生産設備 | 2,265 |
2010年 4月 |
2011年 12月 |
- |
新城工場 (愛知県新城市) |
生産設備 | 12,579 |
2010年 4月 |
2011年 12月 |
- |
尾道工場 (広島県尾道市) |
生産設備 | 751 |
2010年 4月 |
2011年 12月 |
- |
Yokohama Tire Corporation セーラム工場 (米国バージニア州) 他 |
生産・その他の設備 | 3,458 |
2010年 4月 |
2011年 12月 |
- |
Yokohama Tire Manufacturing Thailand 本社・工場 (タイ ラヨーン県) |
生産・その他の設備 | 6,167 |
2010年 4月 |
2011年 12月 |
- |
杭州横浜輪胎有限公司 [Hangzhou Yokohama Tire Co., Ltd.] 本社・工場 (中国 浙江省) |
生産・その他の設備 | 7,016 |
2010年 4月 |
2011年 12月 |
- |
L.L.C. Yokohama R.P.Z. 本社・工場 (ロシア リペツク州) |
生産・その他の設備 | 14,828 |
2009年 7月 |
2011年 9月 |
乗用車用タイヤ 140万本 |
Yokohama Tire Philippines, Inc. (フィリピン クラーク特別経済区) |
生産・その他の設備 | 19,700 | 2011年 2月 |
2013年 12月 |
乗用車用タイヤ 300万本 |