横浜ゴム(株) 2010年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2010年 3月期 |
2009年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 466,358 | 517,262 | (9.8) | - |
営業利益 | 21,454 | 12,808 | 67.5 | - |
経常利益 | 18,744 | 371 | 4952.3 | - |
当期純利益 | 11,486 | (5,654) | - | - |
タイヤ事業 | ||||
売上高 | 367,565 | 399,801 | (8.1) | -特に上半期、自動車メーカーの輸出向け自動車生産台数が前期と比較して大幅減となったことが影響し、国内新車用タイヤの販売は、販売量・売上高とも前期を下回った。 |
営業利益 | 20,462 | 9,890 | 106.9 | - |
受注
-Audiの大型SUV「Q7」に新車装着用タイヤを納入したと発表した。高速走行でも安定した走行性を発揮できる点や快適性、ブレーキング性などのバランスの高さが評価された。同社製タイヤのAudiへの採用は「S6」「S8」に続いて3車種目。スポーツカー向けタイヤの「ADVAN Sport(アドバン・スポーツ)」をQ7用タイヤとして納入。サイズはフロント、リアとも275/45R20と265/50R19の2種類。(2009年6月1日付日刊自動車新聞より)-「ADVAN Sport」タイヤがDaimler AGのMercedes-Benz「C-Class」に新車装着された。対象サイズは205/55R16 91V、225/45R17 91W、および245/40R17 91W。Mercedes-Benzモデルへの標準搭載は、「CL65AMG」「CL63AMG」「C63AMG」「ML63AMG」に続いて5車種目となる。(2009年7月1日付プレスリリースより)
合弁事業
-伊藤忠商事(株)とロシアにタイヤ生産販売会社「Yokohama R.P.Z. L.L.C」を設立。資本金は37.6億ルーブル(約117億円)で、出資比率は同社80%、伊藤忠商事20%。新会社は48億ルーブル(約148億円)を投じてリペツク州の経済特別区に工場を建設し、年間140万本の乗用車用タイヤを生産する計画。2010年3月に着工し、2011年9月に操業開始の予定。(2009年8月21日プレスリリースより)事業計画
-2012年3月期を最終とした中期経営計画「グランドデザイン(GD)100フェーズII」の財務目標を策定した。連結売上高を過去最高の業績を達成した2008年3月期と同水準の5500億円に設定。また、営業利益の目標を385億円として営業利益率を2008年3月期より1ポイント高い7%の実現を目指す。タイヤ事業では中国やロシアなどの新興国の事業強化や環境、スポーツタイヤの海外展開を積極化する。また工業製品などのMB事業ではドイツに事業会社を立ち上げて欧州の事業規模拡大を図る。さらに、全社を挙げてのコスト削減活動を一段と強化して、目標達成につなげる。(2009年5月13日付日刊自動車新聞より)>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)
2011年3月期の見通し |
(単位:億円) |
2011年3月期 | 2010年3月期 | 増減 | |
売上高 | 5,200 | 4,664 | 536 |
-タイヤ | 4,120 | 3,675 | 445 |
営業利益 | 180 | 215 | (35) |
経常利益 | 145 | 187 | (42) |
当期純利益 | 80 | 115 | (35) |
設備投資額 | 309 | 175 | 134 |
地域別売上高 |
(単位:億円) |
2011年3月期 | 2010年3月期 | 増減 | |
日本 | 3,580 | 3,240 | 340 |
北米 | 980 | 906 | 74 |
アジア | 280 | 220 | 60 |
その他 | 360 | 298 | 62 |
合計 | 5,200 | 4,664 | 536 |
タイヤ生産量・稼働率(本数) |
(単位:万本) |
2011年3月期 | 2010年3月期 | 2009年3月期 | |
国内 | 3,350 | 3,110 | 3,420 |
海外 | 2,050 | 1,670 | 1,720 |
合計 | 5,400 | 4,780 | 5,140 |
稼働率 | 98% | 85% | 88% |
タイヤ生産能力(本数) |
(単位:万本) |
2011年3月期 | 2010年3月期 | 2009年3月期 | |
国内 | 3,630 | 3,590 | 3,590 |
海外 | 1,929 | 1,859 | 1,835 |
海外比率 | 34.7 | 34.1 | 33.8 |
合計 | 5,559 | 5,449 | 5,425 |
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2010年3月期 | 2009年3月期 | 2008年3月期 | |
全社 | 13,280 | 15,277 | 15,289 |
研究開発本部 | 1,517 | 1,829 | 1,936 |
タイヤ事業 | 7,944 | 9,098 | 8,993 |
研究開発体制
研究設備-平塚製造所内の研究開発センター「RADIC(ラディック)」が中心。スーパーコンピュータや電子顕微鏡、ESCA(材料表面分析装置)、核遠心分離装置などの装置を導入し新技術の開発を推進。
-総合タイヤテストコース「D-PARC(ディー・パーク)」と冬季用タイヤテストコース「T*MARY(ティー・マリー)」で、実車テストを実施。
-タイに建設したテストコース「タイヤ・テスト・センター・オブ・アジア」(ラヨン県)の開所式を開催したと発表した。同センターは総工費25億円をかけて建設した。2007年9月に着工、2008年末に竣工し、2009年1月から一部タイヤ評価を始めている。東京ドーム36個分という約169万平方メートルの敷地内に、全長4・1キロメートルの高速周回路(直線部分1キロメートル)と約10万平方メートルの総合試験路を持つ。現在、国内2カ所の専用テストコースを持つほか、国内外で数カ所の契約テストコースを持っているが、同センターの完成でタイヤ試験処理能力が大幅に拡大するとしている。(2009年5月11日付日刊自動車新聞より)
研究内容
-研究部門では、精緻かつ高度な分析・解析技術をベースに物質構造や反応機構等の解明による新素材開発やシミュレーション技術の開発を行い、環境にやさしいタイヤ材料の開発や電子材料用素材・新エネルギー・省エネルギー関連への適用技術の開発などを中心に実施。
製品開発
-タイヤの内側に張り付けられるゴムシートである「インナーライナー」でエコタイヤの省燃費性能を向上させる新素材を2010年以降に発売するタイヤに投入していくと発表した。従来のインナーライナーに特殊樹脂を融合してタイヤから自然と漏れる空気を大幅に低減した。さらに従来品比5分の1の薄さにしてタイヤ全体の軽量化を実現した。(2009年10月22日付日刊自動車新聞より)設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2010年3月期 | 2009年3月期 | 2008年3月期 | |
全社 | 17,500 | 43,300 | 27,300 |
タイヤ事業 | 14,800 | 38,400 | 23,000 |
-新商品生産および高性能化等に対応するため、製造設備増強、生産性向上、品質向上等で65億円。
-Yokohama Tire Manufacturing (Thailand)において、乗用車・ライトトラック用タイヤ製造設備の増設、大型プルービンググラウンドの新設に38億円。
海外投資
<新興国>-中国の乗用車タイヤ工場の第4期拡張計画を増強すると発表した。2009年7月に110万本増強することを決めていたが、同国の自動車生産、販売台数が一段と伸びることが見込まれるため、さらに100万本上積みする。これにより同工場の年間生産能力を現状の300万本から510万本に引き上げる。生産拡張計画の増強を行うのは、同社の中国子会社である杭州横浜輪胎(浙江省杭州市)の乗用車用タイヤ工場。第4期拡張は70億円を投資して行い、2011年1月からの生産開始を予定。(2009年10月31日付日刊自動車新聞より)
-新興国での2工場新設などを含むグローバルな増産投資により来期以降の2年間は年間300億円強の設備投資を復活する考えを明らかにした。2008年までのような減価償却を大幅に上回るレベルではないものの、償却費と同水準を維持する。2012年3月期までの2年間で、ロシア(モスクワ郊外)新工場を2010年半ばに着工するほか、中国(杭州)工場の第4期拡張工事にも着手する。ロシアでは2年間で約150億円、杭州では70億円規模の総投資額を予定している。(2009年11月6日付日刊自動車新聞より)
設備の新設計画(タイヤ事業)
(2010年3月31日現在)
事業所 (所在地) |
設備内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
着手 | 完了 予定 |
完成後の 増加能力 |
横浜ゴム(株) | |||||
平塚製造所 (神奈川県平塚市) |
生産設備 | 1,785 | 2009年 4月 |
2011年 3月 |
- |
三重工場 (三重県伊勢市) |
生産設備 | 2,486 | 2009年 4月 |
2011年 3月 |
- |
三島工場 (静岡県三島市) |
生産設備 | 1,983 | 2009年 4月 |
2011年 3月 |
- |
新城工場 (愛知県新城市) |
生産設備 | 5,859 | 2009年 4月 |
2011年 3月 |
- |
尾道工場 (広島県尾道市) |
生産設備 | 853 | 2009年 4月 |
2011年 3月 |
- |
Yokohama Tire Corporation セーラム工場 (米国バージニア州) 他 |
生産・その他の設備 | 3,011 | 2009年 4月 |
2011年 3月 |
- |
Yokohama Tire Manufacturing Thailand 本社・工場 (タイ ラヨーン県) |
生産・その他の設備 | 16,267 | 2007年 6月 |
2011年 4月 |
乗用車・ ライトトラック用 タイヤ280万本 |
杭州横浜輪胎有限公司 [Hangzhou Yokohama Tire Co., Ltd.] 本社・工場 (中国 浙江省) |
生産・その他の設備 | 6,974 | 2009年 7月 |
2011年 1月 |
乗用車用タイヤ 210万本 |
Yokohama R.P.Z. L.L.C 本社・工場 (ロシア リペック州) |
生産・その他の設備 | 14,828 | 2009年 7月 |
2011年 9月 |
乗用車用タイヤ 140万本 |