Delphi Group (中国事業) 動向 2007-2008

ハイライト

製品分野ごとの動向は以下の通り。

サーマルシステム

蘇州のコンプレッサー新工場建設
-2007年10月、蘇州のカーエアコン用コンプレッサー生産工場建設を発表。新工場は德爾福電子(蘇州)有限公司 (Delphi Electronics (Suzhou) Co., Ltd.)の工場区内に建設する。工場建物面積は3万平方フィート、今後生産規模の拡大に伴い9.2万平方フィートまで拡張する計画。年産能力は55万台。新工場では可変容量式コンプレッサーを生産する。

北京汽車と合弁でエアコン新子会社設立
-2007年12月、北京汽車工業と合弁でエアコンシステムの生産会社「北京徳福汽車空調系統有限公司(Beijing Delphi Automotive Air Conditioning Systems Co., Ltd.)」を設立。出資比率は、上海徳爾福汽車空調系統有限公司(Shanghai Delphi Automotive Air Conditioning Systems Co., Ltd.) 51%、北京汽車工業40%、北京光華世縁汽車部件有限公司 9%。年産能力20万セットを見込む。製品は北汽福田(Beiqi Foton)、北京Benz、北京汽車などに供給する。


電気&電子アーキテクチャー

長春分公司の移転・拡張
-2007年10月、長春経済技術発展区で建設を進めていた徳爾福派克電気系統有限公司長春分公司(Delphi Packard Electric Systems Co., Ltd. Changchun Branch)の新工場が完成。新工場の敷地面積は2.2万平方メートル、主にカーメーカー向けワイヤーハーネスとワイヤーハーネスモジュールを生産する。将来は生産能力を2倍に増強し生産フローのバージョンアップも行う予定。今回の工場移転・拡張によりDelphiは中国東北地区で事業展開しているグローバルユーザーのサポート体制を強化した。

上海A5工場の稼動
-2007年12月、徳爾福派克電気系統有限公司(Delphi Packard Electric Systems Co., Ltd.)の新工場「上海A5廠(Shanghai A5 Plant)」が稼動した。この工場は既存の安亭汽車城(Anting Automobile Citiy)園国工場(Yuanguo Plant) の生産設備と人員をすべて移転したもので、建設に8ヶ月、移転作業に1ヶ月を要した。敷地面積は23,611平米で、デルファイのアジア太平洋地区最大面積のワイヤーハーネス工場となった。将来は年産能力を80%増、年産100万セット体制にする計画。園国工場は今後コネクションシステムの専用工場として生産設備を拡張する予定。

安徽省蕪湖市に新工場建設
-2008年2月、徳爾福派克電気系統有限公司(Delphi Packard Electric Systems Co., Ltd.)は安徽省蕪湖市でワイヤーハーネスとケーブル新工場の建設を開始した。総投資額は46百万ドル。

武漢の新工場稼働開始
-2008年2月、デルファイが武漢沌口(Dunkou, Wuhan)の経済技術開発区で建設していたワイヤーハーネス新工場が稼動を開始。新工場の生産ラインは広州工場から移転させたもの。製品は神龍汽車(Dongfeng- Peugeot-Citroen Automobile)の乗用車3モデル、凱旋(C-Triomphe)、標致(Peugeot)206、同307に搭載される。2008年の売上は20億元近くになる見通し。


エレクトロニクス & セーフティ

奇瑞汽車への供給
-2007年1月、奇瑞汽車(Chery Automobile)から、複数のプラットフォーム用に乗員保護システム(OPS)、および統合型ナビゲーションシステムを受注。これらのシステムは、2009年のモデルから採用される予定。また、2009年よりCheryが現在生産している全車種用にドライバーエアバッグ、助手席エアバッグ、カーテンエアバッグ、サイドエアバッグ、同乗者検知システム、エアバッグ制御ユニット、サイドおよび前方衝撃センサー、乗員ポジショニングセンサーを独占的に供給する予定。また今後、奇瑞汽車が開発する一部のモデルにはバックガイドモニター付駐車支援システムとオーディオエンターテイメントシステムとナビゲーションシステムが一体ととなった統合型ナビゲーションシステムを供給する計画。

北京汽車との合弁シートベルト子会社、操業開始
-2007年10月、北京汽車工業と合弁で2006年8月に設立したシートベルトの生産会社「北京徳爾福汽車安全産品有限公司 (Beijing Delphi Automotive Safety Products Co., Ltd.)」が操業を開始した。新会社の所在地は北京市昌平区で、延床面積1,800平米の生産施設で2ヶ月前からシートベルトの生産を開始している。同合弁会社では、中国及びアジア・太平洋全域の需要増に対応する。

子会社売却
-2008年6月、デルファイは上海実業交通電器有限公司との合弁ドアシステム生産子会社「上海德尓福汽車門系統有限公司(Shanghai Delphi Automotive Door Systems Co., Ltd.)」の出資持分(株式60%)を The Renco Group の完全子会社 Inteva Products, LLC へ売却した。同合弁会社は名称を「上海恩坦華汽車門系統有限公司(Shanghai Inteva Automotive Door Systems Co., Ltd.)」に変更、上海市工商局が正式に承認した。


エンジンマネジメントシステム

オルタネーター新会社設立
-2007年、江蘇省常熟にオルタネーターの生産会社を設立。新工場を運営するのは、「韓国デルファイ・オートモーティブ・システムズ」(デルファイが50%、GM系の大宇自動車(GMDAT)など韓国企業が50%を出資する合弁会社)。新会社は主に韓国メーカー向けに製品を供給する他、日系メーカー向け供給の拡大も視野に入れる。


ノンコア製品

ドライブシャフト新工場完成
-2008年5月、河北凌雲工業集団有限公司(Hebei Lingyun Industrial Group Co., Ltd.)との合弁で2006年12月に設立した「沙基諾凌雲駆動軸(蕪湖)有限公司(Saginaw Lingyun Drive Shaft (Wuhu) Co., Ltd.)」の工場が完成した。投資総額は6000万ドル、出資比率はデルファイ60%、凌雲工業40%。主な製品はドライブシステム、CVJ及びその関連部品。 2010年までにCVJフロントドライブシャフト年産70万セットを目指す。供給先は奇瑞汽車(Chery Automobile)。

開発動向

中国テクニカルセンター第2期工事完了
-2008年6月、デルファイ中国テクニカルセンターの第2期工事が完了し、新しい実験室や各種測定設備の運用が開始された。各実験室はパワートレイン系統、エレクトロニクス&セーフティ系統及びプロダクトアンドサービスソリューション(DPSS)等に関連する研究開発と製品検証に使用される。また第3期工事は2009年までに完了し、開発人員を2007年の600人から1500人まで拡大する計画。

ハイブリッドカー部品、インテグレートシステムの生産計画
-2008年8月、Delphi は中国で2009末よりハイブリッドカー部品とシステムを生産することを発表。先ず蘇州のエレクトロニクス工場でマイクロハイブリッドとマイルドハイブリッド用のDCACインバーター、DCDCコンバーター、バッテリー、コントローラー、インテグレートシステムを生産する計画で、すでに中国のカーメーカー向けにデモンストレーションシステムを提供した。将来はフルハイブリッド、プラグイン式ハイブリッド、電気自動車用部品の生産も行う計画。

モバイルマルチメディア放送対応車載テレビの開発
-2008年11月、デルファイ中国テクニカルセンターは中国初となるモバイルマルチメディア放送 (CMMB: China Mobile Multimedia Broadcasting)対応車載テレビの開発に成功した。現時点で視聴できるのは中央電視台1、3、5、9チャンネル、ニュースチャンネルなど7つのチャンネル。CMMBは中国国家放送映画テレビ総局(The State Administration of Radio Film and Television)が正式に認可したモバイルマルチメディア放送の業界標準。