(株) 村田製作所 2018年3月期の動向
業績 |
(単位:百万円) |
2018年3月期 | 2017年3月期 | 増減率 (%) | 要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 1,371,842 | 1,135,524 | 20.8 | -自動車の電装化を中心とした電子部品需要の幅広い拡大と、スマートフォン向けの新製品の増加、リチウムイオン二次電池事業の買収により、前年比20.8%の増加 |
営業利益 | 162,100 | 201,215 | (19.4) | -小型大容量コンデンサーなどが拡大したが、新製品の立ち上げの遅れにともなう製造費用増加に加え、減価償却費が増加したこと等で、同比19.4%減。 |
同社株主に帰属する当期純利益 | 146,086 | 156,060 | (6.4) | - |
カーエレクトロニクス用途 | ||||
売上高 | 200,200 | 168,700 | 18.7 | 1) |
要因
1) カーエレクトロニクス用途
-電装化の進展により、車載用コンデンサーが大幅に増加。
-安全装置向けで、MEMSセンサーが増加。
製品開発
パワートレイン・セーフティ電源用チップフェライトビーズ
-自動車向けパワートレイン・セーフティ用の2012サイズ(2×1.25ミリメートル)電源用チップフェライトビーズ「BLM21SP」シリーズを開発し、3月から量産開始したと発表した。高いノイズ対策効果が得られるため、ノイズが出やすい電源ラインに使用することで各ノイズ規格をクリアできるとしている。新規の内部電極形成技術の導入と構造設計の最適化で、インピーダンス取得効率を向上する技術によって高インピーダンスを実現した。大電流が流れるハイブリッド車や電気自動車などの電動車両向けノイズ対策に対応する。製品はAEC-Q200に準拠した。同社では今後、さらに高いインピーダンスのラインアップと、高温対応の製品を拡充する。(2018年3月26日付日刊自動車新聞より)
自動車用リードタイプ積層セラミックコンデンサー
-高温用途に対応する自動車用リードタイプ積層セラミックコンデンサー「RHSシリーズ」のラインアップを拡充したと発表した。新たにセ氏200度対応の定格電圧100Vdcと高容量値の175度対応100Vdc定格品を商品化した。自動車の制御機器は過酷な温度環境で使用され、200度近い高温になることもあり、こうした環境で使用されるコンデンサーには、高い耐熱性が求められる。RHSシリーズは、高耐熱積層セラミックコンデンサーを、新開発の高耐熱樹脂でコーティングすることで最高使用温度200度を実現した。今回、175度、200度対応の100Vdc品を加えることで、小型化と0.1μFまで容量値を拡大した。今後、エンジンルーム内などの高温環境に搭載される機器向けに拡販を目指す。イワミ村田製作所で量産する。(2018年3月1日付日刊自動車新聞より)
チップ積層セラミックコンデンサー
-自動車用導電性接着剤専用チップ積層セラミックコンデンサー「GCGシリーズ」の定格電圧100ボルトdcで温度補償用と高誘電率系のラインアップを拡大したと発表した。GCGシリーズは、過酷な温度環境下にさらされる自動車エンジンルーム内の電子部品の導電性接着剤実装に対応するチップ積層セラミックコンデンサー。パワートレーン、セーフティー機器向け導電性接着剤専用品。外部電極に新開発したAgPd電極を採用し、高温環境下でも導電性接着剤との高い接合信頼性を得ることが可能としている。車載電装品の信頼性試験規格AEC-Q200に準拠している。(2017年12月21日付日刊自動車新聞より)
自動車向けインターフェース対応コモンモードチョークコイル
-自動車向けインターフェース「100Base-T1」「A2B」に対応した、コモンモードチョークコイル「DLW32MH_XK2シリーズ」の量産を18年2月から開始すると発表した。既存の100Base-T1用コモンモードチョークコイルを小型化し、3225サイズ (3.2×2.5mm) の「DLW32MH_XK2シリーズ」を商品化、ワイヤーハーネスの軽量化に貢献するとしている。(2018年2月19日付プレスリリースより)
高耐熱フィルムコンデンサー
-指月電機製作所とともに、125度Cの高温環境下での連続使用が可能な高耐熱フィルムコンデンサー「FHシリーズ」を開発したと発表した。ハイブリッド車や電気自動車などの環境対応車に求められる高耐熱フィルムコンデンサーの需要に対応していく。コンバーターやモーター駆動用インバーターに使用されるコンデンサーは、高温保証のニーズが高まっており、電源ラインで使用されるコンデンサーは自己回復機能が求められる。従来の高耐熱フィルムコンデンサーは105度Cまでの温度保証が一般的で、高温域での自己回復機能が働きにくく、ショートする懸念があった。新製品は、今年9月にサンプル出荷を開始し、村田指月FCソリューションズが2018年4月から量産開始する予定。(2017年8月7日付日刊自動車新聞より)
再編
ソニーグループの電池事業を取得
-2017年9月、ソニーから電池事業の取得が完了。村田製作所は電池事業をエネルギー分野の中核事業に据える。ソニーが電池事業を村田製作所に移管するために設立した東北村田製作所を、村田製作所が取得した。村田製作所はソニーグループで培ってきた電池事業の技術力と事業経験を承継して、エネルギー分野の中核事業に据えて中期経営計画での経営目標の実現に向けて取り組みを本格化する。 (2017年9月20日付日刊自動車新聞より)
-2017年2月、ソニーから村田製作所への電池事業譲渡に関し2016年10月31日付のプレスリリースにて、2017年4月上旬を目途に本取引の完了をめざすと発表していたが、関係当局の審査の進捗状況を踏まえて、2017年7月上旬に変更すると発表した。 (2017年2月15日付プレスリリースより)
2019年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2019年3月期 (予想) |
2018年3月期 (実績) |
増減率 (%) | |
売上高 | 1,575,000 | 1,371,842 | 14.8 |
営業利益 | 240,000 | 162,100 | 48.0 |
同社株主に帰属する当期純利益 | 180,000 | 146,086 | 23.2 |
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2018年3月期 | 2017年3月期 | 2016年3月期 | |
コンポーネント | 46,909 | 37,887 | 32,888 |
モジュール | 30,425 | 28,828 | 31,465 |
その他 | - | 24 | 45 |
本社部門 | 16,847 | 15,070 | 13,584 |
合計 | 94,181 | 81,809 | 77,982 |
-2019年3月期の研究開発費は110,000百万円を予定。
-神奈川県横浜市みなとみらい21地区に新たな研究開発拠点「みなとみらいイノベーションセンター」設立すると発表。通信や自動車、エネルギーなどの市場向け製品の基礎研究や企画、デザイン、設計力の強化が狙い。センターは敷地面積7,414.88平方メートルで、延床面積65,607.71平方メートル。2018年5月に着工し、2020年9月に竣工予定。投資総額は約400億円で、従業員は1,000人以上となる見通し。(2017年11月29日付プレスリリースより)
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2018年3月期 | 2017年3月期 | 2016年3月期 | |
生産設備の増強・合理化等 | 194,101 | 88,869 | 122,845 |
研究開発用設備の増強 | 15,634 | 12,888 | 12,419 |
土地および建物の取得 | 57,638 | 35,096 | 14,681 |
全社 | 306,608 | 158,579 | 172,540 |
-2019年3月期の設備投資は340,000百万円を予定。
国内投資
-出雲村田製作所が2017年5月より同社敷地内において、第2厚生棟・物流棟を順次建設すると発表した。建設の背景には、村田製作所が、出雲村田製作所を積層セラミックコンデンサの開発・生産のマザー工場に位置づけており、積層セラミックコンデンサが、電装化が進展する自動車向けの需要が著しく増大していることがある。自動車には約1,000~3,000個の積層セラミックコンデンサが搭載される。今回の新たに建設する第2厚生棟は福利厚生施設の充実を、また物流棟は、構内物流の簡素化・合理化を目的としている。第2厚生棟・物流棟の竣工予定日は2018年5月、総投資額は38億円を予定している。 (2017年4月21日付プレスリリースより)
海外投資
<フィリピン>
-フィリピンの生産子会社が建設していた2棟目となる生産棟が完成し、竣工式を実施したと発表した。新しい生産棟は電装化が進む自動車向けの電子部品需要の増加などに対応するため、生産能力を増強するために建設した。フィリピン・バタンガス州にある生産子会社のフィリピン・マニュファクチャリング・コーポレーション・オブ・ムラタが第2生産棟を新設して積層セラミックコンデンサーの生産能力を増強する。建物は2階建で、延べ床面積が7万3117平方メートル。建物のみの投資額は50億円。主に中国や欧米自動車メーカー向けに、スマホや車載用の積層セラミックコンデンサーを製造する。(2018年3月22日付日刊自動車新聞より)
設備の新設計画 |
(2018年3月31日現在) |
会社名・事業所名 | 所在地 | 設備の内容 | 投資予定総額 (百万円) |
着手 | 完了予定 |
(株) 金沢村田製作所 | 石川県 白山市 |
コンポーネントおよびモジュール生産設備 | 51,000 | 2018年4月 | 2019年3月 |
(株) 出雲村田製作所 | 島根県 出雲市 |
コンポーネント生産設備 | 34,000 | 2018年4月 | 2019年3月 |
Murata Energy Device Wuxi Co., Ltd. | 江蘇省 無錫市 |
コンポーネント生産設備 | 24,000 | 2018年4月 | 2019年3月 |
(株) 福井村田製作所 | 福井県 越前市 |
コンポーネント生産設備 | 23,000 | 2018年4月 | 2019年3月 |
(株) 富山村田製作所 | 富山県 富山市 |
コンポーネントおよびモジュール生産設備 | 22,000 | 2018年4月 | 2019年3月 |
(株) 岡山村田製作所 | 岡山県 瀬戸内市 |
コンポーネントおよびモジュール生産設備 | 21,000 | 2018年4月 | 2019年3月 |