Weichai Power Co., Ltd. [濰柴動力股份有限公司] 2011年12月期の動向

ハイライト

2011年度の業績

(单位:百万元)
  2011年度 2010年度 増減率(%) 要因
売上高 60,019.27 63,279.56 (5.15%)

- 大型トラック市場の回復によるもの。

営業利益 7,169.91 9,245.18 (22.45%) -
経常利益 7,418.51 9,396.66 (21.05%)
純利益 6,319.99 7,999.10 (20.99%)

- 中国市場において、大型トラックに対する補助金の打ち切りにより、大型トラック用エンジン販売台数は前年比23.1%減の31万8400基となった。市場シェアは前年比横ばいで推移している。総重量14t以上の大型トラックでは、市場シェア36.16%に上昇。同社の子会社陝西法士特歯輪有限責任公司は、同17.74%減の70万1200基のトランスミッションを販売。(2011年同社の年鑑より)


合弁会社設立

- 2009年11月30日、同社は揚州市(Yangzhou city)の当局と戦略的パートナーシップを締結した。 合意内容は揚州市の自動車部品メーカーの競争力強化、および長江デルタ地区に同社の工場を拡張すること。 また同日付けで、扬州柴油机有限责任公司 (Yangzhou Diesel Engine Co., Ltd.)および江苏亚星汽车集团有限公司(Jiangsu Yaxing Automobile Group)と3社合弁で潍柴动力扬州柴油机有限责任公司 (eichai Power Yangzhou Diesel Engine Co., Ltd.)を設立、オープニングセレモニーを2010年2月1日に行った。


- 濰柴動力股份有限公司の子会社、陝西法士特歯輪有限責任公司は陝西法士特汽車伝動集団公司、卡特彼勒(中国)投資有限公司と共同で西安双特智能伝動有限公司(仮名)(Xi’an FC Intelligence Transmission Co., Ltd.)を設立する。陝西法士特は2.55億元を投資し、株式51%を持つ予定。法士特集団は0.2億元で4%、卡特彼勒は2.25億元で45%を保有し、合計で5億元となる。同社は商用車用AT(建築・工業・農業用ATを含まない)、他の伝送装備などの研究・開発および生産、販売を行う。また、自動車用伝送部品および他の機器部品を研究・開発、生産し、卡特彼勒やその他の株主に納入する計画。(2011年4月9日付けプレスリリース)

生産能力の増強

- 濰柴動力股份有限公司では同社の第2工場に藍擎(Landking)ブランドディーゼルエンジンWP12とWP10の生産ラインを完成し、量産を開始した。WP12の生産ラインは2本目となるもので、既存のラインよりも自動化レベルがアップし、オンライン検査設備の追加、品質保証能力の強化など改良が加えられている。年産能力は10万基。2本のライン増設により第2工場の年産能力は20万基に拡大し、国Ⅲ、国Ⅳ.国Ⅴ排気ガス基準適合エンジンを同一工場で全て生産できることになった。(2011年9月16日付け各種リリースより)

- 2011年11月、山東重工濰柴集団は重慶市重慶濰柴動力工业園でエンジン50万基を生産する工場の竣工式を行った。このプロジェクト用に敷地1000平方メートルを取得し、合計で60億元を投資。2020年までに年産50万基のエンジン生産体制を構築する。同工場生産製品で300億元規模の売上に達するとしている。生産された大型ディーゼルエンジンは主に大型自動車および工業機器に搭載される。(2011年12月6日付けプレスリリース)

新市場

- 濰柴動力股份有限公司の天然ガスエンジンWP6NG、WP7NG、WP10NG、WP12NGの4シリーズがロシアGOSTが発給するECER49-05B1ユーロⅣ排ガス基準適合証書を取得した。ロシアは現在ECEの定めるユーロⅣ排ガス基準を採用している。その基準に合わせ、ETC(European Transient Cycle)欧州過渡モードでの排出ガス試験をそれぞれ行った結果、同社の天然ガスエンジン4シリーズはすべて合格となった。これにより同社はロシア、CISおよび東欧への進出が可能となった。(2012年3月8日付けプレスリリースより)

子会社事業

- 濰柴動力股份有限 公司の子会社「株洲歯輪有限公司(Zhuzhou Gear Co., Ltd.)は2011年11月末1,500万元を投じて導入したトランスミッション自動組立ラインの稼働を開始した。同社は2012年の乗用車用トランス ミッション販売目標を30万台としているが、このラインの導入で目標達成を確実なものにしたいとしている。(2011年12月1日付けプレスリリースよ り)

- 子会社「株洲湘火炬火花塞有限責任公司(Zhuzhou Torch Spark Plug Co., Ltd)」の2010年のスパークプラグ生産量は前年比37%増となる1.34億個であった。売上は32%増で過去最高を記録、国内業界一位は連続8年と なった。また2010年は新たに富士重工へスパークプラグの供給を開始し、業界大手のNGK、デンソーの中国市場に食い込んだ。イリジウム、プラチナプラ グについては長安フォード、奇瑞汽車、華晨汽車、海馬汽車などへの独占供給に成功し、高圧ケーブルも吉利汽車集団への供給を開始した。(2011年2月14日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発体制

- 国内とオーストリアに研究開発センターを保有。

- 濰柴動力股份有限公司、カナダWestport InnovationおよびHong Kong Peterson (CNG) Equipment Limited.の3社による合弁会社「濰柴動力西港新能源発動機有限公司(Weichai Westport Inc.)」(2008年設立)は2012年3月、中国初の大出力筒内高圧直噴天然ガスエンジン(HPDIエンジン)を発表した。このHPDIエンジンは濰柴動力のWP12エンジンにWestportのHPDI技術を加えて製作されたもので、その出力とトルクはディーゼルエンジンと同等であり、従来のプラグ点火式天然ガスエンジンのそれを20%向上させている。酸化触媒を採用し、先ず5%のディーゼル燃料をシリンダーに注入し発火させ95%の天然ガスを300barの高圧で噴射し燃焼させる。それにより粒状物質排出量を70%、C02排出量を20%低減し、中国Ⅴ排ガス基準に適合する。ディーゼルエンジンが同基準に達するにはコストの高いSCR (Selective Catalyst Reduction)が必要とされる。HPDIエンジンは燃料である天然ガスの価格が安いことに加え、ノンスロットル機構によるエンジン負荷コントロールやコモンレール噴射エンジンに基づき設計された高圧直噴ノズルの採用により燃料消費を抑えられるため、燃料コストの大幅な削減を実現できる。またHPDIエンジンの部品はディーゼルエンジンとの互換性が高く、ピストンやエンジン本体の改造の必要がないことも利点として挙げられている。(2012年3月14日付けプレスリリースより)

- 2010年6月、同社は国内の大型トラック、バスメーカー、部品メーカーおよびメディア各社を招きグリーンパワー研究開発生産拠点と大出力ディーゼルエンジン150万基生産拠点の戦略計画発表会を開催。グリーンパワー生産拠点は「5810プロジェクト」と銘打ち、2012年500億元、 2015年800億元、2020年1,000億元の売上目標を設定している。大出力ディーゼルエンジンは年産能力の目標を2015年150万基、2020年200万基としている。(2010年6月29日付けプレスリリースより)

- 2003年10月に約1億元を投資して設立した欧州研発中心(Europe Technical Center)では、AVL社の技術提供を受け中国Ⅲ排ガス基準適合エンジン藍擎(Landking)国Ⅲを開発した。

技術提携

- 濰柴動力股份有限公司の子会社「陝西漢徳車橋有限公司(Shaanxi Hande Axle Co., Ltd.)」は清華大学(Qinghua University)自動車工学部との産学提携により設立した「アクスル技術共同研究センター」のオープンセレモニーを2012年3月に行った。こ の共同研究センターはアクスルの構造疲労強度、振動、騒音、総合試験の測定システムプラットホーム、アクスル構造性能の数字化試験プラットホームなどを構築し、ハイレベルの人材を育成し、国際的に先端レベルのアクスル研究開発拠点設立のために技術支援を行う計画。(2012年3月19日付けプレス リリースより)

- 2010年6月2日、同社は同済大学と新エネルギーパワートレイン開発における産学協同契約書に調印した。同社はこの産学協同により新エネルギーパワートレインの技術開発と産業化を実現したいと考えている。(2010年6月3日付けプレスリリースより)

設備投資

2011年度の主な設備投資

(自動車部品関連のみ)
投資項目 投資総額
(百万元)
進捗状況
陝西法士特歯輪(Shaanxi Fast Gear)の伝送設備技術改革 382.13 建設中
陝西法士特歯輪(Shaanxi Fast Gear)のトランスミッション技術改革 54.01 建設中
株洲歯輪(Zhuzhou Gear)の技術改革 74.11 建設中
濰柴動力(Weichai Power)の技術改革 864.48 建設中
スパークプラグの技術改革 5.46 建設中

投資

- 濰柴動力(Weichai Power)は、2015年までに重型(大型)トラックを年間25万台、大型変速機を年間100万基とする生産・販売目標を明らかにした。今後3-5年間 かけて、陜西省にある大型商用車及び変速機などの部品を生産する連結子会社(陝西重型汽車, 陜西法士特変速機など)に合計50億元の追加投資を実施し、生産体制を強化していく。(2010年4月付けプレスリリース)

工業団地の建設

- 2011年11月28日、山東重工濰柴集団は重慶市重慶濰柴動力工业園でエンジン50万基の生産プロジェクトの開催式を行った。このプロジェクトにおいて、敷地1000平方メートルを取得し、合計で60億元を投資し、2020年までに年産50万基の生産体制を構築させ、売上300億元相当に達するとしている。(2011年11月28日付けプレスリリース)