濰柴動力股份有限公司 2007年度の動向

ハイライト

2007年度の業績

単位：百万元	2007年12月
売上高	29,260.97
営業利益	3,206.14
経常利益	3,277.65
純利益	2,798.08

■吸収合併
-2007年4月、同社による大手自動車部品総合メーカー「湘火炬汽車集団股份有限公司 (Torch Automobile Group Co., Ltd.)」の吸収合併が正式に完了。湘火炬汽車集団は上場を廃止、また新たに同社が深圳証券取引所に上場を開始。

■合弁事業
-2007年8月、ドイツのマングループとエンジン生産合弁会社設立の意向書に調印。なお、両社の協力関係は1993年に商用車部門での提携から始まり、現在一部の14トン以上のトラックにマングループの技術が使われている。

-2007年10月、カナダのWestport Innovation Inc. 及び香港培新(中国)投資有限責任公司(Peterson Holdings) と合弁会社「濰柴動力西港新能源発動機有限公司 (Weichai Power Westport New Energy Engine Co., Ltd.)」設立の枠組み契約を締結。新合弁会社は自動車、発電、船舶用の代替燃料内燃機関を開発生産し、中国初の大出力新エネルギーエンジンメーカーとして重型車や公共バスのエコロジーを推進する計画。Westport のHPDI（High Pressure Direct Injection）技術は10リットル以上の大出力ガスエンジンに適合、大型エンジンメーカーの同社との間で合弁会社設立合意に至った。

■事業提携
-2007年6月、同社子会社の「陝西漢徳車橋有限公司(Shaanxi Hande Axle Co., Ltd.)」はインドAMW社(Asia Motor Works Ltd.)との間でアクスルの技術提供に合意した。契約によると、AMW社はインドに年産12万本のアクスル工場を建設、漢徳公司は工場設計と生産工程設計に有償で協力する。また漢徳公司はインド市場に適したアクスル技術をライセンス方式でAMW社に譲渡する。AMW社はCBU(Completely Build Up)方式でのアクスル輸入から始めて、徐々にSKD、CKD方式でのノックダウン生産に移行、最終的に国産化する。AMW社はインドのエッサール(ESSAR)財閥の子会社で主に重型商用車及び自動車部品を生産し、軽型商用車の開発にも着手している。

■12リットルエンジン市場への参入
-2007年10月、第1万基目となるWD12エンジン(排気量12リットル)が同社の新工場でラインオフした。同エンジンは2006年10月に正式に生産開始されたもので、約１年間で目標の1万基を達成。同エンジンの販売量も既に1万基を達成、同社はこれまで海外ブランドに独占されていた排気量12リットル、380馬力以上のエンジン市場への参入を果たした。2008年の受注予定は3万基超、2009年には5万基規模になる見込み。

開発動向

■研究開発体制
-国内とオーストリアに研究開発センターを保有。2003年10月に約1億元を投資して設立した欧州研発中心(Europe Technical Center)では、AVL社の技術提供を受け中国Ⅲ排ガス基準適合エンジン藍擎(Landking)国Ⅲした。

■製品開発

中国Ⅳ排ガス基準対応エンジンの開発
-2007年12月、中国Ⅳ排ガス基準を満たすディーゼルエンジン藍擎(Landking)国Ⅳの開発に成功。同社は2005年に中国Ⅲ排ガス基準適合エンジン藍擎(Landking)国Ⅲを開発、既に量産を開始しているが、今回更に藍擎(Landking)国ⅢWP12をプラットフォームとして中国Ⅳ排ガス基準を満たす新製品を開発に成功した。

商用車用パワートレインシステムの開発
-2007年12月、国内初となる客車、商用車用パワートレインの開発に成功。同社及び子会社「陝西法士特歯輪」、「陝西漢徳車橋」のエンジニアが共同で、開発期間6ヶ月、開発費用2千万元超をかけて完成させた。同社は同年4月の「湘火炬汽車集団股份有限公司」の吸収合併を経て、既存のディーゼルエンジン技術に、「陝西法士特歯輪」、「陝西漢徳車橋」のトランスミッション及びアクスル技術を加え、パワートレインメーカーとしての技術力を獲得。

設備投資

2007年度の主な設備投資 (自動車部品関連のみ)

投資項目	2007年の投資総額（百万元）	進捗状況
陝西法士特ステアリング生産設備建設	125.05	建設中 (2008年12月完成予定)
濰柴動力鋳/鍛造工場改築	295.73	完成
重型汽車用ディーゼルエンジンWD615/618の生産ライン拡張	148.26	建設中
重型汽車用ディーゼルエンジンWD615/618の生産ライン更新	103.25	建設中
濰柴動力生産試験室設備更新	113.72	建設中

■子会社の設備投資

1.「陝西漢徳車橋有限公司」のアクスル生産設備建設
-2007年9月、子会社「陝西漢徳車橋有限公司(Shaanxi Hande Axle Co., Ltd.)」の西安工場が完成、正式に生産を開始した。新工場の所在地は西安経済開発区涇渭工業園区(Xi’an Economy and Technology Development Zone Jingwei Industrial Park)、敷地面積5万平方メートル、シングルリダクションドライブアクスル7万本、ステアフロントアクスル5万本の年産能力を保有。アクスルハウジング熱間プレス、溶接、ドライブアクスル組立、フロントシャフト組立、アクスルアセンブリー塗装の5本の生産ラインの他、アクスルハウジング、ファイナルドライブ、ディファレンシャル等の機械加工ユニットも備えている。

2.「株洲湘火炬火花塞有限責任公司」の米Delphiスパークプラグ生産部門買収
-2007年10月、子会社「株洲湘火炬火花塞有限責任公司(Zhuzhou Torch Spark Plug Co.,Ltd.)」は米Delphiのスパークプラグ部門を買収し、生産ライン15本を取得した。これにより同子会社の年産能力は9千万個から2.3億個に増加する。今回の買収により同社は生産能力の増強と、研究開発レベルの向上を図る。

3.「株洲歯輪有限責任公司」の新生産拠点建設
-2007年10月、子会社「株洲歯輪有限責任公司(Zhuzhou Gear Co., Ltd.)」の乗用車用トランスミッション事業部は河西高新開発区(Hexi Hi-Tech Development Zone)の新生産拠点の第一期工事を正式に開始。新拠点の敷地面積は20万平方メートル。

■自己資金による設備投資計画 (自動車部品関連のみ)

投資項目	2008年の予算額（百万元）
鋳造センター設備更新・増設	150.00
陝西法士特ステアリング生産設備調整	250.00

■増資による設備投資計画
-2007年11月、同社取締役会は募集株式による増資を行うことを決定。予定発行株数はA株6千万株以下。募集資金は55億8千万元以下。資金は以下の設備投資に用いる。

	投資項目	投資予定額
1.	「藍擎(Landking)」シリーズディーゼルエンジン年産10万基規模生産ライン及びその関連施設建設。	20億元
2.	エンジン及び完成車の開発、試験、分析設備とその関連施設建設。	15億元
3.	業務支援のための情報システム及び情報センター建設。	5億元
4.	子会社「陝西重型汽車有限公司」の新重型商用車商品化設備建設。	6.9億元
5.	子会社「陝西法士特歯輪有限責任公司」の多段多軸重型トランスミッション商品化設備建設。	5.1億元
6.	子会社「株洲歯輪有限責任公司」のトランスミッション生産設備更新。	3.8億元