WABCO Holdings Inc. 2016年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
2016年
12月期
2015年
12月期
増減率 (%) 要因
売上高 2,810.0 2,627.5 6.9 1)
営業利益 355.9 270.9 31.4 -


要因
1) 売上高
-2016年12月期の売上高は、前年比6.9%増の2,810.0百万ドル。為替の影響を除くと8.7%増。自動車1台あたりの製品採用が増えたことが要因。北米および南米では商用車およびバスの生産減少により売上減となった一方、欧州およびアジアで売上が増加した。

買収

-大型トラックやトレーラー向けにエアロダイナミクス製品を生産するLaydon Composites (LCL) を買収したと発表した。LCLは、カナダのオンタリオ州Oakville を本拠とし、2015年売上高は約25百万カナダドル。LCLの折り畳み式エアフェアリングは牽引車周辺の気流を改善し、燃料消費量を12%削減するという。また、トレーラー向けのSmartWay Elite認証を取得している「Trailerskirt」とノーズフェアリングは、空気抵抗を低減し、合わせて9%の燃費向上を実現するほかCO2排出も低減する。(2016年4月19日付プレスリリースより)

最近の動向

-Meritor WABCOの衝突緩和システム「OnGuard」および車線逸脱警告システム「OnLane」の採用により、安全性が高まることを実証する調査結果が発表された。米運輸省道路交通安全局 (NHTSA) が実施した大型車両の衝突回避システムに関する実地調査 (Field Study of Heavy-Vehicle Crash Avoidance Systems) によると、衝突回避システムを装着したトラックによる前方車両への追突事故の発生件数は、1年間で0件だったという。また、システム全体が安全運転に悪影響を及ぼすことなく、意図された機能を発揮した。さらに、複数のフリート会社の安全管理担当者からは、この衝突回避システムを標準装備として推奨したいと報告があがっている。(2016年6月15日付プレスリリースより)

-合弁会社Meritor WABCOを通じて販売した衝突緩和システム「OnGuard」の累計販売数が北米市場で10万基超を達成したと発表。現在、200社以上のフリートオペレーターがこのシステムを採用している。複数の大型トラックのフリートオペレーターによると、「OnGuard」の採用により事故が65~87%減少したほか、事故費用も最大89%削減されたという。(2016年3月31日付プレスリリースより)

受注

-中国重型汽車 (China National Heavy Truck Corporation) や東風柳州汽車 (Dongfeng Liuzhou Motor) など中国の大手トラックメーカー数社において、WABCOの電子制御式エアサスペンション (ECAS) システム「OptiRide」の採用が引き続き増加していると発表した。2014年以降、WABCOは中国で初となるトラック・バス向けECASシステムの単独サプライヤーとなっている。「OptiRide」は、最適なライドパフォーマンスを提供しながら、最大3%の燃費向上を実現する。(2016年8月30日付プレスリリースより)

-吉利汽車 (Geely) から受注した複数年契約について詳細を発表した。新たに受注した契約では、中国で販売される吉利汽車のSUVなど乗用車向けに、2019年よりバキュームポンプを納入する。生産は引き続き、WABCOの山東省青島 (Qingdao) 工場で行う予定。なお、WABCO Chinaは、吉利汽車より2016年「Supplier Excellence」賞を受賞している。(2016年8月10日付プレスリリースより)

-Mahindra & Mahindraよりバキュームポンプを受注したと発表した。Mahindra & Mahindraの主力エンジンプラットフォーム全てに採用される予定。WABCOは2017年後半に、インドでこの製品の量産を開始する。このバキュームポンプは、小型・軽量のモジュラー設計で、ブレーキシステムにおいて超低消費電力を実現する。(2016年8月3日付プレスリリースより)

-Cummins向けにグローバルで高性能エアコンプレッサーを生産・納入する長期契約を締結したと発表した。これにより、WABCOとCumminsの米国合弁会社の事業拡大につなげる。サウスカロライナ州CharlestonにあるWABCO Compressor Manufacturingは、WABCOが過半数株式を保有し、Cumminsとの合弁で1998年に設立された。今回の契約により、WABCOは北米においてCumminsにトラック、バス、産業機械用エアコンプレッサーを納入する単独サプライヤーとなる。また、南米、欧州、インドにあるCumminsの生産拠点でもWABCO製エアコンプレッサーの需要が大幅に高まるほか、アジアでもさらなる成長が見込まれている。(2016年4月28日付プレスリリースより)

-2015年第2四半期から2016年第1四半期における世界市場での新規受注総額が918百万ドルに達する見込みと発表した。このうち、2016~2020年の売上に貢献するのは612百万ドル。これらの新規契約には、既存契約の代替および更新は含まれていない。主に商用車向けの車両ダイナミクスシステム、エアマネジメントシステム、車載電子システム、トランスミッション自動化システム、電子制御式サスペンションシステム、ブレーキシステムのほか、乗用車用部品およびシステムなど、車両の安全性および燃費向上に貢献する製品を受注した。また、トラック、トレーラー、ドライバー、フリート管理者の連携を強化するフリート管理システムも含まれる。なお、新規契約の3分の2は中国、インド、ブラジルなど新興国で受注した。(2016年4月14日付プレスリリースより)

-Daimlerにエアディスクブレーキ「MAXX」の納入を開始したと発表した。Daimlerは、「Actros」、「Antos」、「Arocs」など欧州向け大型トラックのプラットフォームに、WABCOのシングルピストンタイプのエアディスクブレーキを採用。Daimler向けに納入しているエアディスクブレーキのパッケージには、フロントアクスル用の「MAXX 22」とリアアクスル用の新型「MAXX 22L」が含まれる。(2016年3月9日付プレスリリースより)

受賞

-Meritor WABCOは、Daimler Trucks North America (DTNA) より2015年「Masters of Quality Supplier Award」を受賞したと発表した。DTNAの「Freightliner」や「Western Star」ブランドのトラック向けに納入した部品やサービスが評価されたもの。米国のケンタッキー州Hebronと、メキシコのヌエボ・レオン州MonterreyにあるMeritor WABCO2つの生産工場が受賞した。(201696日付プレスリリースより)

-吉利汽車 (Geely) から受注した複数年契約について詳細を発表した。新たに受注した契約では、中国で販売される吉利汽車のSUVなど乗用車向けに、2019年よりバキュームポンプを納入する。生産は引き続き、WABCOの山東省青島 (Qingdao) 工場で行う予定。なお、WABCO Chinaは、吉利汽車より2016年「Supplier Excellence」賞を受賞している。(2016年8月10日付プレスリリースより)

-Meritor WABCOは、日野の米国子会社Hino Motors Manufacturing U.S.A.より2015年「Excellence in Quality Award」および「On-Time Delivery Performance Award」を受賞したと発表した。Meritor WABCOが日野の品質賞を受賞するのは過去8年間で7回目。納期遵守 (on-time delivery) の実績が評価されたのは今回が5回目となる。Meritor WABCOは、2003年から日野が北米で生産する商用車向けに空圧式・油圧式ABSを納入している。(2016年7月12日付プレスリリースより)

研究開発費

(単位:百万ドル)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
全社 135.2 139.5 145.0

研究開発拠点

-2016年にドイツでR&Dセンターの新規建設を推進しており、2017年中に完成する見込み。

研究開発体制

-2,382人が研究開発に従事している。

製品開発

「Evasive Maneuver Assist (EMA)」システム

-商用車用衝突回避システム「Evasive Maneuver Assist (EMA)」の試作品を発表した。ZFとの共同プロジェクトにより開発した技術で、WABCOのトラック、トレーラー向け先進ブレーキ技術、安定制御技術、車両ダイナミクス制御技術とZFのアクティブステアリング技術を組み合わせたもの。商用車の自動運転を実現するための大きな一歩になると期待されている。 (2016年6月29日付プレスリリースより)

「OnLane」車線逸脱警告システム

-車線逸脱警告システム「OnLane」の次世代製品を発表した。録画機能および準リアルタイムのビデオ分析機能がついたSmartDriveの運転性能管理システムと連携させたもの。また、カメラには車線の認識機能やビデオストリーミング機能も組み合わせている。さらに、車線追跡アルゴリズムにより車線認識機能の精度も高めた。これらの機能を加えたことで、新製品では2つの前方監視カメラが不要になったという。(2016年3月31日付プレスリリースより)

特許

2016年12月31日現在、319件の特許を保有している。

設備投資額

(単位:百万ドル)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
全社 114.0 101.2 135.9

-2017年12月期は、設備投資額を前年度比で最大10%増加させる見込み。

海外投資

<米国>
-北米で生産能力を拡大する。17百万ドルを投じて米国のサウスカロライナ州Charlestonに新工場を建設した。北米におけるOEM需要の増加に対応するため、エアコンプレッサーおよびブレーキシステム部品を生産する。