WABCO Holdings Inc. 2015年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
2015年
12月期
2014年
12月期
増減率 (%) 要因
売上高 2,627.5 2,851.0 (7.8) 1)
営業利益 270.9 331.0 (18.2) -


要因
1) 売上高
-2015年12月期の売上高は、前年比7.8%減。 為替の影響を除くと6.6%増。6トン以上のトラック・バスの生産がグローバルで7.0%減少したものの、自動車1台あたりの製品採用が増えたことが増収要因。

2015年12月期地域別売上

地域 前年比売上増減率 (%) 為替影響を排除した
場合の増減率 (%)
要因
欧州 (11.2) 6.6 EURO VIプラットフォームでのデュアルソーシングにより減収だったものの、アフターマーケットが好調であり、自動車1台あたりの製品採用が増えたことも増収につながった。
北米 8.5 18.1 トラック・バスの生産増
南米 (48.5) (29.3) ブラジルにおいてトラック・バスの生産が推定で44%減
アジア 4.8 11.8 韓国以外のすべての主要国で自動車1台あたりの製品採用増
-中国 5.7 7.8 -
-日本 (10.9) 2.2 -
-韓国 (25.2) (18.1) -
-インド 32.9 40.1 6トン以上のトラック・バスの生産増

受注

<中国>
-2015年12月16日、東風柳州汽車 [Dongfeng Liuzhou Motor] と戦略的提携の長期契約を結んだと発表。それによると、同社はABS、電動ブレーキシステムEBS、ESCsmart車両安定電子制御システム (ESC)、OptiRide電子制御エアサスペンション (ECAS) などを、東風柳州汽車の現行中型・重型トラック用プラットフォーム向けに供給する。 (2015年12月16日付けプレスリリースより)

-2015年8月、新たに顧客となった中国の大手トラックメーカー江鈴重型汽車有限公司 [JMC Heavy Duty Vehicle (JMCH)] と複数の長期供給契約を締結したと発表。同社が納入するのは、エアディスクブレーキ 「MAXX」 を含むホイールエンド部品、従来型ブレーキバルブやその他のブレーキ部品、クラッチサーボなど。これらの部品は、JMCHの2種類の新型プラットフォーム向けで、複数の中型・大型トラックブランドに使用される予定。 (2015年8月19日付プレスリリースより)

<欧州>
-2015年10月、欧州の大手車体メーカー2社の商用車プラットフォーム向けに、同社の先進安全システムが認定されたと発表。WABCOの先進緊急ブレーキシステム 「OnGuardACTIVE」 と車線逸脱警告システム 「OnLane」 を採用したベルギーのVan HoolとオランダのVDL Bus & Coachは、2015年11月1日に施行される先進運転支援システム関連の欧州規制に準拠することが可能になるという。両車体メーカーはすでに、欧州市場向けにWABCOの技術を採用したプラットフォームの量産を開始している。 (2015年10月13日付プレスリリースより)

<米国>
-2015年9月、Meritor WABCOは、Thomas Built Busesのスクールバス 「Saf-T-Liner C2」 に、同社の横滑り防止装置 「SmartTrac」 が搭載されたと発表した。Thomas Built Busesは、2015年9月よりこの 「SmartTrac」 の搭載を開始する予定。「SmartTrac」 は、車両の制御不能につながる横転や方向不安定性のリスクがある場合に、自動で介入するアクティブセーフティシステム。 (2015年9月9日付プレスリリースより)

-2015年3月、Hendrickson Trailer Commercial Vehicle Systemsに、北米でトレーラー向けのエアディスクブレーキ (ADB) を供給する長期契約を締結した。これにより、同社は北米仕様のトレーラー用ADBシステム 「MAXX22T」 を発売する。この新型システムは、WABCOのブレーキシステムにHendricksonの中型・大型車用サスペンションシステムおよびアクスルシステムを組み合わせている。 (2015年3月25日付プレスリリースより)

<ロシア>
-2015年9月、ロシアの大型商用車メーカー向けに、主要サプライヤーとして既存製品から新製品までさまざまな製品を納入する長期供給契約を締結したと発表。今回の契約により、同社はこの自動車メーカーとの提携を強化し、アンチロックブレーキシステム (ABS) や電子制御ブレーキシステム (EBS)、トラクションコントロール、横滑り防止装置 (ESC)、電子制御式エアサスペンションシステムをはじめとするブレーキ・エアマネジメント製品を供給する。これまで10年以上にわたって、このロシアの大手自動車メーカーにブレーキシステム、スタビリティシステム、サスペンションシステムなどを納入している。 (2015年9月7日付プレスリリースより)

再編

-2015年9月、西欧の2拠点で生産を停止する方針を提案した。機械部品のグローバル競争力を維持する目的。今回対象となるのは、オランダのMeppel工場とフランスのClaye-Souilly工場で、従業員約320名の削減が見込まれる。この2工場では、従来型の機械部品を生産している。今回の提案によれば、生産を他拠点に移管したうえで2016年下期にMeppel工場、2017年下期にClaye-Souilly工場において生産を停止するとしている。 (2015年9月23日付プレスリリースより)

受賞

-東風柳州汽車 [Dongfeng Liuzhou Motor] より、「優秀サプライヤー賞」、「エクセレント品質賞」、「戦略的提携サプライヤー賞」 の3賞を受賞した。 (2015年12月16日付けプレスリリースより)

-Tata Motorsより 「Supplier of the Year」 を受賞した。 (2015年11月24日付プレスリリースより)

-Meritor WABCOは、品質および納入実績が評価され、Wabash Nationalより2015年 「Platinum Supplier Award」 を受賞した。Meritor WABCOは、「SmartTrac」 トレーラー用アンチロックブレーキ (ABS) や横滑り防止装置、「InfoLink」 データゲートウェイシステムなどをWabashに納入している。 (2015年10月6日付プレスリリースより)

-Meritor WABCOは、Hino Motors Manufacturing U.S.A.より2014年 「Excellence in Quality Award」 を受賞した。同社がこの賞を受賞したのは、過去7年間で5回目となる。Meritor WABCOは、日野が米国のウェストバージニア州Williamstownとカナダのオンタリオ州Woodstockで生産している商用車向けに、空圧式・油圧式ABSを納入している。同社は2014年の1年間で、ゼロPPMと納期厳守率100%を達成した。 (2015年7月21日付プレスリリースより

見通し

-2016年12月期の売上高は、現地通貨ベースで前年比6~11%増加すると予測。

研究開発費

(単位:百万ドル)
2015年12月期 2014年12月期 2013年12月期
全社 139.5 145.0 119.4


-全従業員の約16%が製品開発に従事。

研究開発拠点

<インド>
-2015年9月、インドのChennaiに65,000平方フィートの新たな施設を開設したと発表。同社のソフトウェアエンジニアリング能力およびシェアードサービスを大幅に拡充するとみられる。この施設では、ソフトウェアエンジニアリング能力を強化して、新興市場向け製品およびシステムの現地開発をサポートするほか、商用車向け先進技術のグローバル開発に貢献する。同社はインドにおけるソフトウェアエンジニアの数を2010年の2倍以上となる約250名に増員している。今後5年間で、さらに150名のエンジニアを増やす見込み。また、この新たな施設には、約110名から成るビジネスサービス部門も入居する予定で、会社全体のコスト効率や業務効率の改善に努める。 (2015年9月2日付プレスリリースより)

<米国>
-2015年3月、北米でのエンジニアリング能力増強に向けて、米国のミシガン州Rochester Hillsに商用車用部品の開発試験施設を開設した。トラック・バス・トレーラーの安全性や燃費向上に貢献する次世代製品の開発をサポートする。1.5百万ドルを投じた新施設の面積は4,400平方フィート。50名超の技術者が、北米の商用車メーカーやフリート管理会社向けに新しい製品やシステムの開発を行う予定。(2015年3月25日付プレスリリースより)

共同開発

-フリートの運行安全性と燃費の向上に向けた運転性能管理システムを開発するSmartDrive Systemsとの提携を強化する。米国を本拠とするSmartDrive Systemsに20百万ドルを投資。世界の商用車フリート向けにビデオベースの次世代分析システムを共同開発する計画。SmartDrive Systemsが提供するリアルタイムのビデオベースの運転性能管理・データ分析サービスは、WABCO製の先進ブレーキシステムや安定制御システムなど、データ量の豊富な車載システムからリアルタイムで情報を統合する。 (2015年3月25日付プレスリリースより)

製品開発

衝突緩和システム 「OnGuard」、「OnGuardACTIVE」
-Meritor WABCOは、同社の衝突緩和システム 「OnGuard」 が、業界で初めて中型トラックにも搭載可能になったと発表。「OnGuard」 は2007年以降、大型トラックに広く搭載されており、北米での販売数は9万ユニット、同システム搭載車の累計走行距離は320億マイルを超えている。なお、「OnGuard」 シリーズの新製品である 「OnGuardACTIVE」 は、2016年に中型・大型トラック向けに販売開始となる予定。 (2015年9月3日付プレスリリースより)

-「OnGuardACTIVE」 は、77GHzのレーダーセンサーを用いることで、あらゆる天候下で高いパフォーマンスを維持できるという。既存の24GHzレーダーの衝突緩和システムに比べて5倍の高帯域を実現。デュアルモード機能により、長距離に対応しながら隣の車線も監視できる。これにより対象物を高精度に検知し、同等のシステムに比べて検知距離を30%以上拡大した。最大650フィート先の対象物も検知できるため、危険な状況の早期発見につながるとみられる。 (2015年3月25日付プレスリリースより)

設備投資額

(単位:百万ドル)
2015年12月期 2014年12月期 2013年12月期
全社 100.6 135.9 121.5

海外投資

<米国>
-北米で生産能力を拡大する。17百万ドルを投じて米国のサウスカロライナ州Charlestonに新工場を建設し、エアディスクブレーキやエアコンプレッサー、関連システムの需要増加に対応する。新工場の面積は145,000平方フィートで、2015年末までに完成する予定。その後、Charlestonにある既存工場を新工場へ移転する。新工場は2016年第1四半期にフル稼働に達する見込み。現在の175名の従業員に加え、50名超を増員するとみられる。 (2015年3月25日付プレスリリースより)

主要合弁会社

会社名 所在地 事業内容 出資
比率
(%)
合弁相手
WABCO Japan, Inc. 日本 WABCO製品の販売 90 三輪精機
WABCO Compressor Manufacturing Co. 米国 WABCO開発のエアコンプレッサーの製造 70 Cummins Engine
Guangdong WABCO FUWA Auto Braking System Co., Ltd. 中国 トレーラー向けエアディスクブレーキの製造 70 広東富華重工製造有限公司 (Guangdong FUWA Heavy Industry)
WABCOWURTH Workshop Services GmbH ドイツ 商用車向け診断システム 50 Wurth Group
Meritor WABCO 北米 ABS・その他車両コントロール製品の販売 50 Meritor
WABCO Automotive South Africa 南アフリカ ブレーキシステムの販売 49 Sturrock & Robson