WABCO Holdings Inc. 2014年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
  2014年
12月期
2013年
12月期
増減率 (%) 要因
売上高 2,851.0 2,720.5 4.8 1)
営業利益  331.0 331.9 (0.3) -

要因
1) 売上高
-2014年12月期の売上高は、前年比4.8%増の2,851.0百万ドル。フリート管理システム大手 Transics International の買収と自社製品の搭載需要の拡大が寄与した。

-地域別売上高は、最大のマーケットである欧州が0.1%の微増にとどまったものの、北米は自社製品の搭載需要の拡大やトラック・バスの生産増を背景に29.3%増、アジアはインドと中国をけん引役に13.3%増を達成。一方、南米は12.0%減となった。

-2014年12月期は北米で先進技術関連の売り上げが大きく伸び、トラックメーカーからの需要拡大によりAMTシステムの売り上げは110%増、商用車メーカーやフリート向けの衝突軽減システム 「OnGuard」 の売り上げは49%増を達成。

買収

-2014年2月に ベルギー子会社 WABCO Europe を通じてベルギーのフリート管理システム大手 Tavares を111.1百万ユーロで買収。

-2014年7月にフランスのフリート管理システム大手 Transics International を買収。同年9月に同社のテレマティクス製品 「TrailerGuard」 とTransicsのバックオフィス用ソフト 「TX-CONNECT」 を融合した次世代フリート管理システム 「TXTRAILERGUARD」 を導入。2015年1月に、Transics  がノルウェーの食料品店大手 ASKO NorgesGruppen とフリート管理システムを供給する契約を締結。ASKOのトラックおよびトレーラー700台に車載コンピューター、モバイル製品、バックオフィス用ソフトウェアなどを納入する。

事業動向

電子制御式エアサスペンション (ECAS) システム 「OptiRide」
-電子制御式エアサスペンション (ECAS) システム 「OptiRide」 を、中国のトラック市場向けに販売。これに伴い中国重型汽車 (China National Heavy Truck Corporation: CNHTC) が、さまざまなアクスル構造を持つ複数の量産型トラックプラットフォーム向けに 「OptiRide」 を採用した。中国では、すでに約4万台のバスにこのシステムが搭載されているという。(2014年9月24日付プレスリリースより)

アダプティブクルーズコントロールシステム 「OptiPace」
-独HanoverにおけるIAA国際商用車ショー2014で、地形に合わせた低燃費走行が可能なトラック・バス用のアダプティブクルーズコントロールシステム 「OptiPace」 を発表。すでに、大手商用車メーカーと長期供給契約を新たに締結しており、2016年に量産開始予定のモデルにこの 「OptiPace」 が採用されたという。(2014年9月23日付プレスリリースより)

モジュラーブレーキシステム 「mBSP」
-モジュラーブレーキシステム 「mBSP」 を発売。すでに、欧州を本拠とするグローバル商用車メーカー2社より受注している。この 「mBSP」 を使用することで、さまざまなトラック・バスのプラットフォームに、アンチロックブレーキシステム (ABS) と電子制御ブレーキシステム (EBS) のどちらでも装着できるようになる。また、ABS部品の数は50%削減され、EBSの部品点数と同数になった。今回の受注のうち、1件目では次世代トラック・バス向けに、ABS・EBS部品付き 「mBSP」 を納入する。これらの車両は欧州・北米・ブラジル・インドで2017~2021年まで生産されることになる。これにより同社のブレーキシステムは、複数のブランド向けに生産されるトラック・バス45万台超に装着される予定。2件目では、2018~2022年の間に複数の商用車向けにEBSを納入する。最終的には、主に欧州で販売されるトラック約17.5万台に装着される見込み。(2014年7月17日付プレスリリースより)

自動マニュアルトランスミッションシステム 「OptiDrive」
- インドChennaiのテストコースにおいて、トラック・バス用の自動マニュアルトランスミッションシステム「OptiDrive」を公開。 「OptiDrive」 AMTシステムは、トラック・バスの燃費を最大5%向上させる。また、インドでの実験において、フリート管理会社2社による報告では、 「OptiDrive」 システムを装着したバスが平均で最大8%の燃費向上を実現したとしている。(2014年5月21日付プレスリリースより)

電子空気処理システム
-同社とMeritorの合弁会社であるMeritor WABCOは、北米のトラック市場に燃費性能に優れた電子空気処理システムを発表。このシステムは、エアドライヤー 「System Saver 1200 Plus」 と、Meritor WABCO製ABSに搭載されたソフトウェアを組み合わせたもの。「System Saver 1200 Plus」 は現在、4つの商用車ブランドに採用されているほか、自動車メーカー3社の複数のモデルに標準搭載されている。(2014年3月28日付プレスリリースより)

トレーラー用エアロパーツ 「OptiFlow」
-トレーラーの空気抵抗を減らし、燃費向上や排ガス削減に寄与。これは2012年に買収したオランダのEphicas社の技術に基づく。

受注

- 欧州を本拠とする大手商用車メーカーとの間で長期供給契約を締結。東南アジアの新たな市場に投入される新型トラックプラットフォーム向けに、ブレーキアクチュエーターを納入する。インド拠点で設計されたこの製品は、東南アジア地域において用途に応じて適応できるという。生産は、タイのラヨーン県にある同社の工場で行う予定。さらに、同顧客との既存契約の延長により、このタイ工場ではタイ、インド、中国で生産される中・大型トラック向けの製品の生産を2021年まで継続する予定。(2014年8月14日付プレスリリースより)

受賞

-WABCO Compressor ManufacturingがCumminsにより米国におけるトップサプライヤー賞を受賞。

開発動向

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
全社 145.0 119.4 104.3

-全従業員の約16%が製品開発に従事。

エンジニアリングセンター

-インドのPuneに応用エンジニアリングセンター (Application Engineering Center) を開設。2015年末までに技術者15名を配置する予定。同センターは、Tata Motorsを含む自動車メーカー向けに、商用車の新型プラットフォームやモデル開発におけるシステム設計、応用エンジニアリング、プロジェクト管理支援など幅広いサービスを提供する。(2014年5月5日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
全社 135.9 121.5 100.5

新工場

-インドのLucknowに同社にとってインドで5番目となる生産拠点を開設。新工場では、ABSやアクチュエーターのほかさまざまなブレーキバルブを生産し、Tata Motorsなどインドに拠点を持つグローバル商用車メーカー向けに納入する。工場面積は11エーカー (40,500平方メートル) で、現時点で従業員約150名を雇用している。2015年末のフル稼働時には約300名まで増員する見込み。(2014年9月3日付プレスリリースより)

主要合弁会社

会社名 所在地 事業内容 出資
比率
(%)
合弁相手
WABCO Japan, Inc. 日本 WABCO製品の販売 90 三輪精機
WABCO Compressor Manufacturing Co. 米国 WABCO開発のエアコンプレッサーの製造 70 Cummins Engine
GuangDong WABCO FUWA Auto Braking System Co., Ltd. 中国 トレーラー向けエアディスクブレーキの製造 70 広東富華重工製造有限公司 (Guangdong FUWA Heavy Industry)
WABCOWURTH Workshop Services GmbH ドイツ 商用車向け診断システム 50 Wurth Group
Meritor WABCO 北米 ABS他の販売 50 Meritor
WABCO Automotive South Africa 南アフリカ ブレーキシステムの販売 49 Sturrock & Robson