ArvinMeritor 2006年9月期の動向

ハイライト

業績
単位:
百万米ドル
2006年
9月期
2005年
9月期
増減率

要因

全社

売上高 9,195 8,873 +3.6% 売上増の要因は、CVS事業における商用トラックとトレーラーの好調な生産とLVS事業におけるパス・スルー(*)の順調な販売によるもの。増加分の一部は為替により一部相殺されている。これは、対ドルのユーロ高が主たる要因となっており、これによる差損分は7200万ドルに相当する。加えて北米におけるLVS事業の販売低迷も売上増相殺の要因。前期間中に処分されたLVS事業の一部と、CVSのオフハイウェイブレーキ部門の資産売却は2006年度売上に対して8100万ドルのマイナス要因となっている。
*パス・スルー:同社が現地で材料を調達し、完成品に組み立て、納入する製品。
営業利益 (119) 184 - 営業損失は2006年度第4四半期に実施した小型トラックの排気技術事業で3億1,000万ドル相当の営業権減損コストを計上したことが主たる原因となっている。カナダ・オンタリオのTilbury工場の商用車用ブレーキ製造ラインで発生した労働争議と製造停止の問題も営業収入に対してマイナス要因となり4,500万ドルの影響があった。2006年度の営業損失にはCVSのオフハイウェイ・ブレーキ事業の一部資産の売却による収入2,300万ドルも含まれる。

純利益

(175) 12 - -
部門別

小型車システム部門(LVS)

売上高 4,905 4,819 +1.8% LVSの販売は対前年比で8,600万ドルないし2%の増加で49億5百万ドルを計上した。為替レート変動のよる影響は販売高の4,000万ドル相当の減少要因となった。昨年度パス・スルー事業は13億ドルであったが2006年度では16億ドルに上昇した。パス・スルー事業は好調であったが、低価値製品の販売、低い販売価格、一部事業の売却などで一部相殺された。

商用車システム部門(CVS)

売上高 4,290 4,054 +5.8% CVS販売は前年度比で6%増の42億9,000万ドルを計上した。売上増の主たる要因は商用トラックとトレーラーの販売好調に起因している。2005年に比較すると、北米市場のクラス8に属する大型トラックの生産量が8%増加、また中型トラックも4%の増加がみられた。西欧州でも大型・中型トラックの生産量は4%伸びた。こうした販売増を相殺した要因はオフハイウェイ・ブレーキ事業での一部資産売却(約5,700万ドル)と、為替差損(3,200万ドル)があげられる。

受注
小型車システム部門 (LVS)
・以下、2007年2月現在の製品搭載プラットフォーム ( )内は、主要モデル
-VW PQ34/35(Golf, Touran, Audi A1, Skoda Octavia)
-Hyundai NF/CM (Santa Fe, Sonata)
-Renault C (Megane, Scenic)
-Dodge DR-DE (Ram)
-VQ PQ24/25(Polo, Ibiza、Audi A2, Skoda Fabia)
-Ford C1 (Focus, C-Max, Volvo S40/V50)
-GMT 380/390 (TrailBlazer)
-Honda CYR2/UM (Accord, Odyssey, Pilot)
-VW 7L (Audi Q7)
-Peugeot PF1 (207)

その他、
2005年12月、中国の大手自動車メーカーに対して、新規に受注した79百万ドルの複数年契約の一部として2007年式モデル用のウィンドレギュレーターやモーターを含むシートドアモジュール一式を供給すると発表した。同社では、顧客の近くに最終組立を行なうCustomer Value Centerを設置することにしており、2006年10月から納入を開始予定。


商用車システム部門(CVS)
・以下、2007年2月現在の製品搭載プラットフォーム ( )内は、主要モデル
-Volvo Trucks HD (FH、FH16)
-Freightliner Class 8 (Coronado, Century S/T, Columbia)
-Renault Trucks HD (Premium, Magnum)
-Mack/Volvo Class 8 (VT, VN, Pinnacle, Vision)
-International Class 8 (ProStar, 8000シリーズ, 9000シリーズ)
-International MD (4000シリーズ、CFシリーズ)
-Freightliner/Sterling MD (Business Class, Cargo, 360)
-Armor Holdings (軍用車)
-GM MD Trucks (W-シリーズ、T-シリーズ)
-Iveco HD (Stralis, Trakker)

その他、
2006年11月、Meritor WABCO とInternational Truck and Engine CorporationはMeritor WABCO製の新型油圧パワーブレーキ(HPB)をInternational社製中型トラックの特定車種に標準装備として搭載することで合意に達した。この新型HPBはMeritor WABCOが開発する油圧操作とアンチロックブレーキシステム(ABS)を組み合わせた次世代型システムでフルパワーブレーキ機能と電子制御動力配分システム(EBD)を備えている。自動トラクション制御(ATC)もオプションとして同時に提供する。

2006年1月、ArvinMeritor商用車システム部門は、"Meritor"路線バス用アクスルおよびブレーキが、ハイブリッドバスコンソーシアムの購入契約の一部に選定されたと発表した。コンソーシアムは、カリフォルニア州、ネバダ州、ニューメキシコ州の11の交通局で構成される。この契約は北米の大手路線バスメーカーの一つであるGillig Corporationが受注した。契約内容は、最大で157台の30フィート、35フィート、40フィートのディーゼルハイブリッドバスに製品を供給するというもので、納入が今年から始まり2007年後半まで続く。単一減速ドライブアクスルMeritor 71000シリーズが、35フィートおよび40フィートのバスに搭載される。30フィートのバスには、R-160シリーズアクスル(容量21,000 lb.)が搭載される。どちらのアクスルシリーズも、低騒音を実現する"Quiet Ride"ギアが特徴となっている。

売却
- 2005年10月、オフハイウェイ・ブレーキ事業の資産をCarlisle Companies Incorporated子会社のCarlisle Braking Productsに売却すると発表。
- 2005年10月、Asti工場における"mobilita"(集団解雇)の手続を開始したことを発表。
- 2006年2月、Purolatorフィルター事業(従業員数は約1100名、ノースカロライナ州Fayetteville市)のBosch社とMANN+HUMMEL社の合弁企業への4月1日をめどに売却を発表。
-2006年3月、テネシー州Loudonとカナダ・ニューブランズウィック州Monctonに拠点を置く同社北米小型車アフターマーケット部門(LVA)排気事業を売却したと発表。
-2006年6月、LVA(軽車両アフターマーケット)のRide Control事業であるGabriel South Africa社(南アフリカ・ケープタウン市)をControl Instruments Group (南アJSE Limited への上場会社)へ売却すると発表。
- 2006年7月、三菱製鋼にとメリトール・サスペンション・システムズ社(ミシガン州)への保有株式(57%)売却すると発表。
-2007年2月、エミッション技術事業部門の売却に関し、ニューヨークに本拠地とする株投資会社であるOne Equity Partners (OEP)との間で、最終合意書に調印した、と発表。

展望
2007年2月、エミッション技術(Emissions Technologies)事業部門の売却を発表した。
売却後の成長戦略として、同社は以下の4点を掲げている。

5年以内にアジア地域及びアジアのOEMへの売上を3倍にする
-中国で10億ドルの売り上げ増
-インドで300百万ドルの売り上げ増
-地場OEMとグローバルOEMのバランスよい比率

アフターマーケットの売上を3倍にする

顧客満足の高い新製品の開発

システム、制御及びエレクトロニクス技術の強化

開発動向

研究開発費用

単位:百万米ドル

2006年9月期 2005年9月期 2004年9月期
R&D費用 177 171 157

研究開発体制
2006年9月現在、1,450名のエンジニア、科学者が研究開発に従事。
Detroit(ミシガン州)、Columbus(インディアナ州)、Augusburg(ドイツ)にエンジニアリング施設を有する。
そのほか、米国、ブラジル、カナダ、フランス、ドイツ、インド、英国にエンジニアリングセンターを有する。

新製品開発
2007年1月、クラス8トラクター用のデュアルモード・ディーゼル電動ドライブトレインをWal-Mart Transportationと共同開発することで合意。搭載予定車種は、北米で開発されるデュアルモード・ディーゼル電動トラクター初試作とみられるが、国際等級クラス8のProStarトラクターがそのベースであり、Cummins Inc.社製エンジンを搭載する。

設備投資

国内投資
2005年10月、小型車システム部門(LVS)のカスタマーバリューセンター(CVC)をアラバマ州Montgomeryに開設。この最終組立工場から、現代の北米で生産されるSonataとSanta Fe向けに年間百万ユニットのドアモジュール完成品が出荷される。同社は現代工場から僅か3マイルの距離に位置し、現代の組立てラインの順序に従い必要なモジュールを90分ごとに現代の生産ラインに供給する。

海外投資
2006年8月、中国無錫市(江蘇省)に新たな全額出資工場を開設。敷地面積300,000平方フィートの同工場では、設立当初は中国の大手トレーラーメーカー向けにアクスル及びサスペンションの生産と、北米及び欧州工場向けの輸出を行う。