ThyssenKrupp AG 2008年9月期の動向

ハイライト

2008年9月期のハイライト
業績

単位:
(百万ユーロ)
2008年
9月期
2007年
9月期
増減率 備考
全社
売上高 53,426 51,723 3.3% 市場環境がますます悪化する中、期待に沿った業績。一部では期待を上回る業績を上げた。
税引前利益 3,128 3,330 (6.5%) -

部門別業績
単位:
(百万ユーロ)
2008年
9月期
2007年
9月期
増減率 備考
鉄鋼部門
売上高 14,358 13,209 8.7% 主として販売価格の値上げ、出荷の増加による。
税引前利益 1,540 1,662 (7.3%) 税引前利益は前年度より122百万ユーロ減少したが、利益予想額は上回る。これは、高付加価値製品の好調な業績による。
-自動車部品
売上高 5,106 4,800 6.4% 契約価格の値上による増収。
ステンレス部門
売上高 7,420 8,748 (15.2%) 主に販売価格の低下による減収。
税引前利益 126 777 (83.8%) ニッケルおよび合金スクラップ価格の急激な低下により、利益が大きく減少。
テクノロジー部門 (*)
売上高 12,412 11,523 7.7% 好調な受注状況により、売上増につながる。
税引前利益 741 544 36.2% 高収益事業に焦点を当てた、積極的な投資管理が増益につながる。
-メカニカルコンポーネント
売上高 3,924 3,793 3.5% 旋回軸受、旋回リングの売上が特に風力タービンの分野で伸長し、増収を記録。
-オートモーティブソリューション
売上高 3,247 3,182 2.0% 受注が対前年比で増加。全ての事業が受注増に大きく貢献したが、中でも車体部品、アッセンブリーシステム、アクスルモジュールアッセンブリーの各事業の影響が大きい。
* 2006年10月1日付で、自動車部品部門はテクノロジー部門に統合。

鉄鋼部門

-事業再編

ThyssenKrupp Steel AGの子会社ThyssenKrupp Tailored Blanks GmbHは、メキシコのThyssenKrupp Tailored Blanks S.A. de C.V.のテーラードブランク事業を、TWB Company L.L.Cに移管する。TWBは1991年、ThyssenKrupp Steel North America, Inc.とWorthington Industriesの合弁により設立され、テーラードブランク材を生産している。この移管に伴い、ThyssenKrupp SteelはTWBの過半数株主となる。(2008年3月5日付プレスリリースより)  

-受注

ThyssenKrupp Presta Steeringは、BMW「X3」「3」「1」シリーズにステアリングコラムを供給する。さらに、BMWが今後発表する複数の車種に対して、ステアリングギアを開発することも決定。今回の契約は、同社の歴史の中で最大のものとなる。(2007年11月21日付プレスリリースより)

テクノロジー部門

-売却

Sona Okegawa Precision Forgingは2008年1月、ThyssenKrupp Technologies AGより ThyssenKrupp Prazisionsschmiede GmbHを買収。ThyssenKrupp Prazisionsschmiedeは今後、Sona BLW Prazisionsschmiede GmbHに社名が変更される。

開発動向

研究開発体制
2008年9月末時点で、3,500名を超えるスタッフが世界85の研究開発拠点に所属。

ICAMS(Interdisciplinary Center for Advanced Materials Simulation)が、2008年6月に稼動。ドイツのボーフムのルーア大学に拠点を置く研究機関。欧州で他に類を見ない同研究機関は、ハイテク素材の開発を主な研究課題としていく。

リヒテンシュタインのエッシェン(Eschen)で、「ThyssenKrupp Presta TecCenter」の起工式を行った。2008年9月までに稼動を開始する予定。(2007年10月23日付プレスリリースより)

研究開発費

(単位:百万ユーロ) 2008年9月期 2007年9月期 2006年9月期

基礎的研究開発

316 257 241

顧客関連の開発(*)

224 294 230

技術品質保証

301 264 272

合計

841 815 743
*外部の研究開発資金、公的資金を含む。

研究開発活動 (2008年9月期)

-鉄鋼部門

ドイツのThyssenKrupp Steelと国内鉄鋼第2位のJFEスチールは、自動車用多相鋼を共同開発した。引張強度が780MPaクラスで、同社の「CP-W 800」やJFEの「NANO 780」といった超高力鋼とほぼ同等の強度だが、従来品に比べて40%程度高い伸び性能を持つという。この多相鋼は、耐衝突用の車体骨格部品などに使用される。なお、両社は2002年から提携関係にある。(2008年1月25日付プレスリリースより)

-ステンレス部門

自動車の排気システム用チタン合金を開発。耐熱温度は最高1,000℃。

-テクノロジー部門

ブッシュレスタイプのコネクティングロッドを新開発、トラックエンジンの性能向上に貢献。表面がレーザー加工されており、エンジンの燃費向上、CO2排出削減、耐磨耗性アップを実現。

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)

2008年9月期 2007年9月期 2006年9月期
鉄鋼 2,596 1,659 603
ステンレス 387 328 230
テクノロジー(*) 763 581 600
エレベーター 136 122 164
サービス 369 282 393
全社共通 66 131 88
消去 (35) (102) (1)
合計 4,282 3,001 2,077
*2006年10月1日付で、自動車部品部門はテクノロジー部門に統合。

2008年9月期の設備投資額は4,282百万ユーロで、前年度比43%の増加。このうち、4,018百万ユーロが不動産、工場、装置、無形固定資産に投資された。また、残りの264百万ユーロは買収費用。

鉄鋼部門

同部門の設備投資額は、ブラジルと米国における2つの主要な戦略プロジェクトに集中した。ブラジル リオデジャネイロでの製鉄所の新規建設により、1,700百万ユーロの資産増加。米国アラバマ州モービル近郊での加工工場の建設に約210百万ユーロを投資。

ステンレス部門

ThyssenKrupp Steel USA, LLCとThyssenKrupp Stainless USA, LLCは、カーボン鋼およびステンレス鋼工場の起工式を、米国アラバマ州Calvertで行った。新工場への投資総額は37億米ドルで、2010年5月に操業開始の予定。(2007年11月2日付プレスリリースより)

テクノロジー部門


同部門の設備投資額は763百万ユーロ。その半分以上が、既存製品および新製品の生産能力増強に充てられた。その他には既存事業の維持や、効率性向上など。投資の殆どはドイツ、南北アメリカ、中国、インドで行われた。


-メカニカルコンポーネント


生産能力および効率性の向上に焦点。その結果、カムシャフトの最終アッセンブリー工程がより柔軟性を持った。また、クランクシャフトの場合、特に低コスト車向けシャフト鍛造の効率性が著しく増加。

-オートモーティブソリューション


ステアリングコラムのアッセンブリーラインを購入したほか、既存ラインを最新化。また、ショックアブソーバー "DampTronic"のアッセンブリーを最適化。新自動化ラインへの投資により、生産能力とプロセス信頼性が共に向上する見込み。