Cummins 2007年度の動向

ハイライト

業績
(単位:百万ドル) 2007年度 2006年度 変動率

要因

エンジン事業 8,182 7,511 8.9% 要因1を参照。
コンポーネント事業 2,932 2,281 28.5% 要因2を参照。

要因 1
大型トラック向け
-大型トラック市場における売上高は減少。
-主な要因としては、2007年度の排ガス規制に先駆けて2006年度にトラックの代替需要が高まった反動としてOEM各社でトラックフリート顧客からの需要が減少したこと、さらには軟調な米国経済および貨物輸送の低迷が挙げられる。 北米トラック市場の売上減少は、北米以外での好調な売上と北米市場のシェア増加によって部分的に相殺。

中型トラック・バス向け
-中型トラックおよびバスの売上は増加。
-中型トラックエンジンの需要が北米以外で増加し、バス用エンジンの出荷基数が北米および北米以外の地域で前年度より増加したことが主因。
-北米以外の中型トラック用エンジンの売上は、南米および欧州における売上が引き続き増加したために改善した。
-また、北米以外のバス用エンジンの売上は中国と東欧市場において引き続き増加。これは、北米全体のバス用エンジンの売上増は、スクールバス市場で市場シェアが増加したことによる。
-北米の中型トラック市場そのものの売上が28%も減少したにもかかわらず、同市場におけるシェアが大幅に増加したことにより、売上増となった。

小型車向け
-小型自動車用エンジンの売上高は、2007年度の排ガス規制適合製品の価格上昇により増加したが、2007年度第4四半期の米国経済の軟化によりChryslerからの需要減によって部分的に相殺。
-2007度、Chryslerへの合計出荷数は前年度比およそ19,800基(12%)減少。
-全世界のOEMのRV車向けエンジン出荷台数は、2007年度の排気ガス基準変更に先行して2006年度にエンジン購入台数が増加した結果、前年度比で減少した。

要因2
-コンポーネント事業部門の売上高は対前年比で増加。全事業および全地域の市場において需要が増加したが、排ガスソリューション事業とターボチャージャー事業の堅調な需要増による要因が大きい。
-フィルターおよび燃料システム事業の売上も増加。 全事業部門とも、アフターマーケット製品の販売量の増加並びに、北米および欧州における新オンハイウェイ排ガス基準に適合するOEM向け新製品の売上増の恩恵を受け、為替差益も有利に作用した。


合弁事業
-2007年9月、ベトナム自動車工業公社(Vietnam Motors Industry Corp :Vinamotor)との間で、ベトナムでオンハイウェイ用大型車両向けディーゼルエンジンを生産するための折半出資による合弁会社設立に関する覚書(MOU)を取り交わした。

-Vinamotorは、ベトナム政府機関所属の国内最大自動車メーカーであるが、国内でエンジン生産事業を手掛けていない。このほど調印した覚書には、両社による合弁事業の骨子が示されているが、今後実施される予備調査の結果をもって事業発足について正式に決定を下すとしている。

-Cumminsとしては、2008年1月には予備調査を完了したい意向。両社は、Cummins製エンジンの現地生産に向けたこの合弁事業について、段階を追って進めることで合意している。初期段階としては必要な部品を海外から調達し、ベトナムでエンジン組立・供給を行うとしており、ベトナム国内でのエンジン需要が拡大し、市場が成熟した時点で国内生産した部品を使ったエンジン生産に着手する見込み。(2007年9月28日付プレスリリースより)


企業買収
-2007年3月、Tata Holset Limitedの未取得分株式をTata Group(印タタ・グループ)から取得したと発表。 Tata Holset LimitedはCumminsの子会社Cummins Turbo TechnologiesとTata Groupが資本折半で設立したターボチャージャー製造会社。Tata Holsetは現商号を変更、 今後はCummins Turbo Technologiesとして営業展開する。
Cummins Turbo Technologiesでは、ターボチャージャー、その他部品を「Holset」ブランドで販売する方針。
Cummins Turbo Technologiesのインドでの主要納入先は、Tata Motors、Cummins India、Eicher Motors、Mahindra & Mahindra、Tata Cummins(Cummins Inc.とTata Groupの合弁企業)。(2007年3月1日付けプレスリリースより)


生産開始
-2007年8月、中国のShaanxi Automobile Group Company Limited(陝西汽車集団有限責任公司:陝汽集団)との合弁会社であるXi'an Cummins Engine Company Limited (西安康明斯発動機公司:西安康明斯)は、2007年8月9日、Cummins ISM、11L大型ディーゼルエンジンの生産を正式に開始した。ISMディーゼルエンジンは、Cumminsの大型トラック用エンジン部門における主力エンジンの一つ。

-Cumminsと陝汽集団は、合弁会社に総額2,400万ドルの初期投資を行っており、2010年には、エンジン年産能力5万台を見込む。(8月9日付プレスリリースより)


事業売却
-2007年10月、同社傘下のUniversal Silencer Inc. (USI)をStirling Groupに売却することで合意したと発表した。Stirling Groupは、現在USIの統括責任者を務めるRandy Eppli氏が設立した新会社で、他のUSI現経営陣も同氏が率いる新会社に移る。USIは、Cumminsのフィルター事業部門(Cummins Filtration business)に属し、独自開発した産業用防音製品を提供している。本社所在地はStoughton(ウィスコンシン州)、従業員数は230人。USIでは、大型ディーゼルエンジン、タービンエンジン、コンプレッサー、ドライヤー、その他送風器向けの防音製品、排ガス制御装置などを特注生産している。事業移管・売却手続は2007年第4四半期に完了する見通し。(2007年10月11日付プレスリリースより)


工場閉鎖
-2007年5月、フィルター事業部門は、ジョージア州・Waynesboro工場を閉鎖する計画であると発表(2007年5月4日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費
(単位:百万ドル) 2007年度 2006年度 2005年度
合計 329 321 278

-エンジン事業部門では、さらに厳しくなる排ガス基準に適合させるためのシステム統合および技術への投資を継続する。 4つの重要サブシステム(燃焼、エアハンドリング、電子制御および排気後処理装置)でのエンジンテクノロジーの開発に注力。
-2007年1月1日から実施されるEPA(米国環境保護庁)2007大型オンハイウェー車両排ガス規制に適合することが可能となった。また、2007年1月、Dodge Ram向けの6.7リッターターボディーゼルエンジンが、3年後に実施されるEPAの2010年排ガス規制の要件に適合したと発表。 さらに、EPA2007年ガソリン相当の"Tier II Bin 5"排ガスレベルに適合するディーゼルエンジンを搭載した試作車を発表した最初のメーカーとなった。

-コンポーネント事業部門では、排出ガス制御技術およびフィルター、ターボチャージャー、燃料システム、後処理システムを開発するための設計統合において強みを発揮している。Cummins Filtrationでは、複数の濾過機能を1つのエンジンサブシステムコンポーネントに統合するモジュールを開発中。 現在、低公害エンジンに対応する新しいフィルタ媒体および技術を開発しており、これにはクローズドクランクケースベンチレーション(CCV)、高圧燃料システム用の高効率フィルター、および遠心すす除去装置などがある。 フィルター製品の80%以上 をグループ外の顧客に納入。

-Cummins Emission Solutionsでは、欧州および北米向けにエキゾースト後処理システムを開発した。 また、選択接触還元(SCR)法によるNOx後処理システムのシェアは欧州で1位、 ディーゼル排気微粒子フィルタは北米で一位。 カミンズターボテクノロジー可変ノズルターボチャージャー(VGT)は、最新の排ガス規制において重要なコンポーネントであり、、北米の大型車用VGTで最高の売上を記録している。

-Cummins Fuel Systems は、提携先のScaniaと共に第2の燃料システムである、XPI高圧コモンレール燃料システムを導入。


研究開発体制

-全世界に17の技術センターを展開。


製品開発
-2007年1月、その出力、クリーンレベル、静粛性において業界最高クラスの性能を誇る、2007年式新型ターボディーゼルエンジンを発売した。同社の6.7リッター ターボディーゼルエンジンは、Dodge Ram 2500 および3500大型トラックに搭載されているが、米国環境保護庁(EPA)が設定したこれまでで最も厳しい、2010年窒素酸化物(Nox)排出基準への適合を3年前倒しでクリアし、エンジン馬力およびトルク性能をアップを実現しつつ、排気量を拡大した。 (2007年1月23日付け同社プレスリリースより)

-2007年3月、同社のGTA8.3SLB圧縮点火型エンジンが、米国環境保護庁(EPA)の定める圧縮点火型エンジンの新規発生源実施基準(NSPS)に適合している、と発表した。EPAは2008年1月1日をメドに、25-500馬力(19-373キロワット)クラスエンジンを対象とする当該排ガス基準の導入を目指しているが、Cumminsの新型GTA8.3SLBエンジンは、その基準を半年以上前倒しでクリアした。GTA8.3SLBエンジンは175馬力(130キロワット)クラスで、独自の"Simple Lean Burn"構造により、EPAが提唱する窒素酸化物(Nox)2gram/hp-hr、一酸化炭素(CO)4gram/hp-hr、非メタン炭化水素(NMHC)1gram/hp-hrの排出基準すべてに適合し、かつ、高性能と卓越した信頼性を誇る。(2007年3月6日付けプレスリリースより)

設備投資

海外投資
-2007年6月、北米以外では初となる燃料システム工場の起工式を執り行った。新工場Cummins Fuel Systems - Wuhan(武漢)は、同社にとって中国13番目の生産拠点で、2008年初旬に稼動予定。同社と東風汽車の合弁会社で、同社のサービス/技術センターを兼ねる現地企業も、同じ武漢に拠点をおいている。新工場への投資額は、約1,000万ドル。Cumminsコモンレール(CCR)燃料ポンプおよびCELECTインジェクター/燃料ポンプの組立を行う。武漢新工場では、伸張する中国国内の需要に対応するとともに、他の新興市場にも製品を供給する予定。(2007年6月7日付プレスリリースより)