(株) 豊田自動織機 2012年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 増減率(%) 要因
全社
売上高 1,543,352 1,479,839 4.3 -
営業利益 70,092 68,798 1.9 -
経常利益 80,866 73,911 9.4 -
当期純利益 58,594 47,205 24.1 -
自動車
売上高 803,176 804,167 (0.1) 1)
営業利益 21,239 32,876 (35.4) -

要因
1)
自動車部門
国内市場が落ち込んだものの、アジア市場の成長や北米市場の回復により世界市場は拡大した。
車両
-RAV4・ヴィッツが減少したことにより、売上高は前年を211億円(6%)下回る3,544億円。

エンジン
-主にKD型ディーゼルエンジンが増加したものの、AR型ガソリンエンジンが減少したことにより、売上高は前年並みの1,971億円。

カーエアコン用コンプレッサー
-国内・海外ともに増加したことにより、売上高は前年を147億円(8%)上回る2,065億円。

国内事業

-2012年2月29日、トヨタ自動車の小型ハイブリッド車(HV)「アクア」の好調を受け、DC-DCコンバーターの増産を始めたと発表した。HVの高電圧を12ボルトに変換するDC-DCコンバーターは、安城工場(愛知県安城市)で生産している。2011年は「プリウス」を始めとするHV向けに月平均6万台を生産したが、アクアの初期受注に対応する2、3月は月8万台以上の水準で増産対応を進めている。12年は年間を通じて月8万台のレベルで生産する計画だ。(2012年3月1日付日刊自動車新聞より)

-2012年2月末にハイブリッド車用DC-DCコンバーターの累計生産台数が4百万台に達したと発表。同社は2000年5月に、愛知県の共和工場でトヨタの初代「Prius」向けにDC-DCコンバーターの生産を開始。2009年5月からは同県の安城工場でも生産を開始しており、2011年8月には同工場にDC-DCコンバーター、ACインバーターなどカーエレクトロニクス部品の生産を集約し、一貫生産を行っている。(2012年2月29日付プレスリリースより)

-2011年12月1日、2012年中にカーエアコン用電動コンプレッサーの国内生産能力を現状に比べ5割増の年150万台に引き上げる計画を明らかにした。同製品を手がける刈谷工場(愛知県刈谷市)に生産ラインを新設し、能力増強を図る。投資額は約9億円。トヨタ自動車向けの需要増に対応し、十分な供給力を確保する。今後は、開発面で一層の軽量化、小型化に取り組み、他の自動車メーカーへの拡販に取り組む。(2011年12月2日付日刊自動車新聞より)

受注

-2011年5月16日、同社が開発した樹脂ウインドとしては世界最大面積というパノラマルーフが、トヨタ自動車の新型ハイブリッド車「プリウスα(アルファ)」に採用されたと発表した。国内メーカーが樹脂製のパノラマルーフを採用するのはこれが初めて。ガラス製ルーフと比べると約40%の軽量化を実現したほか、二酸化炭素排出量を低減するとともに低重心化により操縦安定性に貢献。また優れた開放感により車内空間の快適性が向上するという。 (2011年5月17日付日刊自動車新聞より)

中期経営計画

-2012年1月26日、2016年度までに米国でのカーエアコン用コンプレッサーの生産台数を10年度比4割増の700万台に拡大すると発表した。米国生産は固定容量型コンプレッサーが主体だが、足元では省燃費志向の高まりにより可変容量型のニーズが拡大しつつある。このため、可変容量型の生産に軸足を移しながら台数を増やす。10年度時点では生産全体のうち固定容量型が7割を占める。これに対し、16年度には9割弱を可変容量型に切り替える。また、ピストンなどの構成部品を手がける新工場も建設する。13年9月に生産を開始し、現地調達率を高める。現在、米国でのコンプレッサー生産は、ミシガン州とジョージア州に工場を設置している。全体の3割にとどまる可変容量型向けの構成部品は日本から供給している。これに対し、今後は可変容量型の増産に合わせて部品供給体制を最適化する。ジョージア州に部品生産会社「トヨタ・インダストリーズ・コンプレッサーパーツ・アメリカ(TICA)」を新設(12年2月予定)。約280億円を投じて新工場を建設する。ピストンなどの構成部品を600万台分生産できる能力を確保し、組み立てを行う2工場に対して部品を供給する。増産する可変容量型コンプレッサーは、トヨタ自動車を始めとする日系メーカーに加え、米国メーカーにも供給する。13年秋以降は構成部品の現地化に合わせ、日本から米国へ部品を供給するのも停止する。日本の部品生産能力は、新興国を始めとする他地域への供給に振り向ける。(2012年1月27日付日刊自動車新聞より)

-2011年10月28日、2020年度までに連結売上高を3兆円超に引き上げる長期ビジョンを発表した。10年度実績に比べ売上規模を倍増、営業利益を約3倍の2千億円超に拡大することを目指す。産業車両などのソリューション事業で売上高の半分にあたる1兆5千億円(10年実績比2.2倍)、コンプレッサーなどの部品事業で7千億円(同3倍)、車両・エンジン事業で8千億円(同40%増)を確保する。堅調な産業車両分野を伸ばすと同時に、車両の電動化などに合わせて部品事業を拡大する。目標達成に向けた第一歩として12年度から新中期経営計画を開始する。12年度から15年度までの新中期経営計画は、売上高を10年度比35.1%増の2兆円超、営業利益を約2倍の1400億円に引き上げることを目標にしている。4年間で約5千億円の設備投資を実施し、事業基盤を拡充する。技術面では環境、エネルギー分野で技術革新を図った新商品を投入し、受注増につなげる。(2011年10月29日付日刊自動車新聞より)

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

 

2012年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2013年3月期
(見通し)
2012年3月期
売上高 1,650,000 1,543,352
-自動車 870,000 803,176
営業利益 85,000 70,092
経常利益 93,000 80,866
当期純利益 59,000 58,594

 

自動車部門の製品別売上高

(単位:百万円)
  2013年3月期
(見通し)
2012年3月期
車両 360,000 354,400
エンジン 209,000 197,100
コンプレッサー 240,000 206,500
鋳造品・電子機器他 61,000 45,000

(各セグメント売上高は外部顧客に対する金額)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
全社 32,070 27,788 26,826
自動車部門 20,649 17,613 15,257

-2012年3月期は、自動車の車体軽量化を目的とした樹脂ウインドウ、高効率な可変容量型コンプレッサーやプラグインハイブリッド車・ハイブリッド車向けの電動コンプレッサー、補機系電源機器およびプラグインハイブリッド車・電気自動車用の充電スタンドなどの開発に取り組んだ。

製品開発

- 樹脂ウインド事業を強化する。樹脂ウインドの開発を担ってきた自動車事業部PD部の機能をコーポレートセンターに移行し「PG事業整備プロジェクト」を新設。「プリウスα(アルファ)」に採用された樹脂製パノラマルーフの拡販や他部位への展開などを探る。(2011年6月22日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
全社 91,972 60,019 47,562
自動車部門 36,732 20,993 12,000

設備投資の主な内訳(自動車部門)

(単位:百万円)
会社名 2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
同社 17,076 13,851 7,333
東海精機(株) 1,631 1,667 N.A.
豊田工業汽車配件(昆山)有限公司
[Toyota Industry Automotive Parts (Kunshan) Co., Ltd.]
N.A. N.A. 2,237
豊田工業(昆山)有限公司
[Toyota Industry (Kunshan) Co., Ltd.]
1,598 N.A. N.A.
Kirioskar Toyoda Textile Machinery Pvt. Ltd. 1,070 N.A. N.A.
TD Deutsche Klimakompressor GmbH 1,219 N.A. N.A.
Michigan Automotive Compressor, Inc. 6,205 1,036 N.A.
TD Automotive Compressor Indonesia 2,984 N.A. N.A.
TD Automotive Compressor Georgia, LLC 2,377 N.A. N.A.

設備の新設(自動車部門)

(2012年3月31日現在)
事業所名 / 会社名
(所在地)
設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手 完了予定
連結財務諸表提出会社
長草工場
(愛知県大府市)
乗用車製造設備 7,227 2011年6月 2013年3月
刈谷工場
(愛知県刈谷市)
カーエアコン用コンプレッサー製造設備、繊維機械製造設備 6,700 2012年4月 2013年3月
碧南工場
(愛知県碧南市)
ガソリンおよびディーゼルエンジン製造設備 6,056 2011年7月 2013年3月
東知多工場
(愛知県半田市)
エンジン用鋳造品製造設備、ディーゼルエンジン製造設備 3,000 2012年4月 2013年3月
大府工場
(愛知県大府市)
カーエアコン用コンプレッサー部品製造設備 1,700 2012年4月 2013年3月
安城工場
(愛知県安城市)
車載用電子機器製造設備 1,100 2012年4月 2013年3月
東浦工場
(愛知県知多郡)
カーエアコン用コンプレッサー部品製造設備 1,100 2012年4月 2013年3月
共和工場
(愛知県大府市)
電子部品製造設備、ディーゼルエンジン部品製造設備、自動車用プレス型設備 911 2012年1月 2013年3月
国内子会社
東海精機(株)
(静岡県磐田市)
自動車部品製造設備 1,647 2012年4月 2013年3月
東久(株)
(愛知県丹羽郡)
カーエアコン用コンプレッサー部品製造設備、鋳造機械等製造設備 1,575 2012年4月 2013年3月
在外子会社
Toyota Industries Compressor Parts America, Co. (TICA)
(米国ジョージア州)
カーエアコン用コンプレッサー部品製造設備 16,624 2012年4月 2013年3月
Michigan Automotive Compressor, Inc.
(米国ミシガン州)
カーエアコン用コンプレッサー製造設備 9,951 2012年4月 2013年3月
TD Deutsche Klimakompressor GmbH
(ドイツ ザクセン州)
カーエアコン用コンプレッサー製造設備 5,275 2012年4月 2013年3月
豊田工業(昆山)有限公司
[Toyota Industry (Kunshan) Co., Ltd.]
エンジン用鋳造品等製造設備、産業車両製造設備 5,220 2012年4月 2013年3月
TD Automotive Compressor Georgia, LLC カーエアコン用コンプレッサー製造設備 2,770 2012年4月 2013年3月
TD Automotive Compressor Indonesia
(インドネシア ブカシ県)
カーエアコン用コンプレッサー製造設備 2,087 2012年4月 2013年3月
Kirioskar Toyoda Textile Machinery Pvt. Ltd.
(インド バンガロール)
自動車部品製造設備、繊維機械製造設備 1,230 2012年4月 2013年3月

 

海外投資

- トヨタ自動車グループの大手部品メーカーは、2012年度の設備投資を大幅に積み増す。同社では全体の約3分の2に相当する190億円を可変容量型の新製品の需要が好調なエアコン用コンプレッサーの設備投資に充てる。このうち国内が110億円、米国とドイツの海外が80億円となっている。(2011年8月5日付日刊自動車新聞より)