武蔵精密工業 (株) 2010年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2010年 3月期 |
2009年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 107,816 | 145,499 | (25.9) | 1) |
営業利益 | 5,616 | 8,589 | (34.6) | - |
経常利益 | 5,898 | 5,856 | 0.7 | - |
当期純利益 | 3,561 | (4,381) | - | - |
要因
1)
<日本>
-主要顧客の減産に伴う大幅な販売減等。
<北米>
-四輪車需要の減少や小型車へのシフト、及びATV需要減少等の影響。
<欧州>
-主要顧客への四輪車用製品販売の大幅減や、為替が円高に推移したこと等。
受注
-ホンダから4輪車向けの6速オートマティックトランスミッションギア(ATG)と軽量デファレンシャルアッセンブリーを受注し、生産・納入を開始した。北米市場向けモデルのV6エンジンに採用されたもの。このデファレンシャルアッセンブリーは、同社が独自開発した高強度ギヤ使用などにより、従来製品に比べて10-15%の軽量化を実現した。(2009年10月30日付プレスリリースより)-現代自動車から北米市場向けL4(直列4気筒)組立カムシャフトを受注した。現在、日本およびカナダ子会社Musashi Auto Parts Canada Inc.(MAP-CA)で生産準備中。この組立カムシャフトは、従来の鋳造素材製品と比較して30%程度の軽量化を実現した。(2009年10月30日付プレスリリースより)
-Fordからデファレンシャルギヤを受注した。2010年に発売予定の新型車に採用されたもの。2010年初めから年間40万個を納入する計画。(2009年10月30日付プレスリリースより)
-タイ子会社「Musashi Auto Parts Co., Ltd.」は、スズキから4輪車向けデファレンシャルギヤを受注した。2010年春より、Dana経由で年間14万個を納入する計画。(2009年10月30日付プレスリリースより)
事業再編
-欧州及び北米での4輪部品事業の集約、再編について発表。欧州のMusashi Auto Parts UK Ltd.(英国ウェールズ)からMusashi Hungary Manufacturing, Ltd.(ハンガリーエルチ市)への4輪部品事業の集約は、当初の予定通り2009年度上期中の完了に向け移転を推進。移転完了後、Musashi Auto Parts UKは閉鎖する予定。一方、北米ではMusashi South Carolina Inc.(米国サウスカロライナ州)の4輪部品事業(ATギヤ・ベベルギヤ)は、2009年末の完了に向け移転を推進中。4輪部品事業はMusashi Auto Parts Michigan Inc.(米国ミシガン州)およびMusashi Auto Parts Canada Inc.(カナダオンタリオ州)へ部品事業を集約する。(2009年5月7日付プレスリリースより)-自動車用機器の製造販売を手掛ける完全子会社のムサシサウスカロライナ・インコーポレーテッド(MSC、米国サウスカロライナ州)を解散すると発表した。北米事業の再編計画の一環で収益を確保できるスリムな企業体質目指し、部品事業の集約、生産拠点の再編、統廃合や人員の最適化などの施策に取り組んできた。MSCの手掛ける事業に関しても他の子会社に移管するめどが立ったため解散を決めた。MSC は2009年12月に営業活動を終了し、解散手続きを開始する。(2009年8月26日付日刊自動車新聞より)
>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2010年3月期 | 2009年3月期 | 2008年3月期 | |
全社 | 1,240 | 1,346 | 1,324 |
研究開発体制
担当部門 | 役割 | 要員 | 研究開発費 |
第一開発部 | -足廻り系商品に関する新製品開発及び 既存部品の応用開発 -特許管理 -製品図面の管理 |
31名 | 303百万円 |
第二開発部 | -二輪と四輪の駆動系商品に関する 新製品開発及び既存部品の応用開発 -次世代向け先進技術関連 |
43名 | 573百万円 |
生産技術部 | -新生産技術方案の研究開発 | 48名 | 52百万円 |
九州武蔵精密(株) 技術部生産技術課 |
-二輪、汎用ギヤ、カムシャフト等の 生産技術に関する研究開発 |
35名 | 310百万円 |
研究開発活動
-4輪車向け軽量デファレンシャルアッセンブリィの開発を完了したと発表。この製品は、同社独自開発の高強度ギヤを使用するとともに、ケース形状や組立方案の見直しにより従来性能を維持しながら10-15%の軽量化を実現。(2009年5月7日付プレスリリースより)-エンジンや駆動系の主要部品の軽量化、コスト削減を実現する新生産手法の確立にめどをつけたと発表した。四輪車用のカムシャフト、ディファレンシャルユニットなどの工法で10-30%の軽量化が可能とする。燃費改善に取り組む自動車メーカーに新製品を提案し受注拡大に結びつける。四輪車用カムシャフトは冷間鍛造で成型したカムの山をシャフトに組み付ける手法で、新モデルへの適用に向けた開発が最終段階に入った。鋳造でカムとシャフトが一体になった素材をつくり機械加工によって成形していた従来タイプと比べ約30%の重量を削減できるほか、強度向上、コストダウンにつながる。カム山の鍛造化によって内製で一貫生産が可能になる。今後はさらなるコスト削減に取り組みながら、受注獲得を目指す。(2009年5月9日付日刊自動車新聞より)
足廻り系商品開発関連
-足廻り系商品では、経済危機により顧客の開発計画の見直しなどが発生し影響を受けたが、小型・軽量化、低トルク化、高耐久性など、より高機能なボールジョイントの開発とその量産化に向けた継続的推進・展開を実施。その中で、欧州顧客向けのアルミアームではCAE(コンピューター支援システム)を活用した解析技術・シミュレーション技術により、更なる軽量化仕様で開発が完了。
エンジン系商品開発関連
-エンジン系商品においては、同社独自のカム成形方法と結合方法を特長とした組立カムシャフトの開発を進めている。
駆動系商品開発関連
-デフでは、独自3次元歯形によるベベルギヤの小型化&高精度化の実現という優位性を核に、CAEによるデフケース形状を最適化した軽量デフアッセンブリィの開発に注力。
技術援助契約
(2010年3月31日現在)
相手方の名称(国名) | 契約品目 | 契約内容 | 契約期間 |
Musashi Auto Parts Michigan Inc. (米国) |
四輪・二輪自動車及び汎用製品で随時決定される特定部品 | 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助 2.工業所有権の提供 |
1994.02.01-1999.01.31 以降1年ごとの自動更新 |
Musashi Auto Parts Co., Ltd. (タイ) |
四輪・二輪自動車及び汎用製品で随時決定される特定部品 | 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助 2.工業所有権の提供 |
1987.12.28-1992.12.27 以降1年ごとの自動更新 |
Musashi Auto Parts UK Ltd. (英国) |
四輪・二輪自動車及び汎用製品で随時決定される特定部品 | 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助 2.工業所有権の提供 |
1995.01.01-1999.12.31 以降1年ごとの自動更新 |
P. T. Musashi Auto Parts Indonesia (インドネシア) |
四輪・二輪自動車及び汎用製品で随時決定される特定部品 | 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助 2.工業所有権の提供 |
1996.05.08-2001.05.07 以降1年ごとの自動更新 |
Musashi Auto Parts Canada Inc. (カナダ) |
四輪・二輪自動車及び汎用製品で随時決定される特定部品 | 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助 2.工業所有権の提供 |
1998.01.01-2002.12.31 以降1年ごとの自動更新 |
Musashi South Carolina Inc. (米国) |
四輪・二輪自動車及び汎用製品で随時決定される特定部品 | 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助 2.工業所有権の提供 |
2001.01.01-2005.12.31 以降1年ごとの自動更新 |
Musashi Hungary Mfg. Ltd. (ハンガリー) |
四輪・二輪自動車及び 汎用製品で随時決定 される特定部品 |
1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助 2.工業所有権の提供 |
2001.01.01-2005.12.31 以降1年ごとの自動更新 |
Musashi do Brasil Ltda. (ブラジル) |
四輪・二輪自動車及び汎用製品で随時決定される特定部品 | 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助 2.工業所有権の提供 |
2008.11.01-2013.10.31 まで5年間 |
Musasi Auto Parts India private Ltd. (インド) |
四輪・二輪自動車及び汎用製品で随時決定される特定部品 | 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助 2.工業所有権の提供 |
2003.04.01-2004.03.31 以降1年ごとの自動更新 |
Musashi da Amazonia Ltda .(ブラジル) |
四輪・二輪自動車及び汎用製品で随時決定される特定部品 | 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助 2.工業所有権の提供 |
2009.11.01-2014.11.01 まで5年間 |
武蔵精密汽車零部件 (中山)有限公司 [Musashi Auto Parts (Zhongshan) Co., Ltd.] (中国) |
四輪・二輪自動車及び汎用製品で随時決定される特定部品 | 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助 2.工業所有権の提供 |
2006.0101- 2015.12.31 まで10年間 |
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2010年3月期 | 2009年3月期 | 2008年3月期 | |
全社 | 6,669 | 12,646 | 13,303 |
ボールジョイント生産設備 | 251 | 598 | 1,204 |
カムシャフト生産設備 | 858 | 1,661 | 2,711 |
ギヤー等生産設備 | 4,124 | 7,927 | 7,492 |
ボールジョイント生産設備
-Musashi Hungary Mfg. Ltd.での新機種対応等の投資として74百万円。
-Musashi Auto Parts Canada Inc.での改善投資として69百万円。
-第一明海工場へ新機種対応として65百万円。
カムシャフト生産設備
-Musashi Auto Parts Canada Inc.での新機種対応として185百万円。
-Musashi Hungary Mfg. Ltd.での増量対応として179百万円。
-鳳来工場へ新機種対応として94百万円。
ギヤー等生産設備
-Musashi Autoparts Co., Ltd.での増量対応等として1,011百万円。
-P. T. Musashi Auto Parts Indonesiaでの増量対応及び合理化投資として666百万円。
-植田工場へ新機種対応等として116百万円。
海外投資
-中国子会社「武蔵精密汽車零部件(中山)有限公司」(MAP-CH)の生産能力を増強する。今後3年間で4輪オートマティックトランスミッションギヤの塑加工一貫生産体制を整え、年産能力を60万台体制に拡大する計画。ホンダの現地生産ならびに現地調達の増加に対応することを目的とする。なお、MAP-CHは同社の完全子会社で、広東省の中山市に本拠を置く。(2009年10月30日付プレスリリースより)設備投資計画
(2010年3月31日現在)
地域 | 計画金額(百万円) | 設備等の主な内容・目的 |
国内 | 2,900 | 新機種対応、商品開発力の強化 |
北米 | 1,000 | 新機種対応、合理化 |
欧州 | 150 | 既存設備の更新 |
アジア | 5,000 | 二輪・四輪部品の生産能力増強 |
南米 | 950 | 既存設備の更新、合理化 |