日信工業株式会社 2007年度の動向
ハイライト
単位:百万円 | 2008年 3月期 |
2007年 3月期 |
増減率(%) | 要因 |
売上高 | 202,469 | 187,878 | 7.8 | 国内での主要取引先の輸出向け生産増と四輪新型車向けメカトロ製品の新規拡販、中国での四輪車用部品、ブラジル、ベトナムでの二輪車用部品の販売好調などにより、増収。 |
営業利益 | 21,029 | 20,666 | 1.8 | 原材料価格の高騰、北米での新規モデル立上げ費用の増加などの影響はあったが、増収効果と原価低減活動により、増益。 |
経常利益 | 22,368 | 21,618 | 3.5 | |
当期純利益 | 13,348 | 12,375 | 7.9 |
受注
ホンダが米国で2007年9月12日に発売した新型「アコード」向けに、新たに開発した横滑り防止装置(VSA=ビークル・スタビリティ・アシスト)が採用されたと発表した。装置本体の重量を従来機に比べ20%低減し、2キログラムに抑えたほか、コストダウンも徹底した。新型アコードに採用されたのは、モーターや圧力センサー、電磁弁などを組み合わせた基幹部品。構成部品の統合・集約やモーター、電子部品の小型化を図り、コスト競争力も高めた。また、電磁弁をリニア制御にすることで、ABS作動時の油圧脈動を低減、ブレーキフィーリングの向上や作動音の低減など機能面も向上させた。(2007年9月14日付日刊自動車新聞より)
国内動向
-生産体制再編・強化
吸収合併
2008年4月1日を期して、子会社の株式会社日信四賀製作所を吸収合併。日信四賀製作所は、日信工業の100%子会社で、自動車部品の製造・販売をしている。環境変化に対応し、グループの経営効率化を図る。吸収合併により、日信四賀製作所は解散する。(2008年1月29日付プレスリリースより)
組織改正
海外拠点に対する日本国内からのオペレーション体制の強化や事業運営の効率化を目的に、4月1日付で組織改正を実施すると発表した。地域本部制を廃止して、欧米とアジア地域を統括する地域統括役員制度を導入する。さらに経営本部と管理本部を統合して「経営管理本部」とするほか、営業・開発本部と購買本部の機能を統合・独立させて、「開発本部」と「営業購買本部」に改組する。また、これまで東アジア地域本部の傘下に入っていた上田、東部、直江津の3工場を生産本部の傘下とする。(2008年3月1日付日刊自動車新聞より)
海外動向
-生産体制再編・強化
- 2008年4月、インドにブレーキ製品とアルミ製品の生産会社を新設すると発表した。
- 2007年5月、タイの生産体制を強化すると発表。
>>>詳細は設備投資を参照
事業計画
アルミ鋳造部品の拡販を本格化する。エンジンマウントや足回り関連部品を中心に新規受注の獲得や生産能力の増強に取り組み、今年度は260億円(前年度比9%増)の売り上げを目指す。ブレーキに次ぐ主力事業として育成、収益基盤をより強固なものとする。同社のアルミ部品はGDC(重力鋳造)によりねばり強い物性を持つのが特徴で、強度と耐久性が求められる部分に適する。当面は、エンジンマウントブラケットやナックルなど実績のある既存部品、採用車種の拡大に取り組む。未採用の自動車メーカーへ対する技術提案を積極化するなどして新規受注につなげる。(2007年6月29日付日刊自動車新聞より)
2010年度以降の将来ビジョンの中で、筆頭株主でかつ主力取引先であるホンダへの依存体質を改善する。ホンダの成長戦略に沿って、グローバル展開に注力しつつ、ブレーキやスタビリティーコントロールシステムなど、主力製品の他社拡販にも取り組み、現状で75%に達するホンダの売り上げ比率を将来的に50%程度まで引き下げる。ホンダ向けとともに、他メーカーへの拡販でも実績を積み上げることで、二輪車、四輪車双方に対応するシステムサプライヤーとしての事業基盤をより強固なものとする。同社は、二輪車用ブレーキで世界トップシェアを持つほか、四輪車用ブレーキでも、スズキや富士重工業との取引が拡大している。このため、ホンダの成長戦略をバックアップしながら、二輪車、四輪車双方に対応する強みを生かして、他社への拡販にも取り組む。(2007年8月30日付日刊自動車新聞より)
開発動向
2008年3月期 | 2007年3月期 | 2006年3月期 | |
研究開発費(百万円) | 7,313 | 6,870 | 6,367 |
研究開発体制
研究開発施設: 開発センター栃木(栃木県那須烏山市)、開発センター(長野県東御市)
二輪・四輪車を主とした自動車の軽量化と安全・快適性向上を目指し、基本ブレーキ及びメカトロ系自動制御システム開発、アルミ製品を軸とした軽量化設計技術、材料開発、製造工法開発に重点をおき、グローバルな生産を可能にする研究開発を推進。また、完成車メーカーとの共同取り組みにより、フルブレーキシステムの開発を推進。
四輪車用部品の主な研究開発成果
<メカトロ系自動制御システム開発>
- 安心・安全に寄与する新規開発の小型、軽量VSA(横滑り防止装置)のNK21Vが4機種に採用された。その中の1機種には登坂路発進時、ドライバーへの負荷軽減がされるHSA(ヒルスタートアシスト)が搭載。
<フルブレーキシステム開発>
新規開発のVSAのNK21V、ボールランプタイプパーキング機構付きキャリパーを搭載した車一台分のブレーキをシステムにて3機種に採用された。
<基本ブレーキ開発>
-性能向上と軽量化に寄与するボールランプタイプパーキング機構付きキャリパー(駐車ブレーキの性能向上を図った新機構キャリパー)の開発を行い2機種に採用された。
<軽量化技術開発>
-軽量化に寄与するアルミ製エンジンマウントブラケット類38点を開発、5機種に採用された。
-アルミ製リアナックルを開発、1機種に採用された。
設備投資
2008年3月期の設備投資費は、20,423百万円。
海外投資
<インド>
2007年4月、インドにブレーキ製品とアルミ製品の生産会社を新設すると発表した。二輪車と四輪車の市場が急速に拡大しているインドでの需要に対応するため。2008年10月から操業を開始する予定。新会社は「ニッシン・ブレーキ・インディア」で、インド・デリー近郊に工場を建設する。敷地面積は12万平方メートルで、建物面積は5千平方メートル。総投資額は16億円。08年の立ち上がり時点での従業員数は約60人の予定で、10年には約20億円の売り上げ規模を見込んでいる。(2007年4月25日付日刊自動車新聞より)
<タイ>
2007年5月、タイの生産体制を強化すると発表。2007年4月に、プレス部品工場が完成、今後は、マスターバキュームやドラムブレーキパネルなどの生産を本格化し、プレス部品についてもブレーキ生産ラインとの一貫体制を徹底する。将来的には、鋳鉄などの生産も検討、材料分野でもう一段の領域拡大につなげる。(2007年5月11日付日刊自動車新聞より)
四輪車部品生産設備の新設計画 (2008年3月末時点)
会社名・ 事業所名 |
設備の内容 | 投資予定総額 (百万円) |
着手年月 | 完了予定年月 |
上田工場 (長野県 上田市) |
生産設備 | 1,065 | 2007年5月 | 2009年3月 |
東部工場 (長野県 東御市) |
生産設備 | 490 | 2008年2月 | 2009年3月 |
直江津工場 (新潟県 上越市) |
生産設備 | 679 | 2007年6月 | 2009年2月 |
Nissin Brake Ohio Inc. (米国 オハイオ州) | 生産設備 | 2,890 | 2007年10月 | 2009年3月 |
Nissin Brake Georgia, Inc.(米国 jジョージア州) | 生産設備 | 1,568 | 2007年7月 | 2009年3月 |
NIssin Brake (Thailand) Co., Ltd. (タイ ナコンラチャシマ県) |
生産設備 | 3,623 | 2007年10月 | 2008年12月 |
P.T.Chemco Harapan Nusantara (インドネシア チカラン郡) |
生産設備 | 1,220 | 2008年1月 | 2008年12月 |
中山日信工業有限公司[Zhongshan Nissin Industry Co., Ltd.] (中国 広東省) |
生産設備 | 1,219 | 2007年10月 | 2008年12月 |
Nission Brake Vietname Co., Ltd. (ベトナム ビンフック省) |
生産設備 | 586 | 2007年7月 | 2008年12月 |
Nissin Brake Do Brasil Ltda. (ブラジル アマゾン州) | 生産設備 | 2,906 | 2007年10月 | 2008年12月 |