ティラド株式会社 2006年度の動向

ハイライト

業績
(単位:百万円) 2007年3月期 2006年3月期 増減率 要因
連結
売上高 96,218 80,310 19.8% 下記1)参照
営業利益  1,402 1,506 (6.9%) 下記2)参照
経常利益 2,109 2,455 (14.1%)
当期純利益  1,481 1,631 (9.2%)
自動車用熱交換器
売上高 43,637 37,357 16.8% 下記3)参照

要因
1)海外子会社において新規受注のあった自動車用、納入先の堅調な輸出の続いている建設産業機械用を中心に増加し増収。

2)生産・販売増による増益効果や、アジア・欧州子会社の収益力改善による増加があったが、同社グループの主要な原材料である非鉄金属の価格が世界的に急騰したことによる利益減少や、親会社単体において、新規製品の立ち上げと上期における建設産業機械用の売上増加への対応の遅れから、それに見合う利益の確保ができなかった。

3) 為替の円安の影響による輸出車の生産の増加と、原油の高騰や環境問題によるディーゼル車へのEGRクーラーの搭載の増加をうけて、急激に販売が増加。海外子会社では、乗用車用の新規受注のあったT.RAD North America,Inc.、T.RAD ITALIA S.p.A.、二輪車用で量産化の進んだタイT.RAD(THAILAND)Co.,Ltd.においても販売が増加。

受注
- トヨタ自動車への拡販を本格化。主力拠点を中心にトヨタ生産方式(TPS)を徹底し、生産性や品質面の競争力を高めるほか、ラジエーターからハイブリッド車用の小型冷却器まで、自動車の熱交換器全体をカバーできる優位性を売り込み、大型受注の獲得につなげる。国内のトヨタ車における同社製品のシェアは25%(05年度実績)だが、2006年度は30-40%に達する見通し。将来的にも40%以上の水準を維持を目指す。(2006年12月15日付日刊自動車新聞より)


海外事業

<北米>
北米市場における事業強化に向け、ディーゼルエンジン部品であるEGRクーラーの現地生産に乗り出す。ダイムラー・クライスラーの大型SUV向けの全量を受注したのを機に、初期生産段階から優れた品質と生産性を徹底する。年末から07年前半にかけて本格生産に入り、早期に年産30万台以上の体制を整える。

<チェコ>
欧州市場向けにはこれまでイタリアの子会社で製造していたが、チェコの工場にラインを新設して、欧州向けEGRクーラーの製造を集約する。08年夏ごろから生産を開始する予定。

<タイ>
タイの子会社の工場にEGRクーラーの生産ラインを新設する。08年夏ごろから生産を開始する予定。

⇒詳細は設備投資

国内事業
ディーゼル車の排ガスシステム部品であるEGRクーラーの国内生産能力を3倍に増強。次世代EGRクーラーの受注が好調なことから、新たに滋賀製作所にEGRクーラーの生産ライン2本を新設し、国内の生産能力を現在の3倍の月産9万本に増やした。

⇒詳細は設備投資


今後の課題
(1) 画期的商品開発と生産技術開発
(2) 企業体質の強化と収益力の向上
(3) 世界5極(日本、北米、アジア、中国、欧州)体制の確立
(4) 新事業への取り組み

開発動向

研究開発費
2007年3月期の研究開発費は、2,513百万円。
2007年3月31日現在の工業所有権の総数は125件。

研究開発体制
1. 新製品開発と現有製品の改良開発

<新事業分野>
・環境・エネルギー関連として、燃料電池分野、廃棄物ガス化発電システム分野、電子機器冷却分野における新製品を開発
・自動車用燃料電池:現在市販車に搭載されている熱交換器システムの高性能化に向けて改良を継続
・ハイブリッド車用やパソコン用の冷却システムを開発中。
<現事業分野>
・高性能・小型軽量化を進め、低コスト製品を開発中
・冷却系のモジュール化・システム化
・リサイクル性に配慮した製品や、エンジン排気ガスの改善に貢献する熱交換器の開発

2. 基礎研究
・材料および新加工の基礎研究、特に高温熱交換器用ステンレス材料、ニッケルろう材、表面処理、接合技術の研究
・基礎試験・基礎評価技術の向上に努め、開発の効率化を推進
・大学等外部機関への委託および共同研究

技術援助契約 (2007年3月現在)
相手方の名称 契約内容 契約期間
インドネシア
PT.BATARASULA MULIA
ラジエーター製造
に関する技術
2004.12.16 - 2009.12.15
パキスタン
Loads Ltd.
ラジエーター製造
に関する技術
2005.10.30 - 2010.10.29
インド
Tata Toyo Radiator Ltd.
ラジエーター製造
に関する技術
2006.01.01 - 2012.12.31
タイ
Torc Co., Ltd.
ラジエーター製造
に関する技術
1990.06.08 -
タイ
Alexon Co., Ltd.
ラジエーター製造
に関する技術
2003.02.11 - 2008.02.10
タイ
Radicon Co., Ltd.
ラジエーター製造
に関する技術
2003.02.11 - 2008.02.10
中国
青島汽車散熱器(有)
QINGDAO RADIATOR CO., LTD.
ラジエーター製造に関する技術 2002.10.29 - 2007.10.28
中国
青島汽車散熱器(有)
QINGDAO RADIATOR CO., LTD.
ラジエーター製造
に関する技術
2003.02.14 - 2008.02.13
台湾
東升熱交換器工業(股)
Rising Sun Heat Exchanger Industry Co., Ltd.
ラジエーター製造
に関する技術
2005.03.08 - 2013.03.07
中国
青島東洋熱交換器(有)
Toyo Heat Exchanger (Qingdao) Co., Ltd.
アルミ熱交換器製造
に関する技術
2005.03.31 - 2013.03.31
中国
青島東洋汽車散熱器(有)
Toyo Radiator (Qingdao) Co., Ltd.
ラジエーター製造
に関する技術
2005.07.05 - 2010.07.04

設備投資

2007年3月期は、各種熱交換器製造販売事業を中心に6,447 百万円の設備投資を実施

・自動車用新製品であるEGRクーラーの生産設備を中心に新規受注に対応するため:
- T.RAD Co., Ltd. 4,152百万円
- T.RAD North America Inc. 1,206百万円
- T.RAD (Thailand) Co., Ltd. 478百万円
- T.RAD Czech s.r.o 92百万円

海外
<北米>
北米市場における事業強化に向け、ディーゼルエンジン部品であるEGRクーラーの現地生産に乗り出す。ダイムラー・クライスラーの大型SUV向けの全量を受注したのを機に、初期生産段階から優れた品質と生産性を徹底する。年末から2007年前半にかけて本格生産に入り、早期に年産30万台以上の体制を整える。(2006年12月6日付日刊自動車新聞より)

<チェコおよびタイ>
ディーゼルエンジンの排出ガス対策装置であるEGRクーラーを新たにチェコとタイで生産する。欧州市場向けにはこれまでイタリアの子会社で製造していたが、チェコの工場にラインを新設して、欧州向けEGRクーラーの製造を集約する。また、タイの子会社の工場にもEGRクーラーの生産ラインを新設する。両工場とも2008年夏ごろから生産を開始する予定だ。欧州やアジアで、ディーゼルエンジンの需要が今後急拡大する見通しを踏まえ、生産体制の拡充に踏み切る。(2006年10月5日付日刊自動車新聞より)


国内
ディーゼル車の排ガスシステム部品であるEGRクーラーの国内生産能力を3倍に増強。次世代型のEGRクーラーを生産するライン2本を滋賀製作所に新設した。EGRは排出ガス再循環装置で、ディーゼルエンジンに採用されている。同社は国内では、秦野製作所にEGRクーラーの生産ライン1本を設けて、月産3万本を製造してきた。次世代EGRクーラーの受注が好調なことから、新たに滋賀製作所にEGRクーラーの生産ライン2本を新設し、国内の生産能力を現在の3倍の月産9万本に増やした。次世代型EGRクーラーは、エンジンに送り込む排気温度を最適化するため、バイパスバルブを装着する構造を前提としたもの。EGRクーラーの受注が好調な上に次世代型の需要が特に多いため、新たに生産ラインを追加する。(2006年9月21日付日刊自動車新聞より)


設備の新設
会社名
事業所名
所在地 投資予定金額
(百万円)
着手 完了予定
秦野製作所 神奈川県秦野市 816 2006年10月 2008年3月
名古屋製作所 愛知県知多郡 989 2007年2月 2008年3月
滋賀製作所 滋賀県東近江市 840 2005年10月 2008年3月
T.RAD North America Inc. 米国
ケンタッキー州
1,035 2006年7月 2007年12月
T.RAD (Thailand) Co., Ltd. タイ
チャチェンサオ
1,249 2006年7月 2007年12月
T.RAD Czech s.r.o. チェコ
ウンホスト
1,090 2006年7月 2007年12月