TPR (株) 2012年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2012年
3月期
2011年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 62,023  55,276 12.2 1)
営業利益 7,909  7,012 12.8 -
経常利益 9,129  7,943 14.9 -
当期純利益 5,591  4,646 20.3 -

要因
1) 売上高
<日本>
-東日本大震災およびタイの洪水に伴うサプライチェーン問題の影響からの回復により、操業度は維持された。また、事業の多角化による新分野への事業拡大により、増収。

<アジア>
-成長スピードは鈍化したが、中国を始めとしたアジア市場では成長が継続したことを受け、増収。

<北米>
-大型受注が軌道に乗り増収となったが、営業利益は東日本大震災によるサプライチェーンの混乱影響をカバーしきれず、減益。

新会社

-インドネシアに四輪車・二輪車エンジン向けピストンリングの生産拠点PT. TPR Indonesiaを設立すると発表。資本金は約16.2百万米ドル(約13億円)。2013年3月より生産開始し、2014年に年産能力24百万本を目指す。(2011年12月26日付プレスリリースより)

企業買収

-ファルテック (川崎市幸区)の発行済み株式の57.39%を取得し子会社化すると発表した。ファルテックに72.8%を出資する投資ファンドから81億円で買い取る。子会社化によるファルテックの経営体制の変更などは予定していない。エンジン部品を専門に手掛けているTPRは、新興国での需要の拡大により、当面、エンジン部品の需要も増えるものの、長期的には、ハイブリッド化によるエンジン気筒数の減少や電気自動車(EV)化により、エンジン部品の需要は減少していくと見ている。長期的な経営の安全度を増すため、これまでも企業買収を行っており、今回、投資ファンド側からの株式譲渡の提案を受けた。株の引き渡し日は4月上旬を予定している。(2012年3月1日付日刊自動車新聞より)

事業再編

-同社と日本ピストンリング(NPR)は、インドネシアの共同出資会社「NTピストンリングインドネシア (NTRI)」でのピストンリング事業の合弁関係を解消することで基本合意したと発表した。NPRは、同社が保有するNTRIの株式を全額取得して完全子会社化し、同社は、新たにピストンリング生産拠点「TPRインドネシア」を設立する。両社が独立した事業形態に移行することで現地の需要増加に迅速に対応する体制を整えて、事業規模の拡大につなげる。TPRインドネシアは13年3月の生産開始を予定し、四輪車と二輪車向けピストンリングの製造と販売を行う。生産規模は、14年で年間2400万本に設定している。(2012年1月5日付日刊自動車新聞より)

2013年3月期の見通し

(単位:億円)
  2013年3月期
(予想)
2012年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 1,380.0 620.2 122.5
営業利益 119.0 79.0 50.6
経常利益 129.0 91.2 41.4
当期純利益 67.0 55.9 19.9

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
全社 1,892  1,869 1,841

研究開発拠点

-研究開発は、技術センター(長野工場内)で実施。

研究開発活動

-低フリクション化、熱制御、軽量化への取り組みに加え、排気ガスクリーン化、代替燃料(バイオ、CNG)使用に対応した新製品の開発に取り組んだ。
-製品の高精度化に対応したインラインでの計測自動化、革新的コストダウン、生産エネルギーの極小化へ対応した新工法の開発を実施。
-急速なEV化に対応し、非パワートレイン部品への取り組みを強化。アルミ、樹脂を中心とした軽量化複合製品とゴムを中心としたシール製品への新技術導入を積極的に実施。先行他社と製品機能、価格で競争できる開発体制作りと、新事業分野の模索を推進。

開発の主な成果
<パワートレイン部品>
1) ピストンリング
-超低フリクションリングの開発 (低燃費対応)
-高機能オイルリングの製品化 (信頼性向上)
-ピストンリング革新的コストダウン製造ラインの構築 (低価格対応)

2) シリンダライナー
-小型エンジン用小径超薄肉、高熱伝導ライナーの製品化 (低燃費対応、信頼性向上)
-低フリクションボアライナーの製品化 (低燃費対応)

3) バルブシート
-高耐摩耗バルブシート材料の製品化 (代替燃料対応)

<非パワートレイン部品>
1) アルミ製品
-新鋳造方案構築および設備導入実施による、EVモーター用モーターフレームの製品化
-遠心鋳造スパイニ形状FC材の応用による、アルミブレーキドラムおよびベアリングキャップの製品化

2) 焼結機械部品
-ターボチャージャー用小径シールリングの製品化
-ショックアブソーバー、カップリング部品の精度改善および高強度化工法の開発

3) 樹脂、ゴム製品
-変速機用樹脂シールリングの製品化
-電磁弁スプールゴムシール部品の高精度化

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
日本 3,066 1,482 -
アジア 1,097 1,501 -
北米 319 139 -
その他 0 13 -
全社 4,483  3,136 2,003

-海外生産拠点の拡充整備を引き続き実施し、増産投資を中心に設備投資を実施。

設備の新設および改修 (自動車関連製品事業)

(2012年3月31日現在)
会社名
事業所名
所在地 設備の内容・
目的
投資予定
金額
(百万円)
着手予定
年月
完了予定
年月
完成後の
増加能力
同社
長野工場
長野県
岡谷市
研究開発、ピストンリング生産設備等 1,100 2012年
4月
2013年
3月
生産能力に影響を及ぼさない
TPR工業(株) 山形県
寒河江市
シリンダライナー生産設備等、応用新商品生産設備等 1,200 2012年
4月
2013年
3月
生産能力に影響を及ぼさない
TPR Vietnam Co., Ltd. ベトナム
ビンズオン省
シリンダライナー生産設備等 600 2012年
1月
2012年
12月
100%増加
安慶帝伯粉末冶金有限公司
[Anqing TP Powder Metallurgy Co., Ltd.]
中国
安徽省
焼結製品生産設備 570 2012年
1月
2012年
12月
15%増加