パイオニア (株) 2015年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2015年 3月期 |
2014年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 501,676 | 498,051 | 0.7 | - |
営業利益 | 7,778 | 11,169 | (30.4) | - |
経常利益 | (2,915) | 5,111 | - | |
当期純利益 | 14,632 | 531 | 2,655.6 | - |
カーエレクトロニクス | ||||
売上高 | 355,591 | 348,075 | 2.2 | 1) |
営業利益 | 10,995 | 12,431 | (11.6) | - |
要因
1) 製品別売上高
カーナビゲーションシステム
-市販市場向けは北米や欧州、中国など海外で増加したものの、低価格化の影響や前年度に消費税増税前の駆け込み需要があったことなどにより国内で減少し、減収となった。
-OEMは国内で減少したが、主に中国や北米で増加したことから増収となった。
カーオーディオ
-市販市場向けは主に中南米や北米で増加したが、欧州や国内で減少したことから前年並みとなった。
-OEMは中国で減少したが、北米や東南アジア、欧州で増加したことから増収となった。
なお、カーエレクトロニクス全体の売上高に占めるOEMの売上構成比は、前期の54%から57%に上昇した。
海外事業
-アルパインと同社は、米アップルのスマートフォン(スマホ)向けインフォテインメントシステム「カープレイ」を利用できる市販向けの製品やサービスを欧米市場に投入すると発表した。カープレイは日米欧の自動車メーカーが対応車種の発売を表明している。両社は、アフターマーケットでの需要も高いと見て対応を図る。カープレイは「iPhone(アイフォーン)」を車に接続して、スマホのアプリケーションを車載ディスプレーに表示して使用するシステム。パイオニアは今夏、アルパインは今秋からカープレイに対応する。(2014年4月24日付日刊自動車新聞より)
事業提携
-自動車業界向けのビッグデータ分析・配信サービスで、米トレジャーデータ社と業務提携することで合意したと発表した。パイオニアがカーナビやスマートフォンから収集、蓄積している走行車両情報などを短期間で効率的に分析できるようになる。2015年からディーラーや用品小売店など自動車関連事業者向けに解析結果や用途に合致する情報を提供し、メンテナンスの案内などアフターサービスの品質向上を支援する。(2014年9月5日付日刊自動車新聞より)
生産体制
-国内外の生産拠点で共通のサプライチェーンマネジメント(SCM)システムを導入すると発表した。NECが構築したシステムを各工場で採用し、調達や生産、品質、物流に関するPDCA(計画・実行・確認・見直し)サイクルを迅速化する。新システムは2016年1月から順次稼働し、17年度中に全拠点に配備する。日本、中国、タイなどの主力生産拠点から導入する。これにより、新製品や新拠点の立ち上げに要する期間を短縮するとともに、緊急時に代替生産への切り替えを容易にする。また、グローバルで統一したシステムを採用することで、システム数は従来に比べて8割削減できる。カーエレクトロニクス事業を強化し、自動車メーカーやメガサプライヤーとの取引をグローバルで拡大するため、全拠点共通のシステムを導入して各拠点が迅速に対応できるようにする。(2015年3月27日付日刊自動車新聞より)
中期事業計画 (2014年3月期 - 2016年3月期)
カーエレクトロニクス
主要戦略 | 施策 |
1. 今後の自動車環境を見据えたビジネスモデル変革による新価値創出 | -三菱電機株式会社との車両情報連携による、次世代車載機器での競争力確立。 -株式会社NTTドコモとのクラウド情報と連携した車利用者向けサービスでの地位確立。 |
2. 抜本的なコストダウンによる強力な原価低減の推進と収益力強化 | -モジュラーデザインの本格導入による開発・生産効率アップ。 -国内外生産拠点の再編・スリム化によるコストダウン。 -提携先との経営資源を相互活用することによる効率化推進。 |
3. 市販・OEM両事業の着実な伸長による売上拡大 | -市販:主力市場での顕在需要獲得と、新たな需要・市場創造による事業拡大。 -OEM:主要取引先との関係強化による堅実な事業拡大。 -地域ごとに異なる経済状況・市場環境に適応した新興国での地域戦略を推進。 |
-中期事業計画における財務数値達成目標 | (単位:億円) |
2016年3月期 (予測) |
2016年3月期 (目標) |
|
売上高 | 4,870 | 5,400 |
営業利益 (率) | 80 (1.6%) | 200 (3.7%) |
当期純利益 | 10 | 110 |
-2020年にカーエレクトロニクス事業の売上高で13年度比25%増の4,350億円を目指す。開発の効率化や事業体制の再構築、スリム化を通じて17年度までに営業利益率は13年度の3.6%から5%に改善、20年には6%以上を目指す。18年度以降は国内向けの業務用市場やテレマティクスサービスでの事業拡大、低価格製品による新興国市場の開拓に注力する。財務体質を健全化し、M&A(企業の合併、買収)や合弁事業、先行技術開発に投資を振り向けていく。(2014年11月11日付日刊自動車新聞より)
2016年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2016年3月期 (予測) |
2015年3月期 (実績) |
増減率 (%) | |
売上高 | 487,000 | 501,676 | (2.9) |
-カーエレクトロニクス | 374,500 | 355,591 | 5.3 |
営業利益 | 8,000 | 7,778 | 2.9 |
経常利益 | 6,000 | (2,915) | - |
当期純利益 | 1,000 | 14,632 | (93.2) |
-2016年3月期のカーエレクトロニクスの売上高は、2015年3月期比で5.3%増加する見込み。
- 増収要因はOEMカーオーディオ (CD・AV・スピーカー)、市販カーオーディオ (CD・AV・スピーカー)、OEMカーナビゲーションシステム。
- 売上高に占めるOEM比率は2015年3月期と同じく57%を計画。
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2015年3月期 | 2014年3月期 | 2013年3月期 | |
全社 | 28,196 | 26,891 | 33,671 |
-カーエレクトロニクス | 16,470 | 15,582 | 19,266 |
-2016年3月期の全社研究開発費は、25,000百万円を計画。
研究開発拠点
施設名称 | 所在地 |
研究開発部 / ベリフィケーションラボラトリ | 神奈川県川崎市 |
研究開発部 (甲府) | 山梨県甲府市 |
東北パイオニア米沢事業所内 | 山形県米沢市 |
中国研究開発部 Pioneer China Holding Co., Ltd 研究開発部 |
中国北京市 |
研究開発活動
(1) 自動運転時代に向けた「LiDARシステム (*1)」と「高精度自車位置推定技術」の研究開発
-自動運転におけるクルマの誘導に極めて重要とされる高精度な自車位置の推定や、周辺環境の認識を可能とする要素技術である高精度な次世代地図データと、それを車載機器で取り扱うための情報処理技術、クルマが走行する周辺環境を正確に認識するためのセンシング技術、画像処理やSLAM (*2) 等の信号処理技術の開発に取り組んでいる。
(*1) LiDAR (Light Detection and Ranging) システム:レーザー照射に対する対象物からの散乱光を受信し、対象物までの距離やその形状・性質を計測・分析するシステム
(*2) SLAM (Simultaneous Localization and Mapping) :自己位置推定と周辺環境の地図データ作成を同時に行う技術
(2) LiDARシステム
-光ディスク技術で培った光学技術、広帯域アナログ回路技術、デジタル信号処理技術を駆使し、LiDARシステムの基礎技術から応用システムまでの研究開発に取り組むことで、小型化され車載用途に適したローコストかつ信頼性の高いLiDARシステムの実現を目指している。
(3) 高精度自車位置推定技術
-従来のカーナビゲーションシステムで培った技術に、LiDARシステムによる3次元センシング技術、高精度地図データおよびSLAM技術を応用し、GPSを大きく上回る誤差10cmレベルの精度を持つ高精度自車位置推定技術の開発に取り組んでいる。
(4) ルームミラー型のテレマティクス端末
-LTE通信モジュールを搭載したルームミラー型のテレマティクス端末を開発し、2014年度中に市販市場向けに発売すると発表した。インターネットに常時接続し、リアルタイムで情報を取得することができる。内蔵のカメラで車線の逸脱や前方車両の発進を検知するなど安全機能も持たせた。国内の一般消費者や輸送事業者向けに広く提案していく。(2014年10月2日付日刊自動車新聞より)
技術導入契約 |
(2015年3月31日現在) |
提携先 (所在地) |
内容 | 期間 |
Dolby Laboratories Licensing Corporation (米国) |
デジタルサラウンド装置および雑音低減装置に関する製造技術の特許権実施の許諾 | 1971年12月21日から特許権満了日まで |
MPEG LA, L.L.C. (米国) |
MPEG-2ビデオ規格製品に関する製造技術の特許権実施の許諾 | 1994年1月1日から2015年12月31日まで |
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2015年3月期 | 2014年3月期 | 2013年3月期 | |
全社 | 32,586 | 22,135 | 24,089 |
-カーエレクトロニクス | 27,220 | 16,651 | 16,791 |
-2015年3月期の主な設備投資は、製品組込ソフトウェア、金型および生産設備。
-2016年3月期の全社設備投資額は、33,500百万円を計画している。
設備の新設計画 (カーエレクトロニクス) |
(2015年3月31日現在) |
会社名・ 事業所名 |
所在地 | 設備の内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
着手 | 完了 予定 |
同社 川越事業所 | 埼玉県 川越市 |
カーエレクトロニクス製品生産設備等 | 17,934 | 2015年 4月 |
2016年 3月 |
東北パイオニア (株) | 山形県 天童市・ 米沢市 |
カーエレクトロニクス製品生産設備 | 833 | 2015年 4月 |
2016年 3月 |
インクリメント・ピー (株) | 神奈川県 川崎市 |
地図ソフト等 | 2,490 | 2015年 4月 |
2016年 3月 |
Pioneer Manufacturing (Thailand) Co., Ltd. | タイ アユタヤ |
カーエレクトロニクス製品生産設備 | 3,508 | 2015年 4月 |
2016年 3月 |
Tohoku Pioneer (Thailand) Co., Ltd. | タイ アユタヤ |
カーエレクトロニクス製品生産設備 | 992 | 2015年 4月 |
2016年 3月 |
Tohoku Pioneer (Vietnam) Co., Ltd. | ベトナム ハイフォン |
カーエレクトロニクス製品生産設備 | 556 | 2015年 4月 |
2016年 3月 |
Shanghai Pioneer Speakers, Co., Ltd. | 中国 上海 |
カーエレクトロニクス製品生産設備 | 232 | 2015年 4月 |
2016年 3月 |
Pioneer Technology (Shanghai) Co., Ltd. | 中国 上海 |
カーエレクトロニクス製品生産設備 | 1,546 | 2015年 4月 |
2016年 3月 |
Pioneer Electronics (Shanghai Export Zone) Co., Ltd. | 中国 上海 |
カーエレクトロニクス製品生産設備 | 43 | 2015年 4月 |
2016年 3月 |
Pioneer do Brasil Ltda. | ブラジル マナウス |
カーエレクトロニクス製品生産設備 | 325 | 2015年 4月 |
2016年 3月 |