パイオニア株式会社 2009年3月期の動向
ハイライト
業績 | (単位:百万円) |
- | 2009年 3月期 |
2008年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 |
全社 | ||||
売上高 | 558,837 | 774,477 | (27.8) | 景気の減速により、主にカーオーディオやプラズマディスプレイ、DVDドライブの売上が減少したため。 |
当期純利益 | (130,529) | (19,040) | - | - |
カーエレクトロニクス事業 | ||||
売上高 | 291,704 | 375,885 | (22.0) | 世界的な自動車販売不振の影響により、カーナビゲーションシステムとカーオーディオの売上が共に減少。 |
営業利益 | (12,337) | 26,154 | - | - |
事業提携
2008年8月、ホンダは同社、ヤフーとそれぞれ提携すると発表した。パイオニアとは交通状況を把握する「プローブカー」のデータを、ヤフーとはドライブ関連情報をそれぞれ相互活用する。パイオニアは2007年春に市販カーナビゲーションでプローブ情 報の提供を始め、今年6月発売の「エアーナビ」にも適用するなどサービスを拡大している。プローブ情報を活用するホンダとデータを相互利用することで、 ルート案内の精度向上やサービス拡充につなげる。ヤフーとは、インターナビ会員専用ホームページと「ヤフー!ドライブ」の間のスポット情報やルート情報を 相互活用する。パイオニアとは2008年内に、ヤフーとは同年10月中旬から相互活用をスタートさせる。(2008年8月29日付日刊自動車新聞より)
同社のカーナビゲーションユーザーから収集している「リアルタイムプローブ データ」とホンダの「インターナビ・フローティングカーデータ」の相互活用を2009年1月19日中に開始すると発表した。当初の予定では2008年中に相互活用を開始する予定だったが、データ連携システムの構築などが予定より遅れたことなどから今回のタイミングでの運用開始となった。これまで両社は個別にプローブシス テムを構築してきたが、情報精度の向上やユーザーへの付加価値向上に向けて、車両の位置情報など、プローブ情報構築に必要な基礎情報を共有することにし た。(2009年1月20日付日刊自動車新聞より)
会社設立
2008年11月、インドの販売拠点となる「パイオニア・インディア」を設立、インド市場に本格参入すると発表した。パイオニア・インディアはデリー近郊のグルガオン市内に設立。巨大な消費市場として今後の成長が期待できるインドで、カーオーディオ(CD、DVD)、カーアンプ、スピーカーなどの拡販を狙う。資本金は1億6千万ルピー(約3億円)。同社のアジア地域統括会社であるパイオニ ア・エレクトロニクス・アジアセンターが99%、シンガポールの販売会社であるパイオニア・エレクトロニクス(シンガポール)が1%出資する。稼働開始は 2009年1月を予定しており、開始当初の人員は約20人となる見込み。(11月22日付日刊自動車新聞より)
中期事業計画
2010年3月期は構造改革の実施等により、営業損益、純損益ともに損失を計上するが、2010年3月期中に構造改革を完了し、2011年3月期からのカーエレクトロニクス、ホームエレクトロニクス両事業の営業損益および全体の当期純損益の黒字転換を図る。
-カーエレクトロニクス事業
2009年2月、収益基盤の強化に向けた構造改革を発表した。ホームエレクトロニクス事業をスリム化し、カーエレクトロニクス事業を主軸とした新たな企業体制を構築する。カーエレクトロニクス事業は自動車需要の急減により市販、OEMとも大きな影響を受けているが、2011年3月期には回復基調に入ると予測。環境対応や省エネルギー等製品の需要が拡大すると見込む。 そのためホームエレクトロニクス事業ではディスプレー分野から2010年3月までに完全撤退し、経営資源をカーエレクトロニクス事業に集中する。カーエレクト ロニクス事業では特にネットワーク対応などのテレマティクス分野を強化。事業拡大のけん引役に育てる。(2009年2月13日付日刊自動車新聞より)
2009年度、カーエレ事業の通期営業収入は前年比779億円減の2,960億円と予測。3千億円を割り込む見込みだが、ホームエレクトロニクス事業の縮小に伴い経営資源をカーエレ事業に集中。1千億円以上の事業規模拡大を図る。経営資源は主に通信機能を活用した製品、サービスの拡充や他社との協 業などに投入する。カーナビゲーションの競争力を一層高め、次世代の車載情報端末に育てる。カーエレ事業を軸とした新たな事業体制を確立し11年度の黒字化を目指す。同社のカーナビゲーションユーザー間で情報をやりとりできる「スマートループ」の普及や、ソフトバンクテレコムなどとの共同出資で2008年設立したナビポータル(東京都港区)が行っている通信インフラの有効活用、サービスの強化などを加速する。(2009年2月16日付日刊自動車新聞より)
2012年3月期には営業収入3,110億円、 営業利益150億円を計画。また、カーエレクトロニクス事業全体の営業収入に対するOEMの比率は、2012年3月期で約45%に上昇する見込み。
OEM事業については以下の点を具体的な取り組みとする。
1.従来からの主力取引先であるトヨタ自動車(株)や本田技研工業(株)との関係をさらに強化。
2.市販事業で培った提案力を活かして、カーナビゲーションを中心に、純正事業およびディーラーオプション事業の拡大を図る。
3.中国においては、従来からの日系主力取引先を主軸に、上海汽車工業グループとの合弁事業も加え、積極的な事業展開を図る。
4.新たな成長事業ついては、省電力化や小型・軽量化などの環境対応に取り組むほか、ブルーレイディスクをはじめとする新しいメディアやコンテンツへの取り組み、ネットワーク対応などを強化する。
連結業績見通し | (単位:百万円) |
- | 2009年 3月期 |
2010年 3月期 |
2011年 3月期 |
2012年 3月期 |
---|---|---|---|---|
全社 | ||||
営業収入 | 558,000 | 420,000 | 410,000 | 460,000 |
営業利益 | (55,000) | (33,000) | 15,000 | 22,000 |
当期純利益 | (129,000) | (83,000) | 8,000 | 16,000 |
カーエレクトロニクス事業 | ||||
営業収入 | 291,000 | 250,000 | 280,000 | 311,000 |
営業利益 | (12,500) | (9,000) | 12,000 | 15,000 |
開発動向
研究開発体制
研究開発活動 (2009年3月期)
カーエレクトロニクス事業
-ホームサーバーに保存されたコンテンツを、自動車の中でも安定的に楽しむことができるモバイルネットワーク再生技術を開発した。新たなバッファ制御技術の開発により、不安定な通信状況下における安定したコンテンツ再生・視聴を実現。国内において、2009年夏から開始される予定の高速・広域無線通信サービスで、カーナビゲーションなどを用いてモバイルネットワーク再生技術を利用することにより、自宅で録画および録音したコンテンツを、自動車の中でも自由に視聴できるようになる上、自宅から自動車へのシームレスなリレー再生も可能となる。
-メロディーやコード、リズムなど、楽曲の特徴を音楽の波形から自動で解析する技術と、それを応用した検索や再生の新たな手法の研究開発を行っている。この技術は、同社カーナビゲーション「サイバーナビ」に既に搭載されている。
拠点名 | 所在地 | 研究開発内容 |
総合研究所 | 埼玉県 鶴ヶ島市 |
有機エレクトロニクス、次世代ストレージ、高機能デバイス関連、ヒューマンインターフェース、放送通信技術中長期研究開発 |
開発センター | 埼玉県 鶴ヶ島市 |
オーディオ、光ディスク、配信、ホームネットワーク関連技術、次世代カーナビ、次世代車載デジタル放送受信技術の開発 |
研究開発費 | (単位:百万円) |
- | 2009年3月期 | 2008年3月期 | 2007年3月期 |
全社 | 54,790 | 59,395 | 59,222 |
カーエレクトロニクス事業 | 25,642 | 22,705 | 21,388 |
研究開発活動 (2009年3月期)
カーエレクトロニクス事業
-ホームサーバーに保存されたコンテンツを、自動車の中でも安定的に楽しむことができるモバイルネットワーク再生技術を開発した。新たなバッファ制御技術の開発により、不安定な通信状況下における安定したコンテンツ再生・視聴を実現。国内において、2009年夏から開始される予定の高速・広域無線通信サービスで、カーナビゲーションなどを用いてモバイルネットワーク再生技術を利用することにより、自宅で録画および録音したコンテンツを、自動車の中でも自由に視聴できるようになる上、自宅から自動車へのシームレスなリレー再生も可能となる。
-メロディーやコード、リズムなど、楽曲の特徴を音楽の波形から自動で解析する技術と、それを応用した検索や再生の新たな手法の研究開発を行っている。この技術は、同社カーナビゲーション「サイバーナビ」に既に搭載されている。
設備投資
設備投資額 | (単位:百万円) |
- | 2009年3月期 | 2008年3月期 | 2007年3月期 |
全社 | 49,795 | 38,527 | 47,851 |
カーエレクトロニクス事業 | 29,774 | 18,515 | 14,576 |
設備の新設計画 (カーエレクトロニクス事業関連)
会社名・ 事業所名 |
所在地 | 設備の内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
着手 | 完了 予定 |
パイオニア(株) 川越工場 |
埼玉県 川越市 |
カーエレクトロニクス製品生産設備・販売目的ソフトウェア | 12,738 | 2008年 12月 |
2010年 3月 |
東北パイオニア(株) | 山形県 天童市・ 米沢市 |
カーエレクトロニクス製品、有機EL等生産設備 |
791 | 2009年 4月 |
2010年 3月 |
インクリメント・ピー(株) | 東京都 目黒区 |
地図ソフト等 |
2,371 | 2009年 4月 |
2010年 3月 |
Pioneer Manufacturing (Thailand)Co., Ltd. |
タイ アユタヤ |
カーエレクトロニクス製品生産設備 |
1,945 | 2009年 4月 |
2010年 3月 |
Pioneer Technology (Shanghai) Co., Ltd. |
中国 上海 |
カーエレクトロニクス製品生産設備 | 937 | 2009年 4月 |
2010年 3月 |
Pioneer Electronics (Shanghai Export Zone) Co., Ltd. | 中国 上海 |
カーエレクトロニクス製品生産設備 | 1,154 | 2009年 4月 |
2010年 3月 |