アルプスアルパイン (株) (旧 アルプス電気 (株)) 2018年3月期の動向
業績
(単位:百万円)
2018年 3月期 |
2017年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 858,317 | 753,262 | 13.9 | - |
営業利益 | 71,907 | 44,373 | 62.0 | - |
経常利益 | 66,717 | 42,725 | 56.2 | - |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 47,390 | 34,920 | 35.7 | - |
電子部品事業 | ||||
売上高 | 514,031 | 437,676 | 17.4 | - |
営業利益 | 52,929 | 32,803 | 61.4 | - |
車載情報機器事業 | ||||
売上高 | 267,638 | 242,306 | 10.5 | - |
営業利益 | 13,735 | 5,623 | 144.2 |
要因
1)電子部品事業 - 車載市場
-2018年3月期の売上高は、前期比17.4%増の514,031百万円。自動車向け市場でCASEへの開発活動が活発化し、電装化ニーズが高まった。電子シフターやドアモジュールなどのモジュール製品、Bluetooth、W-LAN、LTEなど、通信用高周波製品及びセンサーをはじめとした各種車載デバイス等が全般にわたって堅調に推移。車載市場の売上高は前期比10.6%増の283,200百万円。
ー第8次中期経営計画として以下の目標値を掲げていたが、当2018年3月期において達成。
目標:「GT510」(売上高5,000憶円、営業利益率10%)
2)車載情報機器事業(アルパイン)
-2018年3月期の売上高は、前期比10.5%増の267,638百万円。営業利益は前期比144.2%増の13,735百万円。カーエレクトロニクス業界は、インフォティメントシステムを核とした車載情報分野と、自動車の電子化・自動運転・AI(人口知能)などの新分野との連携が拡大し、業種・業態を超えた競争が激化した。このような中、同事業部では2017年4月から3ヵ年の「第14次中期経営計画」に基づき国内技術開発子会社を吸収合併、また期初に統合した国内製造子会社3社の生産性向上を図るなど構造改革を推進し事業基盤の構築に努めた。
ーソフトウェアの性能や品質向上のため(株)シーズ・ラボとの資本及び業務提携の強化を行い子会社化。コニカミノルタ(株)が開発した3D AR(拡張現実)技術を利用したHUDの量産化を目指し共同開発を開始。
ー新規ビジネスとして「アルパインスタイル・カスタマイズカー」の販売を開始。
ー国内市販市場向けアルパインンブランドの車種専用製品や、中国市場における欧州自動車メーカー向け純正品の売上が伸長。
-為替が期初の予想よりも円安に推移。当初の予想を上回る業績となった。
中長期的な経営戦略
<電子部品事業>
第8次中期経営計画 (2017年4月~2019年3月末)
-注力市場は車載、モバイル、EHIIとし、持続的成長が可能な会社への発展を目指す。
車載市場においてコックピット周辺の各種操作入力用モジュールやコネクテッドカーに向けた各種通信モジュール、低燃費、安全性向上につながる各種センサーなどのコンポーネントセンサーに取り組む。収益の確保のため、主であったスマートフォン向け製品に加え、車載市場向け製品の収益改善を進めることにより、「収益の両輪化」を目指す。
<車載情報機器事業>
ー2017年4月からの3年間をVision2020達成に向けた企業変革実行の時期と位置づけており、
1. 情報・通信機器ビジネスには継続して研究開発投資をしつつ、さらに進化したスマートフォン融合型商品や新しいHMIなどの新分野への比率を高める。
2. 製品構造改革、設計プロセスの改革、生産マネジメント改革による品質向上と価格競争力の強化
3. グローバルで開発・調達・生産・販売を最適化
等の戦略を掲げている。
アルパインとの経営統合
ーCASEに対応するため、アルパインとの経営統合を推進することを発表。
2019年1月に統合し、社名を「アルプスアルパイン」とする。
アルプス電気が有するセンシングデバイスや通信デバイス技術とアルパインのソフトウェア技術を融合し、車載情報システムのトータルソリューションを提供する。
-アルパインと経営統合すると発表した。アルプス電気が株式交換でアルパインを完全子会社化する。アルプス電気は2019年4月に持株会社体制に移行する。両社の経営統合でアルプス電気グループは売上高1兆円規模となる。自動車の電子化が加速する中で、両社の事業領域が重複している。このため経営統合することで車載事業を強化するとともに、事業の効率化を図る。アルパインは18年末に上場廃止となる予定。(2017年7月28日付日刊自動車新聞より)
ーアルプス電気とアルパインは27日、経営統合スキームと持株会社名を変更すると発表した。経営統合後の経営体制について当初、純粋持株会社体制を予定していたが事業持株会社体制に変更し、カンパニー制を導入する。経営統合は2019年1月1日に前倒し、アルプス電気の商号を「アルプスアルパイン」に変更する。事業持株会社に両社の管理部門とグローバル事業企画部門などの戦略・企画立案を担う部門などの共通機能について、アルプス電気(アルプスアルパイン)に人員を集中させる。カンパニーとしては主に電子部品事業を担当する「アルプスカンパニー」と、主に車載情報機器事業を担当する「アルパインカンパニー」を設ける。両社の経営統合は19年4月1日付を予定していたが、自動車業界などで経営を取り巻く環境が大きく変化していることから3カ月前倒しする。(2018年2月28日付日刊自動車新聞より)
2019年3月期の見通し
(単位:百万円)
2019年3月期 (予想) |
2018年3月期 (実績) |
増減率 (%) | |
売上高 | 874,500 | 858,317 | 1.9 |
-電子部品事業 | 5,060 | 5,140 | (1.6) |
-車載情報機器事業 | 2,877 | 2,676 | 7.5 |
営業利益 | 60,000 | 71,907 | (16.6) |
経常利益 | 57,500 | 66,717 | (13.8) |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 37,500 | 47,390 | (20.9) |
研究開発費
(単位:百万円)
2018年3月期 | 2017年3月期 | 2016年3月期 | |
全社 | 29,799 | 32,279 | 33,336 |
-電子部品事業 | 19,539 | 16,780 | 13,668 |
-車載情報機器事業 | 10,227 | 15,449 | 19,648 |
研究開発活動
電子部品事業-車載市場向け
<車載モジュール製品>
-HMI(Human Machine Interface)技術及びセンシング技術を応用した開発を行う。自然素材を使った車室内デザイン調和と、手袋着用時でも操作可能なハプティックタッチパッドや静電ステアリングホイールスイッチ等の開発。
ー超単距離ミリ波レーダーの開発。
<車載デバイス製品>
-ADAS(先進運転支援システム)での自動運転の実現に向け、高周波回路技術によりモジュール化を行い、V2X( Vehicle to X)モジュールの量産を開始し、更なる拡大を見込んでいる。
製品開発
タクトスイッチ
ー車載用タクトスイッチ「SKTQシリーズ」の量産を開始したと発表した。独自の内部機構の採用で、小型ながら確実な操作感と静音性を実現するという。ステアリングスイッチやセンターコンソールパネル、カーナビゲーションシステムなどでの用途を見込む。すでに欧州の上級自動車メーカーから受注した。新製品は同社従来品SKSUシリーズと同じ5.3×5.4ミリメートルサイズ。小型ながら静音性が高く、車載用に適した5ニュートンの重作動力、高いクリック感触を実現したとしている。今後、作動力が3.5、4、4.5ニュートンのタイプの追加も検討する。角田工場 (宮城県角田市) で生産する。2月に月産200万個を計画する。(2018年1月23日付日刊自動車新聞より)
静電容量方式の入力デバイス
-内装のデザイン自由度を高めることができる入力デバイスを開発した。静電容量式で検知感度が高いため、手を直接触れずに10センチメートル離れた空間で動かすだけで反応する。布地など表面素材の下に埋め込むことも可能で、アームレストやドアトリムなど、車内のデザイン性を損ねることなくエアコンやオーディオの操作部として活用できる。すでに自動車メーカーなどに提案しており、2020年頃に市場投入されるモデルへの搭載を目指す。デバイス単体で供給するのではなく、操作したい人の手の動きを正確に検知できるようにするASIC (特定用途向けの高密度集積回路) と、手の動きと操作の種類を結びつけるアルゴリズムを独自設計して提供する。(2018年1月31日付日刊自動車新聞より)
設備投資額
(単位:百万円)
2018年3月期 | 2017年3月期 | 2016年3月期 | |
全社 | 76,154 | 47,657 | 41,190 |
-電子部品事業 | 61,235 | 37,063 | 28,999 |
-車載情報機器事業 | 8,611 | 7,978 | 7,494 |
電子部品事業
-2018年3月期はスマートフォン向けカメラ用アクチュエーターをはじめ、タクトスイッチ、センサーなどのコンポーネント製品等の開発や製造設備への投資を行った。
車載情報機器事業
-2018年3月期は生産設備の更新や合理化を目的とした機械装置の他、新製品の金型を中心に設備投資を行った。
-海外においては、欧州生産拠点であるAlpine Electronics Manufacturing of Europe, Ltd.等において生産設備への投資を行った。
設備の新設
(2018年3月31日現在)
事業所名 (所在地) |
事業の種類 | 設備の内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
着手年月 | 完了予定 | 摘要 | |
アルプス電気(株) | 古川工場他 (宮城県大崎市他) |
電子部品 | 建物、コンポーネント製品・車載製品の製造設備等 | 12,125 | 2018.04 | 2019.03 | 新製品・増産・合理化等 |
小名浜工場・平工場 (福島県いわき市) |
コンポーネント製品の製造設備等 | 1,175 | 2018.04 | 2019.03 | 新製品等 | ||
本社 (東京都大田区) |
システム関連の設備等 | 1,425 | 2018.04 | 2019.03 | 合理化等 | ||
アルパイン(株) | いわき事業所 (福島県いわき市) |
車載情報機器 | 生産設備・研究開発・その他設備 | 5,785 | 2018.04 | 2019.03 | 新製品・増産・合理化等 |
WUXI ALPS ELECTRONICS CO., LTD. | 本社工場 (中国江蘇省無錫市) |
電子部品 | コンポーネント製品の製造設備 | 5,405 | 2018.04 | 2019.03 | 新製品・増産・合理化等 |
ALPINE ELECTRONICS MANUFACTURING OF EUROPE, LTD. | 本社工場 (ハンガリー ビアトルバージ市) |
車載情報機器 | 生産設備 | 2,116 | 2018.04 | 2019.03 | 新製品・増産・合理化等 |