アルプス電気 (株) 2016年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2016年
3月期
2015年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 774,038 748,614 3.4 -
営業利益 52,327 53,534 (2.3) -
経常利益 50,038 57,594 (13.1) -
親会社株主に帰属する当期純利益 39,034 34,739 12.4 -
電子部品事業
売上高 434,072 389,120 11.6 1)
営業利益 40,780 36,595 11.4 -
車載情報機器事業
売上高 267,541 289,783 (7.7) 2)
営業利益 5,434 11,537 (52.9)


要因
1)
電子部品事業 - 車載市場
-2016年3月期、同事業部は売上高、営業利益ともに過去最高を記録。同事業部の車載市場向け売上高は、前期比18.7%増の247,500百万円。自動車各社でADAS (先進運転支援システム) やエコカーなど開発の活発化に伴って、電子化率が自動車販売台数の伸びを上回る勢いで高まる中、同社では電子シフターや各種操作入力用モジュール、通信モジュールなど、全般にわたって堅調に推移した。

2)
車載情報機器事業
-2016年3月期の売上高は、前期比7.7%減の267,541百万円。営業利益は前期比52.9%減の5,434百万円。技術提案の強化と新製品開発を加速させたが、自動車メーカー向け純正品では、北米及び中国での自動車メーカーモデル切換の影響などから売上減少。さらに製品モデルミックスも悪化したことから営業利益が減少。

電子部品事業

第7次中計経営計画結果 (2014年3月期~2016年3月期)
-売上高:車載市場向け、スマートフォン市場向けともに順調に拡大し、計画を大幅に上回る増収を達成し、過去最高を記録。(2016年3月期当初計画:3,500億円。実績:4,340億円)
-営業利益:目標とする利益を達成し、過去最高を記録。(2016年3月期当初計画:240億円。実績:407億円)

第8次中計経営計画 (2017年3月期~2019年3月期)
-持続的成長が可能な会社」への発展を目指し、車載、モバイル、今後の成長市場としてEHII*の三つを重点市場と位置付ける。車載市場向け事業では一層の収益改善に取り組むとともに、モバイル市場向けでは継続した新製品の創出と増客を図ることで、両市場での「収益の両輪化」を実現し、更なる拡大を目指す。*EHII:Energy, Healthcare, Industry, IoT(エネルギー、ヘルスケア、インダストリー、IoT)

事業目標:GT510 (Sales 500 (billion) 円。Operating Income 10%)
(売上 5,000億円、営業利益10%を目指す)

重要項目:
1. 車載市場向け売上3,000億円の達成
・車載モジュール:HMI・センシング・コネクティビティを融合した製品開発
・車載デバイス:コネクテッドカーに向けた製品開発
2. モバイル市場向け売上2,000億円の達成
3. EHII向け売上600億円の仕込み

業務提携

-同社は、株式会社アサヒ (群馬県安中市) と自動車関連モジュール部品の開発・設計、製造、資材調達などに関して業務提携契約を締結したと発表した。アサヒは、電装品やカーオーディオなどの設計、製造、販売を行っている。この業務提携に先立ち、同社はアサヒの株式の18.9%を取得している。(2015年5月29日付プレスリリースより)

2017年3月期の見通し

(単位:億円)
2017年3月期
(予想)
2016年3月期
(実績)
増減率 (%)
売上高 7,570 7,740 (2.2)
-電子部品事業 4,280 4,340 (1.4)
(内、車載市場) 2,400 2,475 (3.0)
-車載情報機器事業 2,560 2,675 (4.3)
営業利益 465 523 (11.1)
経常利益 460 500 (8.1)
親会社株主に帰属する当期純利益 320 390 (18.0)


>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
全社 33,336 33,035 32,987
-電子部品事業 13,668 14,903 13,086
-車載情報機器事業 19,648 18,132 19,895

-2017年3月期の研究開発費は33,900百万円を見込む。

研究開発活動

電子部品事業-車載市場向け
-エンジン・シャシーに使用されるセンサーをドメインとして部品からシステム製品までの幅広い分野で研究開発を、また、車室内で人が操作するインプットデバイスの研究開発を行っている。

<コンポーネント製品>
-2016年3月期の主な成果として、車のドアやトランク、エンジンフードなどの開閉状態を正確に検出するとともに、周辺回路の断線やシュート等の以上をいち早く検出する抵抗器内蔵型の防水型検出スイッチを開発し、量産を開始。検出部には、同社固有の精密加工技術を応用することにより、塵、ほこり、振動や衝撃に強く、高い接触信頼性を実現。

-自動車部品の組み立て工程でのリフロー方式に対応した、業界初の中空エンコーダーを開発し、量産を開始。軸材料の見直しを行い、耐熱性を向上させリフロー方式に対応。さらに独自の機構設計技術と精密加工技術を駆使し、高級感のあるフィーリングを実現。

<モジュール製品>
-2016年3月期の主な成果として、インフォティメント領域に加え、ITS (高度道路交通システム) 社会の広がりを視野に、自動運転を支援するADAS (交通安全支援システム)や、事故を未然に防ぐDSSS (交通安全支援システム)に対応すべく、車車間・路車間の通信を可能とする V2X (Vehicle to X) モジュールを開発し、量産を開始。

-研究開発としては、車載用エアコンやオーディオの操作性を向上したタッチパネルモジュールの開発を進めている。また、LTE (Long Term Evolution) のネットワーク網を車内で活用可能にするニーズに対応した、各国通信周波数に対応の車載用LTE通信モジュールの開発を進める。

製品開発

中空軸エンコーダー
-同社は、はんだ付けを効率化するリフロー方式に対応した中空軸エンコーダーの量産を開始すると発表した。他のコンポーネント部品と同時にはんだ付けが可能で、組立工数の削減に貢献できる。車載のエアコンやオーディオなどを操作するダイヤル部での用途を見込む。本年中に順次量産を開始する。(2015年11月 19日付日刊自動車新聞より)

抵抗器内蔵防水型検出スイッチ

-同社は抵抗器を内蔵した防水型検出スイッチ 「SPVQDシリーズ」 を開発したと発表した。検出の信頼性向上と回路小型化に貢献する。自動車のドアやトランク、ボンネットなどの開閉や故障の検知で用途を見込む。(2015年9月29日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
全社 41,190 31,416 26,570
-電子部品事業 28,999 22,210 16,671
-車載情報機器事業 7,494 7,496 8,193

-2017年3月期の設備投資額は、52,500百万円を見込む。

電子部品事業
-2016年3月期はスマートフォン向けカメラ用アクチュエーターをはじめ、タクトスイッチ、センサーなどのコンポーネント製品等の開発や製造設備への投資を行った。

車載情報機器事業
-2016年3月期は生産設備の更新や合理化を目的とした機械装置の他、新製品の金型を中心に設備投資を行った。
-海外においては、欧州生産拠点であるAlpine Electronics Manufacturing of Europe, Ltd.等において生産設備への投資を行った。

設備の新設

(2016年3月31日現在)
事業所名
(所在地)
事業の種類 設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手年月 完了予定 摘要
アルプス電気
小名浜工場・平工場
(福島県県いわき市)
電子部品 コンポーネント製品の製造設備等 7,107 2016.04 2017.03 新製品等
アルプス電気
古川工場他
(宮城県大崎市他)
電子部品 コンポーネント製品・車載製品の製造設備等 5,774 2016.04 2017.03 新製品・増産・合理化等
アルプス電気
長岡工場
(新潟県長岡市)
電子部品 コンポーネント製品の製造設備等 1,839 2016.04 2017.03 増産・合理化等
アルパイン
いわき事業所
(福島県いわき市)
車載情報機器 生産設備・研究開発・その他設備 2,409 2016.04 2017.03 新製品・増産・合理化等