アルプス電気 (株) 2015年03月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2015年
3月期
2014年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 748,614 684,362 9.4 -
営業利益 53,534 28,528 87.6 -
経常利益 57,594 28,090 105.0 -
当期純利益 34,739 14,311 142.7 -
電子部品事業
売上高 389,120 338,811 14.8 1)
営業利益 36,595 14,012 161.2 -
車載情報機器事業
売上高 289,783 282,115 2.7 2)
営業利益 11,537 9,813 17.6


要因
1)
電子部品事業 - 車載市場
-2015年3月期の車載市場向けの売上高は、前期比23.7%増の208,400百万円。自動車と様々な機器やモノを通信でつなぐV2X (Vehicle to X) などの新しい動きを捉え、次世代ヘッドアップディスプレイや固有技術の通信モジュールなどを開発、市場投入するとともに、スイッチやセンサー、各種操作入力用モジュールも積極的に展開したことが寄与。

2)
車載情報機器事業
-2015年3月期の売上高は、前期比2.7%増の289,700百万円。北米市販市場ではピックアップトラックやSUV向けに、欧州市販市場では高級車向け車種専用大画面ナビゲーションを投入、国内市販市場では世界最大サイズ10インチ大画面ナビゲーションの新製品を投入したことが寄与。

電子部品事業:第7次中計経営計画 (2014年3月期~2016年3月期)

2015年3月期実績
-車載市場向け売上2,000億円の目標を1年前倒しで達成。既存製品としてインストルメントパネル、パワーウィンドウスイッチ、ステアリングモジュール、リモートキーレスエントリーシステムなどを拡販、新製品として電子シフター、電子パーキングブレーキ、コマンダー、W-LAN+Bluetoothモジュール、ヘッドアップディスプレイ (HUD) を投入。

2016年3月期計画
-第7次中期経営計画の最終年度としてプレミアムコックピット、ヘッドアップディスプレイ (HUD)、車載用タッチパネルモジュール、さらにHMI (ヒューマンマシンインターフェース) ・センシング・コネクティビティを融合した次世代製品の開発・拡販を継続する。

販売提携

-ジャイロセンサーを共同開発している米クォルトレと販売契約を締結したと発表。両社は開発品をそれぞれ自社ブランドで販売することが可能になる。開発した3軸ジャイロセンサーは年内にも量産を開始し、車載や産業機器向け、民生用などに広く提案する。共同開発では、クォルトレがセンサー素子やICの設計、アルプス電気がパッケージングや性能試験を担当している。販売契約の締結により、両社で拡販活動に取り組む。年内に量産する3軸ジャイロセンサーはMEMSセンサー技術を用い、高周波数で検知することで外来ノイズへの影響を受けにくくした。高い衝撃特性と低消費電流を実現している。(2015年1月28日付日刊自動車新聞より)

2016年3月期の見通し

(単位:億円)
  2016年3月期
(予想)
2015年3月期
(実績)
増減率 (%)
売上高 7,670 7,486 2.5
-電子部品事業 4,150 3,891 6.7
(内、車載市場) 2,280 2,084 9.4
-車載情報機器事業 2,810 2,897 (3.0)
営業利益 545 535 1.8
経常利益 545 575 (5.4)
当期純利益 365 347 5.1


>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 33,035 32,987 28,674
-電子部品事業 14,903 13,086 11,747
-車載情報機器事業 18,132 19,895 16,884

研究開発活動

電子部品事業-車載市場向け
-エンジン・シャシーに使用されるセンサーをドメインとして部品からシステム製品までの幅広い分野で研究開発を、また、車室内で人が操作するインプットデバイスの研究開発を行っている。

<コンポーネント製品>
-東北大学と東北大学BIP (Business Incubation Program) により「ヘテロアモルファス材料の開発・実用化」プロジェクトを進め、高飽和磁束密度と低損失を兼ね備えた軟磁性粉 (アモルファス粉) の開発に成功。従来のアモルファス粉より飽和磁束密度とコアロスを20~25%向上。今後、車載電装品などのパワーエレクトロニクス領域でリアクトル等の電源モジュール用部品やアクチュエーター、モーター等、電気・磁気変換を応用した磁性電子部品に用いられる磁性コアなどへの応用開発を進めていく。

<モジュール製品>
-2015年3月期の主な成果として、ヘッドアップディスプレイ本体をダッシュボードの限られたスペースに配置するため、世界初となるレーザー方式の採用により小型化・薄型化した車載用ヘッドアップディスプレイを開発、量産を開始。

-研究開発としては、車載用エアコンやオーディオの操作性を向上したタッチパネルモジュールの開発を進めている。また、LTE (Long Term Evolution) のネットワーク網を車内で活用可能にするニーズに対応した、各国通信周波数に対応の車載用LTE通信モジュールや車車間・路車間の通信を可能とし、安全・安心の交通社会に向けたV2X (Vehicle to X) モジュールの開発を進めている。

製品開発

車載用無線通信モジュール
-ワイヤレスLANドライバーとブルートゥースのアンテナ、プロトコルスタックを一体化した車載用無線通信モジュールを開発し、量産を開始したと発表。スマートフォンと連携させて使用するカーナビやディスプレーオーディオ向けに開発した。カーナビなど車載機器にワイヤレスLANの搭載が増えていることから、ブルートゥースと一体化。ブルートゥースでハンズフリーでの通話や音楽の再生、ワイヤレスLANで高速通信を必要とするクラウドサービスの提供に対応する。ブルートゥースはワイドバンドスピーチで通話時の音質を向上する。(2015年1月23日付日刊自動車新聞より)

車載用プラットフォーム
-フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンと共同でWi-Fi (ワイファイ) やLTE通信、車車間・路車間通信など通信方式を統合して処理する車載用プラットフォームを開発したと発表。複雑化する通信機能を一括して設計できるため、各種通信を連携させたテレマティクスサービスや先進運転支援システム(ADAS) の開発期間を短縮できる。2015年以降に提供を開始し、日欧の自動車メーカーや1次サプライヤー向けに提案する。(2014年10月1日付日刊自動車新聞より)

ヘッドアップディスプレー (HUD)
-センサーで視線の向きやジェスチャーを検知しドライバーの意図に合わせて適切な情報を表示するヘッドアップディスプレー (HUD) を開発。視線に合わせて表示内容を少なくして注視し過ぎないようにしたり、HUDの表示を見ながらジェスチャーなどで空調の温度調整や電話への応答などを操作できるようにした。HUDと各種センサーを合わせて提案することで先進運転支援システム (ADAS) 向けの受注拡大につなげる。(2014年9月25日付日刊自動車新聞より)

タクトスイッチ
-重い押し心地と静音性を両立した、ステアリングやオーディオ用のタクトスイッチの新製品「SKSTシリーズ」を開発し、量産を開始したと発表。車室内の静音化やスイッチを押す感触を追求する自動車メーカーのニーズに対応する。7月から角田工場で量産を開始しており、2015年4月には月産300万個を計画している。(2014年8月5日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 31,416 26,570 31,833
-電子部品事業 22,210 16,671 23,845
-車載情報機器事業 7,496 8,193 6,719


電子部品事業
-スマートフォン向けタッチパネルデバイス、スイッチ、カメラ用アクチュエーターなどのコンポーネント製品等の開発や製造設備への投資を行った。

車載情報機器事業
-生産設備の更新や合理化を目的とした機械装置の他、新製品の金型を中心に投資を行った。
-海外においては、Alpine Electronics of America, Inc.等において、生産設備への投資を行った。

設備の新設

(2015年3月31日現在)
事業所名
(所在地)
事業の種類 設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手年月 完了予定
アルプス電気
古川工場他
(宮城県大崎市他)
電子部品 コンポーネント部品の製造設備等 18,003 2015.04 2016.03
アルプス電気
本社
(東京都大田区)
電子部品 システム関連の設備等 981 2015.04 2016.03
アルパイン
いわき事業所
(福島県いわき市)
車載情報機器 生産設備・研究開発・その他設備 2,030 2015.04 2016.03