アルプス電気 (株) 2014年03月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2014年
3月期
2013年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 684,362 546,423 25.2

-

営業利益 28,528 6,851 316.4 -
経常利益 28,090 7,659 266.8 -
当期純利益 14,311 (7,074) - -
電子部品事業
売上高 338,811 268,085 26.4 1)
営業利益 14,012 227 6,072.7 -
車載情報機器事業
売上高 282,115 219,852 28.3 2)
営業利益 9,813 2,324 322.2

要因
1)
電子部品事業 - 車載市場
-当市場向けの2014年3月期の売上高は、168,400百万円であり、前年比で20.3%の増加。
-要因として、インパネ、電子シフター、パワーウィンドスイッチなどモジュール製品全般が増加。車載向け通信モジュールも増加。

2)
車載情報機器事業
-2014年3月期売上高は、北米、中国市場で新車販売が好調に推移し増加。

稼働開始

<メキシコ>
-メキシコ拠点のAlps de Mexico S. de R.L. de C.V.が2014年4月から本格稼働を開始すると発表。同子会社は、メキシコ国内での電子部品の仕入れ販売、および輸出入業務を目的として昨年8月に設立された。

<インド>
-2013年12月、インドの販売会社Alps Electric (India) が車載用部品の生産を開始すると発表。これに伴い、2014年1月に新拠点へ移転する計画。まず、パワーウィンドウスイッチ、ミラースイッチなど車載用スイッチの生産を行う予定。

受賞

-2014年3月、ゼネラル・モーターズ (GM) より、「2013年GMサプライヤー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。

事業計画

-2014年3月5日の取締役会で2019年満期ユーロ円建取得条項付の転換社債型新株予約権付社債300億円の発行を決めたと発表。調達資金により、車載用電子部品、スマートフォン、エネルギーやヘルスケアといった重点事業分野の設備投資、研究開発投資を拡大する。車載事業は、拡販に向けて国内外の供給体制を増強するとともに、安全運転支援システム向けの開発を強化する。スマートフォン向け部品の増産や次世代製品の開発、エネルギー分野とヘルスケア分野の研究も加速する。

電子部品事業部
-2019年3月期の車載用電子部品事業の売上高目標を、2013年3月期比約2倍の3千億円に引き上げると発表。15、16年の受注が好調で、2016年3月期の車載用電子部品の売上高目標である2千億円を達成する見通しが立ったため。17、18年の拡販に向けて、電子シフターや電動パーキングブレーキ用のスイッチ、センシング技術を生かした新製品を提案する。既存製品の搭載拡大にも取り組み、売り上げの拡大につなげる。

課題 2014年施策
1. 自動車の電装化や顧客ニーズの変化に対応 -モジュール戦略の強化:タッチパッドモジュール、ヘッドアップディスプレイ (HUD)、電子シフター、ハプティックコマンダー
2. グローバル対応
   (日・欧・米+新興国)
-韓国アルプス: R&D棟竣工、車載・民生機器の研究開発
-アルコム・エレクトロニクス: 新棟建設、北米自動車市場の拡大対応
-ジャカルタに営業所設置: 2輪/4輪メーカーサポート強化
-アルプス・インド: 車載製品の現地生産を計画
3. 次世代製品の開発と提案 -視線検知システム、HUDとカメラを使ったジェスチャ入力との連動
4. グリーンデバイス・インダストリー事業の確立 -パワーインダクターの拡販
-xEMS市場向け電流センサーの拡販   
 *xEMS=ITを活用したエネルギーマネージメントシステム
-HEV/EV向け電流センサーの開発

2015年3月期の見通し

(単位:億円)
  2015年3月期
(予測)
2014年3月期
(実績)
増減率 (%)
売上高 6,850 6,843 0.1
-電子部品事業 3,500 3,388 3.3
(内、車載市場) 1,850 1,684 9.9
-車載情報機器事業 2,710 2,821 (3.9)
営業利益 310 285 8.8
経常利益 290 280 3.6
当期純利益 170 143 18.9

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 32,987 28,674 28,098
-電子部品事業 13,086 11,747 10,817
-車載情報機器事業 19,895 16,884 17,252

研究開発体制

電子部品事業
-国内外の大学や研究機関等とのコラボレーションを図るとともに、同社グループ国内外の研究開発拠点の技術力を技術本部に結集。

-グローバルで開発機能を強化する。米国と欧州の開発拠点で法規制の動向や技術に関する調査活動を行い、日本、米国、欧州の3極で新製品開発やマーケティングでの連携を強める。韓国と中国の開発拠点にはスイッチなどの既存製品について開発機能の移管を進め、現地仕様の製品設計を行う。グローバルでの受注拡大に向けた開発設計とともにメーカーの開発支援を行う体制を構築し、車載機器事業の体質強化につなげる。

-2013年4月、韓国法人の韓国アルプス電気 (光州広域市河南産業団地) がR&D棟を新設したと発表。投資額は約110億ウォン (約10億円)。製品と製造設備の開発機能を拡充し、開発速度を高める狙い。開発人員は3年後までに現状に比べ3割増の約1千人程度まで増やす。韓国法人は開発から生産まで担う機能を持つが、現代自動車や大手電機メーカー向けの提案力を強化するため、開発の設備と人員を拡充することにした。これまでと同様、日本や世界各地の開発案件のサポートも行う。

-国内では宮城県仙台市に仙台開発センターを保有。

共同開発

-2013年6月、ジャイロセンサーなどの慣性センサーの共同開発を進める米国クォルトレ社とともに、小型化と検出精度を高める世界初の技術を採用したジャイロセンサーを開発し、センサー事業を強化すると発表。車載向けジャイロセンサーとして横滑り防止装置 (ESC) やカーナビゲーションシステムへの採用を想定し、2014年上期をめどに製品化を目指す。クォルトレには、5月に新たに300万ドル (約3億円) を投資しており、センサーの開発と販売で連携を強めて事業規模の拡大を図る。

製品開発

車載用マルチGNSSモジュール
-2014年3月、車載用マルチGNSS (グローバルナビゲーションサテライトシステム) モジュール「UMSZ2シリーズ」を開発したと発表。4月からサンプル出荷を開始、10月から量産を始める。米国のGPS、ロシアのグロナス、中国のBDS、運用開始予定の欧州のガリレオなどの衛星電波を受信でき、自車位置測位の精度向上に貢献する。

2回路摺動接点式マイクロスイッチ
-2013年9月、電動パーキングブレーキ (EPB) などの車載用操作スイッチの表面実装に対応した2回路摺動接点式マイクロスイッチ「SPVQCシリーズ」を開発し、6月に量産を開始したと発表。塵や埃、振動の耐久性を強化するとともに、高い接触信頼性を確保している。EPBの搭載車種増加や、LEDを内蔵するスイッチの表面実装タイプの採用拡大に対応することで、受注増につなげる。

リング型の中空エンコーダ
-2013年6月、車室内のエアコンやオーディオなどの操作部に適したリング型の中空エンコーダ「EC50Aシリーズ」を開発し、2013年6月よりサンプル出荷を開始すると発表。従来品であるEC40A (外形サイズ:幅40.4mm×奥行44.2mm×高さ22mm、中空部内径φ25mm) に比べ、製品投影面積では1.4倍程度ながら、中空部面積は約2倍の広さとなる37mmの大内径を実現。大内径の中空部分には、スイッチやLED、小型液晶ディスプレイの配置も可能になる。この製品の開発は技術本部の古河工場 (宮城県) で行われ、生産は大連アルプス (中国・遼寧省) で行う。2013年9月に月産15万個の生産を予定している。

ワイヤーハーネス付き防水検出スイッチ
-2013年4月、業界最小サイズの開閉や位置の防水検出スイッチ「SPVQ8シリーズ」のワイヤーハーネス付きタイプを開発し、量産を開始したと発表。ワイヤーハーネスの接合部を含む製品全体が防塵・防水の保護規格IP67に対応している。ワイヤーハーネスと一体化することで防水が必要な車載機器ユニットなどの組み立て時の防水処理工程を削減できる。生産は中国の無錫アルプスで、月産は30万個の予定。

アンテナ/メモリー内蔵Bluetoothモジュール
-2013年4月、カーオーディオなどとモバイル機器を接続する車載用Bluetoothにアンテナとメモリーを内蔵した新製品「UGZZC-Gシリーズ」を開発したと発表。音響機器メーカーへの提案活動を展開し、グローバルでの新規受注を目指す。同社がカーナビ向けに生産するBluetoothモジュール「UGZZC」に、アンテナと電話帳データを最大3千件まで保存できるシリアルフラッシュメモリーを内蔵した。携帯電話のハンズフリー通話やスマートフォン (高機能携帯電話) の音楽再生をカーオーディオで行える。4月に角田工場で生産を開始。当面は月産5万個ペースで生産し、受注に応じて生産量を増やす。

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 26,570 31,833 34,024
-電子部品事業 16,671 23,845 24,509
-車載情報機器事業 8,193 6,719 5,328

電子部品事業
-スマートフォン向けタッチパネルデバイス、スイッチ、カメラ用アクチュエーターなどのコンポーネント製品等の開発や製造設備への投資を行った。

車載情報機器事業
-生産設備の更新や合理化を目的とした機械装置の他、新製品の金型を中心に投資を行った。
-海外においては、Alpine Electronics of America, Inc.等において、生産設備への投資を行った。

設備の新設

(2014年3月31日現在)
事業所名
(所在地)
事業の種類 設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手年月 完了予定
アルプス電気
古川工場他
(宮城県大崎市他)
電子部品 コンポーネント部品の製造設備等 6,606 2014.04 2015.03
アルプス電気
本社
(東京都大田区)
電子部品 システム関連の設備等 1,090 2014.04 2015.03
アルプス電気
長岡工場
(新潟県長岡市)
電子部品 タッチパネルの製造設備等 322 2014.04 2015.03
アルパイン
いわき事業所
(福島県いわき市)
車載情報機器 生産設備・研究開発・その他設備 2,464 2014.04 2015.03