アルパイン (株) 2015年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2015年
3月期
2014年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 294,560 285,884 3.0 -北米・中国の新車販売の好調、国内市販ビジネスの伸び、為替メリットにより2年連続で過去最高を記録
営業利益 11,523 9,813 17.4 -営業利益も過去2番目に高い水準
経常利益 15,000 11,763 27.5 -
当期純利益 12,704 9,229 37.7 -
音響機器事業
売上高 62,920 69,378 (9.3) -自動車メーカー向け純正品はスピーカーやアンプを中心に高音質のサウンドシステムが北米で好調に推移する一方、欧州やアジアで低迷
営業利益 2,734 2,552 7.1 -
情報・通信機器事業
売上高 231,640 216,505 7.0 -自動車メーカー向け純正品は、北米・中国で欧州高級車の販売が好調に推移した結果、新車搭載のディスプレイ複合製品の売り上げが増加
営業利益 13,465 11,857 13.6 -

新製品投入

-国内市場で展開している「車種専用カーナビ」を2014年夏にも北米市場に投入する。米自動車メーカーの主要ピックアップトラック2、3車種の専用ナビをラインアップする。ナビゲーションの機能に比べ、音楽などエンターテインメント性のニーズが大きいと見込み、特にオーディオ関連の機能性にこだわる。車種専用カーナビは、10年に 「ビッグX」 シリーズとして発売。順次、ラインアップ拡充と機能向上を進めている。北米や欧州で車種専用品のノウハウ蓄積を進め、国内製品の商品力向上につなげる。(2014年6月30日付日刊自動車新聞より)

「カープレイ」 対応のディスプレーオーディオ

-2014年秋に欧米市場で発売した米アップル社「カープレイ」対応のディスプレーオーディオの国内導入を15年度は見送る方針を固めた。ディスプレーオーディオのマーケットの成長に合わせ、国内投入を検討していたが、市場の成長速度が遅く、現状ではこの先も成長要因が見えないと判断。当面、国内市販事業では、大画面液晶を搭載した「ビッグXプレミアム」シリーズで同社初のティザー広告を打ち出すなどオーディオ一体型カーナビゲーションシステムやリアモニターといった既存カテゴリーの拡販に集中する考えだ。(2015年3月7日付日刊自動車新聞より)

-同社とパイオニアは、米アップルのスマートフォン向けインフォテインメントシステム「カープレイ」を利用できる市販向けの製品やサービスを欧米市場に投入すると発表。カープレイは日米欧の自動車メーカーが対応車種の発売を表明している。両社は、アフターマーケットでの需要も高いと見て対応を図る。カープレイは 「iPhone」を車に接続して、スマホのアプリケーションを車載ディスプレーに表示して使用するシステム。パイオニアは今夏、同社は今秋からカープレイに対応する。(2014年4月24日付日刊自動車新聞より)

「オープン・オートモーティブ・アライアンス」(OAA) 加盟

-米グーグルと自動車メーカーなどがアンドロイドプラットホームの自動車への搭載を推進するために発足したアライアンス「オープン・オートモーティブ・アライアンス」(OAA)に加盟したと発表。2015年中を目標に車載用基本ソフト(OS)である「アンドロイドオート」に対応したカーナビなどの車載機器を展開する。アンドロイドオートは運転中に電話やメールの送受信といったスマートフォンのアプリを安全に使用するために設計されたインターフェース。これに対応した車載機器とアンドロイド塔載のスマートフォンを接続することで、自動車用に最適化されたスマホのアプリやサービスが利用できる。(2014年7月1日付日刊自動車新聞より)

受賞

OEM 受賞名 受賞理由・対象
GM 2014 Supplier of The Year 戦略的パートナーとして
Fiat-Chrysler Supplier Recognition of Excellence サウンドシステム
Volvo 2014 Award of Excellence 赤外線方式タッチセンサーを採用したディスプレイ

2016年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2016年3月期
(予想)
2015年3月期
(実績)
増減率 (%) 要因
売上高 285,000 294,560 (3.2) 1)
営業利益 10,000 11,523 (13.2) 2)
経常利益 10,500 15,000 (30.0) -
当期純利益 7,000 12,704 (44.9) -


1) 売上高
-2016年3月期は国内は市販ナビの競争激化により売上減を見込む。米州では市販事業を強化するものの、OEMの一部モデルが端境期に入るため、減収へ。欧州はOEM別では売上増を見込むが、全体としては売上はやや減少する見通し。

2) 営業利益
-2016年3月期は原価改善、開発費削減が利益の押し上げ要因となるが、売上高の減少、為替の影響、セールスミックの悪化により営業減益に。

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 18,100 19,800 16,800
音響機器事業 3,100 2,900 3,200
情報・通信機器事業 15,000 16,900 13,600

共同開発

-携帯情報端末などに使われる基本ソフト (OS) 「アンドロイド」を車載用に適用するための開発者を5倍に増やす。富士通テンとアンドロイドによるプラットフォームを共同開発するために体制を強化する。両社の連携によりソフトウエア設計の負担やコストを抑制して収益体質の強化につなげる。両社の製品で2、3年後に搭載していく。アルパインは東京都内にアンドロイドの開発拠点を設けた。現在の20人体制から最大で100人まで人員を拡大する。(2014年8月5日付日刊自動車新聞より)

-同社と富士通テンはカーナビなど車載機器の基本ソフト (OS) を共同開発することで基本合意したと発表。非競争領域であるOSの開発コストを圧縮して収益体質を強化するとともに、差別化を図っていく機能の開発にそれぞれの経営資源を振り向ける。2、3年後から共同開発したOSを両社の製品に搭載していく。カーナビ各社は、独自でOSの開発を手掛けている。これに加えて、スマートフォンのアプリケーションをカーナビで利用するといった機能の開発負担も増加し、利益を圧迫している。両社は製品の差別化につながらないOSのプラットホームを開発することで、コストを低減する。また、車載機の高度化や機能の複合化といった競争領域の開発に集中することを狙う。(2014年6月19日付日刊自動車新聞より)

研究開発活動

車種専用トータルカーライフソリューション
-海外市販向け「車種専用トータルカーライフソリューション」を昨年度より導入、これまで計13車種に展開。車種ごとのインパネ形状に最適化されたデザイン・音響設定・カメラ設定とリアビジョンを含めたトータルシステムにより新たなカーライフを提供。

10.2インチWXGA液晶搭載モデル
-国内市場向けBig-Xプレミアムに新たに10.2インチWXGA液晶搭載モデルを開発。リアビジョンとのシステムで前後席ともに高精度画面を実現。

車載機iLX-007
-Apple Car Play 対応の車載機iLX-007を開発、欧米市販市場に導入。従来製品より大幅に薄い3インチの筐体とし、様々な車種への取り付けが可能。通常のタッチパネルに加え、音声認識Siriにも対応し、iPhoneの機能を車内でより安全に使用できる。

主な技術導入契約

(2015年3月31日現在)
契約先 国名 契約内容 契約期間
Dolby Laboratories Licensing Corporation 米国 DVD等の雑音低減装置に関する特許実施権の許諾 1977年1月1日から
特許存続期間満了日まで
Thomson S.A. フランス DVDプレーヤーに関する特許実施権の許諾 2000年10月1日から
2005年9月30日まで
以後5年ごとの自動更新
株式会社 東芝 日本 DVDプレーヤーに関する特許実施権の許諾 2000年12月31日から
2007年12月31日まで
以後5年ごとの自動更新
MPEG LA, LLC 米国 DVDプレーヤーに関する特許実施権の許諾 2002年1月1日から
特許存続期間満了日まで
Microsoft Corporation 米国 基本ソフトに関する使用権の許諾 2003年7月1日から
2012年12月31日まで
以後5年ごとの自動更新
ソニー株式会社 日本 オーディオ機能付きナビゲーション機器に関する特許実施権の許諾 2014年1月1日から
2018年12月31日

設備投資額

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 7,496 8,193 6,719
音響機器事業 1,731 2,076 1,882
情報・通信機器事業 5,765 6,100 4,833


2015年3月期の主な設備投資

音響機器事業 (単位:百万円)
  2015年3月期
金型を中心とした有形固定資産 399
ソフトウェアの開発等 65
生産設備の投資
-米州生産拠点 「Alpine Electronics of America, Inc.」 252
-メキシコ生産拠点 「Alcom Electronicos de Mexico, S.A. de C.V.」 137
-欧州生産拠点 「Alpine Electronics Manufacturing of Europe, Ltd.」 101
-中国生産拠点 「Dalian Alpine Electronics Co.,Ltd.」 64
-タイ生産拠点 「Alpine Technology Manufacturing (Thailand) Co., Ltd.」 322

情報・通信機器事業 (単位:百万円)
  2015年3月期
新製品開発および生産の合理化をめざした有形固定資産 1,651
ソフトウェアの開発等 271
生産設備の投資
-米州生産拠点 「Alpine Electronics of America, Inc.」 687
-メキシコ生産拠点 「Alcom Electronicos de Mexico, S.A. de C.V.」 328
-欧州生産拠点 「Alpine Manufacturing of Europe, Ltd.」 461
-中国生産拠点 「Dalian Alpine Electronics Co.,Ltd.」 625

設備の新設

(2015年3月31日現在)
事業所名 所在地 設備の内容 投資
予定額
(百万円)
着手年月 完了予定年月
いわき事業所 福島県
いわき市
生産設備・研究開発・その他設備 2,030 2015年4月 2016年3月
Dalian Alpine Electronics Co. Ltd. 中国
大連市
生産設備 1,350 2015年4月 2016年3月
Alpine Technology Manufacturing (Thailand) Co., Ltd. タイ
プラーチンブリ市
生産設備 1,492 2015年4月 2016年3月