アスモ (株) 2012年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2012年
3月期
2011年
3月期
増減率
(%)
要因
売上高 271,361 273,210 (0.7) -米国・日本での自動車販売の回復があったが、タイの洪水や為替変動の影響などにより減収。
営業利益 (1,645) 4,430 - -徹底した原価改善活動を推進したが、銅・鉄・レアアースなど原材料価格の高騰や円高に伴う為替差益などを吸収できず赤字に転落。
経常利益 (1,645) 3,640 - -
純利益 3,935 1,466 168.4 -2010年3月期に特別損失として計上した北米向けパワーステアリングモーターの市場対策費用が確定し、差額を特別利益として計上。

地域別業績要因

<日本>
-売上高は、エコカー補助金の効果による国内車両生産の増加などにより、前年比0.4%の増収。
-原材料価格の高騰や円高による為替差益が影響し、3,588百万円の営業損失。(2011年3月期は2,138百万円の営業利益)

<米国>
-売上高は、北米および日系メーカの車両生産の増加があったが、為替変動の影響により、前年比6.2%の減収。
-営業利益は、原材料価格の高騰や売価変動などにより、前年比63.2%の減益。

<ASEAN>
-売上高は、北米向け輸出品が増加したものの、タイの洪水や為替変動の影響により、前年比4.6%の減収。
-営業利益は、原材料価格の高騰やドル安による為替差損などがあったものの、購入部品コストダウンや生産性向上などの原価改善努力により、前年比61.7%の増益。

<中国>
-売上高は、東日本大震災やタイの洪水による顧客の車両生産の減少などにより、前年比6.4%減収。
-営業利益は、売上減少に伴う操業度差損や労務費の増加などにより、前年比78.1%の減益。

受賞

-2012年3月、日野自動車より「品質管理賞金賞」を受賞。
-2012年2月、トヨタ自動車より「品質管理優秀賞」を受賞。

事業方針

競争力向上
-世界初などの革新技術を織り込んだ製品の開発を進め、競合メーカーとの差別化を図るとともに、省・脱レアアース化などの技術の確立による原材料価格の変動に影響を受けにくい製品の開発を加速。

拡販強化
-革新技術を織り込んだ次期型製品やスマートモーターを積極的に投入し、市場拡大が続く新興国や欧米系自動車メーカーへの幅広い拡販を図るとともに、新用途・新領域の市場開発を促進するなど、拡販活動と開発体制を強化。

グローバル事業の拡大
-中国・アセアン・インドなどの生産拠点の増強を進め、新興国市場での新製品・新事業の積極的投入と本格事業化、部品・設備等の更なる現地調達化促進による収益拡大を図るなど、グループ会社と一体となったグローバル生産・供給体制を強化。

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
全社 12,237 11,624 10,308

研究開発活動

-将来に向けた開発として、車両の新システムに対応するブラシレスモーターやモーター駆動制御技術の開発や、小型軽量・高効率・省資源(省・脱レアアース)をさらに追求したモーター技術開発を推進。
-魅力ある製品の探索・品質向上に向け、大学や外部研究機関とも基盤技術の研究、開発を推進。

製品開発

4極ワイパーモーター
-多極化(2極;磁石1対から4極;磁石2対へ)を用い、出力源となる従来の2倍の磁気回路を構成したことにより、小型・軽量で従来並みの出力を確保できるモーターを開発。車両の低燃費、CO2削減に寄与。

電動VVTモーター (薄型化)
-ローター内磁気回路の最適化等により、従来比30%の薄型化を実現し、小型車への搭載を可能とした。車両の低燃費化に貢献。

ブラシレスブロワーモーター
-多極化、新たな防振構造により小型軽量・高効率・低騒音化を実現。空調システムの低燃費と搭載性向上およびコックピットの静粛性に貢献。

技術受入契約

(2012年3月31日現在)
相手方の名称 国名 契約品目 契約内容 契約期間
キヤノン(株) 日本 超音波モーター 特許実施権の許与
技術情報の提供
1998年1月1日 - 2017年12月31日

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
全社 11,678 9,779 6,648

-次期型製品切替、生産能力増強、製品の品質・信頼性向上のために投資。

-2013年3月期の設備投資額は、15,400百万円を予定。

海外投資

<中国>
-中国における3番目の生産拠点となる阿斯莫(杭州蕭山)微電機有限公司の起工式を、杭州江東工業園区(Hangzhou Jiangdong Industrial Zone)で行ったと発表。新工場では、電動パワーステアリングモーター、アンチロックブレーキモーターなど、年間約1,000万台のモーターを生産する。2012年3月には一期工事が竣工、8月に稼動開始する予定。2016年に従業員660名、売上高は83億円となる見込み。(2011年9月4日付プレスリリースより)

-事業拡大・現地調達化推進に向けた、天津阿斯莫汽車微電機有限公司 [Tianjin Asmo Automotive Small Motor Co., Ltd.]の12,000平方メートルの増築が終了。2011年8月から稼動を開始。

<インドネシア>
-ASEAN域内外の需要拡大と競争力強化のため、現地工場の拡張を決定。

<インド>
-モーター工場の移転・拡張を決定。

設備の新設

(2012年3月31日現在)
会社名 所在地 設備の内容 投資予定総額
(百万円)
本社工場 静岡県湖西市 小型モータ生産設備 5,500
天津阿斯莫汽車微電機有限公司
[Tianjin Asmo Automotive Small Motor Co., Ltd.]
中国天津市 小型モータ生産設備 2,500