NTN (株) 2014年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2014年
3月期
2013年
3月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 638,970 539,594 18.4 -
営業利益 33,003 7,278 353.5 -
経常利益 28,670 2,512 - -
当期純利益 (14,648) (14,195) - -特別損失として独占禁止法関連損失、減損損失、関係会社支援損失引当金繰入額、事業再編費用などを計上
自動車市場向け
売上高 433,944 356,626 21.7 1)
営業利益 11,999 (8,981) - -

要因
1)
<日本>
-自動車市場向けは、前期のエコカー補助金効果の反動はあったものの、客先の需要拡大などにより全般的に増加。

<米州>
-自動車市場向けは客先の需要拡大などにより全般的に増加。

<欧州>
-自動車市場向けは客先の需要拡大などにより全般的に増加。

<アジア他>
-自動車市場向けは、その他アジア地域で客先需要の減退などにより減少したものの、中国での日系メーカ向けの回復および新規案件の量産により増加。

EV事業

-ガソリン車を電気自動車 (EV) に改造し、独自の駆動システムを搭載したコンバージョンEVを、三重県桑名市へ貸し出し、走行データを収集する実証実験を開始したと発表。同車はスズキ「ワゴンR」をベースに、減速機内蔵のモーターユニットを左右前輪の車両側に搭載したコンバージョンEV。モーターの駆動を左右独立して制御するため、雪道などの滑りやすい道でも安定した駆動力を確保し、安全走行性を高めた。(2013年11月2日付日刊自動車新聞より)

-同社のインホイールモーターシステムを搭載した超小型電気自動車「TOO'in」の公道での実証事業をフランスのAnnecy市と共同で開始したと発表。NTNは、これまでも同市においてNTN-SNR社内や工場間の移動用として、小型EVを活用していた。今回、新たにこの超小型EVを同市の公用車として貸与し、より大規模な公道での社会実証事業を1年間にわたり実施する予定。「TOO'in」の最高時速は75km。車両製造のLazarethがボディを製作し、欧州の電動マイクロカーの公式規格である「L7e」カテゴリーの登録を行った。(2013年6月17日付プレスリリースより)

-2011年10月から静岡県磐田市と連携し実施した改造(コンバート)電気自動車(EV)の世界初の社会実証実験を終了したと発表。実験はNTNのインホイールモーターシステムを組み込んだコンバートEV2台を磐田市の公用車として約1年間使用、市街地や高速道路でのデータ収集を行ってきた。先月17日には同市役所で走行結果の報告会を開催。それによると、総走行距離は1万1104キロメートルで1充電による最高記録は95キロメートルだった。また、走行1キロメートルの当たりの費用は1.6円で、ガソリン車に比べ約5分の1だったことが報告された。(2013年2月6日付日刊自動車新聞より)

受賞

-2013年、NTN Bearing CorporationがAmerican Axle & Manufacturingから「Supplier Recognition Award」を受賞。

欧州生産体制の整備

-自動車向け製品で欧州の生産体制の整備を急ぐ。2008年に子会社化したフランスに本拠を置くNTN―SNRルルモンのルーマニア拠点を活用、従来の生産の中心であるベアリング製品のほか、等速ジョイントの生産を開始するなど自動車向け製品の生産体制を拡充する。フランスからも一部の生産を移管し、コスト競争力を高める。日系を含む西欧の完成車メーカー向けのほか、今後、自動車生産の増加が見込まれる東欧やロシア向けの需要拡大に対応する。(2013年3月14日付日刊自動車新聞より)

中期経営計画「復活2014」 (2014年3月期 - 2015年3月期)

-「利益を造る企業体質への変革」を基本方針とする。

<生産関連の施策>
-2014年1月、台湾の裕隆グループである江申工業股份有限公司との合弁会社「襄陽恩梯恩裕隆傳動系統有限公司(湖北省襄陽市)」を中国で3目の等速ジョイント生産拠点として設立。2015年4月より中国で生産する自動車メーカへ供給を開始。

-タイでは、2013年4月よりNTN Manufacturing (Thailand) Co., Ltd.の2番目の生産拠点としてピントン工場(チョンブリ県シラチャ市)で等速ジョイントの生産を開始。同じ敷地内に設立した生産前工程である鍛造・旋削を行う合弁会社NTPT CO.,LTD.を活用し、現地で材料から一貫生産を開始。

-メキシコでは、2013年4月、NTN Manufacturing de Mexico, S.A.de C.V.(アグアスカリエンテス州アグアスカリエンテス市)を設立。2016年3月期よりメキシコ国内の自動車メーカーに供給開始。

-日本国内では2014年1月に等速ジョイントを製造する株式会社NTN袋井製作所の第2工場増設に着工。

<研究開発関連の施策>
-軸受単体ではなく周辺部品と組み合わせた高付加価値で収益性の高い「モジュール商品」やセンサー技術等を付加した「システム商品」の開発を強化。

-自動車市場向けでは電気信号で操舵する次世代ステアリングシステムを安全面から支える「メカニカルクラッチユニット」や、電動油圧ブレーキの信頼性を高める「ボールねじ駆動モジュール」等の量産を開始。また、「その場回転」や「真横移動」等が可能な「インホイールモータシステム」を開発、世界各地で公道実証事業を行うことで、EVシステム商品の早期事業化を目指す。

<組織体制等の強化>
-2014年4月に「グローバル人材育成部」を新設、国や地域を越えて活躍できるグローバル人材の育成等を強化する。

2015年3月期の業績見通し

(単位:百万円)
2015年3月期
(予測)
2013年3月期
(実績)
増減率
(%)
売上高 660,000 638,970 3.3
営業利益 40,000 33,003 21.2
経常利益 33,000 28,670 15.1
当期純利益 20,000 (14,648) -

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 17,820 16,174 17,156

研究開発体制

-日本では最先端技術の研究開発を行い、グローバル市場に向けた研究開発活動をリードする。
-欧州では現地生産品に関する研究開発を独自に行っている。
-日本、米州、欧州、アジア他の各地域で市場拡販に即した技術サービスを提供。
-中国ではNTN中国技術センターが大学との産学官連結活動を強化するとともに、現地の顧客ニーズや自然環境に合わせて現地で試験を実施。

研究開発拠点

施設名称 所在地
産業機械技術開発センター 三重県桑名市
先端技術研究所 三重県桑名市
総合研究開発センター 静岡県磐田市
商品開発研究所 静岡県磐田市
生産技術研究所 静岡県磐田市
CVJ・アクスルユニット技術開発センター 静岡県磐田市
NTN Bearing Corp. of America -
Industrial Engineering Dept.
米国、イリノイ州
NTN Bearing Corp. of America -
NTN Automotive Center
米国、ミシガン州
NTN Waelzlager (Europe) G.m.b.H. -
Engineering Dept.
ドイツ、Erkrath
NTN Transmissions Europe -
Research and Development Dept.
フランス、Allonnes
NTN-SNR Roulements フランス、Annecy
NTN China Technical Center 中国、上海市

製品開発

<自動車市場向け>
-ハイブリッド車の効率を大幅に改善する回生協調ブレーキシステム用のボールねじ駆動モジュールや次世代ステアリング用MCU (Mechanical Clutch Unit) などのモジュール商品の市場投入・量産を開始。

-ガソリン車を含め、エンジン効率の向上、走行抵抗を低減するための省燃費商品として、トランスミッションの低トルク化、小型化に貢献する低トルクシールリングや、さらなる低フリクションロス化を達成したハブベアリングを開発。

-電気自動車向けインホイールモーターシステムや電動ブレーキ制動システムを開発し、システムサプライヤー等との連携開始など商品化を推進。日本とフランスの各地で進めているインホイールモーター駆動超小型モビリティの実証実験では新たに三重県伊勢市で自治体とともに連携、新たな地域観光振興を含む事業家を目指している。

<自動車次世代ステアリング用メカニカルクラッチユニット (MCU)>
-日産が開発したダイレクトアダプティブステアリングに使用される「自動車次世代ステアリング用メカニカルクラッチユニット (MCU)」を開発し、2013年に上市したと発表。(2013年11月26日付プレスリリースより)

<超低フリクションハブベアリング>
-「超低フリクションハブベアリング」を開発。配合成分と粘度を見直した新開発の低粘度グリースとシールリップの摺動面に形成した微小な凹凸処理により、従来品に対して33%の回転フリクション低減と、約0.28%の燃費改善を実現した。(2013年11月22日付プレスリリースより)

<次世代電気自動車用「マルチドライビング・システム (MDS)」>
-独自の小型インホイールモータ (IWM) システムに新たに開発したステアリングシステムを組み合わせた、次世代電気自動車用「マルチドライビング・システム (MDS)」を開発したと発表。同社は、この「MDS」を搭載した二人乗りEVコミュータ「Q'moII」を製作した。「MDS」は、左右輪を1つのステアリング装置で転舵する。4輪すべてを"その場回転"や"横方向移動"に必要な角度へ転舵することと、安全に走行するためのステアリング部材の十分な強度と安全性を両立している。また、サスペンションとの適合性を改善することで時速60kmでの通常走行を実現した。(2013年11月20日付プレスリリースより)

<後輪独立転舵システム>
-ステアバイワイヤ操舵システムの技術を後輪転舵にも応用し、左右一体型でありながら、トー角制御が可能な「後輪独立転舵システム」を開発。(2013年11月19日付プレスリリースより)

<焼結軸受「ベアファイトCL」>
-安価な鉄系焼結材料に特殊銅粉を配合し銅層を形成した焼結軸受「ベアファイトCL」を開発したと発表。新製品は、高価な青銅系焼結軸受と同等以上の摺動(しゅうどう)性能を持ち、耐摩耗性能も2倍以上とした。パワーウインドーやファンモーターなどの自動車電装品や、複写機など高い摺動性が求められる用途で提案活動を開始し、2015年度には年販4億円を目指す。(2013年4月4日付日刊自動車新聞より)

<中空ボールねじユニット>
-車載用各種アクチュエータの電動化に対応する薄肉かつ軽量な「中空ボールねじユニット」を開発。この製品は、転がり抵抗の少ないボールねじを採用することで、すべりねじに対して2倍の推力変換効率を実現。また、またねじ軸を中空にすることで無段変速機構 (CVT) のプーリ駆動機構との同軸配置が可能になる。(2013年3月7日付プレスリリースより)

<自己潤滑性焼結軸受>
-特殊黒鉛を固形潤滑剤として使用することで、潤滑油を使用しない「自己潤滑性焼結軸受」を開発したと発表。潤滑油を使用しないため、潤滑油が蒸発する高温環境や、周辺部品への油の付着が装置の性能低下を引き起こす部位など、油が使用できない環境下でも使用できる。2015年度に年間1億円の販売を目指す。(2013年2月27日付日刊自動車新聞より)

<高機能センサ内蔵ハブジョイント>
-ハブベアリングと等速ジョイント(CVJ)を独自の接合技術で一体化した「高機能センサ内蔵ハブジョイント」を開発したと発表。新製品は一体化することで従来品と比べて12%の軽量化と高いトルク伝達効率を実現、燃費改善とばね下重量の軽減による乗り心地向上に貢献する。同社では電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)など次世代自動車の機能向上を支えるモジュラー部品としてグローバルで拡販、2017年度に30億円の売り上げを目指す。(2013年2月18日付日刊自動車新聞より)

技術供与契約

 (2014年3月31日現在)
相手先 国名 契約内容 契約期限
National Engineering Industries Ltd. インド ボールベアリング等の製造に関する技術の供与 2011年11月2日から
2014年11月1日まで
台惟工業股份有限公司
[Tung Pei Industrial Co., Ltd.]
台湾 等速ジョイントの製造に関する技術の供与 2003年3月26日から
2018年3月25日まで
Unidrive Pty. Limited オーストラリア 等速ジョイントの組立に関する技術の供与 1983年2月15日から
2015年6月10日まで

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 33,162 48,979 54,440
 

2014年3月期の主な設備投資

地域 会社名/事業所 内容 総額
(百万円)
日本 (株) NTN袋井製作所 建屋の増築および等速ジョイント製造設備の増設 8,757
米州 NTN-Bower Corp. 建屋の増築および軸受製造設備の増設 9,469
American NTN Bearing Mfg. Corp. 軸受製造設備の増設など
欧州 NTN-SNR Roulements 建屋の増築および軸受製造設備の増設 7,121
NTN Transmissions Europe 等速ジョイント製造設備の増設など
アジア他 上海恩梯恩精密機電有限公司 [Shanghai NTN Corp.] 軸受製造設備の増設 7,818
廣州恩梯恩裕隆傳動系統有限公司
[Guangzhou NTN-Yulon Drivetrain Co., Ltd.]
等速ジョイント製造設備の増設
NTN Manufacturing (Thailand) Co., Ltd. 軸受製造設備の増設など

設備の新設

(2014年3月31日現在)
会社名/事業所
(所在地)
内容 総額
(百万円)
着手 完了 目的
同社
研究部門 研究用設備等 4,036 2013年04月 2015年03月 研究開発等
桑名製作所
(三重県桑名市)
軸受用設備 2,129 2013年04月 2015年03月 増産および合理化
磐田製作所
(静岡県磐田市)
軸受・等速ジョイント・ 精密機器商品等用設備 1,953 2013年04月 2015年03月 合理化
岡山製作所
(岡山県備前市)
軸受・等速ジョイント用設備 1,937 2013年04月 2015年03月 増産および合理化
長野製作所
(長野県箕輪町)
軸受用設備 279 2013年04月 2015年03月 合理化
子会社・関連会社
NTN赤磐製作所
(岡山県赤磐市)
軸受用設備 1,243 2013年04月 2015年03月 増産および合理化
NTN-Bower Corp.
(米国、イリノイ州)
軸受用建屋および設備 3,981 2013年04月 2015年03月 増産および合理化
American NTN Bearing Mfg. Corp.
(米国、イリノイ州)
軸受用設備 2,976 2013年04月 2015年03月 増産および合理化
NTN Driveshaft, Inc.
(米国、インディアナ州)
等速ジョイント用設備 2,319 2013年04月 2015年03月 増産および合理化
NTA Precision Axle Corp.
(米国、イリノイ州)
軸受用設備 1,389 2013年04月 2015年03月 増産および合理化
NTN do Brasil Producao de Semi-Eixos Ltda.
(ブラジル、Guarulhos)
等速ジョイント用設備 1,249 2013年04月 2015年03月 増産および合理化
NTN-SNR Roulements
(フランス、Annecy)
軸受用建屋および設備 8,188 2013年04月 2015年03月 増産および合理化
NTN-SNR Rulmenti
(ルーマニア、Sibiu)
軸受用建屋および設備 2,637 2013年04月 2015年03月 増産および合理化
NTN Transmissions Europe
(フランス、Allonnes)
等速ジョイント用設備 3,138 2013年04月 2015年03月 増産および合理化
NTN Manufacturing (Thailand) Co., Ltd.
(タイ、Rayong)
軸受・等速ジョイント用設備 3,994 2013年04月 2015年03月 増産および合理化
NTPT Co., Ltd.
(タイ、Chonburi)
等速ジョイント用設備 1,163 2013年04月 2015年03月 増産および合理化
上海恩梯恩精密機電有限公司
[Shanghai NTN Corporation]
(中国上海市)
軸受用設備 3,900 2013年04月 2015年03月 増産および合理化
廣州恩梯恩裕隆傳動系統有限公司
[Guangzhou NTN-Yulon Drivetrain Co., Ltd.]
(中国広州市)
等速ジョイント用設備 2,684 2013年04月 2015年03月 増産および合理化
南京恩梯恩精密機電有限公司
[Nanjing NTN Corporation]
(中国南京市)
軸受用設備 1,216 2013年04月 2015年03月 増産
恩梯恩LYC (洛陽) 精密軸承有限公司
[NTN-LYC (Luoyang) Bearing Corporation]
(中国洛陽市)
軸受用設備 1,105 2013年04月 2015年03月 増産