Compagnie de Saint Gobain S.A. 2017年12月期の動向

近年の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2017年12月期 2016年12月期 増減率
(%)
要因
全社
売上高 40,810 39,093 4.4 1)
営業利益 3,028 2,818 7.5 -
部門別
イノベイティブマテリアル 10,221 9,723 5.1 -
-平面ガラス 5,633 5,338 5.5 2)
-高機能材料 4,588 4,385 4.6 3)



要因

1) 売上高
-2017年12月期の売上高は前年比4.4%増の40,810百万ユーロ。為替の影響による減少分が2.9%。2017年1月にはサイバー攻撃により影響を受けたが、販売数量(2.7%増)価格(2.0%)がすべての事業分野・地域で昨年を上回り、この結果となった。価格効果は高まり続け(第二四半期には2.3%の上昇)、原材料の価格上昇やエネルギーコストの上昇といった今年の傾向に対し抵抗する結果となった。

2) 平面ガラス事業
-2017年12月期の売上高は前年比5.5%増の5,633百万ユーロ。西ヨーロッパにおける建設市場の拡大と、平面ガラスが第二四半期には変形ガラス向けに高価格となったことによる。また、アジア・新興国の継続的な成長も寄与している。

3) 高機能材料事業
-2017年12月期の売上高は前年比4.6%の4,588百万ユーロ。すべての地域、特にアジア・新興国が貢献した。すべてのHPM部門は1年を通じて成長し、特に好調な販売にはセラミックが貢献した。営業利益率は向上し、原材料やエネルギーコストの限定的な増加の中での販売数の増加によって2016年の13.7%から15.1%となった。

株式取得

-中国・山東省畄博にあるJJGグループの年産能力16万トンの板ガラス生産拠点の株式50%を取得したと発表した。これにより、中国におけるガラス生産能力をほぼ倍増し、自動車ガラスを製造するグループ会社Sekuritへの板ガラスの供給強化を図る。Saint-Gobainは、1994から中国に進出。山東省・青島に年産能力10万トンの板ガラス工場を持つほか、自動車ガラスの生産拠点が3つある。今回の投資は、新興国における存在感を高めたいグループ戦略の一環。中国の自動車用ガラス市場における地位を強化する狙いもある。(2018410日付プレスリリースより)

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
合計 446 438 434



-2017年12月期、イノベイティブマテリアル部門 (Innovative Materials (IM) Sector) の研究開発費が全社の約2/3を占めた。

研究開発体制

-研究開発部門の従業員数は3,700名。うち2,100名がイノベイティブマテリアル部門 (Innovative Materials (IM) Sector) の研究開発に従事し、薄層コーティング技術、高効率合わせガラス製造技術、および自動車用プラスチックフィルム等、600以上の開発プロジェクトに取り組む。

研究開発拠点

-主に以下の拠点で研究開発を行っている。

  • フランスCavaillon: Centre de Recherche et d'Études Européen (CREE)
  • フランスThourotte: Centre de Recherche et de Développement de Chantereine (CRDC)
  • ドイツHerzogenrath: Herzogenrath Research & Development Centre (HRDC)
  • 米国マサチューセッツ州Northboro: Northboro Research & Development Center (NRDC)
  • フランスAubervilliers: Saint-Gobain Recherche (SGR)
  • 中国上海: Saint-Gobain Research Shanghai (SGRS)
  • インドChennai : Saint-Gobain Research India (SGRI)
  • ブラジルCapivari: Saint-Gobain Research Brazil

-2016年初頭、ブラジルCapivariに研究開発センターを開設した。建屋面積は3,000平方フィート。現地の技術産業や南米の技術機関と協力して同市場向けの製品開発に取り組む。

特許

-2017年、イノベイティブマテリアル部門は300件以上の特許を申請。

製品開発

-自動車業界向けでは、燃費削減、乗員保護機能の促進、NVH対策の向上に対応すべく、ガラスの軽量化、ドアシールの性能向上などの技術開発に取り組んでいる。

極薄ラミネートフロントガラス
-2014年にRenaultと共同で極薄ラミネートフロントガラスを開発。ガラスの厚さが通常の4.5mmに対し新製品は3mmと薄いが、遮音性能などの機能は維持。サイドガラスやリアビューミラーにも採用することができ、CO2削減に貢献する。

設備投資

(単位:百万ユーロ)
2017年12月期 2016年12月期
イノベイティブマテリアル 660 573
-平面ガラス 468 375
-高機能材料 192 198
建設材料 582 515
建築材料 251 245
その他 45 37
合計 1,538 1,370



海外投資

<メキシコ>

-メキシコCoahuila南東部に国内2番目となる自動車用ガラス工場の建設に着工したと発表した。第1フェーズでは50百万ドルを投資する。2018年第3四半期操業開始予定で、年間100万枚の自動車用ガラスの生産を見込む。新工場完成後、60百万ドルを追加投資してフロートガラス、強化ガラス、積層ガラスの生産施設を建設する。Saint-Gobainは10年前から新工場から10マイル離れたRamos Arizpeで高性能樹脂を生産している。同社はメキシコ国内の8カ所に工場を保有する。CuautlaMorelosに自動車用ガラス工場が、Cuautitlanには住宅用ガラス工場がある。(2017514日付 Mexico-Nowより)

-メキシコSaltilloに平面ガラスの新ラインを設置すると発表した。このSaltillo工場は、2020年に操業を開始して、自動車および建築用の平面ガラスを生産する計画。メキシコ国内での需要の高まりを受け、中央アメリカ、カリブ海、北米に供給するという。この新ライン設置は、Saint-Gobainグループによる高度成長国への事業拡大戦略の第一歩となる。(2017626日付プレスリリースより)

-135百万ドルを投じてメキシコSaltillo2番目となるガラス工場を新設すると発表した。新工場では、自動車業界および建設業界向けに、小さいサイズから6メートル超まで幅広い範囲のガラスシートを生産する。20175月に建設を開始したガラス工場に近接する立地条件で、2019年末の操業開始を予定している。この両プロジェクトの総投資額は250百万ドルとなる。同社は現在メキシコ国内でCuautlaCuautitlanTlaxcalaSan Luis PotosiRamos ArizpeReynosaTijuana8カ所に生産拠点を保有している。(2017126日付 Mexico-Nowより)

-メキシコCoahuilaGlass Saltilloで、第2工場の建設を開始したと発表した。投資額は135百万ドル。最大6メートルの建築用ガラスパネルを生産する予定。Saint Gobainは、自動車用ガラス工場の建設を20175月に同州Ramos Arizpeで開始している。(201812日付 Mexico-Nowより)

2018年12月期の見通し

-2018年企業は以下
 イノベイティブマテリアル部門における利益率の継続的な成長を目指す
 販売数量・価格を改善し販売価格と取得価格の整合性を求める
 建築材料分野は西ヨーロッパの販売数量の上昇を見込む
ことを目標とし、以下に取り組む予定

  • 販売価格が商品コスト等のインフレ圧力を受けることへの対応
  • コスト削減プログラムにおいて約300百万ユーロの削減(2017年度のコストをもとに算出)
  • 約1700百万ユーロ(売り上げの4%、当社の目標値)の資本支出を予定、西ヨーロッパ以外の地域で、とりわけ建築材料分野における、生産性及びデジタル化への設備投資への注力
  • 高付加価値戦略をサポートするための設備投資計画
  • 高レベルなフリーキャッシュフロー体制