Compagnie de Saint Gobain S.A. 2016年12月期の動向

近年の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2016年12月期 2015年12月期 増減率
(%)
要因
全社
売上高 39,093 39,623 (1.3) 1)
営業利益 2,818 2,636 6.9 -
部門別
イノベイティブマテリアル 9,723 9,573 1.6 -
-平面ガラス 5,338 5,185 3.0 2)
-高機能材料 4,385 4,388 (0.1) 3)



要因

1) 売上高
-2016年12月期の売上高は前年比1.3%減の39,623百万ユーロ。為替の影響による減少分が2.9%。建築材料部門の再編成と2015年末から2016年初頭に実行した買収による減少分が1.0%。それらを差し引くと前年比2.6%の増加となる。

2) 平面ガラス事業
-2016年12月期の売上高は前年比3.0%増の5,338百万ユーロ。上半期に自動車および建築ガラス部門がアジアや新興国で売上を伸ばしたこと、西欧で下半期に建築ガラス部門が好調だったことなどが売上増に起因した。

3) 高機能材料事業
-2016年12月期の売上高は前年比0.1%減の4,385百万ユーロ。米国市場は低迷したが、アジアおよび新興国の牽引により、下半期に全HPM部門が売上増となった。また、欧州の樹脂部門も好調だった。

買収

-投資ファンドArcadia Small Capからイタリアのh-oldの株式を100%取得したと発表した。1982年に設立したh-oldは、主に欧州自動車市場向けに高性能特殊粘着テープの設計および製造を行っている。(2016年11月2日付プレスリリースより)

合弁事業

-同社と米国のガラス・セラミックスメーカーのCorningは、自動車用軽量ガラス製品の開発・生産・販売を行う合弁会社を折半出資により設立することで合意したと発表した。新会社は、自動車市場の需要にグローバルで対応するため、生産拠点を設立する計画。Corningの超薄型ガラス「Corning Gorilla Glass for Automotive」と、Saint-Gobainの自動車用ガラス・ウィンドウ技術を組み合わせたラミネート加工済みウィンドウは、従来製品に比べて明度、強度、光学品質を大幅に向上させることができるという。(2016年1月19日付プレスリリースより)

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期*
合計 438 434 395

*パッケージング事業の売却に伴い、2014年の業績は遡及修正された。

-2016年12月期、イノベイティブマテリアル部門 (Innovative Materials (IM) Sector) の研究開発費が全社の約2/3を占めた。

研究開発体制

-研究開発部門の従業員数は3,700名。うち2,100名がイノベイティブマテリアル部門 (Innovative Materials (IM) Sector) の研究開発に従事し、薄層コーティング技術、高効率合わせガラス製造技術、および自動車用プラスチックフィルム等、600以上の開発プロジェクトに取り組む。

研究開発拠点

-主に以下の拠点で研究開発を行っている。

  • フランスCavaillon: Centre de Recherche et d'Études Européen (CREE)
  • フランスThourotte: Centre de Recherche et de Développement de Chantereine (CRDC)
  • ドイツHerzogenrath: Herzogenrath Research & Development Centre (HRDC)
  • 米国マサチューセッツ州Northboro: Northboro Research & Development Center (NRDC)
  • フランスAubervilliers: Saint-Gobain Recherche (SGR)
  • 中国上海: Saint-Gobain Research Shanghai (SGRS)
  • インドChennai : Saint-Gobain Research India (SGRI)
  • ブラジルCapivari: Saint-Gobain Research Brazil

-2016年初頭、ブラジルCapivariに研究開発センターを開設した。建屋面積は3,000平方フィート。現地の技術産業や南米の技術機関と協力して同市場向けの製品開発に取り組む。

特許

-2016年、イノベイティブマテリアル部門は約300件の特許を申請。

製品開発

-自動車業界向けでは、燃費削減、乗員保護機能の促進、NVH (騒音、振動、乗り心地) 対策の向上に対応すべく、ガラスの軽量化、ドアシールの性能向上などの技術開発に取り組んでいる。

極薄ラミネートフロントガラス
-2014年にRenaultと共同で極薄ラミネートフロントガラスを開発。ガラスの厚さが通常の4.5ミリに対し新製品は3ミリと薄いが、遮音性能などの機能は維持。サイドガラスやリアビューミラーにも採用することができ、CO2削減に貢献する。

設備投資

(単位:百万ユーロ)
2016年12月期 2015年12月期
イノベイティブマテリアル 573 529
-平面ガラス 375 311
-高機能材料 198 218
建設材料 515 528
建築材料 245 231
その他 37 58
合計 1,370 1,346



海外投資

<インド>
-インドChennai近郊のガラス工場に今後2年間で約135百万ユーロを投資し、生産能力を拡大すると発表した。同拠点で3つ目となる平面ガラスの生産設備 (インドでは5つ目) と、建設市場向けの2つ目の塗工設備を導入する計画。(2016年1月13日付プレスリリースより)

2017年12月期の見通し

-2017年は引き続き現金管理と財務体質の強化を目指す。
・前年と比較して、270百万ユーロのコスト削減。
・西欧諸国以外に重点を置いた1,600百万ユーロ規模の投資計画。生産性とデジタル化にも注力。
・高付加価値戦略をサポートするための研究開発への投資。
・高レベルなフリーキャッシュフロー生成。