Webasto SE 2018年12月期の動向

業績

-2018年12月期の売上高は前年比2.2%減の3,433百万ユーロ。為替差損が売上減に大きく影響した。

-ルーフシステム部品部門の2018年12月期の売上高が全社売上高の82%を占める。また、サーモ/コンフォート部門の売上高は全社売上高の17%、バッテリーシステムおよび充電ソリューション部門の売上高は全社売上高の1%を占める。

買収

-AeroVironmentのエネルギー効率システム(EESefficient energy systems)事業部門の買収を発表した。買収額は35百万ドルで、同社はAeroVironmentEES事業部門の既存の全従業員を継続雇用し、eモビリティ事業の強化を図る。今回の買収により、同社はサンルーフ、コンバーチブル、サーモシステムの既存事業の強化と、バッテリーシステム、PHV用充電ソリューションの新規事業参入を目指すという。(201864日付プレスリリースより)

事業提携

-万向一二三股份有限公司[Wanxiang 123 LLC.]との間で戦略的提携に調印したと発表した。初の共同プロジェクトは、中国市場向け商用車用のWebasto標準バッテリーシステムに組み込まれるバッテリーモジュールの開発および生産となる。万向一二三のバッテリーモジュールには高品質のNCMバッテリーセルが搭載されており、最適な空間利用が可能で、高エネルギー密度を保有し、最大の安全性を保証するという。同社は、システムインテグレーションと熱管理の分野でその能力を活用する。同社の商用車用標準バッテリーシステムの特長はモジュラー設計で、製品開発プロセスが短縮され、少量でもコスト効率の高い生産が可能となる。(20181127日付プレスリリースより)

-WhisperPowerとグローバル物流で提携すると発表した。電力製品・システムを製品ラインナップに加えたいWebasto Thermo & Comfortと、供給網をグローバルに拡大したいWhisperPowerの思惑が一致した。発電を得意とするWhisperPowerとの提携は、eモビリティ市場でキープレーヤーとなることを目指す同社の目標に沿ったもの。同社は、この目標達成に向け、バッテリー性能を向上させるヒーティングソリューション、高品質なバッテリーシステム、顧客ニーズに対応した充電システムの3分野でeモビリティ向け製品やソリューションを拡充している。(2018327日付プレスリリースより)

-Samsung SDIとの提携を発表した。両社は商用車向け高電圧バッテリー製造で協業する。今後、Webastoの商用車向けソリューションを活用して、Samsung SDIのバッテリーモジュールの開発および製造を行う。(2018313日付プレスリリースより)

受賞

<欧州>
-「BMW Supplier Innovation Award 2018」Efficient Dynamics部門
-「General Motors Supplier Quality Excellence Award 2017」
-「Jaguar Land Rover Quality Award 2017」
-「KGK Knutsson Supplier Award 2017 for the Company’s plant in Sweden」

<米州>
-「FCA Innovation Supplier of the Year 2018」
-「General Motors Supplier Quality Excellence Award 2017」

<アジア>
-「Changan Auto Supplier of the Year 2017」
-「SAIC-GM 2017 Best Technology Supplier」
-「Dongfeng Liuzhou Motor Excellent Supplier of 2017」
-「FAW-VW 2017 Excellent Development Supplier」
-「Changan-Ford Annual Top Supplier Award 2017」
-「GAC-Fiat 2017 Excellent Delivery Supplier」
-「Guangqi Honda Excellent Supplier 2017」
-「FAW-VW Excellent Partners 2017」

見通し

-2020年までに売上高50億ユーロを達成する計画。

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2018年12月期 2017年12月期 2016年12月期
合計 271 233 220
売上に占める割合 (%) 7.9 6.6 6.9

ー2018年12月期の研究開発への投資額は前年比16.3%増の271百万ユーロ。主にエレクトロモビリティ、メカトロニクス、先進エンジニアリングに投資が行われた。

 

研究開発拠点

管理部門、研究開発センターなどが入るドイツStockdorfの新本社が操業を開始したと発表した。新本社は延床面積14,000平方メートル、5,000平方メートルのガラスファサードや片流れ屋根などが特徴的なビルとなっている。約40百万ユーロを投じて建設された新本社では、550名が従事するという。(2018515日付プレスリリースより)
 

製品開発

ハイブリッド車およびEV用充電ソリューション
ー独Munichで開催のeMove360°において、ハイブリッド車および電気自動車 (EV)向けの充電ソリューションを出展すると発表した。欧州市場向けの「Webasto Live」と米州およびアジア市場向けの「Webasto TurboDX」は、モバイルネットワークまたはBluetoothでアプリに接続し、制御することができる。また、LANWLANなどの接続により、複数の充電ステーションを相互に接続したり、既存のネットワークに統合することも可能。関連するデジタルサービスには、アプリ経由のリモートアクセス, すべての充電プロセスのライブトラッキング、充電データの報告、費用最適化充電などがある。さらに同社は、高性能なエントリーレベルの充電ステーション「Webasto Pure」と、ハイブリッド車およびEV向けの最大の安全性を誇るポータブル充電ソリューション「TurboCord」も発表する。この2つのソリューションはソケットに直接接続されているため、充電スタンドの設置は必要ないという。(20181016日付プレスリリースより)


トラックおよびバス用バッテリーシステム
-ドイツHanoverで開催されるIAA国際商用車ショーで、小型商用車・トラック・バス用に柔軟性や拡張性に優れたバッテリーシステムを世界初公開すると発表した。新システムは、モジュラー設計が特徴。標準化されたモジュールを使用することで、製品の開発プロセスを短縮し、現在の技術開発や顧客独自の需要への個別・フレキシブルな対応を容易にするという。同社は、ユーザー定義のシステム設計とプログラミングが同社の標準バッテリーシステムで動作するように、バッテリーシステムと自動車間のインターフェースとして、ビークル・インターフェース・ボックス (VIB) を開発。ほかに、同バッテリーシステム用のアクティブ・サーモ・マネジメント・モジュールがコンセプト段階にあるという。(2018919日付 プレスリリースより)

国際レジャー用車両展「Caravan Salon 2018」出展ソリューション
-ドイツで開催される国際レジャー用車両展「Caravan Salon 2018」において充電ソリューション「Webasto Pure」、高電圧ヒーター、電動パーキングヒーター「eThermoTop Eco」などを出展すると発表した。さらに、省スペースハイブリッド加熱ソリューション、ルーフトップエアコン、等温式冷却装置なども展示予定。充電ステーション「Webasto Pure」は、タイプ2コネクターを備えるすべてのプラグインハイブリッド車(PHV)に適しており、3.7kW22kWの範囲で充電が可能。「eThermoTop Eco」はパーキングヒーターの電動バージョンで、「eThermoTop Eco」作動時にバッテリーが充電される利点がある。また、同社の冷却装置の圧縮技術は、統合されたECO機能のおかげで高い周囲温度であっても、エネルギー要件を最小限に抑えるという。(2018822日付プレスリリースより)

独展示会「Power2Drive Europe」出展製品
-電気自動車(EV)およびPHV向け充電ソリューションをドイツMunichで開催される見本市「Power2Drive Europe」に出展すると発表した。エントリーレベルの充電ステーション「Pure」は交流タイプの充電方式で、自動車メーカーを問わずタイプ2のプラグを持つ全ての電動化車両と互換性がある。充電電力は1122kWまでの選択が可能で、ガレージ、カーポート、もしくは駐車場でSchukoタイプよりも最大10倍速く充電ができるという。また、同社は2018年末までにアプリやITシステムで制御可能なネットワーク対応の充電スタンドを提供する予定。(2018613日付プレスリリースより)

 

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2018年12月期 2017年12月期 2016年12月期
合計 248 176 150
売上に占める割合 (%) 7.2 5.0 4.7


ー2018年12月期の設備投資額は、前年比40.9%増の248百万ユーロ。主に新規事業分野に設備投資が行われた。

ー今後3年間で600百万ユーロの投資を行うと発表した。この投資は、事業の中核分野を強化し、新規分野を開拓する二重戦略「strengthening & participating」に基づくとしている。主に新規事業であるエレクトロモビリティ市場の拡張に注力する。同社は、中国メーカーを中心として60件以上のハイブリッド車、電気自動車(EV)向け高電圧ヒーターを受注している。現在、ドイツNeubrandenburg工場での生産を強化しており、2019年末には中国の武漢に生産施設を新設してこれらの需要増に対応するという。(2018年5月14日付プレスリリースより)
 

海外投資

<米国>
-Webasto Roof Systems
は、米国ケンタッキー州Lexington20周年の記念日を迎え、15.2百万ドルを投じた新生産ラインの導入を発表した。新ラインでは183名の雇用を創出し、高級自動車ブランド向けのオプションのチルトスライドサンルーフなどを含む、ハイテクのガラスパノラマルーフシステムを製造する。2018年末までに、自動車メーカー2社向けに3種類の新型サンルーフを生産する計画で、翌年以降生産を増強するという。同社グループ傘下のWebasto Roof Systemsはミシガン州Rochester Hillsに本拠を置き、サンルーフ、パノラマルーフ、コンバーチブルルーフ、サーモシステム、バッテリー、充電システムを開発、生産している。(2018830日付 Kentucky Cabinet for Economic Developmentリリースより)


<中国>
-2018年3月28日の広州新工場開業に続き、4月3日、浙江省嘉興(Jiaxing, Zhijiang)で新工場の着工式と新エネルギー車用動力電池システム研究開発センターの契約調印式を行った。嘉興新工場はWebastoにとって11番目の中国生産拠点。総敷地面積は6.4万平方メートル。総投資額は6億元を超える。建設は2段階に分けて行う。第1フェーズでは4億元をかけ建築面積3.2万平方メートルの工場を建設する。2019年の完成、試運転を目指す。主要製品はハイエンドパノラマルーフで、年産能力は150万セット超。上汽GM、上汽VW、吉利汽車、衆泰汽車、蔚来汽車、威馬汽車などに供給する。また、新エネルギー車用電池パック研究開発センターも嘉興に建設する。(2018年4月4日付け各種リリースより)

-中国広東省広州市の新工場への移転が完了したと発表した。また、2017年に中国での売上高が初めて10億ユーロを突破したこともあわせて発表した。Webastoグループは総売上高の1/3を中国で達成したこととなる。同社は2006年から広州市でサンルーフを生産しており、従業員数は500名から600名超に増員する見込み。中国での大型パノラマルーフの需要増を受け、広州工場では将来的に年間160万枚のサンルーフを生産する計画。これにより、広州工場はグループ最大級の工場になるという。同工場の主要顧客は、東風日産、一汽VW、広汽ホンダなど。(2018328日付プレスリリースより)