Webasto SE 2017年12月期の動向
業績
-2017年12月期の売上高は3,512百万ユーロで、前年比10.2%の増加。為替の影響を除くと、前年から約10%の増収。
-サンルーフ/サンルーフ部品部門の2017年12月期の売上高は2,634百万ユーロで、全社売上高の75%を占める。また、サーモ/コンフォート部門の売上高は516百万ユーロで全社売上高の16%、コンバーチブルルーフ部門の売上高は351.2百万ユーロで全社売上高の10%をそれぞれ占める。
近年の動向
-同社は2018年3月28日の広州新工場開業に続き、4月3日、浙江省嘉興(Jiaxing, Zhijiang)で新工場の着工式と新エネルギー車用動力電池システム研究開発センターの契約調印式を行った。嘉興新工場はWebastoにとって11番目の中国生産拠点。総敷地面積は6.4万平方メートル。総投資額は6億元を超える。建設は2段階に分けて行う。第1フェーズでは4億元をかけ建築面積3.2万平方メートルの工場を建設する。2019年の完成、試運転を目指す。主要製品はハイエンドパノラマルーフで、年産能力は150万セット超。上汽GM、上汽VW、吉利汽車、衆泰汽車、蔚来汽車、威馬汽車などに供給する。また、新エネルギー車用電池パック研究開発センターも嘉興に建設する。(2018年4月4日付け各種リリースより)
ー同社は、中国広東省広州市の新工場への移転が完了したと発表した。また、2017年に中国での売上高が初めて10億ユーロを突破したこともあわせて発表した。Webastoグループは総売上高の1/3を中国で達成したこととなる。同社は2006年から広州市でサンルーフを生産しており、従業員数は500名から600名超に増員する見込み。中国での大型パノラマルーフの需要増を受け、広州工場では将来的に年間160万枚のサンルーフを生産する計画。これにより、広州工場はグループ最大級の工場になるという。同工場の主要顧客は、東風日産、一汽VW、広州ホンダなど。(2018年3月28日付プレスリリースより)
-2017年をめどに、米国と中国のサンルーフ工場でロール型サンシェードを現地生産化する。現在、日本の子会社べバストジャパン(広島県東広島市)が生産したシェードを両地域に輸出して現地で組み付けしているが、日本から技術移転して現地生産に切り替える。シェードの布地の縫製工程に加え、電動巻き取りユニットも現地で生産する。サンルーフ需要が高い米国や中国で構成部品の現地生産を拡大することにより、物流コストを抑制して商品競争力の強化につなげる。(2016年6月24日付日刊自動車新聞より)
受注
-同社は、新型Mercedes-AMG「GT」と「GT C」Roadster向けにソフトトップを開発したと発表した。最先端の軽量材を使用した同コンバーチブルトップは、時速50キロメートル以内の走行で、約11秒以内に開閉できる。生地や縫製工程、アクセスフラップシステムはスロバキアのVelky Mederにある工場で、フレームワークと最終組み立てはドイツのバイエルン州にあるHengersberg工場で行われる。(2017年9月19日付プレスリリースより)
ー同社は、Audi「R8 Spyder」向けにソフトトップモジュールを開発したと発表した。このコンバーチブルルーフモジュールは、同車のスポーティーさを強調すべく軽量だが、同時に丈夫で高品質なものだという。モジュールはリアウインドウ一体型で、個別に下すことができる。ルーフ収納時にはスイッチを押してリアウインドウを上げ、ウインドディフレクターとして機能させることも可能。(2017年9月13日付プレスリリースより)
ー同社は、コンバーチブルソフトトップがAudi「A5 Cabriolet」に採用されたと発表した。このソフトトップは、時速50キロメートル以内の走行で15秒以内に開き、18秒で閉じられる。また、ソフトトップ生地にリアウィンドウを埋め込んだことによって防音性が高くなり、快適さが改善されている。(2017年8月22日付プレスリリースより)
受賞
<欧州>
-Auto Bild: The best brands in all categories 2017/18
-auto motor und sport: Best Brand 2018
-AutoZeitung: Top Marke 2018
-Plus X Award “Best Product of the Year 2017”
-Auto Bild: The best brands in all categories 2016/17
-auto motor und sport: Best Brand 2017
-AutoZeitung: Top Marke 2017
-Focus Top National Employer 2017
<米国>
-Top Workplace Award 2017
<アジア>
- "Top Employer 2018"
-GHAC "Excellent Supplier 2017"
-FAW-VW "Excellent Partners 2017"
-WDHAC "VAVE Excellent Supplier 2017"
見通し
-2020年までに売上高50億ユーロを達成する計画。
研究開発費 |
(単位:百万ユーロ) |
2017年12月期 | 2016年12月期 | 2015年12月期 | |
合計 | 233 | 220 | 205 |
売上に占める割合 (%) | 6.6 | 6.9 | 7.0 |
買収
ー同社は、AeroVironmentのエネルギー効率システム(EES:efficient energy systems)事業部門の買収を発表した。買収額は35百万ドルで、WebastoはAeroVironmentのEES事業部門の既存の全従業員を継続雇用し、eモビリティ事業の強化を図る。今回の買収により、Webastoはサンルーフ、コンバーチブル、サーモシステムの既存事業の強化と、バッテリーシステム、PHV用充電ソリューションの新規事業参入を目指すという。(2018年6月4日付プレスリリースより)
ー同社は、CoSyst Control Systemsを買収して従業員50名を受け入れると発表した。これによりCoSyst Control SystemsはWebastoグループの傘下に入ることとなる。CoSyst Control SystemsはNuremburgに本拠を置き、自動車用エレクトロニクスのソフトウェア、ハードウェア開発を専門とする企業。Webastoは今回の買収によりエレクトロニクス分野の強化を図る。(2017年8月2日付プレスリリースより)
設備投資額 |
(単位:百万ユーロ) |
2017年12月期 | 2016年12月期 | 2015年12月期 | |
合計 | 176 | 150 | 160 |
売上に占める割合 (%) | 5.0 | 4.7 | 5.4 |
海外投資
ー同社は、今後3年間で600百万ユーロの投資を行うと発表した。この投資は、事業の中核分野を強化し、新規分野を開拓する二重戦略「strengthening & participating」に基づくとしている。主に新規事業であるエレクトロモビリティ市場の拡張に注力する。同社は、中国メーカーを中心として60件以上のハイブリッド車、電気自動車(EV)向け高電圧ヒーターを受注している。現在、ドイツNeubrandenburg工場での生産を強化しており、2019年末には中国の武漢に生産施設を新設してこれらの需要増に対応するという。(2018年5月14日付プレスリリースより)