Magneti Marelli S.p.A. 2016年12月期の動向
業績
-2016年12月期の売上高は約7,900百万ユーロで、前年の7,262百万ユーロから約8.8%増加した。
-2016年12月期の増収要因は、販売量の増加と利益率の向上によるもので、前年度よりEBITも増加した。
事業動向
-2016年8月、SamsungがMagneti Marelliの買収に興味を示していると報じられたことにより、ニューヨーク証券取引所の午後の取引においてFCAの株価が8.9%上昇した。この取引が実現すれば、Samsungは車載エレクトロニクスやインフォテインメントシステムなど収益性のある分野に参入することになる。この報道は、7月の販売台数の発表後、前日比で2.7%下落したFCAの株価上昇に貢献した。(2016年8月3日付Detroit Free Pressより)
-2016年4月、中国の上海市にある浦東 (Pudong) 新区に中国本社を開設したと発表した。新本社は、パワートレイン、自動車照明、エキゾーストシステム、サスペンション、アフターマーケット部門に関わるスタッフや販売・管理機能を有するほか、パワートレインおよび自動車照明分野の研究開発センターも備える。新本社の面積は22,000平方メートル超で、そのうち6,500平方メートルを2つの研究開発室が占める。2016年末で従業員数は約550名となり、2018年には約700名まで増員する見込み。このうち350名が研究開発事業や製品開発センターに従事するエンジニアおよび専門家となる。(2016年4月21日付プレスリリースより)
主な受注
| OEM | 搭載モデル | 搭載部品 |
| Alfa Romeo | Giulia | ハロゲンおよびアダプティブキセノンヘッドランプ、LEDテールランプ、TFTディスプレイ付きインフォテインメントシステム、ボディコンピューター、リアサスペンション部品、エキゾーストシステム部品、パワートレイン部品 |
| Giulia Veloce | ECU、エアインテークマニホールド、電動スロットル、ハロゲンおよびキセノンヘッドランプ、LEDランプ、8.8インチTFTインフォテインメントシステム、タッチスクリーン付きインタラクティブコンソール、エキゾースト部品、サスペンション部品 | |
| Giulia Quadrifoglio | シャシー・ドメイン・コントロール (CDC)、インフォテインメントシステム、ヘッドランプ、リアランプ、フロントおよびリアサスペンション部品、エキゾーストシステム、ペダルボード、樹脂部品、ボディコンピューター | |
| 4C Spider | キセノンヘッドランプ、LEDリアテールライト、ショックアブソーバー、ECU、デュアルクラッチギアボックス用の電動油圧式アクチュエーター | |
| Audi | A5 | 25Wバイキセノンヘッドランプ、LEDおよびLED Matrixシステムヘッドランプ、デジタルおよびアナログディスプレイ付きインストクラスター |
| A5 Sportback | スロットルボディ | |
| Q5 | 25Wバイキセノンヘッドランプ、LEDおよびLED Matrixシステムヘッドランプ、デジタルおよびアナログディスプレイ付きインストルメントクラスター、スロットルボディ | |
| A4 | LEDリアランプ、バイキセノン25Wヘッドランプ、LEDヘッドランプ、Matrix LEDヘッドランプ | |
| R8 | レーザーフルビームヘッドランプモジュール | |
| BMW | i3 | インフォテインメントシステム |
| 3 Series GT | インフォテインメントシステム、サスペンションシステム、ショックアブソーバー | |
| 5 Series | インフォテインメントシステム | |
| 7 Series | インフォテインメントシステム、LEDテールランプ | |
| Chevrolet | Volt | eLight LEDヘッドランプ、リアランプ |
| Camaro | ハロゲンおよびキセノンヘッドランプ、LEDテールランプ | |
| Chrysler | Pacifica | ハロゲンおよびキセノンヘッドランプ、バルブ、LEDリアランプ |
| Citroen | C3 | テレマティクスボックス (T-BOX)、スロットルボディ、サスペンションシステム、ショックアブソーバー |
| Ferrari | LaFerrari Aperta | 電動モーター、電子制御部品、高輝度バイキセノンヘッドランプ、LEDランプ、スロットルボディ、ECU、Superliftシステム、ボディコンピューター、排気回収用電動アクチュエーター、デュアルクラッチギアボックス用ECU、ドアモジュール |
| GTC4Lusso | パワートレインコントロール (デュアルクラッチトランスミッション向け油圧キットおよびマネジメントコントロールユニット)、ボディコンピューター、フルLEDテールランプ、ブレーキランプ、インジケーター、リアフォグランプ、ペダルボックス | |
| Fiat | 500X | コントロールユニット、油圧キット |
| 500S | フロントランプ、リアランプ、デジタル7インチTFTインストクラスター、Dualogic電動ギアボックス | |
| 500 Riva | タッチスクリーン付きインタラクティブコンソール | |
| 124 | エキゾーストシステム、ECU、エアインテークマニホールド、スロットルボディ、フューエルインジェクター | |
| Tipo | コントロールユニット、油圧キット、ヘッドランプ、リアランプ、パワートレイン部品、エキゾーストシステム、ショックアブソーバー、サスペンション部品 | |
| Jeep | Renegade | コントロールユニット、油圧キット |
| Renegade Trailhawk | TFTスクリーン | |
| Maserati | Levante | インストクラスター、リアランプシステム、サスペンション部品 |
| Mercedes-Benz | AMG GT | アダプティブフルLEDヘッドランプ |
| AMG GTR | アダプティブフルLEDヘッドランプ | |
| C-Class Convertible | ハロゲンおよびLEDヘッドランプ | |
| E-Class | LEDリアランプ | |
| Opel | Astra | 自動マニュアルトランスミッション、トランスミッションコントロールユニット、テールランプ |
| Peugeot | 2008 | 7インチタッチスクリーンディスプレイ付きナビゲーションシステム |
| 3008 | LEDリアランプ、12インチTFT iコックピット、8インチTFTインフォティンメントディスプレイ、スロットルボディ | |
| 5008 | LEDリアランプ、12インチTFT iコックピット、8インチTFTインフォティンメントディスプレイ、スロットルボディ | |
| Expert | 7インチタッチスクリーンディスプレイ付きナビゲーションシステム | |
| Porsche | Panamera | LEDリアランプ、電動スロットルボディ、エキゾーストシステム部品 |
| 911 Turbo | インストクラスター | |
| Renault | Megane | LEDテールランプ |
| Megane Station Wagon | リアランプ | |
| Clio | ヘッドランプおよびリアランプ | |
| Seat | Ateca | スロットルボディ |
| Skoda | Kodiaq | スロットルボディ、エキゾーストシステム |
| Superb Wagon | スロットルボディ | |
| Vision S | スロットルボディ | |
| スズキ | SX4 S-Cross | エキゾーストシステム |
-Sistemi Sospensioni S.p.A. (Magneti Marelliの子会社) とTalbrosの合弁会社であるMagneti Marelli Talbros Chassis Systems Private Limitedは、Maruti Suzukiの 「S-Cross」、「Baleno」、「Vitara Brezza」 などの人気車種向けにコントロールアームを独占供給する。また、Bajaj Autoが16カ国以上に輸出している 「Qute」 向けのサスペンションシステムも受注した。さらに、FCA向けのグローバル供給プログラムを開始。これにより、原材料費および加工コストを3%削減、人件費を1%削減するなど成果を挙げている。 (Talbros アニュアルレポートより)
研究開発費 |
(単位：百万ユーロ) |
| 2016年12月期 | 2015年12月期 | 2014年12月期 | |
| 全社 | 466 | 334 | 390 |
研究開発拠点
-中国の上海市にある浦東 (Pudong) 新区に開設する中国新本社は、パワートレインおよび自動車照明分野の研究開発センター (6,500平方メートル) を備える。パワートレイン研究開発室では、ハイブリッドシステム、エレクトロニクス、電気機械技術に関するシステムおよび部品の開発に注力する。一方の自動車照明の研究開発室では、中国をはじめとするアジア市場向けにフロントランプおよびリアランプ全般の開発および適用を行う。研究開発事業や製品開発センターに従事するエンジニアおよび専門家は350名以上。(2016年4月21日付プレスリリースより)
研究開発活動
-大学や研究機関との協力プロジェクトが全社研究開発活動の約20%を占める。
-米国Las Vegasで開催された2016 SEMAにおいて、Jeep 「Wrangler」 ベースの 「Luminator」 コンセプトカーを披露した。このコンセプトモデルは夜間のオフロード走行をサポートするために、光束1,500ルーメン以上を実現する7インチの丸型LEDヘッドランプ、フロントガラス用LEDライト、フード搭載用障害物検知赤外線カメラ、Aピラースポットライトなど、高度なライティング技術を導入している。また、車体後部に設置するドローンキャリア、静電容量性タッチスクリーン、ルーフ設置用360度VRカメラ、ルーフトップソーラーパネルも採用されている。
製品開発
2016年 ボローニャモーターショー
-2016年ボローニャモーターショーでレーシングカーや一般車両向けの様々な技術を紹介した。展示された技術は、Peugeot 「3008」 および Porsche 「911 GT3」 向け高圧ガソリン直噴システム (GDI) 用インジェクター、テレマティクスシステム、インストルメントクラスター、BMW 「7シリーズ」 およびMercedes-AMG 「GT」 用フルLEDライティングシステム、Audi 「R8」 用レーザーフルビームヘッドライトモジュール等。(2016年12月2日付プレスリリースより)
設備投資額
-2016年12月期の設備投資額は450.3百万ユーロ。この投資額は、全社売上高の5.7%に相当する。
国内投資
-2016年12月、6百万ユーロを投資してイタリアのTolmezzoにLEDリアランプ工場を開設したと発表した。新工場では回路基板の生産ラインと、リアイルミネーションに特化したエレクトロニクスのデザインセンターを備える。5,000平方メートルの新工場はTolmezzoのAutomotive Lighting産業施設として、Carnia Industrial Park内に位置する。Automotive Lighting産業地区は総面積32,000平方メートルで、部品の生産能力は年間480万個超、うちLEDライトが80%を占める。Magneti Marelliは直近3年で約25百万ユーロをTolmezzo工場の拡張に投資している。同施設ではBMW、Mercedes、FCAグループ、Ferrari、Ford、GM/Opel、VWグループおよびVolvoに製品を供給している。また同施設内には2000年から研究開発センターがあり、およそ200モデルの320種類のライトの開発を行っている。(2016年12月13日付プレスリリースより)
海外投資
<メキシコ>
-同社はメキシコJuarez工場にLEDモジュール組み立て部門を設立する。部門設立当初の従業員数は115名。2016年までに165名、2017年末までに400名に増員する予定。NAFTA市場において、フロントランプへのLED搭載率は、2016年の20%から2020年までに50%に伸びると予測されている。(2016年6月27日付プレスリリースより)
<中国>
-2016年5月、中国の広東省広州 (Guangzhou) 市にサスペンションシステム工場を開設したと発表した。同工場ではペダルシステムの生産も行う。面積は27,000平方メートルで、そのうち17,000平方メートルが生産エリアとなる。フル稼働時の年産能力は、サスペンションシステムが約22万台分、ペダルボックスが約10万台分程度になる見込み。開設当初の従業員数は約60名となる。(2016年5月30日付プレスリリースより)
