KSPG AG (旧 Kolbenschmidt Pierburg AG) 2013年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2013年
12月期
2012年
12月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 2,458 2,369 3.8 1)
純利益 81 99 (18.2) -
Hardparts部門
売上高 1,171 1,091 7.3 2)
Mechatronics部門
売上高 1,085 1,087 (0.2) 3)

要因
1) 全社売上高
-2013年の全社売上高は、主にメカトロニクス部門の売上が牽引し、前年比で3.8%増。

2) Mechatronics部門
-2013年の同部門の売上高は、前年比7.3%の増加。世界的な排出ガス削減機運の高まりを受け、関連製品の売上が成長ドライバーとなった。特に排気ガスフラップおよびEGRバルブは最大の伸びを見せた。ソレノイドバルブ製品群では、電動スイッチオーバーバルブ、ディバーターバルブおよび空圧式コンバーターが堅調に推移。また、可変オイルポンプの売上も前年比で増加。

3) Hardparts部門
-2013年の同部門の売上高は、前年比0.2%減。ドイツでの旺盛な需要を受け小径ピストンの売上高が増加。その他エンジンブロックや滑り軸受事業も成長を見せたが、大径ピストンが軟調に推移したことで全体の売上高は前年比で減少した。

合弁事業

-Pierburg Pump Technologyは、華域汽車 [Huayu Automotive Systems] 傘下の上海幸福摩托車と自動車用ポンプの製造・販売を行う折半出資合弁会社「Pierburg Huayu Pump Technology Co., Ltd. (PHP)」を設立すると発表。製品には、可変流量オイルポンプ、トランスミッション用の電動オイルポンプ、主回路用のオンデマンド式クーラントポンプ、過給機冷却用クーラーおよびEGR用の電動ウォーターポンプ、高効率の真空ポンプなどが含まれる。現在、上海北部の月浦 (Yuepuzhen) にある工業団地に4,000平方メートルの工場を建設している。2013/14年度に、循環ウォーターポンプと真空ポンプの生産ラインおよび試験システムが設置される予定。(2013年4月22日付プレスリリースより)

受注

-複数の米国自動車メーカーから、大型受注を獲得したと発表。受注額は400百万ユーロ。オイルポンプおよびバキュームポンプ、排ガス再循環モジュール、ソレノイドバルブ、スロットルバルブのほか、Pierburg Pump Technology製のオイルポンプとバキュームポンプの一体型製品を納入する。この新型ポンプは、2015年はじめからメキシコCelayaの新工場で量産開始となる予定。(2013年6月26日付プレスリリースより)

-「Ward's 10 Best Engines」に選出されたエンジンのうち7つに同社の部品が採用。同社製品を採用したエンジンは以下の通り:
メーカー モデル/エンジン 供給製品
Audi S5 - 3.0L V6 循環ウォーターポンプ、コンロッドベアリングシェル、スラストワッシャー、タンブルバルブ
BMW 328i - 2.0L T クランクシャフトベアリング、カラーベアリング、ターボチャージャー用電動ディバーターバルブ
135i - 3.0L N55 電動冷却ポンプ
Ford Shelby GT500 - V8 88 電動冷却ポンプ
Focus ST - 2.0T ピストン
Taurus - 2.0T ピストン
Dodge Ram 1500 - Pentastar 3.6L V6 ピストン
Cadillac ATS - 2.0T 86.75 過給圧バルブ、バイパスバルブ

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2013年12月期 2012年12月期 2011年12月期
合計 152 147 130
 

研究開発体制

-2013年12月末現在、992名が研究開発に従事。

研究開発活動

-同社のNew Drive Technology部門では、Fiat 「500e」向けレンジエクステンダーの性能試験を実施。複数の自動車メーカーが試験に参加し、日常使用に適しているかを検証。検証結果として、同社のレンジエクステンダーは低騒音と低振動を実現しつつ、EVの走行距離の延長を可能にすると結論付けた。

-2020年および2021年に欧州CO2排出規制が設定されることを受け、同社は排出量削減に向けた以下分野の研究開発を実施:
  • 過給・ダウンサイジング
  • デスロットリング
  • 補機の電動化
  • トランスミッション周辺部品の性能向上
  • 燃焼、摩擦、重量の最適化
  • 新しい熱制御技術の開発

製品開発

スチール合金ピストン
-Hardparts部門は「LITEKS」ピストンを開発。新たに開発された高性能合金「KS 309」を使用することで、従来品のピストンと比べて約14%の軽量化を実現。「LITEKS」ピストンはスチールを使用することで熱力学効率・性能が改善され、燃費は最大4%減少することができるという。2014年に量産開始を予定。

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2013年12月期 2012年12月期 2011年12月期
合計 142 148 104

<Mecatronics部門>
-2013年12月期の同部門に対する設備投資額は、93百万ユーロ。大部分は2014年完成予定のドイツNeuss新工場の建設に投下された。
拠点 設備投資内容
ドイツ Neuss 新工場向けの土地取得および建物建設
ドイツ Neuss 空圧式コンバーターの能力増強のための機械・システム
ドイツ Hartha 電動冷却ポンプの能力増強のための組立施設および工具
ブラジル Nova Odessa 可変オイルポンプ生産用組立施設および工具

<Hardparts部門>
-2013年12月期の同部門に対する設備投資額は47百万ユーロで、主にピストン分野に配分。中国の大径ピストン生産拠点の更新やドイツ、日本および米国拠点の能力増強に使用された。
拠点 設備投資内容
ドイツ Neckarsulm ダイカストエンジンブロック生産用鋳造用具および加工機械
米国 Marinette 乗用車用ピストンの生産能力増強のための加工機械および工具
メキシコ Celaya 焼結素材の生産能力増強のための機械および工具
ブラジルNova Odessa 加工およびコーティング機器・システムの更新
中国 上海 大径ピストンの生産施設の更新
日本 広島県 乗用車用ピストンの生産能力増強のための加工ライン

海外投資

<中国>
-Pierburg Chinaは、中国の江蘇省昆山 (Kunshan) に新たに工場を開設。新工場では、空圧式EGRバルブおよび電動スロットルバルブの生産を行う。ほぼ同時に、ソレノイドバルブの生産も開始する予定。(2013年3月25日付プレスリリースより)