Freudenberg SE 2018年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
  2018年
12月期
2017年
12月期
増減率 (%) 要因
売上高 9,455.4 9,345.6 1.2 1)
税引前利益 835.3 883.1 (5.4)

要因

1) 売上高
-2018年12月期の売上高は、前年比1.2%増の9,455.4百万ユーロ。買収および出資引きあげによる影響は43.2百万ユーロ。為替差損による影響は特に米ドルで顕著で、総額約285.6百万ユーロのマイナスとなった。また新会計基準IFRS第15号の適用により、売上高は54.3百万ユーロの減少。これらを調整した売上高の成長は406.5百万ユーロ (4.3%)。

最近の動向

-グループ傘下のVibracousticは、同社と現代自動車が5年間の技術提携を締結したと発表した。NVH (騒音、振動、ハーシュネス) に関する知識交換に加え、2020年以降に市場投入予定の電気自動車 (EV) を含む現在・未来のモビリティコンセプト用NVHソリューションを共同で研究・開発する。NVHに関する専門知識の交換により、現代自動車は全モデルの快適性・性能の向上が可能になるという。(2018104日付 プレスリリースより)

-Freudenberg Sealing Technologiesは、買収と戦略的投資によってエネルギー、電動モビリティ事業の強化を図ると発表した。2018年初め、Freudenberg Sealing Technologiesは燃料電池メーカーElcoreと、その姉妹会社のドイツのElcomaxを買収した。また20182月には、米国のXALT Energyの少数株式も取得した。XALT Energyは大型商用車向けリチウムイオンバッテリーを製造する企業。Freudenberg Sealing Technologiesはこれらの投資に数千万ユーロを費やし、ポートフォリオの拡張により組織変更も行っているという。(2018514日付プレスリリースより)
 

受注

-現在ブラジルで生産されている85%の車両に同社のJacarei工場で生産された微粒子フィルターもしくは活性炭フィルターが装備されていると発表した。同社はVolkswagenMANRenault、日産、FCAFiat)およびGM向けに年間840,000個のキャビンフィルターを供給している。2018年上半期、RenaultKwid」などのフィルター非装備車やChevroletCruze」、「Equinox」、「Camaro」などの輸入車向け15モデルを対象に微粒子フィルターおよび活性炭フィルターの販売を開始した。(2018622日付各種報道より)

 

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2018年12月期 2017年12月期 2016年12月期
全社 444.3 427.8 335.1

研究開発活動の有効性は、新製品(4年未満の製品)の総売上高に占める割合として測定。2018年のシェアは33.6%(2017年:33.0%)

研究開発体制

-2018年の研究開発関連の従業員数は平均で3,590名。

製品開発

-中国電気自動車(EV)市場で採用されている耐燃性基準に適合するシリコンベースのEV電池ハウジング用材料を開発したと発表した。FreudenbergNOKの合弁会社で、米国ミシガン州に本拠を置くFreudenberg-NOK Sealing Technologiesは、新材料開発の際、航空機製造に使用される航空宇宙耐燃性基準を適用して試験を行った。そのため同社は顧客の要求を超えた耐火材料の調合を開始し、摂氏約1,090度(華氏2,000度)の熱から部品を保護する材料の開発に成功したという。今後この材料は自動車メーカーの新たな熱管理と、乗員の安全を守るのに役立つとしている。(20181127日付プレスリリースより)

Freudenberg Sealing Technologies
-電気自動車 (EV) 用の新たなソリューションである折り畳み式シールを開発したと発表した。外縁にシーリング輪郭がある固定型アルミニウム部品は、安定性を提供し、シールをハウジングカバーに取り付けるクリップ用締め具取付け位置を統合。部品の連結に使用されるシーリング輪郭は、柔軟性に優れ、ハウジング内の小さな寸法許容差を補正できるという。折り畳み式シールは、一体型コンポーネントで、さまざまな部品を組み立てる必要がないため、設置の信頼性が大幅に向上。また、その金属インレーは、バッテリーハウジングと同カバー間の高電気伝導率を実現する。Freudenberg Sealing Technologiesは、駆動用電池用ハウジングシールの評価や動作確認が可能な、独自の耐久試験方法を開発したという。(20181120日付 プレスリリースより)

-ガス拡散層に直接取り付けられ、非常に薄いセル設計を容易にする特殊シールを開発したと発表した。このエラストマーシールは、射出成形プロセスの間にガス拡散層上に直接取り付けられ、ガスの微細分布や、高分子電解質膜の両面の熱・水分運搬に対応する。高分子電解質膜は、密閉されたガス拡散層を有するコンパクトで安全な密封ユニットを形成するという。同社は特に、燃料電池用に開発されたエラストマーに注力するとしている。(2018109日付プレスリリースより)

-排気ガス処理システムの精度および長期安定性を改善する接着剤を開発したと発表した。この接着剤は、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)と水素化ニトリルゴム(HNBR)でできたシールを使用するSCRシステムメーカーに供給している。試験において尿素溶液に対して極めて耐性があることが証明されており、この試験をバルブタペット部品に拡張したところ、タペットは、同じ温度でAdBlue1000時間浸漬することに成功したという。(201873日付プレスリリースより)

-必要な設置スペースに影響を与えないリチウムイオンバッテリー用断熱シールドを開発したと発表した。個々のセルの間に置かれるこのシールドは、ダメージを受けたセルの熱が排出されるまで絶縁され続けるように設計されている。薄さ1mmで耐熱性の素材とシリコンベースのエラストマーで構成され、ワッフル状の構造でセル間の熱伝達を遅くするのが特徴で、シールドの使用による既存のエネルギー密度の損失はほとんどないという。(2018522日付プレスリリースより)

Vibracoustic
-厳格になる排ガス基準やパワートレイン電動化の傾向が、車両重量に大きな課題となっているとして、ダイカストハウジングに変えて熱可塑性ハウジングを使用するモータベアリングの軽量ソリューションを提供すると発表した。この製品は従来と比較して性能および快適性は同じ要件を満たし40%の軽量化を実現するという。同社は従来のゴム製および油圧式のエンジンマウントから切替え可能なエンジンマウントまで、あらゆるエンジン固有の要件に適したソリューションを供給する。 (2018910日付プレスリリースより)

-インテリジェントスイッチングを介した新型エアスプリングを発表した。4段階に硬度を切り替えることができるこのエアスプリングは快適性および安全性をコンセプトとしている。(2018816日付プレスリリースより)

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2018年12月期 2017年12月期 2016年12月期
全社 378.6 501.5 407.1

海外投資

<中国>
-中国及び台湾に生産拠点を建設すると発表した。2020年の生産開始を目指す。1つは重慶新工場で、振動制御ソリューションプログラム製品を生産する。もう1つは台湾桃園工場で、生産ラインを拡張し、自動車内装、カーペット用不織布を年間1.1万トン生産する。Freudenbergは本社をドイツに置き、シールおよび振動制御技術部門、不織布・フィルター部門など4つの部門で事業展開している。現在、中国市場での売り上げは全体の約10%を占めており、中国に23の工場を持っている。(2018年12月6日付複数メディア報道より)

<ポーランド>
-グループ傘下のVibracousticは、ポーランドSroda Slaska I工場拡張に4百万ユーロを投資すると発表した。同工場では、世界の自動車メーカー向けに油圧式シャシーマウントを製造している。拡張の一環として、マイクロセルポリウレタン(MCU)部品を製造する予定。さらにテストを含む試作品製造施設の設立により、開発及び産業化プロセスを大幅に短縮する計画。同社は2018年末までに生産、保守、エンジニアリングを中心に同工場で総勢50名の新規雇用を創出するという。(201888日付プレスリリースより)

<インド>
-インドChennai新工場の建設を開始したと発表した。投資総額は約28百万ユーロ。新工場はChennai初の拠点となり、自動車およびその他産業向けシール、振動制御ソリューションなどを製造する。同社の2017年の売上高は前年比18.3%増の93億ユーロで、好調な業績により継続的な投資を行っているという。(2018531日付各種報道より)