Freudenberg & Co. KG 2015年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2015年
12月期
2014年
12月期
増減率 (%) 要因
売上高 6,410.9 5,982.3 7.2 1)
税引前利益 667.6 625.1 6.8 2)


要因
1) 売上高

-2015年12月期の売上高は、前年比7.2%増の6,410.9百万ユーロ。全ての事業分野で売上高が増加したことに加え、Freudenberg Sealing Technologies、Freudenberg Performance Materials、Freudenberg Medicalによる買収活動や、為替の影響が寄与した。

2) 税引前利益
-2015年12月期の税引前利益は、前年比6.8%増の667.6百万ユーロ。増益の主な要因は為替の変動、売上高の増加、稼働率の上昇、生産性・効率性向上プログラムの成果、管理費の減少。

買収

-日本バイリーンは、独Freudenberg SEが設立したFTホールディングス (東京都港区) の株式公開買付け (TOB) に関する賛同を表明すると共に、既存株主の応募を推奨すると発表した。買い付け後の株主は公開買付者、Freudenberg SE、東レのみとし、TOBの完了後は上場廃止になることを前提としている。競争が激化する不織布のグローバル市場を勝ち抜くため、Freudenbergと東レの資本関係を深め、強固な経営基盤を築くのが狙い。(2015年8月12日付日刊自動車新聞より)

事業再編

-Freudenberg Sealing Technologiesの本社 (Weinheim) 再編を予定。シャフトシール 「Simmerring」 の生産とエンコーダーの生産、トランスミッション・ドライブライン能力センター (Transmission and Driveline Competence Center) の3拠点において160名の人員を段階的に削減する。残りの85名の雇用は維持される予定。エンコーダーの生産は、トルコのBursa工場をはじめ、ハンガリーのKecskemet工場やチェコのCeperka工場に移管する。

-ブラジル市場の減速を背景に売上が減少しているため、開発生産業務をGuarulhos工場に集約した。Taubate工場は2015年に閉鎖。

受注

-2015年度の主な受注は下表のとおり。

事業部門 製品 搭載モデル
TrelleborgVibracoustic (Lerma, メキシコ) エアスプリング GM 「Cadillac CTS」, 「Cadillac Escalade」
TrelleborgVibracoustic (Hamburg, ドイツ) エアスプリング BMW 「7 Series」, Porsche 「Cayenne」, Audi 「A6」
TrelleborgVibracoustic エアスプリング, シャシーマウント, アイソレーター, ダンパー Mercedes-Benzの SUV 「ML」 および 「GL」
TrelleborgVibracoustic クロスアクシアルベローズエアスプリング Audi 「Q7」
Freudenberg Performance Materials カーペットタイル用マイクロフィラメントテキスタイル GM 「Chevrolet Malibu」


-Freudenberg Filtration Technologiesは中国のZhejiang Geely Automotive Parts & Components Stock Co., Ltd.よりVolvoの新たな小型プラットフォーム向けエンジン吸気システムの開発・生産プログラムを受注した。同社のエンジンインテークエアフィルター事業が中国で受注した単体プログラムで最大規模となる。

受賞

-Freudenberg Filtration Technologiesが Halla Visteon Climate Control (HVCC) より 「2014年最優秀欧州サプライヤー賞」 を受賞。またBoschの 「2014年優秀サプライヤー賞」 も受賞した。

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2015年12月期 2014年12月期 2013年12月期
全社 252.7 213.7 193.0



研究開発体制

-2015年末現在、研究開発関連の従業員数は2,160名。その内、1,176名がドイツで研究開発に従事。

研究開発拠点

-Freudenberg Sealing Technologiesが米国オハイオ州のFindlay拠点及びインディアナ州のMorristown拠点に数百万ドルを投資して開発生産能力を増強した。これにより、今後数年間で約100名を追加雇用する予定。

製品開発

エアスプリング用 「ZAX」ベローズ
-TrelleborgVibracousticは、エアスプリング用の新型ベローズ 「ZAX」 を新たに開発した。この 「ZAX」 は、軸方向ベローズの優れたねじり分離性能とクロスプライベローズの寸法安定性を組み合わせたもの。2015年中に複数の新型SUVのリアアクスルに採用されるという。(2015年2月13日付プレスリリースより)

EV冷却回路用シール
-自動車パワートレインの多様化に対応し、電気モーターの冷却回路用にEPDM材料を使用したプラグ及びシールを開発。新プラグやシールは軸方向の耐性に優れ、高圧環境の使用に耐えるとともに、ノイズや機械的影響も低減する。

導電性シール「Simmerring」
-導電性不織布材料を使用したシール 「Simmerring」 を開発した。電気自動車のドライブシステムを保護する目的で開発されたもので、アクスルドライブに採用される。ドライブシャフトの電気をハウジングユニットに放電することにより、静電気がトランスミッション部品に通じダメージを与えるのを防ぐ。

New Rubber Generation Disc
-TrelleborgVibracousticが開発したNew Rubber Generation Disc (NRG Disc) はプロペラシャフトのねじり分離性能に優れ、ノイズを最適に低減する。また既存製品に比べ耐久性が非常に高い。

ガラス繊維強化ダンパーベアリング
-TrelleborgVibracousticにおいてガラス繊維強化ダンパーベアリングを開発。新ダンパーベアリングはアルミニウムベアリングに比べ25%軽量化を実現するとともに、振動制御に優れ、低価格。

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
2015年12月期 2014年12月期 2013年12月期
全社 302.5 271.6 229.3



ドイツ国内投資

-2015年9月、ドイツのKaiserslautern工場において、約3百万ユーロを投じたパイロット生産ラインの稼働を開始したと発表した。同工場ではスパンボンド不織布を生産しており、自動車内装用カーペット、建物用カーペット、自動車のキャビンエアフィルター、ベッドやマットレスカバーなど幅広い分野でさまざまな製品に採用されている。このパイロットラインでは、新たな生産プロセスの開発・試験が生産工場への導入前に行われる。(2015年9月4日付プレスリリースより)

海外投資

<中国>
-2015年4月、同社と日本バイリーンの合弁会社 「科徳宝・宝翎無織布 (蘇州) 有限公司 [Freudenberg & Vilene Nonwovens (Suzhou) Co. Ltd.]」 は、新たに自動車天井材生産ラインを建設すると発表した。生産開始は2016年夏を予定している。2014年10月、同社の自動車内装材用不織布の販売量は10百万平方メートルに達しており、累計約3百万台の自動車に製品を供給している。(2015年4月7日付け各種リリースより)

<タイ>
-2015年半ばにTrelleborgVibracousticがタイで新工場の稼働を開始した。Ford、 GM、日産、Volvo向けにシャシー、エンジン、キャブマウントを生産する。