Freudenberg & Co. 2007年度の動向

ハイライト

業績
(単位:百万ユーロ) 2007年度 2006年度 増減率(%) 要因
全社
売上高 5,341.2 5,052.8

5.7

 -
営業利益 275.2 219.1 25.6

 -

自動車部品関連(売上高)
欧州シール及び防振技術グループ(Seals and Vibration Control Technology Europe) 1,226.2 1,074.8 14.1 同グループの2007年度の売上高は前年度比14.1%増加し、1,226.2百万ユーロ(2006年度:1,074.8百万ユーロ)。 イタリアのCorfina Industriale S.a.s. di Freudenberg & Cosso S.r.l., Pinerolo(Corfina Industriale)と同社の全部門を連結子会社化したことが売上増に寄与。
同グループでの自動車業界向け事業は、自動車市場の伸び率を上回る伸びを記録し、 自動車用補修部品も好調に伸張。
Freudenberg-NOK  米州合弁事業 (Freudenberg-NOK General Partnership) (Americas)
1,003.4 986.0 1.8

2007年度の売上高は前年度比1.8%増の17.4百万米ドル(2006年度:986百万米ドル)となり、初の10億ドルの大台を突破した。 ドル安の結果、ユーロ換算での売上高は6.8%減少して727.6百万ユーロとなった。
米国市場の低迷が売上に影響。 米国での自動車生産台数は1.5%減少し、米国の3大自動車メーカーの生産台数は5.1%減少した。 また、汎用産業機器セクターでも主要市場で売上が減少。


NOK-Freudenberg 中国合弁事業 (NOK-Freudenberg Group China)
122.1 95.7 27.6 2007年度の同合弁事業の売上高は、前年度比27.6%増の122.1百万ユーロ(2006年度:95.7百万ユーロ)を計上し、業界の平均伸び率を大幅に上回る増加を記録。
2007年度の同事業部門は、自動車産業および汎用産業セクターの複数のセグメントにおいて市場主導権を強化。 さらに、工程技術並びに生産性の向上、原価管理の強化、現地調達の拡大、品質コスト低減などにより増益となった。
Vibracoustic Europe 503.4 451.0 11.6 Vibracousticの売上は、乗用車セクターにおいて10.6%、商用車セクターにおいて17.4%の伸びをそれぞれ記録し、これらの伸び率は市場の伸び率を大幅に上回った。
同事業部門がすでに高いシェアを確保している既存顧客への販売がさらに拡大した一方で、シェアの低かったフランスやイタリアなどの市場でも好調に伸張。
不織布(Nonwovens)部門 816.2 801.4 1.8 2007年度、同事業部門は不織布市場における構造的な問題に再び対処しなければならなかった。 また、繊維市場および自動車市場の変化と通貨変動のマイナス影響を受け、特に芯地部門とタフト部門が影響を受けた。 アジア、特に中国およびベトナムにおける芯地の売上は大幅に増加したが、欧州および米国における売上は微増にとどまった。
タフト事業部門は米国の自動車セクター低迷の影響を受け苦戦。 フィルター事業は物価上昇圧力に晒されたが、販売は好調に推移した。


受注

-2008年1月、Freudenbergのグループ企業2社は、印Tata Groupが先頃発表した「Tata Nano」向けに製品を供給している。事業子会社のVibracoustic GmbH & Co. KGは、「Nano」搭載用に開発したエンジン/サスペンション部品を提供している。合弁会社Sigma-Vibracousticの拠点であるインド北部のMohali工場で現地生産、Tataに納入する。Vibracousticでは2気筒エンジン搭載の超低価格小型車「Nano」で実現可能な防振性・走行快適性を追及し、先進的防振技術を駆使した独自の廉価版エンジン/サスペンション部品を開発した。また、同じく現地合弁会社のSigma Freudenberg NOKは、「Nano」向けにエンジン/ドライブトレインシールを独占的に供給している。Freudenberg、Sigma、NOKの3社は1999年、急激な経済発展を背景に拡大するインドの自動車需要に対応するため、Mohaliにシール生産を手掛ける合弁会社Sigma Freudenberg NOKを立ち上げた。(2008年1月15日付プレスリリースより)


企業買収
-2007年10月、ドイツのFreudenbergと日本のNOKの米国合弁会社であるFreudneberg-NOKは、Precision Industries Corporationを買収したと発表した。Precision Industries Corporationは、特注ダイアフラムに特化した開発・製造を行っており、本社所在地はウィスコンシン州・Germantown。この買収により、Freudenberg、NOK両社は、Freudneberg-NOKの事業を通じ、北米における布(繊維)入りゴム製ダイアフラムのエンジニアリング及び生産能力を強化するとともに、両社が本拠とする欧州ならびに日本市場における特注ダイアフラム事業の拡大を図る。Precision Industries Corporationは、1986年創業で、布入りゴム製ダイアフラムに特化した高性能ダイアフラムメーカーとして定評があり、小型エンジン、燃料システムといった自動車用ダイアフラムをはじめ、灌漑用、気体燃料用、油圧式制御機器用、医薬品用といった各種ダイアフラムを供給している。


事業売却
-2007年12月、独Freudenbergは、同社傘下のFlexitechの事業資産を三菱商事に売却することで合意した。Flexitechは、欧州および米国で自動車用ブレーキホース事業を手掛けている。Flexitechの自動車用ブレーキホース事業は、関係国の独禁当局による承認手続を経て、08年1月に三菱商事およびメイジフローシステムに売却・移管される見通し。Flexitechとメイジフローシステムは15年以上提携関係にあり、提携パートナーとして欧州ブレーキホース市場で確固たる地位を築いている。Flexitechの売上高は、欧州・米国部門を合わせ、約8,000万ユーロ。(06年度実績)。総従業員数は約500名。一方、三菱商事とメイジフローシステムは、ブレーキホース事業での提携を通じ、アジア市場で実績を伸ばしており、国際化戦略強化の一環として欧州および米国市場での事業拡大を目指している。Freudenbergは、コア事業であるシール及び防振技術(Seals and Vibration Control Technology Europe)関連事業に集中する方針を打ち出しており、このたびのブレーキホース事業売却もその戦略に沿ったもの。(12月19日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費用および研究開発体制
-2007年、研究開発費として202.9百万ユーロを計上。この額の半分以上は欧州シールおよび制振技術グループ、Vibracoustic (Europe) 事業部門、不織布事業部門の研究開発費が占める。 OEM市場セグメントで最も多くの開発プロジェクトが実施された。 2007年度現在、グループ全体で1,901名の研究員が研究開発に従事しており、ドイツを中心に活動を行う。またドイツには1,323名の研究員が研究開発に従事。


新製品開発
-2007年、欧州シールおよび制振技術グループは自動車のCO2排出量を最大3%低減できるシールソリューションの生産を開始した。 同社はバイオディーゼル、代替燃料、新冷媒R744用の素材およびシールソリューションも開発した。

-General Motorsは、新型Equinoxで使用される燃料電池シール材の試作品の開発提携先企業としてFreudenberg -NOK米州合弁事業を選定した。 その第1段階として、カリフォルニア市場向けに車両100台の生産が計画されている。

-Vibracoustic部門では、動的測定を用いてアクスルシステム全体の特性のマッピングを行う。
マルチボディシステムモデルにより、構成部品の仕様定義および潜在能力分析の最適化が促進される。
Vibracoustic部門のトーションスプリング技術により、自動始動・停止システムに装備されたエンジンは円滑に再始動できる。
自動始動・停止システムは、渋滞中のCO2排出量を低減するためにエンジンを停止するシステムである。

設備投資

海外投資
-日本バイリーンは7月31日、独フロイデンベルグと共同で、タイに自動車向けなどの産業用エアフィルター加工、販売会社を設立すると発表した。2008年1月から操業を開始、自動車用のキャビンエアフィルターなどを、ASEAN地域の自動車メーカーに供給する。総投資額は2億7200万円。新会社の名称は、フロイデンベルグ&バイリーン フィルタ・タイランド(FVFT)。9月をめどにバンコク近郊のアマタナコン工業団地内で設立する。資本金は、約1億6千万円で、同社とフロイデンベルグが50%ずつ出資する。産業用エアフィルターは、自動車や工場設備向けに需要が増大しており、特に、自動車のエアキャビンフィルターは、ASEAN域内でも需要が急増している。新会社では、現地加工(生産)と販売の一貫体制を整え、フィルターのシェア拡大に結び付ける。(8月1日付日刊自動車新聞より) 

-2007年12月、ブラジルで、Freudenberg-NOKなど複数の系列企業を通じ、自動車、工業、テキスタイル、機械/プラントエンジニアリングといった様々な産業向けに製品を供給しているが、このほど、今後4年間のブラジルにおける投資計画について発表した。同社はブラジルに生産拠点を構え半世紀となるが、ここ4年で同市場に約5,000万レアル(R$)を投資している。2007年のブラジルでの売上げは前年比増の4億800万レアルを見込んでおり、2010年の売上目標として掲げる5億5,100万レアル達成に向け、着実な伸びをみせている。同社ではこの高い利益成長を確保するため、追加投資を行い、生産能力および供給品目の拡充を図る。Jacarei工場には800万レアルを投じ、不織布(nonwovens)の生産ラインを新設する。また、Diadema工場には450万レアルを投資してシール製品生産用の最新鋭ミキシング装置を導入、品質・生産性の向上を目指す。(12月11日付プレスリリースより)