ElringKlinger AG 2010年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2010年
12月期
2009年
12月期
増減率(%) 要因
全社
売上高 795.7 579.3 37.4 1)
税引き前利益 94.0 49.4 90.3 -
OE事業
売上高  606.9 418.2 45.1 2)

 

要因
1)
-2010年の同社の部門別売上高は、不動産事業を除きプラス成長となった。その中でも、OE事業が安定した回復をみせ好成績を残した。OE事業部門の売上高は、自動車産業の需要増に牽引され増長。商用車コンポーネントの売上は、設備稼働率が不況前にはいたらないまでも向上という結果をみせた。

2) OE事業
-世界の自動車生産台数の増加率を超える成長を遂げた。これは、いくつかの新製品の立ち上げが寄与したもの。また、新興国市場への注力も収益向上に寄与したといしてる。市況が低迷していた2009年(418.2百万ドル)比188.7百万ドル増の606.9百万ドルとなった。

企業買収

-スイスを本拠とするHug Engineeringの株式66.7%を取得。Hug Groupは排ガス浄化システムの開発・製造を行っている。今後ElringKlinger は、同社の煤煙低減用コーティング材「CleanCoat」をHugのディーゼル粒子フィルターに施し、商用車向けに販売する計画。なお、株式取得の手続 きは2011年第2四半期中に完了する見込み。 (2011年4月6日付プレスリリースより)

-Freudenberg GroupからシリンダーヘッドガスケットおよびエキゾーストガスケットのOEM事業を買収。同事業は生産拠点をドイツのEurasburgとGeretsried-Gelting、フランスのChamboretと Nantiat、イタリアのSettimoに置いている。(2011年1月5日付プレスリリースより)

受賞

-ドイツの商用車メーカーMANから「Trucknology Supplier Award 2009」を受賞。MAN向けには、主にシリンダーヘッドガスケットと樹脂製ハウジングモジュールを供給している。他には特殊ガスケットやシールドなども 供給中。また、ElringKlingerはMANの南米拠点へ部品を納入することも決定した。(2010年6月11日付プレスリリースより)

-Daimlerの2009年度「Key Supplier Award」を商用車用パワートレイン部門で受賞。樹脂製ハウジングモジュールが評価されたもの。(2010年3月19日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2010年12月期 2009年12月期 2008年12月期
全社 43.7 35.7 36.5

研究開発体制

-2010年12月31日現在、研究開発に従事するスタッフは316名。

研究開発活動

-同社研究開発部門において、2010年の注力分野の一つとしてバッテリーおよび燃料電池関連技術の開発活動の拡大が挙げられる。特に全ての顧客が高効率のガソリンエンジンに電子モーターを組み合わせたハイブリッド技術に注目しており、同社に与えるメリットも大きい。既存エンジン用コンポーネンツに加えて、バッテリー技術関連製品の供給も開始している。

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2010年12月期 2009年12月期 2008年12月期
全社 134.3 95.6 149.4
OE事業部 123.5 83.1 132.2

 

設備投資

-2010年の同社の設備投資のうち55.4%が同社グループの子会社および合弁企業に投じられた。投資金額の大部分は、新製品の製造で使われる新設備の購入で使用され、生産能力が拡張された。特にアジア、北米、南米、そしてドイツ本国のBietigheim-Bissingen にある、ElringKlinger Kunststofftechnik GmbHが主な焦点となった。2010年度の子会社およびJVに対する総投資額は74.4百万ユーロ(2009年49.5百万ユーロ)。

海外投資

<中国>
-中国ChangchunとSuzhouにある新工場の建設が完了。同地域で今までのほぼ2倍の生産能力を持つ。2010年に同社グループは計14.1百万ユーロを中国に投資した。SuzhouにあるElringKlinger China Ltd.の新工場は、2010年にフル稼動開始。中国ChangchunにあるChangchun ElringKlinger Ltd.の新工場は従来より大幅に大きくなり、管理部門を拠点内に有している。現在、新拠点への移動の最終段階。新工場の開設は2011年春を計画しており、同社最大の生産拠点となる予定。現在、同社は中国市場において、数件の新規受注を獲得した。主に中国地場の顧客となっており、今後の同地域での成長が期待できるとしている。

<北米地域>
-Bufordにある米国法人ElringKlinger U.S.A., Inc.には、新しい製造設備、ツール技術に対して6.4百万ユーロが投じられた。同拠点では、米自動車メーカー、エンジンメーカー向けの熱シールディング関連製品の新規製品開発が進められている。コスト低減に向けて、顧客の近いところでの製造により為替差損等を回避する計画で、シリンダーヘッドのガスケット組み立ては、カナダLeamingtonの子会社からBufordに移された。スタンピング工程の処理能力も増強されており、2011年以降、メタル膜のスタンピング工程はDettingen拠点に搬送する必要がなくなる。

<南米地域>
-南米市場では、高い需要と新規受注案件に応えるために地場製造能力の拡張が必要となっていた。ブラジルPiracicabaにある子会社ElringKlinger do Brasil Ltda., Piracicabaにより、7.4百万ユーロ相当の設備が購入されており、メタルレイヤー・ガスケットおよびヒートシールドの生産能力が増強され、さらにプラスチックハウジングモジュールの製造ラインが新設された。