ElringKlinger AG 2007年度の動向

ハイライト

業績
百万ユーロ 2007年12月期 2006年12月期 増減率 要因
全社
売上高 607.8 528.4 15.0% -
税引き前利益 114.9 87.6 31.2% -
OE 部門
売上高  435.5 374.0 16.5% 2007年度のOE 部門の売上は16.5%増の435.5百万ユーロ。グループ全体の売上高の71.1%を占める。

部門別事業概況
すべての事業部門で売上は昨年度より増加。新製品発表による影響が大きかったが、既存の製品への需要が高かったのも原因。
シールディング技術部門では、酸化触媒コンバーター、ディーゼル微粒子除去装置、ターボチャージャーなど、排気管内に使用される製品向けの複合ヒートシールドの供給が拡大。
シリンダーヘッドガスケット部門では、コインドストッパーシステムを採用したガスケットの供給が好調。乗用車向けディーゼルエンジンと商用車用のシリンダーヘッドガスケットの売上も業績に大きく寄与。
特殊ガスケット部門では、排気管内に使用される変速操作装置やガスケットに関連した事業を中心に二ケタ台の伸び。
エラストマー技術/モジュール部門では、プラスチック製の軽量モジュールへの需要 が高かった。

新会社設立
- 2007年、Ranjangaon (インド) に ElringKlinger Automotive components Pvt. Ltd. 、青島 (中国)に ElringKlinger Engineered Plastics Commercial を設立。
- 中国にElringKlinger Kunststofftechnik GmbHの子会社として新会社を設立。中国でのプラスチック加工製品の市場拡大を目指す。

企業買収
- 2007年7月、子会社でBietigheim-Bissingenに本拠をおくPTFEプラスチック部品メーカーであるElringKlinger Kunststofftechnik GmbHの株式を、7.5%買い増し、持株比率を74.5%に引き上げた。2006年度のElringKlinger Kunststofftechnik GmbHの売上高は5,880万ユーロ、税引前利益は1,140万ユーロ。最新年度の2007年度では、増収、増益となる見通し。ElringKlinger Kunststofftechnik GmbHは、Bietigheim-BissingenとHeidenheimの2ヵ所に拠点を構え、耐熱性ならびに耐食性に優れた「ポリテトラフルオロエチレン」を原料とする高性能プラスチック製品/部品の開発・販売を行っている。自動車業界をはじめ、機械工学、包装といった他の産業分野向けにも製品を納入している。

開発動向

研究開発費用

(単位:百万ユーロ) 2007年度 2006年度 2005年度 2004年度 2003年度
R&D 29.8 26.0 24.3 22.9 19.7

- 研究開発部門の従業員は252名(全従業員の7.0%)。研究開発費は売上全体の4.9%を占める。
- 研究開発部門の拠点はドイツに集中し、主に Dettingen/Erms工場で行われている。
- 2007年、新事業部門設立。約340万ユーロを投入し、燃料電池部品やディーゼル微粒子除去装置を開発。

製品開発
排気除去装置向け新部品

排気ガス削減対策として、排気ガス触媒コンバーター、微粒子除去装置、SCR(選択式触媒還元脱硝装置)用の特殊ガスケット、DeNoxモジュール、ヒートシールドを開発。高温への耐性、排気循環率及びダイナミックな動きに応えるため、排気マニホールドやターボチャージャーに使用されるガスケットに新しい工法と材料が要求される。

次世代のメタルレイヤーシリンダーヘッドガスケット
高点火圧力や高噴射圧力に耐性があり、代替燃料にも対応できるシリンダーヘッドガスケットを開発。

シールディング技術
排気循環、ターボチャージャー、触媒コンバーター向けソリューションに重点を置き、複合シールディングシステムを開発。一体型センサーを搭載したものもある。

エラストマー技術/モジュール
高性能プラスチック製の軽量部品を開発。車の重量軽減と燃費削減につながる。

燃料電池部品
新事業部門で燃料電池部品を開発。高温SOFC(電解質型燃料電池)の製造が大きく進歩。この類の燃料電池は、ガソリン、ディーゼル、天然ガス及びバイオガスなどのエネルギーを効率よく電気エネルギーに変える。将来的にドライブトレイン製品に使用される可能性が高い。PEM(プロトン交換膜)低音燃料電池の領域においては、両極プレート及びその塗装方法やシーリングシステムの開発が進んでいる。

設備投資

設備投資

(単位:百万ユーロ) 2007年度 2006年度 2005年度
工場、土地及び機材、無形資産への投資金額 90.9 49.1 54.7

- 子会社及び関連会社の生産拡大に投資。対象となった拠点は主にアジア、メキシコ及び ElringKlinger Kunststofftechnik。

- 約350万ユーロを投入して、Ranjangaon (インド)に約4,000平方メートルの工場を新設。
さらにChangchun (中国)、 Changwon (韓国)での大規模な施設拡張プロジェクトも完了。

- シリンダーヘッドがスケット部門は、以前に焼失したRunkelの工場再建に重点を置いた。新工場の敷地面積はは5,000平方メートルで、シリンダーガスケットの製造に必要な機械設備も新たに設置。

- 特殊ガスケット部門では、新しく排気ガスケットの製造に必要な125トンのプレス機械を購入。さらにダイナッミックホットガステスト用のスタンドを設置。これは排気システムに使用される高性能特殊ガスケット用の個々の組立部品を精査するためのもの。

- ヒートシールドの売上が著しく増加したことから、シールディング技術部門は製品センター、物流センター及び6,000パレットを収容できる完全自動式の高床式倉庫をLangenzenn (ドイツ)に新設。

- エラストマー技術/モジュール部門はDettingen/Ermsの新工場で生産を始めた。同工場では軽量化したポリアミドにシーリングシステムを組み入れたカムカバー、オイルパン及びギアボックスエンドシールドカバーを製造。

- 新事業部門は、 2007年に約200万ユーロを投入して工場及び研究設備を建設。燃料電池の生産工程を効率よく行うため、新しい燃料電池用のスタンドを設置。現在、研究所内で製造されている製品についても工場での生産が可能になるように準備中。さらにディーゼル微粒子除去装置を製造する部門にも投資。Dettingen/Ermsの工場では特定の製品を新たな工程で製造することに取り組んでいる。

2008年の計画
- 2008年は約3900万ユーロを投資する予定。生産工程、流通工程の効率化を図り、生産拡大に重点を置く。
- 子会社及び関連会社の設備投資は、生産効率の向上と新規受注の生産拡大の必要な機械・背いつの購入に充てられる。
- 土地、建物、機械、工場及び無形資産への投資総額は6,500万ユーロから7,000万ユーロになる見込み。