Recticel 2007年度の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)

2007年度 2006年度 増減率(%)
要因
全社
売上高 1,611.8 1,474.4 9.3 -
EBITDA 122.0 106.0 15.1
営業利益(EBIT) 63.2 16.0 295
純利益 36.5 (8.7) -
自動車
売上高 490.4 426.9 14.9 下記要因(1)参照
EBITDA 40.6 26.0 56.1

要因
(1)自動車部門
売上高
-世界的に低迷する自動車市場において、2007年度の自動車事業の売上は14.9%増加。
-この増加には、主にインテリアソリューションにおける新プロジェクト立ち上げによる増加分(221.1百万ユーロ、前年度比 5.6%増)が寄与。 2007年度、新型 Mercedes C クラスの生産が3工場で同時に開始され、 それと同時にVolvo、Saab、Peugeot、Scania向けの新プロジェクトを受注した。 これらの受注については、2008年から2010年までに順次生産が開始される予定。
-しかし、売上増に大きく寄与したのは、Woodbridgeの英国における事業をProseat に統合したことによる、シート(Proseat)の売上増加分である。 この増加分は225.1百万ユーロで、前年度31.7%増。これは全社増加分の11.7%を占める。Proseat は、Recticel とWoodbridge(カナダ)との合弁事業(出資比率は51:49) である。
-また、Proseatではチェコ共和国およびドイツでの売上げも増加したことも寄与。
-外装部門(4420万ユーロ、 前年度比4.2%減)事業では、アジア(特に中国)で伸張したが、 全体の売上高はドル安のマイナス影響を受けた。

EBITDA
-自動車部門のEBITDAは前年度比56.1%(14.6百万ユーロ)増加し、40.6百万ユーロを計上(1.0百万ユーロにのぼる非反復的要素を含む)。
-内装部門では、欧州の全工場で収益性がより改善した結果、前年度比で増益となった。
-米国では、Fountain Inn 工場を閉鎖し、同工場の生産機能をClarkston工場に移管した。 この移管とBuick Enclave プロジェクトの立上り(GM)により、Clarkston工場の能力が安定・向上した。
-米国事業のEBITDAは大幅に改善されたものの、2006年度に大幅な減益を記録したため、2007年度もマイナスにとどまる。
-シート部門(Proseat)の収益は前年度比で減少。 これはWetteren工場(ベルギー)の生産ライン閉鎖に伴う費用が発生したことによる。
-外装部門の収益は良好であったが、2007年度はドル相場のマイナス影響を受けた。


合弁事業
-2007年5月、米Johnson Controlsと、Proseat(ベルギーRecticelとカナダWoodbridgeとの合弁事業)は、スロバキアとポーランドに、自動車向け成形発泡材シートクッションを製造するための合弁事業を立ち上げる。スロバキア・Lucenecとポーランド・Zoryにそれぞれ拠点工場を構える。合弁事業への資本比率は、Johnson Controlsが65%、Proseatが35%。両社は、東欧市場で合弁事業を立ち上げ、客先の近くに生産拠点をおくことで、同市場での将来的な需要増に対応できるだけでなく、よりコスト効率のよい事業展開が可能となる。 スロバキアでは、Johnson Controlsの既存施設であるLucenec工場を引続き活用、ポーランドではZoryに新工場を建設する。Zory新工場は2007年11月に稼動予定で、130名程度を雇用。Proseatは現在、欧州9カ国に合わせて13ヵ所の生産拠点があり、自動車向け成形発泡材シートクッションの製造では欧州屈指のメーカー。Johnson Controlsは、1990年代前半に東欧市場に進出、以来、同市場で着実に事業拡充を図ってきている。(5月29日付プレスリリースより)

-2007年5月、ProseatとロシアのFoamlineは、ロシアの自動車市場向けに成形フォームシートクッションを共同生産する計画を発表した。これにより、Proseatは自動車市場において新たに大きな一歩を踏み出す。


リストラクチュアリング
-Fountain Inn 工場(サウスカロライナ州)が完全に閉鎖され、生産はすべてClarkston工場(ミシガン州)に移管された。

-2007年始め、Proseatはベルギー国内の全事業をHulshout工場(ベルギー)内に集約することを決定した。 Proseatは、ベルギー国内の工場(WetterenおよびHulshout)における設備稼動率が低下した結果、これら施設が不採算部門となるのを避けるため、この事業再編成の実施を余儀なくされた。

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)

2007年度 2006年度 2005年度

研究開発費

15.2 18.2 16.4
売上対比 0.9% 1.4% 1.1%


研究開発体制
-ベルギーWetterenに国際開発センター(IDC)を所有。
-2007年度のR&D投資は15.2百万ユーロ。
-研究開発予算の64%が自動車事業のために使用される。


新製品開発
Colo-Sense(R)ダッシュボード外皮
-新世代のColo-Sense(R)ダッシュボード外皮が発表された。 この特許の新外皮は、感触(haptic)特性が向上したことに加え、価格面でも競合製品と遜色ない。 この製品の品質と特性が向上したことで、昨年度は、さまざまな新規契約が締結された。
この製品は、2008年度~2010年度にかけて生産が開始される予定。

Compact.foam
-Proseatはcompact.foamを発表した。これはクッションの高さを20%にまで圧縮することが可能。 この新しいコンパクトフォームを使用することで、シートクッションの大幅軽量化を実現しながら、トリムパネルの全特性を維持する。

Comfort.sense フォーム
-この製品は優れた特性を発揮し、成形シートでも特殊な表層構造を実現。 その結果、シートカバー内に中間層を追加することが不要になるため、通気性を大幅に向上させることができる。 この製品の表層構造は、シート用ヒーターなどの機能部品を簡単に内蔵できるように計画されている。


技術提携
-リヤシートの設計に関しては、重い金属製部品を発泡ポリプロピレン(EPP)製の軽量プラスチック部品に置き換える取り組みを加速させている。 Proseatが供給するこれらのPU/EPPモジュールは軽量化を図るだけでなく、衝突時に搭乗者がシートベルトの下からすり抜けてしまうことを防ぐ、アンチサブマリン効果を達成する。 これに関連して、Proseat は2007年中頃にStoropackとの戦略的提携を締結した。 Storopackは1874年に設立された家族経営の企業で、現在2,632名の従業員を擁する発泡フォーム製成形部品の主要メーカーである。 両 社の持つポリウレタン(Proseat)とEPP(Storopack)のノウハウを結集することで、Proseatは市場において大きな優位性を得ることができる製品構成を確立した。