HUAYU Automotive Systems Company Limited[華域汽車系統股份有限公司] 2020年12月期の動向

業績

(単位:百万元)
2020年12月期 2019年12月期 増減率 (%) 要因
売上高 133,577.64 144,023.63 (7.25)

-新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け上半期は減収。下半期は市場が回復し、第4四半期には売上高前年同期比8.91%増となったことから2020年12月期売上高は前年同期比7.25%減となった。

営業利益 7,919.22 9,156.70 (13.51)
経常利益 7,939.90 9,434.85 (15.85)
純利益 6,978.08 8,516.29 (18.06)

-自動車用内・外装部品、機能部品、熱加工部品、金属成形品と金型、電子部品などが主な事業。そのうち2020年12月期における内外装部品の売上は全体のの66.4%を占めた。

 

受注

Mercedes-Benzなど各プレミアムブランド、トヨタ・ホンダ、Tesla、NIO向け部品
-自動車内装部品、ランプ、シート、バンパー、コンプレッサー、電動パワーステアリング、プロペラシャフト、ドライブシャフト、ブレーキシステム、軽量アルミダイカスト部品、車体構造部品及び金型、シャシー構造部品およびモジュールに関して、Mercedes-Benz、BMW、Audi、Cadillacなどのプレミアムブランドの指定サプライヤーとなった。またホンダ、トヨタ、日産など日系メーカーには内装部品、ランプ、外装部品、電動パワーステアリング、ドライブシャフト、オイルタンク、ジェネレーターなどを供給する。このほか新エネルギー車向けでは、内装部品、シート、バンパー、バッテリーケース、車体サブASSY部品、スタビライザー、サスペンションスプリングなどをTeslaの上海工場に供給。蔚来汽車へは、内装部品、ショックアブソーバー、パワーステアリングなどを供給。(2020年8月27日付中間報告書
より)

VWのMEBプラットフォーム向けeドライブシステム量産開始
-傘下の華域麦格納電動駆動系統有限公司 (Huayu Magna Electric Drive) が上海市宝山区華域自動車イノベーションパークでVWのMEBプラットフォーム向けにeドライブシステムの量産を開始したと発表した。華域麦格納として初のeドライブシステムは、主にVWドイツ工場とシュコダのチェコ工場に向けて出荷され、VW「ID.4」、アウディ「Q4 e-tron」、シュコダ「Enyaq iV」などEVの4輪駆動モデルに搭載される。華域麦格納は続いて上汽VW安亭工場と一汽VW仏山工場にも同様の製品を供給し、VWがグローバルに展開する電動化戦略をサポートする。(2020年11月1日付けリリースより)

 駆動モーター/モーターコントローラー
-VWの量産グローバルプラットフォーム(MEB)へ補助駆動モーターを供給。 また、上汽乗用車生産の新エネルギー車へER6駆動モーターを供給のほか、上海GM五菱の新エネルギーモデルである五菱広光MINIのモーターコントローラーも納入。 2020年は、10万セット以上の駆動モーターと3万セット以上のコントローラーを提供した。(2020年年度報告より)

電動エアコンコンプレッサー
-傘下の華域三電汽車空調有限公司はEVやPHV向けのヒートポンプシステム及び電動エアコンコンプレッサーの開発・試験に注力。2020年は上汽乗用車、上汽VW、上汽GM、Volvo、長城汽車、広州汽車グループ、江鈴汽車などのOEMに合計157,700台の電動コンプレッサー(セット)を提供した。(2020年年度報告より)

エアコンASSY・サーマルマネジメントシステム
-同社とMAHLEの合弁企業である、上海馬勒熱系統有限公司(Shanghai MAHLE Thermal Systems Co., Ltd.)は、上汽乗用車、上汽VW、上汽GM、小鵬汽車、BYDなどの新エネルギー車モデル向けに、エアコンASSY、冷却モジュール、バッテリークーラー、低温ラジエーター、コンデンサー、水冷プレートなどを供給。2020年度は合計108,100台(セット)を生産した。(2020年年度報告より)
電動ステアリングシステム
-Boschとの合弁子会社である博世華域転向系統有限公司(Bosch HUAYU Steering System)は2020年、628万セットの電動パワーステアリングシステム製品を車両向けに供給。うち約42,000セットを新エネルギー車向けに納入した。(2020年年度報告より)

バッテリーマネジメントシステム
-バッテリーマネジメントシステムに関して、同社とVisteonの合弁企業を通じて合計94,200台(セット)を新エネルギー車向けに供給した。(2020年年度報告より)

新エネルギー車向けバッテリートレイ
-華域皮爾博格有色零部件(上海)有限公司 (HASCO KSPG Nonferrous Components (Shanghai))は2020年、アルミ鋳造バッテリートレイ及びモーターハウジングの開発を完了し、量産体制を整えた。2020年度はバッテリートレイを3.5万点、モーターハウジングを8,500セット生産した。(2020年年度報告より) 

電子ポンプ
-華域皮爾博格有色零部件(上海)は2020年、新エネルギー車向けを含む電子ポンプ307万セットを提供した。(2020年年度報告より)
  

買収

Adientとの合弁会社を取得
-子会社である延鋒汽車飾件系統有限公司(延鋒)は、Adientとの合弁会社である延鋒安道拓座椅有限公司(延鋒安道拓)の株式譲渡およびその他関連資産譲渡に関する合意書に署名した。延鋒は、Adientが持つ延鋒安道拓の株式49.99%を取得する。取得完了後、延鋒は16,000名の従業員や55拠点のシート製造工場、テクニカルセンターおよび上海吉翔汽車車頂飾件有限責任公司を含めた合弁会社に関する全ての株主権を保有することになる。延鋒安道拓が指定サプライヤーとなっているプロジェクトや今後の事業も延鋒に移譲される。この取引の影響で、KEIPER Seating Mechanisms Co., Ltd.を除く中国国内の他の合弁会社に関する両者の持ち分および支配権にも変化が及ぶという。(2021年3月12日付プレスリリースより)

Woodbridge Foam Corporationとの合弁子会社を取得
-子会社である延鋒汽車飾件系統有限公司(延鋒)は、カナダWoodbridge Foam Corporationと株式買収について合意書に署名したと発表した。これにより延鋒飾件は、両社の合弁会社である延鋒木橋軽質複合材料有限公司の株式のうちWoodbridgeの持ち分である49.9%を取得し、合弁会社を完全子会社化する。買収は2021年第1四半期に完了する予定。(2021年1月6日付プレスリリースより) 

   

製品開発

スマートサーフェス技術展示模型
-子会社の延鋒汽車飾件系統有限公司(延鋒)は、スマートサーフェス技術展示模型(Smart Surface Demonstrator)を公開した。このデモは感知ライティング式の直感的な操作機能を備えており、乗客はバックライトセンサーにより、透過性の素材表面をスワイプするだけで光の色や強度を調節することができる。直感的HMI技術を内装の硬質、軟質表面にシームレスに統合することで、この技術は機能をインターフェース上にオンデマンド表示することができる。こうした技術の実現は、よりパーソナライズした体験を運転者および乗員にもたらすことになる。この技術はまだコンセプト開発段階にあり、搭載できるのは早くても2021年投入の新型車からになる見込みである。(2020年2月25日付けリリースより)

77GHz前方監視用ミリ波レーダー量産開始
-子会社華域汽車電子分公司が前方監視用ミリ波レーダーを乗用車向けに量産開始。製品は前方レーダーとフロントビューカメラ(1R1V)をベースに統合したもので、長距離の路上実験も完了している。(2020年年度報告より)

ハウジング事業強化
-Rheinmetall と同社の合弁会社KS HUAYU AluTechは、構造部品およびeモビリティなどの中核事業を強化している。自動車メーカーと共同でハニカム水冷構造のアルミ製電気モーターハウジングを開発、また新しい鋳造プロセスとして、Neckarsulm工場でプロトタイプ化された低圧サンドキャスティング鋳造コアパッケージを採用した。KS HUAYU AluTechはドイツ自動車メーカーのCセグメント電気自動車 (EV)向けに、航続距離の延長を可能にする追加バッテリー用ハウジングを、KS HUAYUのNeckarsulm工場で製造している。(2020年1月22日付プレスリリースより)

研究開発費

(単位:百万元)
  2020年12月期 2019年12月期 2018年12月期
研究開発費 5,572.85 5,264.53 5,133.40
売上高に占める割合 (%) 4.17 3.66 3.27

-研究開発費は前年比5.86%増、研究開発に関する人員は10,291名で、全社人員の18.19%を占める。

 

特許

-2020年末現在、華域汽車及び所属企業が保有する特許権は約6,700件。

 

研究開発体制

-2020年末現在、同社は中国に367の研究、製造及びサービス拠点を有し、米国、ドイツ、タイ、ロシア、オーストラリア、チェコ、スロバキア、インド、メキシコ、カナダ、日本、スペイン、南アフリカ、イタリア、ブラジル、インドネシア、セルビア、マレーシアなどに98の生産拠点 (研究開発拠点を含む) を保有。(2020年年度報告より)

 

受賞

-華域77GHz前方衝突被害軽減ブレーキ(AEB)ミリ波レーダー(LRR20)自主開発及び産業化プログラムは2020年度「上汽技術創新賞」一等を受賞。(2020年7月15日付けリリースより)